Top  since 2001/04/24 back


日( )


2006年4月30日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 ゴールデンウイークの初日4月29日(土)に福島県まで足を伸ばしてきた。サービスエリアや道の駅はどこも凄まじい混雑を呈していたが、山の中は静かだった。観察した地域では、オオズキンカブリが最盛期だった(a〜d)。検鏡・標本用に何個体かを持ち帰ってきた(e)。今回観察したのは、川釣りに適した清流の流れる平坦な河原である(f)。
 例年テンガイカブリが見られる一体は、地面をほじくり返してジャリを敷き詰めてあった。自動車道の工事が始まるらしい。もはや同地域のテンガイカブリは絶滅状態である。渋滞に巻き込まれるのをさけるためにam4:00に出発して、pm3:00には帰宅していた。

2006年4月29日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
   
生田緑地
のきのこ
(d)
(d)
 東京都内でもカンゾウタケが顔を出しはじめた(a, b)。しかしまだかなり小さくて、子実層は十分にできあがっていなかった。現地で割ってみると特徴的なシモフリ模様が現れた(c)。あと2〜3週間もすれば、各地で立派な姿をみせてくれることだろう。カンゾウタケの検鏡写真は、昨年5月後半に取りあげている(雑記2005.5.26同2005.5.28)。

 「生田緑地のきのこ」が届いた(d)。川崎市青少年科学館で発行している「自然ガイドブックシリーズ」のひとつとして、同緑地を訪れる一般の人たちを対象にやさしく書かれたものだ。説明は短くて簡略ではあるが、注目すべきは高橋春樹氏が新種発表したきのこが17種類写真つきで取りあげられていることである。一例をあげると、ユキラッパタケ、コノハシメジ、オリーブサカズキタケ、ヒロハアマタケ、オオミノアマタケ、アミガサホウライタケ、等々である。市販の図鑑類でこれらのきのこが写真付きで掲載されたものはまだほとんどない。
 購入するには、川崎市青少年科学館(電話044-922-4731)に照会されたい。なお、監修は神奈川県立命の星・地球博物館の出川洋介博士、編集は菌類懇話会である。

2006年4月28日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(a')
(a')
(b')
(b')
(c')
(c')
(d')
(d')
(e')
(e')
 昨日の朝はハルシメジの胞子で遊んでしまったために、ヒダや傘表皮などみる時間的ゆとりがなかった。今朝はそのハルシメジを使ってヒダ、担子器、傘表皮などを観察した。上段は水だけで封入し、下段はカバーグラスの脇からフロキシンを加えたものだ。
 ヒダの断面を良い状態でみるには適度な厚さに切らねばならない(a, a')。一般的に薄すぎて困ることはあまりない。しかし、あまり薄すぎるとカバーグラスの重みや、余分な封入液を濾紙などで吸い取ると形が崩れてしまう。逆に厚すぎるとヒダ先端や子実層などがよくわからない。そうはいっても、適度な厚みに切り出すのは意外と難しい。
 担子器の基部の観察はやはりKOHでバラして観察するのが楽だ。しかし、そのままでは透明でとても見にくい(d)。フロキシンで染めると観察が楽になる(d')。傘表皮は菌糸が平行に走っている(e)。これにKOHとフロキシンを加えたら、組織がバラバラになってしまった(e')。
 傘と柄をもったきのこでは、胞子だけではなく、ヒダやら傘表皮などをカミソリで薄切りにして観察をしなくてはならない。アセタケの仲間などのように、柄の表皮も観察しなくてはならないものもある。薄切りがへたくそな弁解になるが、ケシボウズの顕微鏡観察にカミソリはいらない。もっぱらピンセットと柄付き針さえあればよいのだから。

2006年4月27日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 さいたま市のウメ林(a)でハルシメジの様子を見てきた(b〜d)。4〜5月になると、これまで長いこと川口市や戸田市のウメ林でハルシメジを毎年のように見ることができた。しかし、この数年間にウメ林は次々にマンションや駐車場に変身していった。
 今年は、4月初めの頃から青梅やら秩父でハルシメジを見ているが、撮影したり採取したのは今朝が初めてだ。川口市と戸田市に昨年までわずかに残っていたウメ林が、すっかり更地になっていた。やむなくさいたま市の余命いくばくもなさそうなウメ林で採取した。
 数日前にきのこ採りが入ったらしく、踏み跡が入り乱れ、崩れたものや小さなものしか残っていなかった。柄の基部にグアヤク脂をかけると青変した(e)。したがって、いわゆるハルシメジ(=シメジモドキ Entoloma clypeatum)ではない。ハルシメジとは単一の種名ではなく多くの類似種・近縁種を含む総称である。とりあえずこれは、ウメ樹下のEntolomaである。
 今朝は胞子で遊んだ。最初にドライ(もどき?)で表面と輪郭部に合焦して撮影(f, g)、次に水で(h)、更にグアヤク脂(i)、濃硫酸(j)で封入して比較してみた。グアヤク脂は柄の肉部の青変性を見るために使ったので、面白半分に使ってみた。浸透圧の関係だろうか、胞子内部の水分が吸い取られて、皺だらけになっている。他の試薬による封入結果はここでは取りあげない。

2006年4月26日(水)
 
「今日の雑記」満5年
 
 「今日の雑記」を始めたのは2001年4月24日。1996年頃から自分たち用の菌類メモをHTML形式で記録していたものを公開したものだ。いつの間にか満5年を経て、足かけ6年になる。顕微鏡写真を取りあげたのは同年4月30日が最初。当時はまだ、国内できのこ関連のサイトは少なく、顕微鏡写真は丸山厚吉さんの「Wild Mushrooms From Tokyo」くらいしかなかった。
 この5年の間に、顕微鏡観察の必要性がきのこ愛好家の間でも強く認識されるようになり、全国的に顕微鏡もかなり普及した。それにともない、顕微鏡写真を取りあげるサイトも増えた。アップされる検鏡写真も、全般的に鮮明できれいなものが多くなってきた。
 この「今日の雑記」は、第一義的には自分たちのためのメモである。したがって、取りあげるきのこについては、個人的関心が濃厚に反映されている。内容や取りあげるテーマもかなり独善的である。昨日(雑記2006.4.25)などは、ほとんど知らない分野であるナヨタケ属のきのこを検鏡して、ふだんとは違った切片づくりに難儀した。
 これからも、この姿勢のまま物理的に続けられる限り更新していくことになりそうだ。

2006年4月25日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 埼玉県小鹿野の林道で出会ったPsathyrella(ナヨタケ属)を覗いてみた。ヒダは最初、淡灰褐色だったが一晩経つと黒褐色になった(a)。胞子紋の採取には5分で十分で、一晩放置すると分厚い層になった(b)。傘の縁には被膜はなく、湿時条線があり乾くとほぼ白色で、頂部は粉状ではない。ヒダは直生で、柄の基部には白色の軟毛がある。
 ナヨタケ属のヒダ切片切り出しは難しい。一晩経たことが更に切り出しを困難にしていた。ヒダ実質はほぼ平行型(c)、倍率を上げると、側シスチジア(d)、担子器などが見える(e)。ヒダの先端には細長い熱気球のような形をした縁シスチジアが多数みられる。
 3%KOHで子実層をばらしフロキシンで染めた。担子器(f)、側シスチジア(g)、縁シスチジア(h)の観察にはこれが楽である。数個体の数ヶ所から、いくつものヒダを確認したが、いずれにも担子器の基部にクランプは見られない。
 傘表皮は、頂部も中間部も縁部もいずれも似たような構造で、洋梨型の組織が柵状に並んでいる(i)。胞子を水(j)、3%KOH(k)、濃硫酸(l)で封入して確認してみた。濃硫酸では膨潤し淡スレート色に変わるが、濃硫酸を使わず80〜70%程度の硫酸を使うと赤みが増すが、膨潤せず淡スレート色にもならない。Psathyrella pronaの変種あたりだろうか。

2006年4月24日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
 昨日、埼玉県小鹿野町の白石山に行ってみた。国道から分岐して1kmほど進むと進入禁止の看板があり道路は鎖でロックされていた。鎖の向こう側では路面に草が茂っている。
 表示によると、平成11年の不審火事件以降立入禁止となったらしい。やむなく車を降りて歩いた。標高差400〜500m、山頂直下まで1時間ほど荒れた道を歩いた。トライアルバイクで踏破すれば楽しそうな道だ。山頂周辺は切り立った石灰岩の垂壁が聳えている(a, b)。
 石灰岩採掘跡は人の手が入らなくなってすでに、8〜10年以上経過しているらしい。周辺の石灰岩地を2時間ほど徘徊した。アミガサタケが石灰露岩地にポツンとあっただけである。
 白石山を離れて、狭くて荒れた林道を走り回ってこれはと思うところで石灰壁や露岩周辺を歩き回った。いずこもひどく乾燥していた。傘と柄をもったきのこもあるにはあった(c, d)。小鹿野温泉薬師の湯につかって一寝入りしてから帰宅した。

2006年4月23日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 昨日は玉川大学で日本菌学会関東支部の年次大会が行われた。総会に続いて行われた講演には90名近くの参加者があり盛況だった(a)。特別講演や一般講演には非常に興味深いものがあったが、ここではそれらの内容には触れない。
 講演のあとに開かれた懇親会では菌類関係物品のオークションが行われた。サイレントオークションにも珍しい文献やグッズが多数でたが(b)、何といっても盛り上がったのは伝説のMs. Nedaによるオークションだった(c〜e)。中には、手作りのもやしもんグッズ(d)やら、(独)森林総研の根田仁博士著「きのこ博士入門」のサイン本などもあった(e)。もしかすると、Ms. Nedaと根田仁博士(f)とは兄妹なのかもしれない。じつによく似ていた。

2006年4月22日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 川口市では相変わらず、あちこちでアミガサタケがでている(a〜d)。同一個体をじっくり観察していると、成長段階で大きく姿を変えることがわかる。大きめで柄が非常に太いタイプ(b, c)は、1週間ほど前には小さくて柄が細かった。昨日も同じタイプのやや若い菌がみられた(d)。同一種のアミガサタケが、成長段階によって "(d)" のような姿から "(b, c)" へと変化したにすぎない。
 さいたま市の公園で久しぶりにシロフクロタケをみた(e, f)。大きく育ってひび割れてしまったものもあった。あまりにも頻繁に絨毯を敷くように次々とウッドチップを散布するので、最近ではヒトヨタケの仲間以外は滅多にきのこの姿が見られなかった。同じく久しぶりに、若いツバナシフミズキタケやハタケキノコの姿を確認した。

 今日は日本菌学会関東支部の年次大会。午後からは「菌類の分布と生態」で4題の特別講演がある。懇親会ではMs. Nedaの登場するオークションが行われる。

2006年4月21日(金)
 
顕微鏡写真のこと
 
 昔の検鏡写真をみると、杜撰なばかりではなく各種技術はかなり稚拙である。以下に、ほぼ同時期の「今日の雑記」を並べてみた。これらに掲載されている検鏡写真をみると、たしかに撮影技術やプレパラート作成技術に少しは進歩の跡がみられる。
過去の雑記 2001.4.30   2002.4.30   2003.4.30   2004.4.23   2005.4.29
 プレパラートを作るにあたって、一枚ですべてが分かるような薄い切片を作る必要はないと思う。検鏡写真について、以下に思いつくままに列挙してみた。

(1) プレパラート作成の意図
何を、どこを観察するかでプレパラート作成の方法は変わる。ヒダ実質や側シスチジアなどの観察が目的ならば、なるべく薄い切片が必要だ。また、かさ表皮の観察が目的なら、切り出す方向に注意して薄目に切り出さなくてはならない。しかし、縁シスチジアを観察したり、担子器基部のクランプの有無を確認するのであれば、何もカミソリで薄い切片など切り出さなくてもよい。最初からヒダの一部をピンセットなどでつまみ取ってKOHでバラしてしまえばよい。

(2) 顕微鏡視野像の撮影
顕微鏡映像の撮影にはそれなりの難しさがある。きれいな視野像が見えたからといって、それをそのまま再現したような映像を得ることは意外とむつかしい。顕微鏡撮影にはそれなりの技術と慣れが必要とされる。また、フィルムであれデジタルであれ、カメラにも適不適がある。さらにデジカメによる撮影の場合には、画像ファイルに対するデジタル加工処理がともなう。その稚拙によっても映像は全く変わってしまう。

(3) 顕微鏡の整備状態
汚れたレンズ、傷ついたプリズム、狂った光軸、レンズのカビ、傷などは、見え具合に大きく影響する。しかし、多くの人は顕微鏡の状態には案外と無関心である。日常それなりに整備して、取扱いをていねいにするだけで、顕微鏡の性能と持ちはずいぶんと変わる。もちろん見える画像にも大きく影響する。スライドグラスやカバーグラスの汚れもくせ者だ。

(4) 対物レンズの性能
安い学習用顕微鏡と、研究用生物顕微鏡とでは、やはり見え方には大きな相違がある。さらに同じ生物用顕微鏡のレンズでも、アクロマートレンズと、セミアポ、アポクロマートレンズとでは、見え方に差がある。これは当然撮影画像にも大きく影響してくる。ただ、これは予算の問題ばかりではなく、接眼レンズ、コンデンサ等とのバランスの問題もある。

(5) 工夫と研究と慣れ
新鮮で状態のよい標本、よく整備された顕微鏡、良質の対物レンズ、撮影装置がそろっていても、きれいな顕微鏡画像が誰にでも撮れるとは限らない。つまるところは、それらに見合った良いプレパラートが作れなければ、決して鮮明な映像は得られない。良いプレパラートをつくるにはどうしたらよいか。また、鮮明できれいな検鏡写真を撮影するにはどうしたらよいか。それは、工夫と研究と慣れがすべてではないかと思う。

過去の雑記

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2006
2005
2004
2003
2002
2001

[access analysis]  [V4.1]