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2004年11月27日()
 
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 早朝、さいたま市の公園まで野生きのこを探しに行ってきた。できれば、(1)顕微鏡観察初心者にも比較的楽に取り扱え、(2)胞子や担子器が大きくて見やすく、(3)シスチジアを持ち、ヒダ実質にも特徴がある、そういったハラタケ目のきのこを見つけたい。となると、自ずと限られてしまう。キシメジ科やベニタケ科は除外される。
 ウッドチップを散布したさいたま市の公園にはシロフクロタケ(a〜d)がよく出る。このきのこは前記の(1)〜(3)の条件をすべて満たしている。幸い成菌(a)、若い菌(b, c)、老菌(d)と一通り採取することができた。若い頃にはヒダの色は白色(c)だが、老菌になると茶色になる(d)。
 傘と柄を持ったきのこを観察する場合、必ず見なくてはならないのが、胞子、ヒダ、傘表皮である。最初にヒダ先端を見た(e, f)。フロキシンで染めると明瞭に見えることが多い(f)。次にヒダ実質を見ると、逆散開型をしている(g)。側シスチジアも見えている。
 担子器基部のクランプ(basal clamp)を確認するため、ヒダ切片を作りKOHでマウントしフロキシンで染めた(h)。次にこれを軽く押しつぶすと担子器が飛び出してきて、バラバラになった(i, j)。同じことを水でやってみても、なかなかうまくいかない(k, l)。basal clampの確認にはKOHとフロキシン、そして軽い押しつぶしがポイントである。

 今日から菌学教育研究会の講座「菌類の多様性と分類」に出席のためしばらくは筑波に常駐となるので、12月1日まで「今日の雑記」はお休みである。

2004年11月26日(金)
 [その2]
菌類の多様性とインベントリー
 
 12月11日(土)に、日本菌学会関東支部主催の菌学シンポジウムが行われる。テーマは「菌類の多様性とインベントリー」で、会場は東京農業大学世田谷キャンパスである。参加費は、会員2,000円、非会員3,000円となっている。参加には事前申込が必要で、メールなどで申し込めば、まだしばらくは受付可能である。以下案内文からの抜粋である。
生物多様性を理解する上で、既知の分類群の目録(インベントリー)へのニーズや興味が高まってきています。日本菌学会では1998年と本年の大会において、関連開催され、賛否両論を含む熱い議論が交わされました。インベントリーは、限られた地域や分類群に関してであっても生物多様性を理解する上で必要なばかりでなく、環境保護や生物資源確保のための基礎情報となります。しかし、その実施にあたっては、多くの困難と問題に直面します。本シンポジウムでは、インベントリーへの賛否両論、実施上の課題などを抽出し、問題を共有することを目的としています。
貴重な機会ですので、是非ご参加ください。
申込先   〒305-0005 つくば市天久保4-1-1   国立科学博物館
植物研究部   細矢 剛    Email: hosoya@kahaku.go.jp

2004年11月26日(金)
 
(a)
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(b)
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(e)
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(f)
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 22日に三重県宮川村の石灰岩露地を探索したが、新鮮なウロコケシボウズタケは発生しておらず、古い個体が一つだけ残っていた(a)。柄は短く、赤褐色の鱗状ササクレもやや不鮮明である(b)。頭部には特徴的な模様が残っている(c)。柄にしろ頭部にしろ典型的なものとはほど遠い姿である。胞子の姿は、典型的なウロコケシボウズタケそのものである(d)。
 宮川村への幹線道路はすっかり復旧して安心して走ることができる。しかし、北総門山南面から尾根スジに続く林道は、先の大雨のためずたずたに寸断されていた(e)。ふだんなら車でかなり高度を稼げる尾根だが、この日は2時間ほど歩かないとたどり着けなかった。林道の路面は不規則にウネって水流のすさまじさを物語っていた(f)。

2004年11月25日(木)
 
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(i)
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(j)
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 22日に三重県河芸町の砂浜で多数のコツブタケ(a)にであった。砂浜の黒松をとり囲むような形で多数出ていた。周辺には松の立ち枯れが多かったが、コツブタケに囲まれた松は青々としてとても生き生きとしていた。有用な緑化のホープとして扱われるのも、さもありなんと思えた。
 切断すると内部は独特の模様を呈している(b)。小粒状に見える部分を辺縁部(c)、その内側(d)、中心付近(e)と見ていくと、外側は胞子塊ばかりであり、まだ白い内部では未熟胞子を付けた担子器が多数みられる(i, j)。胞子はかなり大きめの疣に被われている(f〜h)。

2004年11月24日(水)
 
(a)
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(e)
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(f)
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 去る21日(日)〜23日(火・祝)まで、静岡県福田町から始めて愛知県伊良湖岬の浜、三重県宮川村の石灰岩地帯、三重県香良洲町と河芸町の浜、いなべ市藤原町の石灰岩地帯などを巡り歩くというケシボウズツアー(?) を行なってきた。
 天候にも良い仲間にも恵まれ、多くのケシボウズタケ属に出会うこともでき、とても楽しく実り豊かな3日間だった。写真(a〜f)はその折りに撮影したものだ。
 今回のツアーでは三重県のきのこウオッチングクラブMIEのT. K. さん、三重菌輪の会のH. M. さん、M. T. さんはじめ、何人もの方にお世話になった。ありがとうございました。
 gajin(M. T.)さんが早々と、福田町産の小型ケシボウズと河芸町産の大型ケシボウズの胞子の姿をネット上にアップしてくれた(あやしいきのこの画像置場 大小のケシボウズ)。

2004年11月21日()
 
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 昨日、ひたち海浜公園の砂地生菌類の調査に行ってきた。ウネミケシボウズタケ(a)、ナガエノホコリタケ(d)の新しい個体が若干発生しているのを確認できた。ウサギの糞が非常に多く、ケシボウズタケなのかウサギの糞なのか何度か戸惑った。ウサギの糞に紛れるようにウネミケシボウズタケが発生していた(b)。掘り出してみると確かに白い柄をもっている(c)。寸法も形もまるでウサギの糞のようなものがあった(d)。掘り出してみるとナガエノホコリタケだった(e)。
 ウサギの糞にはハチスタケの発生しているものが多数あった(g)。数分間しゃがみ込んで採取してみると、たちまちの内に数十個の糞が集まった。そのうちの一部をティッシュペーパーに載せて撮影した(h)。頭部をルーペで拡大してみると、確かに蓮の実を連想させる(i)。スナヤマチャワンタケ(j, k)やヒメツチグリ属のきのこ(l)は相変わらず次々に発生を続けている。
 今朝から3日間、静岡県から三重県まで出かけて来るので、雑記は数日間お休みである。

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