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日( )

2004年4月30日(金)
 
ひどい乾燥? きのこ無し
 
 昨日は [祝日=みどりの日] で国営武蔵丘陵森林公園は入場無料だった。am8:30頃はまだ駐車場はガラガラでほとんど人っけもなかった。開園予定時刻は9:30であるとアナウンスされていたが、9:00には入場が可能だった。11:00頃にはすさまじい人出となっていた。
 数日前にもしっかり雨が降ったので何種類かのきのこに出会えると思い、沢スジと池畔を中心にさんざん歩き回ったのだが、きのこの姿は全くない。公園の係員に尋ねると、このところずっと雨らしい雨が降っておらず、植物園の維持管理にひどく難儀しているとのことだった。
 12:00には公園をでて帰路についた。駐車場をみて驚いた。周辺の民間駐車場も満杯で、周囲の道路には違法駐車の車があふれている。対向車線はひどく渋滞していたが、帰宅方面への路線はガラガラですんなり帰宅できた。しかし、撮影はむろん、何一つきのこを持ち帰ることはできなかった。好天の連休初日、さすがにすごい人出であった。

2004年4月29日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
 顕微鏡の接眼レンズにデジカメを押しつけて撮影することもできるが、ぶれたり光軸がずれたりして、きれいな映像が得られにくい。やはり適切なアダプタを使うかどうかでできばえにはかなりの差異がでる。小さくてデジカメと一緒に常に持ち歩けるタイプのアダプタをひとつ持っていれば、そこにたまたまある顕微鏡やら実体鏡で撮影することができ便利である。
 そういった視点から Kenko FS28 [Nikon CookPixシリーズ専用] というものを利用(a〜d)していた(雑記2002.8.19)。当時は大手量販店などで1,800円程度で購入できたが、2002年末には製造終了・販売中止となり、入手のすべがなくなっていた。かつて6〜7個購入したのだが、仲間に譲ってしまい、手元には一つだけになっていた。しかしこれはとても便利だった。学術誌などの論文中で使用する写真にもこれを使って撮影したものがある。
 最近になって、在庫を持ち販売している店(有限会社フォルテシモ)があることを知った。税込み定価2,520円+送料をとられるのだが、このさいやむを得ない。300〜400回ほど使用すると、固定用ネジがバカになったり、折れたりするので、2つ購入した。お薦めである。

2004年4月28日(水)
 
海岸浸食と砂浜消失
 
 読売新聞2004年4月26日夕刊によれば「白砂青松とされる日本の美しい砂浜が、刻々と失われつつある」という。ダム建設などで「上流の土砂がせき止められて下流に流れなくなったうえ、工事用の砂利が川底から大量に採取され、河口から排出される砂利が減ったため、浜に砂が供給されなくなった。その結果、浜の砂は荒波に流し去られる一方になった」と解説されている。
 そして、代表的な地域として、茨城県の阿字ヶ浦海岸、千葉県の九十九里浜、神奈川県の湘南海岸、静岡県の中田島砂丘などが取り上げられていた。こられの地域にはコナガエノアカカゴタケウネミケシボウズタケ(仮)ナガエノホコリタケスナジクズタケスナヤマチャワンタケといった絶滅危惧の恐れのあるきのこが棲息している。これまでにも千葉県一宮町では砂浜が崩壊し消失した結果、コナガエノアカカゴタケがほとんど全滅してしまった。
 現在のところ砂浜回復の有効な手だてはなく、応急処置としてトラックで砂を運び入れるのみだという。現代文明が砂浜を破壊している。今や砂地生きのこは、そのすべてが絶滅危惧種ということになる。ケシボウズタケ属のきのこは今や風前の灯火か。  

2004年4月27日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
 このところどこに行ってもきのこの姿は少ない。さいたま市で梅林をみると一部では大きくなったハルシメジもまだみられるが、ウメウスフジフウセンタケがちらほら姿をみせだした。サクラ樹下のアミガサタケはほぼ終息したようで、干からびた個体がみられるのみとなった。
 武蔵嵐山から小川町、寄居町にかけての一帯でもきのこの姿はほとんどみられなかった。かつてソライロタケなどがよく出た竹林もすっかり手入れされ様子が変わってしまった。かろうじてウッドチップを撒いた地域だけにきのこの姿をみた。
 (a)の写真だけからは、これがシロフクロタケとはなかなか分かりにくい。やや干からびたビロードヒトヨタケ(b)のすぐ脇には、液化せずに反り返った状態で乾燥したヒトヨタケ科のきのこがあった(c)。これは、ザラエノヒトヨタケかネナガノヒトヨタケかはっきりしない。(d)の写真も、これだけではオキナタケとは気づきにくい。

2004年4月26日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 公園のウッドチップにはクズヒトヨタケ(a, b)がいたるところに見られる。今朝はこれを使って遊んだ。とはいってもヒダの切片作成といった大それたこと(?)をしたわけではない。胞子は角が丸みを帯びた五角形のような形をしている(c)。KOHでマウントすると色がややくすんで見える。
 ふだんはナヨタケ属にしか濃硫酸を使わないのだが、クズヒトヨタケなどコナヒトヨタケ節のきのこでは試したことがない。そこで、濃硫酸の中に胞子を落とし込んでみた。丸みを帯びた五角形だった胞子が、濃硫酸の中では全体に丸みを帯びている(d)。
 さらに20分ほど放置して見た。すると一部の胞子の膜が破れたり、発芽孔から内容物が外にはみ出し始めた(e)。さらに10分ほど放置したところ、全体に色が薄くなり、どの胞子を見ても透明な内容物が発芽孔からはみ出してきた(f)。さらに全体の輪郭も次第にボケてきた。濃硫酸の中では屈折率の関係で鮮明な像をみることは難しい。

2004年4月25日()
 
年次大会
 
 昨日は日本菌学会関東支部の年次大会があった。コウボウフデの話は時間配分を誤って、途中からかなりハショって駆け足となってしまったが、とりあえず趣旨だけは伝わったようだ。Wild Mushrooms from Tokyoの丸山厚吉さんによる「Psilopezioid fungi, Pachyellaの1新種について」は非常に興味深い講演だった。参加者の顔ぶれを見ると菌懇会員の占める割合が多いのに驚いた。事前に配布された年次大会参加者名簿では5分の1ほどであったが、実際にはその倍くらいいたようだ。あらためて菌懇会の役割のようなものを感じた一日だった。

2004年4月24日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 大きく広がる変形菌?(a〜f)を撮影してきた。春先から梅雨の頃には、例年近場の公園やらさいたま市の公園のウッドチップに、大きなアメーバー状の姿がいたるところに見られる。遠くから見ると最初は鮮やかな黄色でとてもよく目立つ(a)。やがて、乾燥してか色が白っぽくなり、黄色かった部分の多くは淡い褐色になる(b)。その後は濃い茶褐色になり一部は液化して流れを作る(c)。やがて乾燥し細かく分断されて、汚らしい褐色になる(d)。鮮黄色のときはよく見ると一見スポンジの表面のようであるが、さわるとベトベトである(e)。いったん茶色になったあと小さな黄色い球状の塊を多数生じるものもある(f)。これらは一切顕微鏡では覗いていない。

 今日は日本菌学会関東支部の年次大会、会場の玉川大学は自宅からはかなり遠い。幹事会もあるので、早めに自宅を出なくてはなるまい。また懐かしい顔に出会えることだろう。

2004年4月23日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 昨日都内目黒区〜渋谷区の数ヵ所でスダジイ老樹を数十本チェックした。一昨年は4月22日、昨年は4月21日にカンゾウタケの発生を確認したが、今年はまだ全く面影すらなかった。

 今朝は自宅団地で採取したキクラゲを覗いて楽しんだ。この仲間の胞子紋はいずれも白色なので、写真にはなりにくい。カバーグラスにとった落下胞子を水(a)、フロキシン(b)、コットンブルー(c)でみた。この順に胞子サイズが小さくみえるのが面白い。
 次にブヨブヨから切片を切り出した。これも水(d)、フロキシン(e)、コットンブルー(f)で確認した。対物40倍まで上げてみるが、キクラゲの担子器は、フロキシン(g)でもコットンブルー(h)でも、いずれにしてもわかりにくい。対物を油浸100倍で見るとさらにわかりにくくなる。
 これまでキクラゲの背面(非子実層面)はあまりていねいに見たことがなかった。図鑑などによれば「直立した毛に密におおわれ」「毛は壁が厚く、円筒状」などと記述されている。アラゲキクラゲほどではないにしろ、かなり厚い壁を持っていることを再認識した(i〜l)。

2004年4月22日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 テンガイカブリタケの様子がどうなっているのか確認するために、栃木県北部まで行ってきた。数ヶ所で頭部がやっと地表に顔をだしたばかりの幼菌(a〜c)には出会えたが、柄を伸ばした成菌には結局出会えなかった。残雪こそ消えたが、2週間ほど早かったようだ。
 オオズキンカブリはもっと大きな成菌が多数見られると思っていたが、10数センチの背丈にまで成長したもの(d)は少なく、多くはまだやっと柄が伸び始めたようなもの(e)ばかりだった。とりあえず大きめの個体を4〜5本だけ採取して帰宅した(f)。山は残雪もかなり減り、多少は新緑も目立ち始めた。しかし、先週からまだあまり季節は進んでいないようだった。

2004年4月21日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 さいたま市に限らず首都圏にはウッドチップが多量に散布された公園がとても多い。昨夕もさいたま市でそういった公園の一つを歩いてみると、多くのきのこが見られた。圧倒的に多いのはオキナタケ科(Bolbitiaceae)、ヒトヨタケ科(Coprinaceae)、ウラベニガサ科(Pluteaceae)である。
 ツバナシフミズキタケ(a〜c)、キオキナタケ(d〜f)、オキナタケシロフクロタケクズヒトヨタケワタヒトヨタケネナガノヒトヨタケヒメヒガサヒトヨタケの仲間、ナヨタケ属などがウッドチップや周辺の草むらに多数見られた。ざっと数えて十数種類はあるだろう。
 他にはとても大きな糞便状の粘菌がいたるところにみられる。最初は鮮やかな黄色であるが、すぐに白っぽくなり、やがて汚茶褐色になり残骸をさらしていた。若い女性や子供達は気味悪がって近づかない。そのマット状の粘菌の中程からヒトヨタケの仲間が出ていた。

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