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今朝は時間がとれなかったので、先日来スライドグラスに採取した胞子紋から3種類のきのこの胞子を撮影した。ツキヨタケの胞子はほぼ球形でとても大きい(a〜c)。ミドリニガイグチは里でも山でもよく見かけるが、胞子を見る機会というのはあんがい少ないのではないだろうか(d〜f)。キイロイグチの胞子はこれらよりもひとまわり小さい(g〜i)。 (a, d, g)は水、(b, e, h)はメルツァー液、(c, f, i)はフロキシンで染めたものだ。それにしても胞子の観察と撮影というのはなんと気楽な作業だろうか。何も考えることなくカバーグラスやらスライドグラスに採取した胞子紋を水なり、メルツァー、フロキシンなどでマウントしてみればよい。スライドグラスやカバーグラスにきのこをしばらく放置しておくと胞子紋が採取できる。それをそのまま顕微鏡で観察してみるとこれまでとはまた違った世界が広がっているのを感じることだろう。顕微鏡は何もプロの道具ではないのだから。 |
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「菌学道場」すなわち菌学教育研究会の常設研修施設とも位置づけられる筑波の研修棟がかなりできあがってきた(a)。内部はまだ未完成だが、秋の完成に向けて工事が進んでいる(b)。窓からは筑波山が間近に展望できる(c)。簡易宿泊棟も外装はほとんどできあがってきた(d)。 菌学教育研究会主催の「菌類の多様性と分類」講座は、これまで国立科学博物館新宿分館や同筑波実験植物園研修棟などで行われてきたが、今年からはこの場所で行われることになる。今年度の講座は11月末から12月始めにかけて約1週間にわたって実施される。会員には9月中頃には会報とあわせて講座の案内が届くことになりそうだ。 非会員でも菌類講座には参加できるが、各講座には定員枠があり会員優先である。菌学教育研究会や講座の件などについては以下事務局に照会されたい。
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昨日の朝、千葉県内房と外房の浜を歩いてきた。台風の影響による強い風と雨に手こずった。いずれの浜も最近発生したと思われるケシボウズタケ類はほとんどなく、最近3週間以内に発生したと思える個体が10〜15本ほど見られただけだった。 内房富津市の浜では月に数本くらいが細々と発生を続けている様子だ。昨日も比較的新しい個体が見られたので(a)、付近を掘ってみると何ヶ所からかしっかりした個体がでてきた(b)。掘り出したものをいくつか並べてみた(c)。これを見ると、柄の太さ・堅さ、柄の内部の白さに、発生時期の違いがよくあらわれている。他にも2〜3週間ほど前にでたと思える別種のケシボウズがいくつかみられた(d)。ちなみに、調べてみたところ(a〜c)はナガエノホコリタケ、(d)にはアラナミケシボウズタケとケシボウズタケが混じっていた。 外房の蓮沼村、野栄町などではごくわずかにウネミケシボウズタケtulostoma striatumが発生していた(e)。掘り出してみると発生の異なる個体が混在していた(f)。この浜には、相変わらずドングリタケがいくつも出ていた。なお、スナジクズタケには全く出会えなかった。 |
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富士山で採取してまだ調べていないきのこがいくつもある。今朝確認したツチダンゴ寄生菌もそのひとつだ(a〜d)。全体の印象とか色、柄の表面模様などをみると(a, b)と(c, d)とは別種にみえた。いずれもわずかに広葉樹の混じるシラビソ林で採取したものだ。 両者とも頭部には軽くヌメリがある。両者は別種なのだろうと思って持ち帰ったのだが、顕微鏡でみる限りは両者に差異はない。最初に実体顕微鏡で頭部の表面付近を切り出してみた(e)。これを薄切りにして顕微鏡の下で確認することから始めた(f)。 被子器は埋生型であり先端はわずかに突出した粒点状となっている(e〜g)。子嚢先端は撮影しなかったが、亀頭部のような形をしている。一次胞子には明瞭なくびれがある(h, i)。二次胞子はとても大きい(i, k, l)。メルツァーではあまり明瞭にみられないが(l)、フロキシンを加えるとやや明瞭に見ることができた(k)。どうやらヌメリタンポタケとしてよさそうだ。 |
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顕微鏡の光源であるハロゲンランプを入手したので交換してみた。しかしやはり明かりはつかない。ヒューズも異常なし。顕微鏡メンテナンスの専門家に尋ねたところ、どうやら基盤に問題があるようだ。近々修理に出さなくてはなるまい。位相差顕微鏡が使えないので、しばらくは面倒でもいちいち染色して観察するしかなさそうだ。 昨日午後から今朝にかけて、検索システムをWindows上に構築した。新しいパソコンに換えたときいつもうんざりするのがこの作業だった。まず下位のサブシステムをインストールしconfigファイルを書き換える。最後に検索エンジン本体をインストールして環境変数を設定する。以前日常システムとしてLinuxを利用していたときから、検索システムはnamazuを使ってきた。最近のバージョンに変更してみたところ、この面倒な設定をほとんど自動でやってくれるようになっていた。使い慣れているせいか、これが最も馴染みやすく使いやすい。お薦め品である。 |
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富士山で見られたきのこの一部をメモしておくことにした。ムラサキフウセンタケ(a, b)の胞子はいつ見ても特徴的な姿をしている(c, d)。ニオイカワキタケ(e, f)は独特の芳香を持ち柄の基部が赤い色をしている(e, f)。オオキノボリイグチ(g, h)、フジウスタケ(i, j)には随分沢山であった。フジウスタケは煮こぼし(毒抜き処理)をするとイカの刺身のような味わいを楽しめる。小さくて目立ちにくいが、クラガタノボリリュウ(k)、ハナヤスリタケ(l)などもあちこちに見られた。 このところPC再構築などの作業に時間をとられてしまい、今朝撮影できたのはムラサキフウセンタケの胞子だけである。他のきのこは検鏡だけで撮影まではできなかった。オオキノボリイグチ、ニオイカワキタケ、イグチの類は冷蔵庫に保管しておいたにもかかわらず、バクサレてしまったり虫に食われて観察には耐えない姿となってしまったので、諦めて処分した。 このメモは、昨日(8/25)の雑記としてアップロードするはずだった。しかし、昨日は時間切れのためにそれができなかったので、今朝(8/26)アップすることになってしまった。 |
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日曜日のひたち海浜公園の砂丘でいつも同じ場所にヒメツチグリ属のきのこが多数出る(a)。今回はその周辺の砂を掘ってみると幼菌がでてきた(b)。まるで数珠にやや太めの紐がついたような姿をしている。成菌と並べてみると以外と大きい(c)。表面の砂はちょっとやそっとでは落ちなかった。切断してみると内部はまだ真っ白で頂部はすでに明瞭にわかる(d)。 成菌を切断すると内部は黒褐色で、無数の弾糸と茶褐色の胞子であふれている(e)。胞子表面には微疣がみられる(f)。一方幼菌の白色ハンペン状の部分ではほとんど弾糸は見られず、無色の胞子で充満している。見にくいので最初フロキシンで染めた(g)。妙な形の組織が多数みられる(h)。胞子が表面に付着ないし座生しているかのように見られるものもある(i, j)。中には棍棒状のものに胞子が座生しているかのように見えるものもある(k)。 次にコットンブルーに浸してライターで熱してみると、胞子を帯びて太く見えた部分は痩せ細り透明になっている。この妙な姿の組織が担子器なのかどうかは明瞭ではないが、少なくとも成菌ではほとんどこういった組織は見られず、グレバが白色の幼菌ではいたるところに見られた。 |
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昨日午前中、茨城県のひたち海浜公園で砂浜の菌類調査をしてきた。砂地で出会ったキノコはケシボウズタケ属とヒメツチグリ属のきのこ数種類だけであった。先月は出ていなかった場所にケシボウズの仲間がいくつかでていた。最近1ヶ月以内に発生したものらしい(a〜d)。先々月にも確認したものは頭部がすっかり白くなって潰れていた。 胞子を確認してみると、微疣をもった小さな胞子(e)、そして明瞭な肋状のスジを持った胞子(f)の二通りのタイプに分かれた。前者はアラナミケシボウズタケ Tulostoma fimbriatumかその近縁種、後者はウネミケシボウズタケ T. striatumだろう。 昨年の今頃にはスナジクズタケが見られたのに、今年は全くでていない。昼前には調査を切り上げて帰宅の途についた。午後はパソコンの環境整備に追われてしまった。 |
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ふだん食用として持ち帰ったきのこというのはなかなか検鏡するチャンスがない。先日富士山で採取したショウゲンジは、胞子や担子器などを改めて検鏡しようと思っていたが、検鏡用を仕分けせずに、採取した個体をつい食用のための前処理をしてしまった。虫抜きのためにほかのきのこと一緒に容器に水没させたのち、石つきを取り除いて水洗してしまった。 途中で取り出してヒダを切り出したがすでに生の時の状態とはほど遠い(a)。フロキシンでも染めてみた(b)。担子器は多少のことでは壊れない(c, d)。水没されて水洗いした状態でも、担子柄の先には胞子がついている。しかし、いったん水没させて水洗いしたものからは胞子紋はなかなか落ちない。数時間かけても散発的にパラパラと落ちたのみだった(e, f)。それでもヒダ切片は胞子が無数に付着している。ヒダ実質部にも明瞭にクランプが見られる。 食用としていったん虫抜きやら水洗したものでも、ヒダ切片などを切り出して観察することはできるが、そのままの状態で薄片を切り出したり、改めて胞子紋を採取するとなるとやはり難しい。観察するなら、最初にきちんと仕分けしておいた方がよさそうだ。 |
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20日夜に新たに注文したPCが到着した。作動テストを行ない、昨日どうやら最低限の機能だけは使えるようにした。エディタ、メール、FTP、画像処理環境である。 これでどうやら観察会などの申込メールを受信できることになりホッとした。他のWindows系アプリケーション類のインストールなり検索システムの設定などの面倒な作業は残っているが、むこう1週間ほどでなんとか従来と同じ作業環境を取り戻すことができそうだ。 今後はシステムは月に一度ほどボリュームバックアップを行い、データは週に数回は複数媒体へのバックアップを行っていくつもり。壊れてしまったPCは電源とマザーボードを交換してみると、まったく異常がなかったかのように動いた。非常時代替機として利用できそうだ。マザーボードと電源交換にかかった費用は1万円以下ですんだ。 20日に富士山から何種類かのきのこを持ち帰って胞子紋などをとったが、PCの復旧作業のため時間をとられてしまい、詳細な観察はまったくできなかった。今日はこれから茨城県の自然公園で月例の浜辺地域での菌類観察である。 |
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昨日、富士山に行って来た。実に久しぶりであった。台風の余波で早朝は風が強かったが、早い内に風も治まりおだやかな一日であった。このところ、関東地方から東北南部にかけての一帯ではきのこの発生がとても悪い。しかし、富士山ではほぼ例年並みにきのこが発生しているとの情報があちこちから漏れ聞こえてきていた。 現地にたどり着くまでは「富士山ではきのこは例年並み」という話には半信半疑であった。最初山梨県側の標高1400〜1500メートル付近のシラビソ林を歩いてみた。ショウゲンジ(a, b)が広い範囲に出ていた。クロカワ(c, d)は全体にまだ小振りのものが多い。ホウキタケ(e, f)もクロカワ同様、全体にまだ若い菌がめだった。 オオモミタケの出るような林には入らなかったが、標高2200メートルあたりまでを歩いてみた。ヌメリササタケ、カノシタ、アンズタケ、コガネヤマドリ、アカヤマドリ、ヤマドリタケモドキ、アメリカウラベニイロガワリ、ウラグロニガイグチ、オオキノボリイグチ、ムラサキフウセンタケ等にはずいぶん出会った。しかし、昨日最も目立ったのはドクツルタケだった。 |
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