Top  since 2001/04/24 back


日( )


2006年11月10日(金)-11日()
 
 
 
 まだ朝早いが、これから一般道を走ってつくば市へ出発である。サンプルとして使う生きのこは昨日採取したので、途中で寄り道をしてきのこを探す必要はない(記:11月10日早朝)。

11/10−11/11 菌学講座参加

 今日と明日は筑波で行われる菌学講座に参加のため、「今日の雑記」を休みます。

2006年11月9日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 明日から、つくば市で菌学講座が始まる。初日の講座で使用する生きのこを採取に見沼地区に行ってきた。まずは、確実に発生していると思われるスギタケのシロに行ってみた。あちこちで株をなして出ていた(a, b)。とりあえず、これで一安心である。スギタケは多量に採取した。いろいろといじり回して切り刻んでも不足することはないだろう。
 例年なら見られるはずの他のきのこはほとんど見あたらない。スギタケだけというのも面白くないので、ウッドチップ帯にも行ってみた。変形菌がカラカラに乾き切っている。この状態では、きのこはあるまいと思われたが、念のためにていねいに探してみた。
 全体にやや乾燥気味ではあるが、いくつかのキノコを採取することができた。キヌカラカサタケ属(c)、ベニヒダタケ(d)、オニタケ(e)、カラカサタケ属(f)などがあった。腹菌類も出ていたが、これは持ち帰らなかった。ハタケシメジは小さすぎてどうにもならない。

2006年11月8日(水)
 
久しぶりの更新
 
 久しぶりに「キノコのフォトアルバム」に新しい種を二つ追加した。アイコウヤクタケとアカダマノオオタイマツだ。このところずっと、きのこの姿がとても少ない。近場はもちろん、遠出しても事情は同じだ。関心を持って観察を続けているケシボウズにしても、定点観測を続けている地点は別として、新しい発生地はほとんど見つかっていない。
 それにしても、アルバムの更新作業は面倒くさい。今年の冬の雑記でも「更新の手間を考えると、現時点で完結させてしまうのが一番気楽だ」と書いたが、今後はアルバムの更新はひと月〜ふた月に一度くらいの頻度になるのではあるまいか(雑記2006.2.22)。

2006年11月7日(火)
 
(a,'600','450')
(a)
(b,'600','450')
(b)
(c,'600','450')
(c)
(d,'600','450')
(d)
(e,'600','450')
(e)
 11月6日の雑記で「とりあえず、オオザラミノシメジとして扱っておくことにしよう。」と書いた。これは、オオザラミノシメジについて、正確に理解していないことによる。保育社「原色日本新菌類図鑑 (I)」p.88 には「オオザラミノシメジ Melanoleuca grammopodia (Bull.:Fr.) Pat. は大形で傘の径7〜15cmに達する。」と、たった2行の文が書かれているだけである。
 これは、旧版の保育社「続原色日本菌類図鑑」p.26をそのまま新版で踏襲したことによるものだろう。山渓「フィールドブック きのこ」には写真が掲載されているが、その解説を読んでも、コザラミノシメジとの違いは分からない。なお、池田良幸著「北陸のきのこ図鑑」にもオオザラミノシメジは取りあげられていない。
 このきのこをMelanoleuca grammopodia と同定し、和名「オオザラミノシメジ」を提唱したのが誰で、いつどこで発表したのかを調べないと、オオザラミノシメジがどのようなキノコなのかは、やはり浮かび上がってこない。こんなとき必須の文献といえば「日本菌類誌」だ。
 「日本菌類誌」の中でも、ハラタケ目きのこを記したのは、伊藤誠哉著の第二巻五号(a)と同四号である。索引から「オオザラミノシメジタケ」を探して該当ページを開くと、新種として掲載された論文から1950年頃までに、国内外で記された論文の一覧が記されている(b, d, e)。
 この文献にあたると「オオザラミノシメジ」という和名は今井三子によって名付けられたことが分かる。「日本菌類誌」第二巻五号に記載されている、オオザラミノシメジについての記述はとても簡潔であり、シスチジアや傘上表皮など、細かなことは書かれていない(c)。
 詳細を知るには、ここに掲げられた文献一覧をたどればよい。さらに和名のオオザラミノシメジについては、"Imai, S.: Studies on the Agaricaceae of Hokkaido I, II. - Journ. Fac. Agr. Hokkaido Imp. Univ. 43: 1-378, 1938" にあたればよいこともわかる。
 オオザラミノシメジについて知るにはどの文献にあたればよいのか、こういった情報を得られれば仕事の半分は終わったに等しい。しかし、面倒くささが先に立って、元記載やら新産種報告をいまだにきちんと読んでいない。これは単なる怠慢にすぎない。

2006年11月6日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 この連休中に千葉の海浜クロマツ防風林下で採取したザラミノシメジ属を検鏡してみた。胞子紋は白色。そのまま顕微鏡で覗くと微疣が多数みえる(a)。水を加えると形がやや鮮明になった(b)。メルツァー液に置き換えると、胞子表面の微疣がアミロイド反応を示す(c)。
 ヒダ切片を切りだした(d)。子実層托実質は並列型(e)。縁にも側にもフラスコ型のシスチジアがある(f)。先端にはクリスタル状の結晶をつけている。3%KOHとフロキシンでバラしてみると、先端の結晶は溶けてわかりにくくなった(g)。担子器の基部にはクランプなし(h)。
 傘上表皮は菌糸が匍匐状から平行気味に走っている(i)。柄の表皮細胞にも傘肉にもクランプは見られない。柄にも傘肉にも表面に色素の粒点を帯びたような菌糸がめだつ(k, l)。とりあえず、オオザラミノシメジ Melanoleuca grammopodia として扱っておくことにしよう。

2006年11月5日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 昨日の千葉の続きである。外房の浜ではきのこ狩りの人たちがかなり繰り出していた。数時間の探索で、ようやく数個体を見つける程度の発生だった。シモコシは全体に小さく、例年なら採取できるはずのマツバハリタケは影も形もないということだった。
 外房の砂浜は10月初めの台風の影響はあまりなかったようだが、全体に乾燥気味であり、砂地生のきのこはとても乏しい。しかし、クロマツ防風林のなかでは、多くのきのこを見ることができた。ただ、その多くは食用にはならないものである。
 ちょっと数え上げても、ベニタケの仲間、クロハツないしクロハツモドキ、アセタケの仲間、キシメジ科数種類、ヤグラタケ(d, e)、ザラミノシメジ属(e, f)などがみられた。スナヤマチャワンタケは、内房の浜にはかなりあったが(a, b)、外房の浜ではただの一つもであうことはなかった。その一方で、クロマツ防風林内の遊歩道わきにはナガエノホコリタケがでていた。

2006年11月4日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 昨日、親しい菌友と一緒に千葉の海を見てきた。浜には草が生い茂り、例年の11月上旬とはまるで様相がことなっていた。晴天無風のとても暖かい一日だった。
 内房の浜では、定点調査区の中に多くのケシボウズが発生していた。前回観察したのは9月28日で、このときに区画内に発生していたケシボウズはすべて採取している(雑記2006.9.29)。したがって、昨日見られたものはすべて、その後に発生したものである。
 興味深いことに、たった1ヶ月の間に、頭部がすっかりペシャンコになってしまった個体があったり(a)、頭部に緑色の植物が付着している個体がある(f)。緑色の植物はおそらく緑藻類だろう。調査区数ヶ所でかなりの発生をみたが、その内のひとつで採取した個体(d)のうち、頭部がまだ開口していないものを並べてみた(e)。いずれもナガエノホコリタケである。
 内房では他にも非常に小型のケシボウズが多数散在していたが、最近発生したと思える個体は少なかった。スナヤマチャワンタケもいくつも出ていた。一方、外房の浜では数ヶ所のいずれも、砂地生のきのこはあまり発生していなかった。

2006年11月3日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 ツエタケ属の仲間は、大きな胞子と大型のシスチジアを持つことで特徴づけられる。したがって、ツエタケ属の観察には400倍までの学習用顕微鏡でほとんど事足りる。先月末、栃木県川俣で出会ったフチドリツエタケも同様だった(a)。
 ヒダの縁をルーペでみると黒く縁取られている(b)。すでに傷みはじめていたせいか、ヒダを切り出すと先端がみな崩れて広がっている(c)。この傾向は、薄く切るとさらに助長された(d)。倍率をあげて先端を見ると端正な縁シスチジアがみえる(e)。ヒダ実質は並列型(f)。
 多くのきのこでは一般に、対物レンズを油浸100倍にしないと、胞子の表面構造であるとか、発芽孔の有無などの確認は難しい。しかし、ツエタケの仲間では、対物40倍レンズで担子器を明瞭に捉えることができる(g, i)。縁シスチジアの観察でも40倍レンズで十分である(h)。
 比較の意味で、油浸100倍対物レンズで担子器をみることにした(j, k)。視野に担子器ひとつの姿は入りきらない(j)。担子器の基部にクランプがあることは明瞭に分かる(k)。傘表皮は洋梨〜風船のような細胞が不安定な柵状に並んでいる。

2006年11月2日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 先日観察したツチナメコについてのメモである(a, b)。10月29日に川崎市の生田緑地で、学習用顕微鏡などで、胞子・縁シスチジア・ひだ実質・傘表皮などを確認してツチナメコと判断した。ここにアップしたのは、そのうちの数個体から作成したプレパラートだ。
 胞子(c)、ひだ実質(d)は見ての通りだが、倍率を上げて子実層部をみると、棒状の側シスチジアと二胞子性の担子器が顕著にみえる(e)。ヒダの縁をみても、棒状の縁シスチジアがみえるのだが、なんとなくはっきりしない(f)。
 そこで、ヒダを一枚取りだしてスライドグラスに寝かせて縁をみた(g)。多数の縁シスチジアが見られるが、なんとも見づらい。そこで、水を5%KOHに代え、フロキシンを加えると画面が明瞭になった(h)。これを軽く押し潰すと、担子器やシスチジアがバラバラになった。シスチジアは側も縁も、長くて太い首をもったフラスコ状のものが多いが(i)、棒状や便腹状のものもある(j)。
 担子器は大部分が胞子を二つつけるが、一部に四胞子をつけるものもみられた。傘上表皮は洋梨を縦に並べたような組織をもっている。この仲間は再検討を要するようだが、とりあえず、原色日本新菌類図鑑記載のツチナメコとした(I, p.189)。

2006年11月1日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 上野公園では東京都美術館でダリ回顧展をやっている。そのすぐ前の林で、小さなムラサキシメジが菌輪をなしていた(a, b)。さらに、不忍池に向かう坂道の途中では、斜面の倒木にキララタケが多数でていた(c, d)。ふと脇に目をやると、ペンキをこぼしたような鮮やかな青色のものがみえた(e, f)。小枝や落ち葉の上に広範囲に広がっている。
 青色のコウヤクタケ型の菌を検鏡してみた。材に着いていた部分を切り出すと三層からなっていた。表面は青色、その直下は透明、材に付着していた部分は茶褐色をしている(g)。表面には子実層らしき組織があるが、担子器や胞子はみられない。先端が不規則に分岐した樹枝状の組織で被われている(h)。3%KOHでバラしてみると姿が明瞭になった(i)。菌糸は三層のどの部分にもクランプがみられる(j〜l)。アイコウヤクタケらしい。

過去の雑記

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2006
2005
2004
2003
2002
2001

[access analysis]  [V4.1]