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2006年6月10日()
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
(e)
 「キノコのフォトアルバム」・「顕微鏡下の素顔」のサムネイルをクリックしたときの挙動を変更して、「今日の雑記」のサムネイルをクリックしたときの挙動と同じにした。先の、画像リンク方式変更に見合った処置をとることにしたわけである(b → c)(雑記2006.5.20)
 「今日の雑記」では、いくつものサムネイルを次々とクリックしても、ひとつのウインドウの中の画像が更新されるだけである。ウインドウは常に一つだけであるから、画像についての説明は本文中で(a)とか(b)としてやっている。このウインドウを閉じれば画像は消える。
 ところが、これと同じつもりで「キノコのフォトアルバム」・「顕微鏡下の素顔」でサムネイルを次々といくつもクリックすると、同数のウインドウが開かれてしまい、後始末が大変であった(a)。搭載メモリの少ない機種ではWindowsがフリーズするおそれもあった。
 こういう挙動にしてあったのには、それなりの理由があった(d)。複数の画像を別ウインドウに表示して、その各々に画像だけではなくタイトルと説明も表示する(b)、そういった仕様にしてあった。画像だけ(c)ではなく、テキスト表示も可能(b)にすると、多くのメリットがあった。
 例えば、シャグマアミガサタケとオオシャグマタケを列挙して比較したいとする。それぞれのウインドウには和名・学名・撮影年月日・撮影地も表示されるので(b)、どちらの画像がどのきのこなのかは一目瞭然である(e)。サブファイルの存在意義は主にこの点にあった。
 しかし、サブファイルを廃止した今(c)、複数のウインドウを開く理由はない。そんなわけで仕様を変更した次第である。作業としては、一つのスタイルファイルにわずかな変更を加えただけである。アップロードの時間を含めても数分の作業だった。

2006年6月9日(金)
 
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(b)
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(j)
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(k)
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(l)
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 さいたま市の馴染みの店で珈琲豆を買って帰ろうとしたとき、ふと足元をみるとスギタケがでていた。デジカメを持っていなかったので帰宅してから撮影した(a, b)。どうやら典型的な姿のスギタケのようだ。胞子は、先日の広義のスギタケよりやや小振りだ(c)(雑記2006.6.2)。
 ヒダ切片を切りだして(d)、子実層托実質を確認した。並列型である(e)。あらためて更に薄い切片を切りだして3%KOHで封入した(f)。子実層には黄金色に変色したクリソシスチジアが見られる(g)。バラしてみると面白い形をしている(h)。全体が黄金色になるやや小さめのシスチジアもある。3%KOHでほとんど変色しないものもある(i)。
 担子器をフロキシンで染めた(j)。基部にはクランプがあったりなかったりである。担子器をKOHだけで封入するととても見にくい。逆にシスチジアをフロキシンで染めるとクリソシスチジアの判定がしにくい。念のために、傘上表皮(k)、柄の表皮(l)も撮影しておいた。

2006年6月8日(木)
 
(a)
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(k)
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 月曜日(6/5)の千葉県で、タブの樹皮にチャワンタケの仲間がついていた(a)。ペチャンコでハート型をしている。樹皮を剥がすと、縁には毛がはえており、裏面は皺だらけである(b)。何だろうと思ってふと脇を見ると、同じ仲間のきのこがあった(c)。どうやらオオゴムタケらしい。
 気紛れに一個体を持ち帰ったので、今朝になってこれを楽しんだ。間歇的にフワーっと胞子を放出する。それを捉えて顕微鏡で覗いた(d, e)。表面は微細な粒点に被われている。ちょうどコットンブルーを切らしていたので、フロキシンで染めて遊んだ(f)。
 切断して(g)、子実層をほぼ同じ倍率で実体鏡(h)と生物顕微鏡(i)で覗いてみた。実体鏡の視野の中では胞子が放出される場面を何度も楽しんだ。低倍率では分からないが(j)、40倍以上の対物レンズでみると、胞子が子嚢から放出される瞬間や(k)、子嚢の蓋がよく分かる。
 裏面の毛は倍率を上げてみると、まるで孟宗竹の断面を見ているようで興味深い(l)。今回は托髄層や托外皮層などは撮影しなかった(雑記2002.10.6)。

2006年6月7日(水)
 
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(l)
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 ホシアンズタケの顕微鏡観察は思いの外難しい。全体がかなり強靱でしかも厚いゼラチン質に被われているからだろうか(雑記2003.6.6同7.20同2004.8.15同2005.6.22)。特に難しいのがヒダと傘上表皮の切り出しである。今朝は、5月28日に採取してきたホシアンズタケを2時間ほどいじくり回してみた。検鏡図も100枚ほど撮った。だから今朝の雑記は冗長である。

 一個体だけ帰宅後直ちに熱乾燥しておいたので、はじめにそのヒダを切り出してみた(a)。乾燥させると案外楽に薄切りにできる。しかし、封入液を水から3%KOHに変えた途端に子実層托がバラバラになった(b)。これでは子実層托実質の構造がわからない。
 次に冷蔵庫に保管しておいた生標本からヒダを切り出した(c)。実体鏡下で切り出しても、ピスに挟んでみても、いずれも薄切りはうまくいかない。ピスを使うと薄切りまではうまくできても、ピスから切片を外す段階で折れたり捻れてしまう。モエギタケ属やヒトヨタケ属の切片作成にピスは馴染まないが、ホシアンズタケ場合も、別の意味で馴染まないようだ。
 それでも、子実層托実質の観察が目的なら、実体鏡下であろうとピスを使おうと変わりない。なまじ、綺麗なヒダ切片を作ろうなどと思わなければ、意外と簡単である。ヒダ実質は、一見並列型に見えるが、よく見るとわずかに散開している(d)。フロキシンで染めてみてもあまり見やすくはならなかった。子実下層付近を拡大してみると、散開型であることがわかりやすい。
 胞子の観察が意外と難しいことがある。きのこの状態によってはほとんど胞子紋が落ちない。液滴と分厚いゼラチン質が観察の邪魔をする。今回のサンプルからは十分な胞子紋が採取されたのでそれを使った。3%KOHで封入すると、水とは違った世界が見えて面白い(e)。過去に何度も胞子は観察しているので、今朝は、フロキシン入りのエタノールで封入してみた(f)。
 これまで、担子器を独立したすがたでは撮影していなかったので、全体像が分かる姿を何枚か撮影した(g〜i)。担子器は細長く、基部にはクランプがある。ひだ実質部でも、ゼラチン質の細い菌糸でも、どこにでも多数のクランプをみることができる(j)。
 ヒダよりもやっかいなのが、傘上表皮の観察である。最初に乾燥標本から切り出してみた(k)。意外と簡単に切れる。水で封入すると、傘表皮と傘肉上部との間に含まれるゼラチン質が復元した。しかし、上表皮の組織は復元せず、ただ嚢状の組織が見えるだけであった。
 これでは、傘上表皮は分かりにくいので、あらためて生標本から切り出した(l)。厚いゼラチン質に邪魔されて、切り出しはとてもやりにくい。倍率を上げてみると、嚢状の組織が柵状に並んでいる様子がよく分かる。
 今朝は夜中に起床したので、時間がたっぷりある。久しぶりに懸案事項の一つだったホシアンズタケをたっぷりいじり回して観察した。ふだんの3倍ほどの時間を観察に充てた。

2006年6月6日(火)
 
(a)
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(i)
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(j)
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 土日は日本菌学会50周年記念大会に参加したため、海辺の観察には出かけられなかった。そこで、昨日払暁に出発し、朝のうちに千葉県内房の海浜を観察してきた。ほぼ一ヶ月ぶりだった。海浜ではケシボウズの仲間以外のきのこには全く出会わなかった。
 帰路タブの老木がある神社でマユハキタケを観察(a, b)。伐採されたタブの切り口からは、マユハキタケの幼菌や分生子座らしきものが多数みられた(c)。マユハキタケの子嚢胞子は何度もみているので、今朝は子嚢(d〜g)や分生糸柄(h〜j)を観察して楽しんだ。
 水あるいは3%KOHだけで封入したもの(d, e, h)よりも、フロキシンを加えたもの(f, g, i, j)の方がやはり見やすい。マユハキタケの胞子や分生子などについては、これまでにも何度か取りあげている(雑記2003.6.24同2003.11.5同2004.12.7同2006.3.28)。

2006年6月5日(月)
 
(a)
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(i)
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(j)
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(k)
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 団地の林や近場の雑木林を歩くと、ほぼ通念見られるコウヤクタケの仲間がある(a)。ルーペーでみると微粒状というかアバタ状にみえる(b)。これまで何度か試みているのだが、なぜか胞子や担子器がなかなか見つからない。今朝は珍しく胞子が見られた。
 子実層には結晶に被われたシスチジアが多数ある(c)。透明で分かりにくいので、ここから先はフロキシンで染めてみた(d)。このシスチジア、やや厚壁で3〜4つの隔壁があり、隔壁部にはクランプがある(e)。子実層中には先端が類球形をした組織がかなりある(f)。
 組織は一菌糸型で、無数にクランプがある(g)。久しぶりに胞子をつけた状態の担子器が見られた(h, i)。担子器は結構長くて、多くは途中に隔壁とクランプを持つ(j)。胞子は少なくて、十分成熟したと思えるものは少なかった(k)。とりあえず、シロコメバタケとして扱っておこう。

2006年6月3日()
 
イタチとムジナ
 
 「顕微鏡下の素顔」掲載種を5種ほど全面更新した。イタチタケ、オキナクサハツ、オニイグチモドキ、キアミアシイグチ、ムジナタケである。イタチタケとムジナタケといえば、あまりにもありふれているためか、顕微鏡でも胞子しか見ない人が大部分だろう。
 この仲間のきのこはヒダの切り出しが非常に難しい。ヒダを寝かせたりピスに挟んだ途端に潰れてしまうからだ。あえて不細工なヒダ切片(イタチムジナ)も掲載した。それでも、子実層托実質(イタチムジナ)や、子実層(イタチムジナ)の観察には十分である。両者とも、これまでまともなヒダ切片を切り出せたことは一度もない。今後ともたぶんできそうにない。

 今日と明日は、日本菌学会50周年記念大会が千葉で行われる。当初は不参加のつもりだったが、サントリー(株)のA博士のご厚意で参加できることになった。懇親会のあとで、千葉市内においてpm9:00〜11:30に「アマチュアの交流会」が行われる。埼玉まで帰るには、終電には間に合わない。あきらめて千葉のビジネスホテルを予約した。明日の雑記はお休みの予定。

2006年6月2日(金)
 
(a)
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 さいたま市の秋が瀬公園で薄暗い森のなかで鮮やかなきのこを見つけた(a, b)。一見したところスギタケのように見えるが、あまりにも色が鮮やかで、傘表皮のササクレも様子が異なる。傘に粘性は全くない。胞子紋は黄褐色(c)。
 胞子には発芽孔があり(d)、3%KOHで封入すると黄金色になる(e)。アンモニアでは水封とほとんど変わらない。ヒダを切り出した(f)。子実層托実質は並列型(g)。ヒダの先端には縁シスチジアがある(h, i)。ヒダ側面はよく見ると、先端のやや尖った紡錘形の側シスチジアがある(j)。3%KOHで黄金色に変わるシスチジアもある。クリソシスチジアらしい。
 担子器の基部にはたいていクランプがある(k)。各組織の菌糸にもクランプがある。傘表皮は色素粒を帯びた細長い菌糸が複雑に絡み合いながら平行気味に走っている(l)。あらためて、先入観抜きで観察結果だけから、複数の検索表にあたるとスギタケに落ちる。
 青木図版のチゴズギタケと(No.1960)とミヤマスギタケ(No.618)の記載が若干気になるが、いずれとも異なる。かつての青木 実氏なら、仮称をつけて詳細に記載し標本も残しておくことだろう。とりあえず、スギタケ(広義)とみなして標本は処分することにした。

2006年6月1日(木)
 
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 日光で採取したヒダキクラゲ(a, b)は一部をテーブル上に放置し、それ以外は冷蔵庫に放り込んでおいた。放置した方(a)の下面は放出された胞子紋で真っ白になっていたが、自然乾燥状態にはほど遠く、まだフニャフニャの状態である。
 最初に胞子紋の胞子を見ると、ソーセージ型をしている(c)。この仲間は乾燥品を切り出すのが最も楽に切れるのだが、今朝は冷蔵庫に保管した柔らかいものから切り出した(d)。子実層を拡大しても担子器の姿はわかりにくい(e)。フロキシンで染色するとやや明瞭になる(f)。
 しかし、担子器の姿を明瞭に捉えるためには、子実層をバラした方がわかりやすい。3つの隔壁によって仕切られた担子器が多数みえる(g〜j)。図鑑に描かれた担子器の姿は知っていても、顕微鏡下で担子器を見たことのある人は意外と少ないのではあるまいか。
 ゼラチン質部分の菌糸にはいたるところにクランプがみられる(k)。まるで硬質菌のように見える背面には無数の毛が生えている(l)。

 「顕微鏡下の素顔」を模様替えした。多少気分が変わったような気がする。

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