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仕事で出向いた先で、ふと立枯れの樹下に目をやるとマンネンタケ(a, b)がでていた。最初立枯れは松のように見えたのでマゴジャクシかもしれないと思ったのだが、よく見るとコナラであった。写真のものは傘径25cmほど(a)のものと15cm程度(b)のものである。途中で折れた松が多数伐採されて並んでいた。それらの大半はヒトクチタケに侵されていた。じっと見ているとヒトクチタケの開口部からは小さな虫が盛んに出入りしていた。 久しぶりに霧吹きを交換した。プラスチックが老朽化して今にも破れそうになっていた。海辺できのこを観察したり、撮影するには必須の小道具である。かつては市販のふつうの霧吹きを使っていた。水は別途ペットボトルに蓄えて持参していた。その都度霧吹きに水を詰め、作業が終わるとペットボトルに戻していた。次第に細身のもの(c)を使うようになっが、ロック機構が貧弱で何度かリュックが水浸しになった。 ここ数年は家庭用洗剤などが入っていた容器(d)を流用している。これらは、液を蓄える部分が薄い上に、ロック機構がしっかりしている。ふだんこれに水を詰めて持ち歩いているが、海辺に限らず結構重宝している。乾燥気味のきのこも霧吹きひとつで容易に新鮮味を取り戻してくれる。エアだけを吹きかけるゴム製のブロア(e)もきのこ虫を追い払ったり、砂を払うにはとても役に立つ。 |
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昨日採取したツバキキンカクチャワンタケの中に、子嚢盤の直径が40mm超というとてつもなく大きなものがあった。子嚢盤の中心を通る線で柄の先まで、さらに菌核部分までを薄く縦に切断してみた(a)。子嚢盤周辺を拡大してみる(b, c)と、子実層、托髄層、托外皮層が明瞭に分離してよく発達している。托外皮層の表面には白毛が多数生えている(d, e)。 托外皮層の外側から2層目(g)は円形菌組織をしていて、この部分はメルツァーで青緑色にそまる(f)。托外皮層から伸びている白毛(g, h)は薄膜で隔壁をもっている。この後、いつもはほとんどやらないことをやってみた。子実層から子嚢を一つだけ切り離しての撮影である(i)。これは視野に入るように対物40倍で撮影した。 対物100倍を使うと全体像が視野に入りきらないので途中で子嚢を二つ折りにして撮影した(j)。それにしても、柄付針2本を使って子嚢を折り曲げる作業は思いの外難しく、すぐ近くにあった側糸が一緒に絡んでしまった。バイオテクノロジーとしてはこの程度の作業はほんの初歩的で単純な技術なのだろうな、などとふと考えながら作業をしていた。 |
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早朝の見沼を歩いてみると、ウッドチップからネナガノヒトヨタケ、クズヒトヨタケ(a, b)などが再び出はじめた。タマキクラゲ、ヒメキクラゲ(c, d)も雨の恵みを得て再び息を吹き返したようだ。農家の軒先にはあちこちでみごとなエノキタケが見られた。昨日の秋ヶ瀬公園とは違いツバキキンカクチャワンタケ(e, f)はもはや最盛期を過ぎていた。これまで毎年のようにたくさんのツバキキンカクチャワンタケがみられた川口市のツバキの群落では、樹下をきれいに清掃してあった。かなり探してみたが、キンカクキンは全く見つからなかった。 | |||||||
降水量としてはたかがしれているが、このところ何度か雨が降った。さらに昨日は雪混じりの雨も降ったので、早朝秋ヶ瀬公園に行ってみた。新鮮だったのはコフキサルノコシカケ、アラゲキクラゲばかりで、地上生のキノコはほとんど見られなかった。ただ、ツバキキンカクチャワンタケはあちこちで見られた。先日(2/21)何株もみられた幼菌のエノキタケは、すべて根こそぎ抉り取られていた。まだ、たいして成長していたとは考えにくい。食材として使うのなら、もう少し成長してからの方が美味しいと思うのだが、それまで待っていられないのだろうか。今朝もカメラの出番は無かった。 | ||
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2週間ほど前から自宅サーバーの試験運用を開始した。四六時中電源を入れっぱなしで稼働させるので、怖いのは発熱とブレーカー落ちだ。10日ほど前に突然のブレーカー落ちでハードディスクが壊れてしまったが、もっと怖いのはウイルスやらクラッカーによる侵入と攻撃だ。昨年9月のデータ破壊の件もあるので、今後はしばしばログファイルのチェックが欠かせない。 今月いっぱいは以下のURLで試験運用をつづけて、3月から本格稼働をさせることにした。回線はADSLでYahoo!BBを使っている。NTTの局から3.5kmとやや遠いので回線速度には不満があるが、少なくともデータ転送量が多すぎるといって引っ越しを求められることはない。またホームページの容量に関しては350MBであろうと5GBにまで膨らもうと気にする必要は無い。公団が予定しているというVDSL回線が使えるようになれば速度の問題はクリアできる。
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21日外房で採取してきたケシボウズの検鏡結果である。この日採取した個体はそれぞれがかなり離れて発生していたので、それぞれ別個のフィルムケースに収めて持ち帰った。帰宅後、ひとつひとつ個別に、胞子と弾糸を見たが、結果的にはすべて同一種と判断された。 胞子表面には明瞭な肋状の条線(a)が見られる。疣でも棘でも網目でもない。さらに明瞭に捕らえようと、フロキシンで染めてみたり(b)、位相差顕微鏡でも確認したが、やはり間違いない。ちなみに(b)の輪郭に焦点を当てたのが(c)だ。弾糸の拳状節部(d, e)も2ヵ所だけ取り上げた。孔縁盤が小繊維性の房状を成していることや内皮が薄膜であることなども考慮すると、ほぼ間違いなくこれはTulostoma striatumだろうと思われる。 これまで九十九里で見つけたケシボウズではT.striatumが最も多い。それ以外の2種類は発生地域も、発生数もとても少ない。正確なことは今後何年間かにわたり、さらに広範に発生の確認が必要だが、現時点では胞子に肋状隆起を持ったタイプが最も多い。 最近一つの疑問が大きくのしかかっているのでついでに記しておこう。 1986年刊J.Wright著The Genus TulostomaによればT.striatumのサンプルが国立科学博物館にあるとされる。標本は松田(一郎)氏が新潟で採取とある。一方、その3年後の1989年に発刊された保育社「原色日本新菌類図鑑2」には、そのJ.Wrightの文献からと明記して引用したのち、国内で知られている種がいくつか記述されている。しかし、その中には、すでに当時国立科学博物館にサンプルとして正式に保管されていたはずのT.striatumについての記述はいっさい無い。この部分の記述は吉見昭一先生のはずだが、氏の最新の講演資料などにもT.striatumについては触れられていない。仮称も与えられていなければ採取例がありそれが科博に納められていることにも触れられていない。なぜだろうか。 さらに1981年刊の松田一郎著「新潟県のキノコ」には、ナガエノホコリタケとアラナミケシボウズタケという2種のケシボウズが取り上げられているが、T.striatumにはふれていない。氏が採取したのはこの書を著した後のことだったのだろうか。 |
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昨日午後、千葉県外房の浜を8町村にわたって10〜11地域ほどを歩いてきた。ケシボウズだけが目的なので、もっぱら防風林と海辺に広がる砂浜のうち目星をつけたエリアを帯状に歩いた。いずれもこれまで見ていないところばかりである。結果としては最も北側のエリアで、100メートルほどの距離に20数個体ほどがポツリポツリと発生しているのを確認した(a〜d)。(b)と(d)は、それぞれ(a)と(c)の柄が分かるように手前側を掘ったものだ。 最盛期にはおそらくそれぞれ10数個体ずつまとまって発生したのだろが、頭部が柄から離れて風にとばされたり、砂に埋もれてしまったと考えられる。見つけた個体も多くが、頭部は柄から分離して転がっていた。裏返すと柄の残骸が付いていたり、柄から切り離された痕跡が明瞭に見て取れるので、ドングリタケでないことは明らかだ。それらのうちから7〜8個体ほどをサンプルとして持ち帰った(e)。かなり広範囲に分散して発生していたのだが、すべて同一種だった。 他の10地域ほどの場所では1個体も見つからなかった。帰途、先に菌友らと一緒にケシボウズ撮影をした場所に寄ってみた。頭部と柄が付いた状態のものは3〜4個体ほどしか残っていなかった。他に頭部だけが10個体ほど、数メートル離れた風下側に転がっていた。ここもあと2週間もしたらすっかり跡形も無くなることだろう。走行300kmのドライブだった。 |
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昨夜熱が下がったので、早朝久しぶりに秋ヶ瀬公園に行ってみた。去る2月5日にはハンノキ樹下に多数のキンカクキンが足の踏み場も無いほどに発生(雑記2003/2/5)していたのだが、今やかなり探さないと見つからない(a, b)。発生の期間は意外と短く、あと1週間もすれば秋ヶ瀬公園では全く見られなくなるだろう。これは検鏡した結果Ciboria amentaceaに間違いなさそうだ。 他にはおなじみのキノコばかりである。硬質菌5〜6種、軟質菌3〜4種、腹菌類2〜3種、キクラゲ類2〜3種。エノキタケ(c)、ヒラタケ、アラゲキクラゲ(e)などは幼菌のうちに皆えぐりとられている。地上から直接発生していたエノキタケ(d)は、大きな立派な株だった。まさかと思える場所に発生したので気づかれずにすんだのだろうか。よくここまで成長を続けることができたものだ。 公園をキノコ狩りの場としている人がかなりいるのか、年々この傾向はひどくなっている。ここ2年間はヒラタケやエノキタケの大きな株は全く見ていない。さいわい、キンカクキンとかチャダイゴケなどはキノコ狩りの対象になり得ないので安心して観察を続けることができる。 |
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