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日( )

2004年1月10日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 相変わらずとても乾燥した日々が続いている。今朝団地の樹下に乾燥したタマキクラゲをつけた枝が多数落ちていた(a)。しばらく水につけておくと図鑑にあるような姿が戻ってきた(b)。タマキクラゲの検鏡写真は雑記2003.4.8に掲載したので今朝は撮影しなかった。キクラゲの類を検鏡するには乾燥状態の方が切片作りが楽である。さらにフロキシンなどを使って染色しないと担子器などわかりにくい。このタマキクラゲは朝食後のデザートになった。
 落葉をどけると地表から白い粉をつけた小さな棒状のものがあらわれた(c)。柄は樹枝状にはなっていなかった。掘り出してみると虫の体のようにぶよぶよした茶色い塊がでてきた。カメムシか蛾の幼虫のように見えるのだが、土をていねいに落とさなかったので何かよくわからない(d)。分生子はとても小さくうまく撮影できなかった(e)。

2004年1月9日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 今朝はケシボウズをいったん棚上げにして、コナラ林の落葉の下から採取したきのこ(a〜d)を覗いてみた。近場の緑地はすっかり乾燥して、硬質菌以外きのこの姿は全くみられない。しかし落ち葉をどけてみると何種類かのきのこがでてきた。これはそれらの一つだ。
 傘径1〜3cm、傘表面は繊維質で粘性なく、幼時クモ膜をもっている(d)。胞子紋は茶褐色(c)。柄の表面はややささくれた繊維状で内部は中実。幼時は白い菌糸で覆われている。採取した胞子紋を覗いてみた。胞子表面には微細な疣があり発芽孔などはみられない(e)。
 ヒダ実質は並列型でシスチジアの類は全くみつからない(f)。ヒダ実質部をみるとクランプをもっている(g)。担子器は以外と小さく、何度か試みたが基部の様子はよくわからない(h, i)。傘表皮は細長い細胞と球形気味の細胞が平行に走っている(j)。
 どうやらフウセンタケ科のきのこらしいが、よくわからない。乾燥した寒い冬の季節でも、落ち葉の下にはけっこう色々なきのこが出ているものだ。

2004年1月8日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 今朝は(2)のタイプ(雑記2004.1.7)のケシボウズ(a〜c)の検鏡画面を撮影した(d, e)。これは最初外見からタイプ(1)と同一種だろうと思っていた。このタイプ(2)から柄の表面のササクレが落ちてしまったものがタイプ(1)なのだと考えていた。この両タイプは混生していることが多かった。
 いくつかの柄の表面をこすってみた。赤褐色のササクレが落ちてしまうものもあるが、多くは多少こすった程度ではササクレはとれなかった。タイプ(1)とは外被膜(Exoperidium)の構造が違う。タイプ(1)では砂を巻き込んだ菌糸状(hyphal)だが、こちらは完全な膜質(membranous)ないし半膜質(semimembranous)である。しかし胞子(d)、弾糸(e)は光学顕微鏡レベルではタイプ(1)と区別はできない。SEMで見ても大きな差異はないように思える。
(2) 外皮膜は膜質から半膜質、内被膜は紙質、柄の表面は赤褐色のササクレに覆われる、中型からやや大型

2004年1月7日(水)
 
(4types)
(4types)
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 元旦に静岡県の遠州灘で採集したケシボウズをひとつ一つチェックしながら分類してみると、おおざっぱに4つのタイプに分けられた。同じテリトリーに何種類かのタイプが混生している。仕分けにあたっては、外観的特徴はむろん、胞子・弾糸だけではなく、外被膜・内被膜の検鏡が必要となった。いずれも孔口は筒状で、柄は木質・中実である。
 当初は大部分がケシボウズタケ(Tulostoma brumale Pers.:Pers.)だろうと思っていたのだが、どうもそうではなさそうだ。しかし、(4)のタイプは T. brumaleとしてよさそうだ。
(1) 外皮膜は菌糸状、内被膜は紙質、柄が白くほとんど平滑、柄の下部にわずかに赤褐色を帯びることもある、やや大型
(2) 外皮膜は膜質から半膜質、内被膜は紙質、柄の表面は赤褐色のササクレに覆われる、中型からやや大型
(3) 外皮膜は菌糸状から半膜質、内被膜はざらついた軽石状、柄は赤褐色のササクレに覆われるものが多い、中型だがやや大きなものもある
(4) 外被膜は膜質、内被膜は紙質、柄は白く平滑、非常に小さいものが多い
 今朝とりあげたのは、上記の(1)のタイプである(a〜c)。量が多かったので、1月2日から連日少しずつ検鏡しながら分けてきたが、いちいち検鏡結果の撮影などできなかった。ようやく今朝(1)のタイプの胞子(d)、弾糸(e)を撮影できた。種名の同定はまだできていない。

2004年1月6日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 元旦に遠州灘の砂浜を歩いているとき、小さな橙色のホウキタケ形のきのこにであった(a)。背丈は8〜12mmほどしかない。付近にはケシボウズタケやら背丈の低い草がわずかに生えているだけだった。掘り出してみると、砂中の腐りきった材まで白褐色の柄が伸びていた(b)。柄の表面は白い毛が生えて全体が木質化している(c)。柄の径は1〜2mm。
 持ち帰ってからすぐに冷蔵庫に放り込んでおいたのだが、ケシボウズの同定に忙しくて今朝まで放置したままになっていた。切片を切り出して水でマウントしたが透明でとても見にくい。すぐにフロキシンで染めて見ると、子実層面にアカキクラゲ科らしき担子器と胞子がみえた(d)。子実層背面には白い毛が生えているが、その部分はやや厚膜の菌糸からなっていた(e)。子実層を押しつぶしてみると担子器になりかけの組織らしきものが多数ちらばっていた。ニカワホウキタケとかツノフノリタケなどに近い種なのだろうが、柄が木質化しているところが妙だった。

2004年1月5日(月)
 
再検討と訂正
 
 年末から正月にかけてケシボウズタケ(Tulostoma brumale)についてやや詳細に検討してみたところ、この半年間にケシボウズタケとして処理したものには複数の種が混じっていることが確実になった。ずっと疑問を感じていたこともあって、まだこれらは博物館の標本庫に納めていなかった。T. brumaleの原記載にあたるなどして、あらためて再検討をしなくてはなるまい。
 昨日の雑記のヒトヨタケ科のきのこ(d)はどうやら同定間違いのようである。これはネナガノヒトヨタケかウシグソヒトヨタケのようだ。また(e)はワタヒトヨタケの可能性が高い。友人からの指摘もあったが、ここで訂正をしておく。

 昨年この場でもらい手を募集したノートパソコン(雑記2003.12.30)の行き先がほぼ決まった。今月の6日まで有効としたのだが、すでに発送をすませてしまった。ハワイのGさん、福島県のYさん、埼玉県のKさん、新潟県のTさんありがとうございました。おかげさまで4台(プラス1台)とも今少し寿命を長らえることができることになりました。

2004年1月4日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 昨日さいたま市の見沼区を回ってみた。数ヵ所の馬糞堆を見たがきのこの姿は見られなかった。立ち枯れの木の根本には大きく立派なヒラタケ(a)がでていた。倒木のエノキタケ(b)は先客が採取した痕跡があり、小さなものばかりが残っていた。
 公園では正月中も休み無くせっせとウッドチップ加工が行われ、モーターの唸る音がにぎやかだった。そのウッドチップからはクズヒトヨタケ(c)、ザラエノヒトヨタケ(d)をはじめ、他にも数種類のヒトヨタケの仲間がみられた(e)。例年ならたいてい見られるシロフクロタケやらサンコタケは全くない。もっとも、発生する前に新しいウッドチップが次々に敷き詰められてしまう現状ではしばらくはきのこの発生も難しいかもしれない。

2004年1月3日()
 
HPの一部修正
 
 久しぶりにプロフィールリンクのページに手を入れた。リンクページを設けたのは、ちょくちょくアクセスするサイトはリストにしておいた方が便利だという、それだけの理由からである。いわば自分たちのためのメモである。だから当然のようにサイトの内容紹介もない。当初の意図に戻って、この際義理で(?)掲載したリンク先は削除した。また、定評のあるサイトであっても、自分たちがふだんほとんどアクセスしないサイトは削除した。
 ふだん、きのこについて何か調べるときは、主として活字になった文献や雑誌類などを使い、ネットを利用して検索することはほとんどない。パソコンの前にじっと座っての作業は苦手である。また、ディスプレイを長時間見つめるのは、眼に大きな負担を強いられるので嫌だ。だから、掲示板というものも、きのこに限らずあまり見ない。リンクページの掲示板に関しては、時々はアクセスするものだけに限定した。

2004年1月2日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 昨日静岡県浜名湖近くの遠州灘の浜までケシボウズ観察に行ってきた。袋井市あたりで初日の出を見てから浜に向かった。広い浜のあちこちにケシボウズが顔を見せてくれた(a〜f)。多くはケシボウズタケ(Tulostoma brumale)のように見えるが、どうも複数種が混生しているようだ。
 4人で歩いて出会った数は数百個体であるが、比較的新しく発生したらしい個体(d, e)は十数個しかなかった。大部分は昨年8月〜11月頃に発生したものにみえる。中には頭部の径3〜4mmほどのもの(b)やら径15mmほどのものが4つ身を寄せ合うように出ているもの(c)などもあった。採取した個体は百数十個であるが、同一地点で採取したものを現地で並べて撮影した(f)。
 まだ明るい時間帯の午後4時半には帰宅していたが、帰路の東名高速が東京に近づくにつれて渋滞していたのには驚いた。元旦の昼間の渋滞は初めての経験だった。

2004年1月1日()
 
胞子紋のこと
 
 スライドグラスに採取した胞子紋を、長期間にわたって保存するためにやってきたことがいくつかある。まず、採取時に付着させる胞子を必要最小限にすることだ。多すぎると箱の底に堆積してしまう。だから採取したら最初にスライドグラスの角をコンコンこづいて多すぎる胞子を落下させてしまう。これで将来的に発生する胞子の自然落下をかなり防げる。
 それでも、半年もすると箱の底にさらに若干の胞子堆が見られる。スライドグラスが100枚はいる箱を半年後には別の新しい箱に入れ替えてきた。この作業を怠ると、たとえわずかでも箱の底に堆積していた胞子は、開け閉めの度に飛散することがある。
 この状態で3年ほど経過したものでは、胞子のコンタミ(混ざり合い)はほぼ防げるようだ。少なくともこれまでに胞子のコンタミは経験がない。
 今日はこれからちょっと浜名湖近くの砂浜まで、物好きな友人らと4人で元旦のケシボウズ観察に行ってくることになった。例年そうだが元旦の東名高速は快適に走れるだろう。

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