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日( )


2006年4月10日(月)
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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 愛媛県伊予郡松前町の砂浜でナガエノホコリタケが観察された(a)。愛媛県では数年前から県内発見リストに名前が載っているという。I さんから、4月8日早朝に採取されたという標本が届いた。柄の基部には菌糸がまとわりついている(b)。頭部の孔口はまだ開いていない(c)。
 胞子と弾糸を確認してみた(d, e)。確かにナガエノホコリタケに間違いない。胞子表面は一見微疣に被われているが、よく見るとトサカ状に繋がった構造をみることができる(d)。
 久しぶりに柄の基部の菌糸を観察してみた。砂を取り除いて菌糸をほぐすした。平行に走る透明な太い菌糸に混じって、濃色の若い菌糸が見られた。クランプを観察できる(f)。

2006年4月9日()
 
胞子のプレパラート
 
 顕微鏡観察で最も大切なのは良いプレパラートを作成することだとされる。実際に、プレパラートが悪ければ、どんなに高性能の顕微鏡を使っても無駄である。きのこの場合、誰にでも簡単にできるのは胞子の観察だとされ、顕微鏡入門は胞子からとされる。
 たしかに、面倒な切片作りは必要はない。スライドグラス上に胞子を落として、水をたらしてカバーグラスをかぶせるだけでよい。ハラタケ目の多くのきのこでは、カバーグラスをかぶせれば、胞子は適度に拡散してくれる。胞子の重なりは自然に解消される。
 ところが、腹菌類では一般にこの常識は通用しない。小さな類球形の胞子が多く、水で封入するとくっつきあって団子状態になってしまう。団子状態を解消する最も簡単な方法は、水ではなくエタノール(消毒用アルコール)で封入することである。
 ところが、エタノールはすぐに揮発してなくなってしまう。したがって観察は手短かにやらなくてはならない。写真撮影もごく短時間に要領よくやる必要がある。エタノールの量は必要最小限にしないと、胞子が動いて止まらないとか、多数が重なり合って具合が悪い。

2006年4月8日()
 
退屈で単調な作業 (a)
(a)
(b)
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(c)
(c)
(d)
(d)
 これまで持ち帰ったTulostomaは、目視による分別→検鏡による仕分け→生状態での記録→乾燥(冷蔵庫ないし熱風)→ラベル作成→乾燥状態での記録→収納→データ登録→標本庫へ発送、という流れで処理してきた(雑記2004.1.7)。こういった作業は、誰でもやっていることで別に特別な作業ではない。腐敗したり変質しやすいハラタケ目に比べればはるかに楽だ。
 Tulostomaの場合、しばしば複数種が近接ないし混在して発生する。原則として、同一地点で採取した群は同一容器に入れて持ち帰る。ところが、検鏡したら複数種が混じっていたことが過去に何度もあった。そこで、持ち帰った個体はすべて検鏡することになる(同2004.11.11)。

 数が多いと全個体の検鏡にはかなりの時間がかかる。頭部の側面に先の細いピンセット(b)を突き刺し、胞子と弾糸をつまみ出す。そして、胞子と弾糸だけを対物40倍で見る(a)。
 プレパラート作成から検鏡までは、一個体あたり数分。見終わると予め用意したバットに放り込む。ピンセットやスライドグラスをエタノールで拭き取って、次の個体のチェックに移る。これはもう工場での流れ作業そのものだ。検鏡写真の撮影などしている暇はない(同2005.1.18)。
 一回採取して帰ると、だいたい数日間はこういった流れ作業に追われる。処理に10日ほどかかることもある。これはかなり苦痛で退屈な作業である。そこで、気分転換に他のきのこを観察する。今日の雑記に登場するきのこは、大部分が気分転換の産物だ。

 Tulostoma以外のきのこは、検鏡でも油浸100倍で観察する。ところが肝心のTulostomaは、なかなか油浸100倍で観察するところまで到達しない。仕分けからデータ登録までの作業が済んだものだけが、100倍で観察されることになる。撮影の時間はなかなかとれない。
 こんな案配なので、これまで採取し同定したきのこのほとんどには検鏡写真がない。このためにいろいろと困る場合があった。そこで、今年から、すべての標本について、各標本から一個体を選んで、油浸100倍で検鏡結果を撮影することにした。
 毎日4点くらいずつ撮影をしてきた。写真をもとに図を起こすこともできるように、焦点位置をかえて何枚もとる(d)。平均して1点あたり15〜25枚ほどになる(c)。胞子と弾糸は必ず撮り、必要に応じて外皮、内皮も撮影する。この作業もまた単調で退屈な作業である。

 今朝も4点ほど処理した。リストを見るとようやく180点ほど撮影が済んだ。このうち100点ほどはSEM撮影(c)も済んだ(同2006.1.20)。でもまだ、残りが250点以上ある。新たな標本が追加される前までに少しでも減らしたい。やはりハラタケ目の勉強をするゆとりはなさそうだ。

2006年4月7日(金)
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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 大阪湾(貝塚市 二色浜)でケシボウズが採取された。今年の4月3日のことだという。メールに添付された写真からはナガエノホコリタケのように見えた(a)。「海岸を清掃していたらしく、そのかき集められた松葉の間からの採集」だという。
 大阪市立自然史博物館のSさんから、昨日標本が届いた(b)。崩れてはいるが、頭部の形状や外皮、内皮、孔口は十分よく分かる。いつものように簡易顕微鏡で胞子と弾糸をさっと見た。対物40倍である。久しぶりに、単眼部にCOOLPIX990を固定して撮影した(c, d)。
 この段階で、ナガエノホコリタケだろうとの感触を得た。これまでナガエノホコリタケが大阪で採取されたという話は聞いたことがなかった。念のために、日常使用している顕微鏡で油浸100倍にして観察、撮影した(e, f)。やはりナガエノホコリタケに間違いない。
 大阪湾の人工海浜ですら発生しているとなると、瀬戸内海の乏しい浜や護岸の砂地でも発生しいることだろう。まさかこんな所でというのは、富山の海浜が良い例だろう。

2006年4月6日(木)
 
(a)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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 今日の雑記は、昨日アップする予定だった記事である。川口市の見沼代用水東縁は、堤に沿ってソメイヨシノが満開の状態であった。近くには野生化したクワの樹が何ヶ所かにある。いまだに新緑の芽吹きは見られない。ようやく蕾が大きくなってきたばかりである。
 クワの樹下(b)にはまだ草もほとんど見られず、落ち葉と枯れ草ばかりである。落ち葉をどけてみると、キツネノワンが顔を出しはじめていた(c, d)。まだとても小さく、椀の径は3〜4mm程度である。また、堤のサクラ樹下(a)にはアミガサタケがいくつも出ていた(e, f)。

2006年4月5日(水)
 
Windows各種障害 (a)
(a)
 このところWindowsが不安定だ。起動までは特に問題ないのだが、ログオンからデスクトップ画面表示までにとても時間がかかる。パスワードを入力しEnterキーを叩くと「個人設定を読み込んでいます...」という画面がでる(a)。しかし、そこで4〜5分間ダンマリとなる。念のために接続されている周辺機器をすべてチェックしてみたが、どの機械にも異常はない。
 今朝は20分経過しても画面に変化がなく、やむなくリセットボタンを押した。何回かリセットボタンで再起動を繰り返して、ようやくデスクトップ画面が表示された。このため、画像をアップする時間が全くなくなってしまった。キツネノワンの第一報(川口市の見沼代用水東縁)を載せるつもりだったのだが、明日に変更せざるをえなくなった。
 昨年秋の悪夢が脳裏をよぎった(雑記2005.9.15戯れ言2005.10.5)。接続された周辺機器をすべて外して起動したが、症状は変わらない。しかし、ログオン画面までは進むのだから、レジストリなどWindows自体の障害だろう。また、これと歩調をあわすように、日常使用している画像閲覧ソフト(Vix, ACDSee, AbleCV)がしばしば起動しない。

2006年4月4日(火)
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
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(e)
(e)
(f)
(f)
 3月25日に茨城県鉾田市で採取した大きなツバキキンカクチャワンタケは数日間持ち歩いたのち、タッパウエアに容れたまま冷蔵庫に放置しておいた。今朝タッパウエアのふたを開けると、一気に胞子が20cmほどの高さまで噴出した。さらに、子嚢盤の中央付近が白色に粉を吹いたような状態になっていた(a)。虫には全くやられていなかった。
 裏面にはとくに大きな変化はない(b)。白い粉の部分を実体鏡でみると透明な粒の集まりになっている(c)。これをひとつまみ取って顕微鏡下でみると、ツバキキンカクチャワンタケの胞子であった(d)。あらためて波打った子嚢盤の一部を切り出してみた(e)。子実体のサイズは巨大でも、胞子や子嚢(f)には特に変わったところはない。子嚢頂部はアミロイドである。
 それにしても大きな子実体である。径4〜5cmのものが多数あった。菌核の部分は普通のサイズである。こんなに大きなものを見たのは初めてだった。海浜のヤブツバキ樹下にでるツバキキンカクチャワンタケには大きなものが多い、そういう話も何度か聞いた。

2006年4月3日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 都内の小金井公園に行ってみた(a)。今にも雨が降り出しそうな天気だったが、サクラの名所である公園は多くの人出で賑やかだった(b)。園内を広く探索してみたが、きのこの姿は全くない。同じ小金井でも小さな神社(c)では、落ち葉がよく堆積している。そこには、大小のトガリアミガサタケがでていた(d, e)。自重で倒れてしまうほどに大きく育った個体を持ち帰ったが、まだ胞子はできていなかった(f)。今年はまだ、成熟個体には一つもであっていない。

2006年4月2日()
 
ホームページの引越し
 
 ホームページ容量が3GBまで利用可能なプロバイダに引っ越した。アドレス(URL)はこれまでと変わらない。これまでメインに使っていたプロバイダの制約は最大1GBなので、遠からず使い切ってしまう。何らかの対策を迫られていた(雑記2006.3.25)。
 この一週間、毎日少しずつファイルのアップロードを続けてきた。ファイル数が多いのと、速度が遅い環境なので、FTPで全ファイルをアップするのに、計7〜8時間ほどかかった。引越しに先立って、4,000〜5,000ファイルに対して、リンク先に変更を加えた。
 とりあえず、大部分のリンクは切れていないことを確認したが、一部リンク切れや映像が表示されないケースがあるかもしれない。そういった現象があれば、それはファイルの修正漏れである。ファイル数が40,000超あるので、きっと見落としによる修正漏れがあるだろう。
 「きのこ雑記」のURL
 ○ http://park16.wakwak.com/~fungi/ あるいは http://zakki.jp/ である。
 × http://park16.wakwak.com/~fungi/cgi-bin/index.cgi はかなり前に廃止した。

2006年4月1日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 一昨日に引き続いて、先週の土曜日に持ち帰ったニガクリタケである。胞子紋だけはその日のうちに採っておいた(a)。胞子紋のついたカバーグラスをそのまま裏返しにしてスライドグラスに載せてみた(b)。カバーグラスの脇からスポイトで水を注ぐとたちまち馴染みのニガクリタケの胞子の姿になった(c)。
 水を3%KOHに置き換えてみると色味がかなり変わった。黄金色に近い(d)。しかし、同じ胞子をアンモニアで封入すると黄金色にはならず緑褐色を帯びる(e)。このアンモニアは虫さされ用に薬局で販売されているものを使った。
 
 
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
 これもメモ。縁シスチジアの観察だが、水で封入しただけでは目が疲れる(f)。フロキシンで染めると見やすくなる。担子器も同様である(g)。ニガクリタケのクリソシスチジアはアンモニアで封入した場合、3%KOHで封入したものよりも、色が緑がかっている(h, i)。フロキシンで染めても、内部の結晶物は染まらない(j)。組織にはあちこちにクランプがみられた(k)。

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