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先日の秋ヶ瀬公園でもあちこちにあったが、自宅団地にも ムジナタケ はかなりの頻度で発生する。今朝も散歩の途中で採取したのでミクロの姿を覗いてみた。胞子表面は比較的大きな疣に被われている(a, b)。ヒダ切片(c)を見ると先端に透明な房状のものが見える。その部分を拡大すると棍棒形をした縁シスチジアが密集していた(d)。サイズを見るためにさらに高倍率にしてみた(e)。そのままヒダの側に視野を移すと担子器がきれいに並んでいた。 |
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東松山で採取した小さなアセタケ(a〜d)についてのメモである。昨日と同じパターンで写真を並べた。昨日のアセタケとは対照的に傘径1.2〜2.0cmの小さなもので、公園のアカマツ樹下にでていた。胞子紋は黄褐色、胞子(e)は著しいこぶに被われ角度によっては星型にみえる。一昨日のアセタケ同様にヒダ切片(f)、少し倍率アップ(g, h)、油浸100倍レンズによる担子器(i)、縁シスチジア(j)を取り上げた。縁シスチジアにはやや小型で薄膜の嚢状シスチジアも見られる(h)。これはコブアセタケにほぼ間違いなさそうだ。 | |||||||||||
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早朝、三芳町の保護林を回ってきた。まだ夏のきのこはほとんど出ていない。であったものはベニヒダタケ(a)、ミドリスギタケ(b)、ツエタケ(c)、ドクベニタケ、ニオイコベニタケ、ヒビワレシロハツ、クサイロハツ、カレバハツ、チギレハツタケなどのベニタケ属、そしてイタチタケ、ムジナタケ、アセタケ属ばかりであった。お目当てのきのこは一切出ていなかったので早々に帰宅した。 |
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昨日のニセアセタケ?に引き続いて、東松山で採取したとても大きなアセタケ(a, b)について記しておこう。傘径7〜8cm、柄の長さ10cm以上、太く中実で全体にとてもしっかりしている。柄は真っ白である。採取してみるとドッシリと存在感がある。実は一昨年6月19日にもほぼ同じ所で同一種が群生している姿をみている(c)。このときのメモ(雑記 2001.6.20)によればカブラアセタケによく似ているとある。その前にも見ているので、今回で三度目である。 胞子紋(d)は黄褐色、胞子(e)はこぶに被われている。胞子は昨日のニセアセタケ?とよく似た形をしているがやや小ぶりである。昨日のアセタケ同様にヒダ切片(f)、少し倍率アップ(g, h)、油浸100倍レンズによる担子器(i)、側シスチジア(j)を取り上げた。Stangl と Kobayashi で調べたが、ぴったりと落ちる種はない。どの種に近いのかもいまひとつはっきりしない。印象としては一昨年同様、柄の白いカブラアセタケに類似の特徴がいくつもある。 「キノコのフォトアルバム」に最近カヤネダケを加えたが、これにあらためて駄文を添えた。 |
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一昨日はアセタケの仲間を数種類持ち帰った。小川町の自然公園のキャンプ場で多数発生していたアセタケ属(a〜c)はニセアセタケに限りなく近いようだ。柄の基部は(c)のようなものから、さらに大きく膨大したものまであった。まずはvon J.Stangl "Die Gattung Inocybe in Bayern" にあたった。次にT.Kobayashi "The taxonomic studies of the genus Inocybe" をみると試薬による反応が掲載されている。とりあえず手許にあるKOHとフェノールでのみテストした。胞子紋(d)は黄褐色、胞子(e)は大きなこぶに被われている。 傘表皮、柄表面のミクロ結果は省略して、ヒダ切片だけを取り上げた。ヒダ切片を低倍率で見ると側にも縁にも、結晶を帯びたシスチジアが見える(f)。やや倍率を上げてヒダの先端(g)、側(h)などをみると、シスチジアの形態がはっきりしてくる。油浸100倍レンズに交換すると、担子器(i)、側シスチジア(j)のサイズの目安はわかるが、逆に全体像はつかみにくくなってしまった。 アセタケに関しては外見からだけでは種の同定はほとんど不可能であり、試薬反応とミクロの観察が必須となる。ヒダやら傘表皮ばかりでなく、柄の各部まで見なくてはならない。ひとつの子実体の色々な部分からプレパラートを作るので、他のきのこの何倍も手数がかかる。その後にはStanglのドイツ語との格闘が待っている。しかもStanglの絵はかなり粗雑である。散々苦労して調べても、種名にまではたどり着けるのはほんの一握りに過ぎない。 アセタケ自体はパッとしない目立たないきのこが多いが、胞子やシスチジアに表情豊かなものが多いのが面白い。大きく二分すると胞子が平滑なものと、こぶ状のものに分けられるが、外見からどちらのタイプなのか想像するだけでも楽しい。 |
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昨日、仕事で東松山市(埼玉県)まで行ったので、ついでに周辺のきのこを観察してきた。小川町ではイッポンシメジ科のきのこはほとんど見られず、ダイダイガサ(a)、ヒメキクラゲモドキ(b)、シロホウライタケ(c, d)が目立った。他にはアセタケ属、チャワンタケ類があちこちに出ていた。ここではシロホウライタケの胞子(e)と担子器(f)だけを取り上げた。 東松山市周辺では多くのきのこが見られたが、まだ夏のきのこはほとんどでていない。コガサタケ属、アセタケ属、ベニタケ属、モリノカレバタケ属、ホウライタケ属などが多く見られた。その中でも、ハタケコガサ(h, i)の大群落(g)にはあきれてしまった。20メートル四方の範囲に足の踏み場もないほど発生しており、それらの群落の中にはコガサタケ、ツヤマグソタケ、ハタケキノコ、シワナシキオキナタケ、フミヅキタケなども混じっていた。ハタケコガサの胞子(j)、担子器(k)、縁シスチジア(l)だけを取り上げておいた。それにしても、コガサタケ属のシスチジアは面白い形をしている。そしてサイズもとても小さいので、200倍程度では存在すら気づかない。 今回はややこしいものばかり、10種以上も持ち帰ってしまったので、今朝になってもまだ検鏡が終わらない。昨夜はとうとうプレパラート作りが酒の肴になってしまった。ホコリタケにいたっては焼酎でマウントしてしまった。ハタケコガサとコガサタケにいたっては先ほどやっと一段落したばかりだ。これからの季節、適当に見て見ぬ振りをしないと身がもたない。あぁ〜、眠い。 |
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ピスを使うと比較的楽に薄片がつくれる。とはいっても、かなりの慣れが必要であり、口で言うほど簡単には薄く切れない。そんなときに簡易ミクロトームを使うとわりと楽に薄く切ることができる(雑記2002.6.13)。ここにあらためて簡単に簡易ミクロトームを作成する方法を紹介しよう。 用意するものは使い捨ての簡易注射器だけでよい。2.5ccサイズのものが手ごろで、東急ハンズなどで100〜120円ほどで入手できる(a)。外筒の頭部をカッターなどで切除する(b)。切り口が多少曲がっていても影響ない。これにピストン部を逆に差し込めば出来上がりである(c)。内径とほぼ同じような太さのピスに資料を挟んで差し込む(d)。一端捨て切りをした後、わずかにピストン部を押してから切ればよい(e)。慣れると比較的楽に15〜20μm厚に切り出すことができる。 これはまさに、昨年紹介した「簡易ミクロトームの製作と活用」でいうところのA型である。10ccの注射器では内径がやや大きすぎるので、2.5ccのものが手ごろである。また固定用の釘はなくてもほとんど影響ない。なお、太目のピスも使えるよう5cc注射器でも作っておくとよいだろう。最近はとみに視力が衰えているので、外出時などはこのインスタントミクロトームにしばしばお世話になっている。一度お試しあれ。 |
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早朝、久しぶりにさいたま市の秋ヶ瀬公園を歩いた。予想よりもきのこは少なかったが、ウッドチップからはハタケチャダイゴケ(a, b)がいたるところに発生していた。遊歩道の周辺にはキコガサタケ(c)、ムジナタケ(d)、ヒメヒガサヒトヨタケ節のきのこ数種類、ケコガサタケ属のきのこなどが出ていた。ウッドチップを積み上げた場所に近づくと黄色いきのこが多数でていた。キオキナタケだろうと思って近づくと、ベニヒダタケ(e, f)だった。 |
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ベニヒダタケとムジナタケなどを持ち帰った。ベニヒダタケの胞子紋(g)はたちまちのうちにかなり堆積した。胞子は類球形(h)。完熟した成菌ばかりで若い菌が得られなかったので、ヒダ切片(i)切り出しはなかなか上手くいかなかった。ビチャビチャになってすぐに崩れてしまう。4回ほど試みてやっと何とか切り出すことができた。ヒダ実質をみると逆散開型(j)である。ひだ実質の周縁をみると担子器がビッシリと並んでいる(k)。すぐ脇にはフラスコ型やらボーリングピン型の側シスチジアが見られた(l)。それにしても、ウラベニガサ科のヒダ切片の切り出しは難しい。 リンクページに少し手を入れた。実質的に機能していないものを削除したり、きのこオンリーでないものは [キノコがテーマのサイト] から、[キノコも楽しめるサイト] に移動した。 |
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日光で採取したチャワンタケ科のきのこ(a)は、最初まるでクロチャワンタケ科のように見えたが、触ってみると全体にとても脆い。さらに子嚢面にメルツァーをかけるとすぐに青く変色するのでチャワンタケ科に間違いないと思った。無柄で地上やら材上に群生していた。中には径12〜15cmにも及ぶ個体もあった。 胞子はカバーグラスに落下させたものをみた。表面には細かい疣がある(b)。この疣は所々で細かい連絡脈のようなもので繋がっているように見える。はじめに子嚢盤の一部を切り出してみた(c)。メルツァーをかけると子実層面がみごとに青く変色した(d)。托外皮層は色素を帯びた細かい菌糸が絡み合っている(e)。托外皮層と髄層との境界は明瞭であるが、中心部(d)と辺縁部(c)では外皮層の厚みがずいぶん違う。中心部では外皮層と髄層との間にさらに別に絡み合い菌組織のような層がみえる(d)。厚ぼったい髄層は円形菌組織をなしている(e, f)。 子嚢層の部分の倍率を上げてみた(g)。メルツァーでは子嚢全体が青く変色するが胞子は変色しない(h)。側糸は糸状で隔壁があり先端は幾分肥大している(i)。油浸100倍対物に交換して子嚢先端部をみた(j)。十分成熟しているのだろう、胞子サイズは落下胞子(b)と変わらない。 ニセクリイロチャワンタケ(雑記2003.4.24)のようにも思えるが、今ひとつしっくりこない。冷蔵庫に数日放置しておいたら、カビが着いた上に虫が多量に発生してきたので廃棄した。とりあえず暫定的にニセクリイロチャワンタケ?としておこう。 |
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先日の雑記(2003.6.10)でアカカバイロタケ?として取り上げたきのこは、アカカバイロタケではなさそうである。富山のHさんからメールをいただき、再検討したが不明のままとなりそうだ。 日光で出会ったきのこは他にもあった。コガネヌメリタケ(a)は残念ながらやや乾燥気味であり美しい黄金色の傘表面を見ることはできなかった。サンゴハリタケ(b, c)もやや乾燥しており先端が赤みを帯びていた。ツガサルノコシカケ(d, e)はとても新鮮な状態であり管孔部から水滴を滴らせた個体が数多く見られた。ミミナミハタケ属(f)については下記に記した。 |
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傘には顕著なシワ〜ウネ状の隆起はなく、基部に白色の軟毛を密生している(ma)。胞子紋は白色。カバーグラスに採取した胞子はアミロイドで、類球形〜広卵形のとても小さなものだ(mb)。その表面には微細な突起が見られる。ちょっとみたところはイタチナミハタケにみえる。 ヒダ切片(mc)を切り出してみると、ヒダの周縁は滑らかだ。少し倍率を上げるとひだ実質は平行型(md)。ところが、ヒダ先端(mf)やら縁をよくみると細くて尖ったシスチジア(のような細胞)や褐色の油脂様物質を含んだシスチジア、いわゆるgleohyphaがみられる(mg)。このgleohyphaはヒダ実質内部や傘にも多数見られる。 ヒダ実質の組織にはいたるところにクランプがある(mh)。その一方で隔壁のない厚膜の骨格菌糸がみられる(mi)。いわゆるdimiticという菌糸構造である。さらに傘表皮は平行に菌糸が走っている。この時点でほぼ間違いなくイタチナミハタケだろうと思った。 最後にヒダ全体にメルツァーをかけてしばらく経過をみた。しかし胞子以外はアミロイド反応を示さない(me)。担子器もヒダ実質もいずれもアミロイド反応は示さない(mj)。保育社「原色日本新菌類図鑑」や「石川のきのこ図鑑」などによれば、担子器やヒダ実質はアミロイドであると記述されている。またスイスの図鑑でもヒダ実質はアミロイドとある。 スイスの図鑑によれば、ミミナミハタケ属であると判断するのはとても容易だが、ではどの種であるかとなると同定はかなり難しいとある。イタチナミハタケに限りなく近いが、どうもそうとは言い切れなくなってしまった。「フォトアルバム」のイタチナミハタケへの追加掲載は中止である。 |
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昨日、神奈川のM夫妻、Kさんらと一緒に日光を歩いてきた。先週に引き続いて相変わらずとても乾燥している。この数年ずっと探し続けていたマルミノノボリリュウ(a, b)にやっと出会うことができた。3年ぶりの再会であった。このきのこに出会うことだけを目的に、いったい何回日光に足を運んだことだろう。シャグマアミガサタケなどと違って頭部も柄も非常に薄く繊細で、特に柄の基部のトキ色がとても印象的である。他にきのこが全く無くても、このきのこに出会えただけで、日光まで出向いた価値は十分にあった。 ヒロメノトガリアミガサタケ(c, d)は最盛期を過ぎており、新鮮な姿の個体はほんのわずかしかなかった。あちこちのヤナギには大きくて肉厚のヌメリスギタケモドキ(e)がよくでていた。降雨があまりにも少なかったせいで、タモギタケは発生がとても悪い。幼菌(f)と干乾びた老菌ばかりしかみられなかった。ホシアンズタケ(g, h)もいつもの同時期に比較して発生数は非常に少なく発達も悪い。あちこちの倒木には鮮やかな色のオオワライタケ(i, j)がみられた。キイロスッポンタケ(k)、チャワンタケ科のきのこ(l)、ミミナミハタケ属などにもであった。 このほか管孔面に水滴を多数おびたツガサルノコシカケ、やや乾燥気味のサンゴハリタケ、同じく少し乾燥したコガネヌメリタケなどもみられた。例年に比してとてもきのこの少ない日光だったが楽しい一日を過ごすことができた。 |
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