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先月いったん終息に向かったと思ったら、最近再びウイルス付きメールが激しい。おまけに自分のあずかり知らないところで勝手にメールアドレスが使われウイルスがばらまかれている。そういった出した覚えのないメールに対する受信拒否のメールが戻って(?)くる。 相変わらず、ウイルス対策をしないままネットを利用する人が跡を絶たない。きっと、きのこ関係のサイトにアクセスする人の中にも感染者がいるのだろう。その人のパソコンにメールアドレスが記載されていれば、それらが無作為に使われて加害者にされてしまう。これもWindowsだけを照準にしたもので、LinuxとかMacintoshには感染しない。 2月がとても暖かかったので、季節の進みも例年より2週間ほど早かったが、3月に入ってまた冬に逆戻りとなった。それでも、ツバキ・サザンカ・お茶樹下のキンカクキンやコブシ・モクレン樹下のキンカクキンが都内でもかなり見られるようになってきた。 |
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例年今頃になると都内数ヶ所の大学構内でアミガサタケ、トガリアミガサタケを見ることができる(雑記2002.3.9、雑記2003.3.7)。ところが今年は思いがけない事態が生じた。大規模な工事のために発生地点一帯が工事現場となり、資材が置かれたり大きく掘り返されたりしてしまった。しかも、まるで示し合わせたように複数の大学で...。 かろうじて出会えたのは銀杏の根元近く、トガリアミガサタケ数個のみだった(a, b)。数年前には都内の緑地帯の多くで、今の時期になるとアミガサタケの仲間に出会えたのだが、年々滅びていくばかりである。この写真の個体も大きく育つことはできそうにない。 以前日菌報に投稿した原稿の査読結果を3週間ほど前に受け取っていた。査読担当者の目は確かであり、表現の曖昧な部分が適切に指摘されていた。今読み返してみると確かに曖昧である。文献引用の形式的ミスの指摘も妥当なものであった。昨日、修正を済ませた原稿をあらためて編集委員会に送った。きっとまた、新たな指摘が加わって戻ってくることだろう。 |
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光学顕微鏡で胞子等をみると、焦点位置によって見え方には大きな違いがある。ここに並べたものは、ナガエノホコリタケの胞子である。視野の中の胞子一つの径はおおむね5〜6μmほどである。その胞子の一つに着目して、胞子表面のてっぺんから0.4μm位ずつ順次合焦位置を下げて撮影したのが(a)〜(f)だ。 図鑑類に描かれた胞子や担子器などは、顕微鏡の焦点位置を少しずつずらしながら観察し全体のイメージを掴んだ後に、それを一枚のイラストとして描いたものである。つまり、実際にみえる姿を描いたものではなく、頭の中にできあがったイメージを描いたものだ。だから、どんな高性能の顕微鏡を使ったところで、図鑑に描かれた胞子や担子器のような像を見ることはできない。しかしこの常識は意外と理解されていないようだ。 |
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走査型電子顕微鏡による解像力には及ぶべくもないが、ていねいに観察すれば光学顕微鏡だけでもかなり微細な構造まで捉えることができる。 一点にピントを合わせたときに同時に焦点の合っている上下の厚みは次式で表される。
したがって、微動ネジをわずかずつずらしながら観察していくことは必須である。径5μmほどの胞子なら、最上部の胞子表面から、胞子の厚みの半分くらいに位置する輪郭部まで5〜8回はピント修正が必要となる。そうしてはじめて胞子の全体像がつかめることになる。 |
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日本菌学会関東支部の会員名簿が届いた。あわせて平成16年度の支部年次大会の案内も入っている。講演ではOHPや35ミリスライドを使えないことが明記してある。パソコンと液晶プロジェクタを用いてPowerPointを使わねばならない。これは何も関東支部に限ったことではなく、最近の発表形式の大きな傾向を反映しているに過ぎない。 35ミリスライドフィルムに記録されたものを使いたければ、フィルムスキャナを使ってデジタル化するとか、外部に発注してフォトCDなどに焼いてもらう必要がある。写真や図表をデジタル化した後、あらためてPowerPointを使ってpptファイルを作成することになる。 いつの間にかWordが日本語ワープロのデファクトスタンダードになってしまったように、プレゼンテーションソフトもPowerPointが標準になってしまった。日常Windowsはメールでしか使わない。講演などのファイルはLinux版HancomPresenterで作成してきたが、Windows上のPowerPointで開くと形が崩れてしまう。今回は講演に使うファイルはWindows版PowerPointを使って作成することにしよう。Microsoft寡占化は気に入らないが、これも時代の趨勢なのだろうか。 |
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今日の写真はゼミ資料に使うため以前撮影したもので、ケシボウズの胞子の光学顕微鏡(OM)と走査型電顕(SEM)の映像である。OM画像は対物油浸100倍レンズを使って、胞子表面付近に焦点を合わせ白黒で撮影したものだ。SEMの方は2,000倍程度。これを見るとSEMの大きな特徴である「深い焦点深度」を痛感する。 (a)はマニキュアを用いて作成した永久プレパラート、(a')は両面テープに胞子を貼り付け金を蒸着(メッキ)したもの、それぞれOM用、SEM用の試料である。(b)はT. fimbriatum var. campstre、(c)はT. adhaerens、(d)はT. striatum。下段のダッシュ記号のついたものはそのSEM画像だ。 光学顕微鏡でも、焦点位置を少しずつ変えながらみていくと、SEM画像のようなイメージが頭の中にできあがっていく。それをイメージしながら観察するのは楽しい。 それにしても明室で観察でき電子ファイルの形で結果を保存できるSEMを使える環境が欲しい。首都圏でアマチュアでも利用可能なSEMはないのだろうか。 |
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栃木県の葛生町は石灰岩の町である。石灰岩採掘場や石灰処理場、セメント工場などが町のあちこちにあり、大型ダンプカーが忙しそうに行き交っている。一方白ツバキの巨木で知られる町でもある(a)。ここでもツバキキンカクチャワンタケが多数でていた(b〜d)。これらの中に子嚢盤の径20mmに及ぶ大きなものがあった(c)。普通サイズのものと比較するとやはりかなり大きい(d)。しかし、ミクロの姿は普通サイズのツバキキンカクチャワンタケと変わりない(e)。 昨日、葛生町の石灰岩地域を歩き回った。採掘跡とその周辺、石灰岩地域の林道脇、ハイキングコースなどをいろいろと探してみたが、目的のきのこには出会えなかった。久々に出会ったザゼンソウが目に新鮮だった。 |
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ひたちなか市の砂浜4ヵ所では違ったタイプのケシボウズタケにであった。それらの胞子だけを並べてみた。砂山高台の2タイプのうち、小さなものが(a)、大きなものが(b)、100mほど北側の草地に出ていたものが(c, d)、さらにその西の砂山で柄が赤茶色のものが(e, f)だ。 形態と胞子からみると、どうやら(b)と(e, f)は同じ種類と思われる。これらと(a)、(c, d)とは、胞子から判断する限り別種のようだ。(a)はTulostoma striatum、(b, e, f)はナガエノホコリタケだろうが、(c, d)は今ひとつはっきりしない。T. fimbriatum (アラナミケシボウズタケ)のようにもみえるし、その変種・品種のようにも見える。ミイラからはこれ以上はわからない。 胞子、弾糸、柄の菌糸などはミイラでも有力な手がかりが得られるが、風化作用が大きく影響する殼皮は信頼性が薄い。やはりこれ以上の詳細は新鮮な個体を観察しないとわからないだろう。今年も発生最盛期は梅雨以降になるのだろうか。 |
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ひたちなか市の砂浜で採取したダンゴタケ属らしき菌を覗いてみると、何とも妙なものが見えた。微細な破片のようなものがあちこちに見える。円筒の先端付近のような形をしている(a)。コットンブルーで染めてみてもこれは染まらない(b)。弾糸の一部が欠け落ちたのかと思ったが、どうもそうでは無いらしい(c)。胞子には短い柄があるが、コットンブルーで染めたものでは、かえってわかりにくくなってしまった(d, e)。 |
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同じひたちなか市の砂浜で採取したヒメツチグリ属には内皮(頭部)が白っぽいものと黒っぽいものがあったが、ミクロのすがたはいずれも同じだった。弾糸をエタノールでマウント(f)して見ている分には気づきにくいが、コットンブルーで染めると薄膜のものが見えてきた(g〜i)。胞子は球形で、小さな疣がみられる(j)。 | ||||||
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昨日菌友5人でひたちなか市の砂浜を歩いてきた。ケシボウズタケ類の発生地点を正確に押さえておくのが目的である。冬場は砂地生の草がほとんど枯れているので、昨年発生したミイラ(a〜c)を楽に見つけることができる。今の時期に発生場所を確認しておけば、夏場に新鮮な個体を観察・採取することができる。 今回は東京、埼玉、福島から仲間が集まったので、これまで知られていなかった場所でも何種類かのケシボウズを見つけることができた。さらに、ヒメツチグリ属の仲間(d)に多数出会うこともできた。頭部内皮の径2mmくらいのものから、径12mmにも及ぶものまであった。柄の無い座生のもの、細長い柄をもった柄生のものなどあり、変化を楽しむこともできた。 ダンゴタケ属らしき菌のミイラが思いの外多かった(e, f)。5月ころになれば、これらも新鮮な個体がでてくることだろう。今朝はまだ、これらの検鏡はしていない。 |
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