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2006年12月10日()
 
(a)
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(e)
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(f)
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 昨日は日本菌学会関東支部による「第21回 菌学シンポジウム」に参加してきた。久しぶりの東京農大グリーンホールだった。今回のシンポのテーマは「菌類の市民権向上を考える」だ。これに先だって、台湾大学 S.S. Tzean教授の特別講演 "Exploration of fungal biodiversity and their sustainable application, a Taiwanese worker's experience" があった(b)。
 とても盛況でグリーンホールがとても狭く感じられた(a)。久しぶりに聞いた大ちゃん(大作晃一さん)節は、画像処理のテクニックを含めて、他ではなかなか聞くことのできない面白い話だった(c, d)。学校の教育現場からの報告は、菌類の置かれている立場が非常に厳しい状況であることを、痛感させられた(e)。ここでは、二つしか取りあげなかったが、他の演者の話も非常に興味深く充実したシンポジウムだった。会場の一隅には、佐野書店(f)を始め、いくつかの菌類関係の出張書店のコーナーも設置され、よくにぎわっていた。

 今日はこれから、仲間5人で埼玉・群馬県境の石灰岩地帯にケシボウズ探索である。


2006年12月9日()
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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 自宅周辺で見かけるきのこといえば、このところ少数の硬質菌ばかりで、ハラタケ目の姿が全くない。例年ならば、ウッドチップ帯にはヒトヨタケ、フクロタケ、コガサタケの仲間やキツネノタイマツ、ツマミタケなどが出ているのだが、最近はそういったきのこもみかけない。
 そんなわけで、今朝はキノコではなく、「こけの部屋」の「観察覚書」を整形する作業をした。一昨日までは、この覚書は観察した月日順でしか検索できなかった(a)。取扱数が少ないうちはそれでも支障はなかったのだが、40を越える頃からいろいろと支障がでてきた。
 そこで、和名順(b)、学名順(c)、標本番号順(d)からでも観察結果にアクセスできるようにした。和名順は五十音順、学名順はアルファベット順である。ちなみに、和名順でみるとコツボゴケには8月と11月に、ウマスギゴケには7月と11月に観察していることなどがわかる。

 キノコのフォトアルバムでも、体系的な分類リストは備えていない。一つの種を追加しただけで、あちこち手をいれる作業は気が遠くなるほど面倒だ。ましてや、それを手作業でひとつひとつやるなど考えられない。だから、機械的処理に馴染む検索リストだけしか備えていない。複雑な条件で検索したいときは、namazu等による全文検索を使うことにしている。


2006年12月8日(金)
 
スライド会
 
  今頃から1月には各地のきのこの会では、忘年会や新年会を兼ねてスライド会をやるところが多い。数年前までは、たいてい何かしら上映できるきのこがあった。でも、今年もまた昨年に引き続いて、上映できるようなきのこが何もない。
 この一年も、あちこち動き回ったが、これといった成果がなかった。また、撮影したきのこにしても、ウサギの糞としか見えないような丸いものばかりで、映像としてもパッとしないものばかり。スライド会は今回も鑑賞するだけの、「お客様」となりそうだ。

2006年12月7日(木)
 
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 関東地方は杉の植林地が非常に多い。その杉樹下には、今の季節でもいろいろなきのこが出る。中でも興味深いのがスギエダタケだ。埼玉県では、真冬でもスギエダタケを見ることができる。スギエダタケとかマツカサキノコモドキはシスチジアが楽しい。
 胞子(a)を、メルツァー液で染め水洗いすると、小さくなったようにみえる(b)。これは表面の膜が透明で、内容物だけが目立つからだ。フロキシンではそういうことは起こらない(c)。ヒダ実質を切り出してみると、縁や側にシスチジアがみあたらないことがある。濃色の部分には厚膜をもったシスチジアが子実層に埋まっている(d, e)。
 KOHで封入してフロキシンで染めると、面白い形をしたヒダのシスチジアがはっきりする(f)。傘の表皮は丸い細胞が柵状にならび、その間から大小のシスチジアがでている(g)。フロキシンで染めるとはっきりする(h)。披針形の虫ピンのような姿をしている。ヒダのシスチジア(f)との比較のため油浸100倍でみると、視野にはその一部しか入らなかった(i)。
 柄の表面にも傘表皮とよく似た形のシスチジアがあり、糸くずのような姿のシスチジアも合わせもっている(j)。この大形のシスチジアも油浸100倍レンズでは視野に入りきらない(k)。傘シスチジアにしろ柄シスチジアにしろ、やや高倍率のルーペで、簡単にその存在を確認できる。担子器の基部にクランプはみられない(l)。ちなみにマツカサキノコモドキとは環境こそ違うが、いずれも晩秋から冬に観察できる。([マツカサキノコモドキとニセマツカサシメジ])。

2006年12月6日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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 何年間も長いこと借りていた実体鏡(a)を返却することになった。撮影する場合は、この実体鏡の接眼部にデジカメを押し当ててシャッターを切っていた。返却は新たな実体鏡(b)を入手したからであるが、使い慣れた道具には愛着がある。手作りの実体鏡(c)はレンズがお粗末で傷もあるので、撮影などには馴染まず、おもに解剖専用に使ってきた。
 実体鏡が無くても、きのこのミクロの観察にはほとんど支障はない。しかし、顕微鏡が無いとたちまち大きな支障が生じる。しかも、対物レンズは油浸100倍が必須である。40倍までだと、胞子の表面模様などがわからないことが多い。
 しかし、コケの観察では、実体鏡がないとかなり困ることになる。顕微鏡は対物40倍まであれば十分であり、使用頻度が高いのは対物20倍までだ。コケを始めてたかだか5ヶ月にしかならないが、顕微鏡よりも実体鏡の方が使用頻度が高い。

2006年12月5日(火)
 
(a)
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(j)
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(k)
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 先日茨城県鹿嶋市で鹿島神宮の森を歩いたときに、やたらに目立ったアセタケ属があった。薄暗い中で撮影が上手くいかなかったので、持ち帰ったことをすっかり忘れていた(a〜c)。冷蔵庫の中で野菜に押し潰されているの紙袋があった。開けてみるとこのアセタケ属だった。
 胞子は平滑な卵形ないしアーモンド形(d)。ヒダ切片を切りだしてみると、厚膜で先端に結晶をつけ、便腹形の側シスチジアが多数ある(e, f)。ヒダの縁は縮れてしまってシスチジアの様子が鮮明に捉えられない。そこで、フロキシンで染めてKOHで置き換え、軽く押し潰してみた(g)。側シスチジアと同じタイプのもの(h)に薄膜で嚢状のものが混じっている(i)。
 傘表皮は縁近くと中心部以外では、菌糸が平行に走っている(j)。しかし、傘中央のささくれた部分では、菌糸が錯綜しながら立ち上がり気味に絡んでいる(k)。柄の上部から中程までには、厚膜で便腹形のシスチジアがみられる(l)。柄の下部には細くて薄膜のシスチジアがある。
 久しぶりに保育社「原色日本新菌類図鑑 I」のアセタケ属を開いてみた。胞子が平滑で、厚膜シスチジアをもつことから、クロトマヤタケ亜属のクロトマヤタケ節に落ちる。そこで節に掲載された種をみていくと、ササクレキヌハダトマヤタケが比較的近いように思える。しかし、ヒダ縁部に混じる薄膜嚢状のシスチジア(i)のことには触れていない。これは何だろうか。

2006年12月4日(月)
 
石灰岩ハイキング
 
 昨日は奥多摩に広がる石灰岩地帯で、登山道やら林道を歩き回って一日が終わってしまった。出会ったのはニガクリタケだけだった。この時期、日原鍾乳洞付近では駐車場は無料となる。観光客もほとんど絶え、駐車料金を徴収する人件費の方が高くつくからだろう。
 日原から小川谷林道をドン詰まりまで走ると、酉谷山やら天目山のすぐ近くまで到達できる。そこからハイキングコースを歩いたり、谷に降りて石灰露岩地域を歩いた。懐かしいカロー川など、小川谷の支流を歩いたのは数十年ぶりのことだった。
 日原鍾乳洞の他にも、奥多摩には多数の鍾乳洞がある。多くは非公開で、地図などに名が載っているのは、そのうちのごく一部にすぎない。昨日は、延々と鍾乳洞まで歩いてみたりした。あらためて、石灰露岩や石灰岩法面は思いの外限られることが分かった。

2006年12月3日()
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 採集してきた生きのこは、手元にはもう残っていないはずだと安心していたら、リュクサックからフィルムケースが転がり出てきた。明けてみると先月26日に川崎市で採取した黒色の茶碗型の子嚢菌だった。針葉樹の白丸印の位置などにでていた。根についていたもので、直径2〜4mmほどで椀の底が黒光りしていた(a, b)。
 半分に切ってみると椀の内側全体に子実層が発達しているかのように見えた。しかし、切り出してみると、子嚢も側糸もまだできあがっていない様子だった。メルツァー液を加えても非アミロイドの組織が見えるだけだった。未熟の子嚢菌にはお手上げだ。

2006年12月2日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
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 「きのこの話題」に、「簡易ミクロトームのこと」を追加した。これは、11月後半に「今日の雑記」に記したものと、過去の関連記事を集めただけで、書き下ろしではない。

 シイタケとかシモコシというと、採取してきてもほとんど検鏡することもなく、そのまま食に回してしまう。そのため、これらのきのこのミクロの姿を確認したいと思っても、何の映像も記録も無いことが多い。たまには、これらの分かりきったきのこを検鏡するのもよいだろう。
 胞子紋は鍋に放り込む前に、30分ほどカバーグラスの上に置いてとった。胞子は単調な姿をしていて(a)、非アミロイドだ(b)。おきまりのヒダ切り出しからはじめた(c)。今朝はすべて簡易ミクロトームを使ってみた。これを使うと非常に気楽に薄切りができる。
 ひだ実質は並列型(d)、担子器の基部にクランプは見あたらない(e)。傘表皮は砂を多量に巻き込んでいてはっきりしないが、黒い色素顆粒を帯びた細い細胞がそこここに見られる。傘表皮がどういった構造をしているのかは、結局確認できなかった。
 ここまで書いて、ふと昨年の12月4日の雑記をみたら、シモコシのヒダで遊んでいる。これは、「今日の雑記」のマンネリ化の好例かもしれない。


2006年12月1日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
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(f)
(f)
 雨が降ったわりにはきのこがでていない。さいたま市見沼区では、先日とりあげたナヨタケ属のほかに、ツマミタケを数ヶ所でみることができる。他にはウスベニイタチタケ(a〜c)、シロフクロタケがみられた(d〜f)。シロフクロタケは、元旦でもみたことがあるが、ウスベニイタチタケを11月末にみたのは初めてだった。
 これらのきのこは、何度も検鏡しているので、最近はあまり持ち帰らない。今回はウスベニイタチタケ数本と、シロフクロタケの小片を持ち帰っただけだった。いつもの習慣で、胞子紋をとるときに検鏡用に、最初からカバーグラス2枚にもとっている。
 
 
 
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
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(l)
(l)
(m)
(m)
 ミクロの姿は、ウスベニイタチタケだけ何枚か撮影した。まずは、胞子を水で封入(g)した。濃硫酸で封入するとやや赤みが強くなり、KOHで封入すると褐色を帯びた。ヒダを切り出してみた。実質部は錯綜型(i)。縁シスチジア(j)、側シスチジア(k)を豊富に持っている。また、担子器の基部にはクランプを確認できなかった(l, m)。(h)〜(m)は気分で撮影した検鏡写真だ。

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