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2004年12月20日(月)
 
スライド会
 
 昨日は菌類懇話会のスライド会があった。今年はほとんどまともな撮影をしていなかったので、当初は発表しないつもりだった。しかし、急遽前日夕方にPowerPointファイルを作成して参加した。取り上げるきのこを紙に書き出し、それにそって画像を選んだつもりだった。しかし結果は、思いがけない選択となってしまった。できあがったファイルには当初の予定のきのこはごくわずかしかなく、よそからの依頼メモに沿ったきのこばかりであった。肝心のきのこがほとんど抜けていた。きのこ名を書き出したメモを取り違えていた。慌てて作るとろくなことはない。
 参加者も多く久々に賑やかな例会だった。その後の懇親会、二次会も多くの懐かしい顔が揃い楽しい時を過ごすことができた。

2004年12月19日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 展示用に作成された凍結乾燥品のハナビラタケをもらった。生のときの色合いや形がよく残っている。つまんだり落としたりすると細かく砕けてしまう(a, b)。粉々にせずに薄切りができないかと思い、一部を水溶性アクリルエマルジョンで固めてみた(c)。
 ごくわずか一部をカミソリで削り取って低倍率で見ると子実層らしきものが見えた(d)。担子器や胞子らしきものも見える。生と違って凍結乾燥品の薄切りはきわめて難しい。フロキシンを加えてKOHでマウントした(e)。一菌糸型の構造である。消しゴムでこすると原菌糸だけからなることはさらにはっきりする(f)(雑記2003.9.18同2003.9.20)。クランプもみえる(g)。担子器は外細長く(h)、基部にはクランプもある(i)。胞子は玉子型から類球形である(i, j)。
 それにしても熱乾燥で作られた標本と違って、凍結乾燥による標本は扱いが面倒だ。うかつに切ると粉々になってしまう。蒸気などで湿らしても、軽石状になっているので、なかなか元に戻らない。アクリルエマルジョンで固めたものも切ってみたが、これも薄切りは意外と難しかった。

2004年12月18日()
 
図版と原稿
 
 ピスを使った徒手切片作成について投稿用原稿を書き進めていたところ、これが思いの外長い原稿となってしまった。市販の書籍や雑誌類に記されていないことを詳細に考察したこともあり、かなり冗長となってしまった。しかし、図版を入れずにすべて文字情報だけで表現したのが最大の原因だ。書いていて何かの記述に似ているな、そんな感じであった。
 新種や新産種などを記載する場合、図や写真が無くても正確に伝わるように表現することが必要とされる。しかも簡潔さを要求される。しかし、これが難しいことはやってみるとすぐにわかる。しかも、そういった文章は、読んでいて非常に退屈だ。詳細にして正確かもしれないが、読み手にとっては全く面白くない。やはりピス原稿にも図版を導入しようか。

2004年12月17日(金)
 
砂浜の実情
 
 2日間にわたって仙台市南部から茨城県東海村までの海岸砂浜を歩いてきた。立ち寄った浜辺は数十ヵ所に及ぶが、結果としてカメラの出番は一度もなく、無惨な砂浜を多数見せつけられることになった。走行800Kmほどの徒労となった。
 いずこの浜も波消ブロックや護岸工事などのため、かつての面影はほとんど失われていた。さらに、12月半ばとしては異常な高温のおかげで、半袖ポロシャツ姿で浜を歩けるほどだった。やはり、ケシボウズタケ属は絶滅危惧種とするのが妥当かもしれない。

2004年12月15日(水)
 
COOLPIX995
 
 一昨日連絡があって、菌類仲間で親しい友人のNさんからデジカメCOOLPIX995を長期間借用させていただけることになった。ありがたい。先に購入したデジカメ一眼レフのNIKON D70は未だ使いこなせていない。どうやらまだ単焦点マクロレンズの活用方法が分かっていない。もともと、デジカメ一眼レフを日常撮影のメイン機にするつもりで購入したわけではないので、活用できるまでじっくりと時間をかけるつもりだ。砂浜での撮影は今後もCOOLPIXがメインである。
 今日と明日は宮城県から福島県にまたがる海岸線を歩いてみるために、早朝出発することになった。早速新しいデジカメ995を持っていくことができる。明日の雑記はお休みである。

2004年12月14日(火)
 
フォトアルバムの更新
 
 久しぶりに「キノコのフォトアルバム」を更新した。採取同定してから既に1ヶ月以上経過したものであるが、コツブタケなどを新たに収録した。
 アルバム全体での取扱種や写真枚数が増えるにしたがって、インデックス作りにかなり時間がかかるようになってきた。各々プロバイダへのアップロード時間もバカにならないが、作業時間の大半はインデックス作成に費やされる。これはかなり非生産的な作業なので、なるべく自動化を試みてきた。それでも、従来5分ですんでいたものが、最近では25分ほどかかるようになった。これはPCのスペックにも大きく左右される。
 しかし、インデックス作成のためには、あらかじめ写真の選定とテキストのHTML化作業が必要である。これが最近ではかなり億劫になってきた。アルバム中にある [最新のきのこ] という見出しはもはや名称変更を余儀なくされそうだ。

2004年12月13日(月)
 
(a)
(a)
 薄暗い早朝、さいたま市見沼区にある公園に行ってみた。ネナガノヒトヨタケザラエノヒトヨタケクズヒトヨタケなどヒトヨタケ属と、シロフクロタケ(a)以外のきのこはほとんど見られなかった。シロフクロタケはこの数日の間にかなり発生したらしく、何ヵ所かに蹴飛ばされたり、引っこ抜かれて転がっていた。灯りをかざして公園をウロウロ、これはもう不審者の世界である。
 ここ何年間かCOOLPIX990をメインの機種として使用してきたが、今朝また新たな不具合がでてきた。シャッターの半押しが全くきかない。軽くボタンに触れただけで、シャッターが切れてしまう。修理代金で中古の代替機を買えてしまう。もはや990も顕微鏡写真専用機としてしか使い道がなくなった。日常のきのこ撮影にはCOOLPIX995を真剣に考えないといけない。

2004年12月12日()
 
菌類の多様性とインベントリ
 
 ー昨日は日本菌学会関東支部によるシンポジウム「菌類の多様性とインベントリー」に出席した。インベントリーは面白くない、という思いこみがあったので、会場に着く前は多少気が重かった。じっと忍耐しながら演者の話を聞くことになるのではあるまいか、と思っていたからだ。予想に反して(?)、参加者も多く、各演者の話はいずれも非常に興味深く面白いものだった。
 中でも、神奈川県立生命の星・地球博物館の木場英久氏による事例紹介は非常に興味深いものだった。あの著名な『神奈川県植物誌2001』誕生までの裏話と、その過程で起こった諸々のことについての紹介は、いろいろ驚かされることばかりであった。レジュメからはうかがい知れないことばかりである。久々にシンポジウムに参加できてよかったと感じた。

2004年12月11日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 今朝は、砂浜から採取してきた(B)グループを検鏡した(a)。傘の形2mmほどの白っぽい幼菌がいくつも付いた松ぼっくりもあった(b)。これは柄の基部がそのまま松かさに入り込んでいる。
 ヒダを切り出してみると、ニセマツカサシメジのそれとは顕著にことなる。側面にゴミのように多数のシスチジアが見える(c)。見やすくするためにフロキシンを加えて拡大してみた(d)。縁シスチジアも、側シスチジアと同様の姿形をしている。側シスチジアを拡大してみると、ニセマツカサシメジのシスチジアよりはずっと厚膜で先端に結晶状のものを付着させている(e)。
 担子器の基部を確認するために新たにKOHでマウントしてフロキシンを加えたプレパラートを作り、これを軽く押しつぶした。いくつもの担子器やシスチジアがバラバラになって見やすくなった(f)。担子器の基部にはクランプを持つものと、持たないものがある。これはマツカサキノコモドキだろう。同じ仲間のスギエダタケとは外見もミクロの姿もよく似ている。

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