Top  since 2001/04/24 back


日( )

2004年7月31日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 25日の菌懇会合宿の折りに、宿舎から15Kmほど離れた沼地にいたる林道を歩いてみた。林道の脇や遊歩道の脇には多くのイグチやテングタケ科のきのこが出ていた。合宿会場周辺ではきのこの姿が非常に少なかったが、それとはあまりにも対照的であった。特に沢沿いではきのこの豊富さに驚いた。その中でも最も目立ったのが写真(a, b)のキノコであった。
 孔口は最初白色をしているがやがて淡褐色になり、指で押すと濃色に変わる(c)。傘肉は白く空気に触れても変色しない。胞子紋は黄褐色だった。胞子を見るとかなり細長く、水でマウントした状態では黄褐色をしている(e)。5%KOHを注ぐと全体が明るい黄金色となった(f)。
 両者とも胞子サイズを計測するために油浸100倍で確認した(g, h)。シスチジアは紡錘形をしている(i)。メルツァーで染めると担子器も明瞭になった(j)。念のためにメルツァーを注いだときの胞子と側シスチジアを撮影した(k, l)。どうやらウツロイイグチ(Xanthoconium affine)のようだ。

2004年7月30日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
 福島県川内村の林道でシワチャヤマイグチに出会った。幼菌から老菌までいくつもの個体がみられた(a, b)。複数の個体を採取したが、一つだけ持ち帰り、他は合宿の場に置いてきた。傘表面は実に精巧で複雑な模様をなしている(c)。
 胞子はやや細長い形をしている(d)。水でマウントして組織をみたところ、全体が透明でとても見にくい。まずメルツァーを加えてみた。ちょっと見たところでは明暗がはっきりしたかの様に感じるが、かえって組織構造が見えにくくなってしまった。
 そこでフロキシンで新たに染めてみた。今度はシスチジアや担子器も比較的鮮明に捉えることができた。食事の間ずっと、プレパラートを顕微鏡のステージに放置したままにしてしまったので、側シスチジア(e, f)、担子器(g, h)の姿がややボケてしまった。

 今日の雑記内容は昨日アップのはずだったが、パソコン不調のために一日遅れとなった。昨日帰宅してパソコンの起動を試み、何十回もの起動、リセットなどを経て、60〜80分くらいかかってやっとのことで起動した。その時点から今朝までずっと電源を入れっぱなしである。
 近々パソコンを購入して面倒な設定をしなくてはならない。それまではWindowsのシャットダウンはできない。考えただけでウンザリである。

2004年7月29日(木)
 
パソコン起動障害頻発!
 
 パソコンがいよいよ末期症状を呈してきた。先日ハードディスクを新品に交換したにもかかわらず、ここ数日はスイッチを入れても20回に一度くらいしか起動しない。今朝もこのため30分以上が無駄になってしまった。朝観察したものをパソコンに取り込もうとしたが、何度も起動できずにリセットや再起動の繰り返しで今朝はとうとう時間切れとなってしまった。この部分の記述は非常用の旧式ノートパソコンからのアップである。
 昨日も早朝電源を入れてからWindows起動までに数十回もリセットを繰り返し、結局30分ほど無駄にしてしまった。メールの確認をはじめ、画像の取り込み、各種文書の作成から始まって、きのこ雑記の更新にも大きな支障がでている。BIOSの不具合なのか、マザーボードの障害なのかわからない。BIOSの更新もしたが症状は変わらない。
 新たに電源をいれるたびに、祈るような気持ちで待つ有様である。もはや全く新規のパソコンに交換しないと切り抜けられないのかもしれない。

2004年7月28日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 ひたち海浜公園で観察された腹菌類(7/24)にはツチグリやホコリタケなどもあったが、ここではニセショウロ科のきのこだけをとりあげた。赤松林の砂地とウッドチップの散布された地域の境界領域に発生していたものである。
 大きく三つの群れに分かれていたので、ここでも別にして取り上げた。(a)〜(f)の群れは比較的広範囲に発生していた。(g)〜(j)の群れは、触れたり濡れると表面が平滑になる(h)。(k, l)の群れは(a, b)とよく似た表面模様を呈しているが、かなり離れた場所に発生していたものだ。
 ハラタケ目であれば、傘表皮、傘肉、ヒダないし管孔、柄、色、変色性、臭い、胞子、シスチジア、ヒダ実質、などと多くの分類形質を見いだすことができる。しかし、ホコリタケとかニセショウロなどのいわゆる腹菌類では、分類の手がかりになるものがわずかしかない。
 ハラタケ目の分類に比べると腹菌類の分類はやっかいだ。分類上の手がかりが少ないだけではなく、研究者も少ないし文献も少ない。しかし、多くの人に振り向かれることのない分野には興味深い事実が秘められていることが多い。

2004年7月27日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 24日ひたち海浜公園の砂丘で観察されたきのこについてのメモである。観察は午前中早い時刻に行ったにもかかわらず、すでに砂浜の気温は摂氏35度を超えていた。最近1ヶ月以内に発生したと思われるウネミケシボウズタケ(a)は意外と少なく、ナガエノホコリタケ(c)もごくわずかしか見られなかった。やはり異常高温と空梅雨の影響はとても大きいように思える。
 地表にわずかに頭部の一部を現していたので、少しずつ砂を取り除いていくと、ケシボウズの頭が露出してきた(b)。しかし、頭部を切断してみると、既にグレバは黄褐色の粉状になっているものばかりであった。一見幼菌のように見える個体(d)も掘ってみると既に15mmほどの長さの柄をもっていた。つまりごく最近発生したものはなかった。
 砂浜では他にはヒメツチグリ属の幼菌らしきものも見られたが、その数はごくわずかであった。それに対して、公園の松林帯にはベニタケ属、チチタケ属、アセタケ属、テングタケ属、ホコリタケ属のきのこが思いの外多く出ていた。イグチの仲間では柄が黒褐色で大きな管孔をもった群れが目立った(e, f)。

2004年7月26日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 24日早朝に出発して茨城県ひたち海浜公園、福島県川内村、福島県土湯峠とまわって先ほど(pm2:00)帰宅した。とりあえず、今朝出会ったキノコについてメモを残しておくことにした。
 今日の午前中、福島県土湯峠の近辺のミズナラ・白樺林に入ってみると、色鮮やかなタマゴタケ(a, b)、アカハテングタケテングタケをはじめ、多くのテングタケ科のきのこがでていた。アワタケアシベニイグチやアケボノアワタケ(c, d)がかなり多く見られた。一方では、ヒポミケス菌におかされた奇形、いわゆるタケリタケ(e, f)が非常に目立った。高温と水不足の影響なのか、今年は色々なところで、このタケリタケに実によくであう。Hypomycesのスービクルや子嚢胞子を観察しようと顕微鏡で覗いたところ、小さな線虫が無数に蠢いている姿ばかりが目立った。

2004年7月24日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 7月14日に秩父美の山で採取したイグチがまだ残っていた。柄に顕著な網目(a)をもったイグチだったが、幼菌だったのか胞子紋は全くとれなかった。切断面の肉は白いがやがて淡褐色に変わる(b)。ヤマドリタケモドキやススケイグチなどに近い仲間なのだろうか。
 最初写真(b)のa−b面に沿って管孔部を切断してみた(c)。次にc−d面に沿って切り出した(d)。なかなかきれいには切れずに潰れてしまったが、孔口部には濃い色をした縁シスチジアが多数みられる(e)。密集した管孔の内部は白い菌糸で一面に被われ、担子器もみられず、胞子はまったくみられない。最後に傘表皮をe−f面に沿って切り出してみた(f)。

 今日は早朝茨城県のひたち海浜公園で菌類調査にたずさわった後、川内村合宿に合流する予定である。帰宅は27日(火)の予定。この雑記も27日までお休みである。
 新品のハードディスクに交換した後も、起動障害や動作不安定の症状が続発する。今朝は起動までにリセット十数回、計40分以上もかかった。騙し騙しの起動である。いずれにせよチェックと修復は28日まで棚上げである。

2004年7月23日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 7月14日に秩父美の山で採取したコテングタケモドキは冷蔵庫の中ですっかり乾燥状態となっていた。他にもいくつかの標本が放置状態だが、今朝はこのサンプルからヒダ実質部と、胞子つきの担子器を捉えることを試みた。胞子その他の部分は撮影しなかった。
 まず、乾燥したヒダを一枚切り出し、3%KOHに浸してしばらく待った。なかなか気泡が抜けてくれない(a)。そのままフロキシンで染めて倍率を上げてみた(b)。気泡のためにやや見にくいが、ひだ実質が散開型になっていることがはっきり分かる。次にしっかり腰を据えて、気泡の入らないプレパラート作成を試みた(c, d)。この小ヒダでは明瞭な散開型の実質が見えにくい。
 胞子などは無視して、ヒダ子実層だけを追いかけた。担子器はあちこちに見られるが、胞子を帯びた状態のものを撮影するのは意外と面倒だ。胞子と担子器の両方同時には焦点が合わないので、せっかく撮影できたと思った映像は中途半端なものばかりだった(e, f)。
 今日から菌懇会の合宿(来週月曜日7/26まで)。しかし、今日は終日仕事である。明日の午後から参加する予定だ。遠方から参加のメンバーに久々に会えるのが楽しみだ。佐野書店から7月の文献案内がでた。

2004年7月22日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 去る10日福田合宿の初日にケシボウズの標本を預かった。本多澄夫氏が2000年11月に渥美半島で採取したもので、フロッピーケースに入るほど小さなものである(a, b)。この間ずっと調べる時間がとれずに今朝になってようやく同定作業にとりかかることができた。
 ポリ袋から出して見ると、柄は乾燥してかなり細くなっている。表面にはササクレがあったような痕跡も見られる。外皮は菌糸状(c)。孔口部は軽く突出し筒状をなす(d)。明瞭な孔縁盤はみられない。標本全体が凍結乾燥のような状態であり、頭部も空洞で紙風船状態である。内側には胞子もほとんどみられない。わずかに内皮の内側にごく少量へばりついていた。
 孔口から鈎状の針を差し込んで胞子と弾糸を取り出す手法は使えない。やむなく一つの個体の頭部を切り裂いて内皮内側をこそいで胞子と弾糸を削ぎ取った。胞子表面から輪郭部までの姿を撮影した(e〜g)。弾糸(h)をコットンブルーで染めた(i, j)。胞子の表面模様は疣状で見ようによっては金平糖のようでもある(e〜j)。内皮を切りだしてみた(k)。拡大してみると内側には弾糸も見られるが、組織全体はしっかり折られた綿布のようである(l)。
 ちょっとみたところケシボウズタケ(Tulostoma brumale)に似ているが、胞子の姿が違う。SEMでの検証をまだ行っていないが、このケシボウズは、ほぼ Tulostoma kotlabae Pouzar に間違いないだろう。日本新産種である。千葉でも昨年数ヶ所で同じ種を採取している。SEMでの結果を踏まえて、いずれきちんとした記載をして報告しなくてはなるまい。

2004年7月21日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 先日(7/12)富士山で採取したアセタケ属のきのこ(a, b)をやっと見ることができた。PCのトラブルなども重なってなかなか順番が回ってこなかった。冷蔵庫の中に放置したままになっている内にやや乾燥気味になっており、ヒダ切片(c)切り出しに少し手こずった。胞子の姿や側シスチジアの形はコブアセタケのものによく似ている(b)。
 切り出したヒダ切片をフロキシンで染めて先端部を見た(d)。厚膜で先端部に結晶を帯びたシスチジアと薄膜棍棒状のシスチジアが混在している。一方、側シスチジアは先端部に結晶を帯びた厚膜のものばかりである(e〜g)。
 担子器には柄が2つついたものが多く、4つの柄を持ったものは見つからなかった(h, i)。傘表皮(j)にも柄の表面(k)にもシスチジアは見あたらない。また、ヒダ実質部や傘肉部の組織にはクランプは見つからなかった(l)。図鑑などにはない不明種のようである。
 今回採取したのは一個体。傘中央部や縁部、柄の数ヶ所を切り刻んでシスチジアの確認を行ったので形がすっかり崩れてしまった。北海道の小林孝人博士に送るのは中止した。

過去の雑記
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2004
2003
2002
2001