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日( )


2006年3月20日(月)
 
(a)
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(b)
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(c)
(c)
(d)
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 菌類懇話会の冬場の行事は、午前中の観察会に引き続いて行われるゼミ。昨日は西村幹雄氏による「ミミブサタケ属について」(a, b)、安藤洋子氏による「仙台のきのこ」(c, d)。
 青森県八戸市や岡山県津山市、愛知県豊田市といった遠方からの参加もあり、30名ほどの参加者があった。細かな分類に関わる話や、ややこしい内容になると、あちこちから寝息が漏れていた。また、仙台周辺のきのこの豊富さには目を見張るものがあった。午前中の観察会で採集されたきのこの種類は少なかったが、楽しい一日だった。

2006年3月19日()
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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 油浸オイル(Immersion Oil)は高価で、5cc容器でも400〜500円ほどする。50cc、25cc、8cc容器なども市販されている。200ccとか500cc入りの容器には、たいてい製造年月日が記されている。しかし、小容量の器には製造年月日や保証期限は記されていない。いったい油浸オイルは製造から何年くらい使用できるのだろうか。
 油浸オイルに要求されるのは透明で1.52程度の屈折率(Nd)を保っていることである。油浸オイルも経年変化により劣化して透明度や屈折率が変化する。一般に工業油などのメーカー保証期限は、製造から2〜3年くらいだ。保証期限を過ぎたら使えないということではなく、その期間内に品質劣化の起こることは希だということだろう。
 現在自宅で主に使用しているのは、オリンパス製8cc容器(c)である。10年ほど前に50本ほどまとめ買いしたものだ。他にもニコン製50cc容器(a)、武藤製25cc容器(b)なども併用している。(b)の25cc容器は5年ほど前に10本ほどまとめ買いをしたもの、(a)は数年前、知人からいただいたものだ。もっとも現在(a)の中身は、昨年購入の200cc容器から小分けしたものである。
 こうやって、あらためて見回してみると、日常使用している油浸オイルは、5年以上前に購入した物が大部分ということになる。つい最近、古いオリンパス製顕微鏡ケースの隅に置き忘れた容器を見つけた。1987年から放置されていたものだ。20年以上まえのものでケースのふたには亀裂が入っている(d)。昨年購入したオイルと比較してみたが劣化は感じられなかった。
 これだけで一般化することはできないが、購入から10年はほぼ安心して使えそうだ。油浸オイルの保証期限を気にするくらいならば、「よいプレパラート」を作成する技術を習得したり、維持することに神経を使う方が現実的だろう。

2006年3月18日()
 
国際植物命名規約
 
 先日富山を訪問した折りに、植物園の橋屋さんの口から「自動名 autonym」という用語がでた。久しぶりに聞く用語であった。autonymという概念はよく理解できずに、これまで放置してきた。たとえば、種についてなら、第26条3項や第6条8項などによって「合法的な種名の下で種内分類群の学名が正式に発表されたとき、対応する自動名が自動的に設立される」とされる。これを読んだだけでは何を言っているのかよく分からない。
 たとえば、Tulostoma fimbriatum Fr. var. campestre (Morgan) Moreno [ナガエノホコリタケ] が合法的に正式発表されたとき、対応する自動名 T. fimbriatum T. var. fimbriatum [アラナミケシボウズタケ] が自動的に成立することになる。アラナミケシボウズタケはTulostoma fimbriatum Fr. だと思っていた者にとっては、なにか狐に包まれたような印象を受ける。「合法的」とか「正式」、「発表」という用語も厳格に定義されている。
 あらためて日本語に翻訳された「国際植物命名規約」(セントルイス規約)の該当箇所を読んでみた。autonymという概念を理解するには、あちこちの条文を読んでみなくてはならない。各条文には多数の実例が列挙されているが、それらを読んでもやはりとてもわかりにくい。
 あちこちの条文をひっくり返して読んでいるうちに、少しずつ理解できてきた。過去に、日本語の翻訳が出る前、英語でかかれた規約(ST LOUIS CODE : Electronic version)に目を通して、結局内容をほとんど理解できなかったことを思い起こした。「夢を夢みる」的な表現があって、やや馴染みにくいが、それでもやはり日本語で書かれたものはありがたい。
 かつて学生時代に法律が嫌いで法律から離れたのに、まさか今になって法の解釈に足を踏み入れなくてはならないとは思ってもいなかった。悪夢である。

2006年3月17日(金)
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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 今朝は、ひさしぶりに乾燥標本を20点ほど撮影した。携帯用簡易スタジオと簡易照明装置、クールピックスを使っている(a)。乾燥標本を撮影しておかなかったために困ったことが、過去に何度かあった。それ以来、いくつか溜まったところで撮影している。目的が識別用なので、撮影は標本番号と全体像(b)、頭部(c)だけである。
 撮影した乾燥標本映像(b, c)は、胞子の光顕写真(d)・SEM(走査電顕)写真(e)、生態写真(f)などと同一ディレクトリに格納している。標本番号と同名のディレクトリには、現地で掘り出した状態の映像、光学顕微鏡で見た弾糸、SEMによる1,000倍映像5,000倍映像などをはじめ、採取標本の記載ファイル(テキスト)なども格納してある。
 過去に、ハードディスクのクラッシュとバックアップ媒体の不良のために、それまでのほとんどすべてのデータを失った(雑記2004.8.1同8.2同8.11など)。あのときは、もはやキノコもホームページも何もかも止めようとさえ思った。以来、菌類データだけは、バックアップ専用ソフトに頼らず、こまめに複数媒体(LANディスク、USBディスク、DVD等)にコピーして今日に至っている。

2006年3月16日(木)
 
油浸オイルの泡
 
 日常コンデンサとスライドグラスの間には油浸オイル(Immersion Oil)は一切使わない。もっぱら対物レンズとカバーグラスの間だけである(雑記2005.12.25)。一度に使用する量はほんの微量にすぎない。それでも、頻繁に油浸オイルを使うので、8cc入りや5cc入の小瓶ではすぐになくなってしまう。そこで、自宅ではもっぱら50cc容器を愛用するようになって久しい。
 一滴にも満たない微量のオイルをカバーグラスにたらす。いくら注意深く作業をしても、しばしば気泡が入ってしまう。気泡を取り除かないとまともに見ることはできない。先のとがった針などで突いても気泡は意外と頑固で潰れない。
 ライターで柄付針の先を軽くあぶって、気泡に軽く触れると、それだけで大小の気泡はたちまち消えていく。先端の熱によっては、気泡に針先を近づけるだけで、泡は消滅する。だから、顕微鏡のすぐ脇には、ターボライターと柄付針を常時置いてある。

2006年3月15日(水)
 
(a)
(a)
(b)
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(c)
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(d)
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(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
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(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 今朝はきのこではなく海浜で採取したツクシンボウの胞子を覗いて楽しんだ。福井県越前海岸と新潟県寺泊海岸から食用に持ち帰ったものだ。きのこの胞子とはひと味違ったおもしろみがある。ルーペでみると緑の胞子は白いもやもやしたものに包まれている(a)。
 顕微鏡の低倍率で見ると、その白いもやもやが弾糸であることがわかる(b, c)。これは水ではなくグリセリンで封入した。対物5倍から20倍あたりが最も楽しめる。
 胞子には4本の弾糸がついているが、これが乾湿に応じて面白い動きをする。スライドグラスに胞子を載せ、軽く息を吹きかけながら低倍率で観察するととても面白い(d, e)。弾糸にはじき飛ばされた胞子には、もはや弾糸の痕跡はない(f)。
 胞子を3%KOHで封入すると、たちまち赤変する(g)。胞子についている弾糸は、胞子の周りに巻き付いたり、胞子から離れてコイル状になって残る(h〜j)。

2006年3月14日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 11日(土)〜13日(月)にかけて、富山→石川→福井→新潟と海浜ばかりを20数ヶ所歩いてきた。地図上に××浜、××砂丘と記されていれば、こまめに寄ってみたが、かつての面影を保っている浜はほとんど残っていなかった(a〜f)。いずれも、砂浜と防風林の間は人工的な構造物で仕切られている。海岸浸食対策のため、あるいは海岸防災林造成のためとされる。
 北陸でも急激に天然の砂浜は消滅の道をたどっているようだ。スナヤマチャワンタケは太平洋岸の浜ならどこにでもみられるが、富山では珍しいとされるのも納得できた。しかし、砂地生菌類は点のような小さな砂浜(b)にも発生していた。護岸工事が落ち着いて3〜4年もすれば、再び海浜生の植物や菌類が見られるようになるだろう。
 12日夕刻から13日は広範囲に雪模様となり、海浜砂地もすっかり雪に覆われてしまった。13日は福井県の越前海岸から新潟県の寺泊までの浜を7〜8ヵ所観察したが、菌類はほとんどみられなかった。海浜で目立ったのは、雪にたたずむツクシンボウだけだった。
 今回の北陸路の旅では、富山の橋屋さん、栗林さん、伊藤さんにはすっかり世話になってしまった。また、突然の訪問にもかかわらず、金沢では池田先生のお宅で楽しい時を過ごすことができた。みなさん、ありがとうございました。

2006年3月11日()
 
北陸へ出発
 
 今日(11日)からから月曜日(13日)まで、北陸方面へ出かけてくるので、この間は「今日の雑記」はお休みである。北陸地方には砂浜が少なく、わずかに残った砂浜も人工的護岸のために汀線からそのまま繋がった浜はさらに少ない。今まだam3:00、これから出発すれば、am4:00前には高速道路に乗れるだろう。ETC深夜割引の適用を受けるにはam0:00〜4:00の時間帯に高速道路を通行していなくてはならない。そろそろ出発時刻だ。

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