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現在住んでいる棟に光ファイバーが開通し、3月下旬には利用できるようになるという。それに先だってつい先日説明会があった。「光」とはいっても光ファイバーは住棟までであり、各個へは従来の電話線を利用するもので、VDSLという仕組みだそうである。 うたい文句は「最大70Mbps3,900円/月、光電話をプラスしてもトータル4,550円/月」。現在加入のYahoo!BB+BBフォンよりも、速度は格段に速いし、料金も1,000円/月ほど安い。当然心が動いた。だから説明会にも参加した。しかし良いことばかりではなかった。 メリットはそのままデメリットだった。「NTTへの基本料金はかかりません」=「停電時には電話は使えません」。「専用BBルータを使うので同時に3台までパソコンを接続できます」=「専用BBルータでは(構造的に)自宅サーバー運用は不可能」。 かつて長時間の停電時や、事故の折りに電話のおかげで何度か救われた。BBフォンなら停電時にはNTTなどに自動で切り替わるので通話できる。また自宅サーバーには多数の写真ファイルを置いているので、サーバーの運営ができないとなるとこれは困ったことになる。 結局今回は見送って、しばらくはYahoo!BBのままにすることにしよう。 |
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4月の菌懇会ゼミ(Tulostoma)の資料を作りながら、はたと考えた。18SrDNA、ITS領域の塩基配列解析に基づいた系統樹も加えねばなるまいと考えて、GenBank、EMBL、DDBJ等にアクセスした。こんな場合はつくづくとインターネットのありがたさを感じる。ClustalWとTreeViewを使って、ケシボウズタケ属(Tulostoma)を中心に据えた系統樹を作るつもりだった。 18SrDNAではT. macrocephalum(AF026625)(a, b)とT. beccarianum(AF097752)(c, d)の2点しかない。25SrDNAとか28SrDNAのデータならば、T. brumale、T. simulansなど含めて数点見つかった(e, f)。予想通りに登録データはとても少ない。同じTulostomatalesでもBattarreaとかPhelloriniaの方が登録されたデータは多い。Tulostomaはもともと、採取例も少なく標本の数も少ない上に、研究者の数も少ないからこれも当然かもしれない。 逆に膨大な登録数をもつ種の場合は、多量のデータの中から如何に選択するかで頭を悩ますことになるのだろうか。しかし、いずれにせよ自分の作成したTulostomaのDNAデータがない。他人の褌だけで系統樹を作るのも面白くない。結局ゼミ資料には2001年のMycologiaのデータを引用して使うことにした。 |
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ロイ・ワトリングは1998年日本菌学会第42回大会で "The role of the amateur in mycology - what would we do without them!" (菌学におけるアマチュアの役割−彼らがいなくて何ができるというのか) という特別講演を行った。しかし、ここで語られたのは、我々のような凡庸なきのこ愛好者のことではなく、菌学史上重要な役割を果たした偉人についてであった。 アマチュアという言葉には妙なニュアンスが伴っている。企業・団体の研究部門や大学などで業務として菌類の研究などに携わっていればプロだし、たとえ菌類の文献・書籍を著していようと、医師とか教員、サラリーマンといったように、本来の生業が菌類以外ならアマである。要は「アマ(チュア)」とは、素人とか愛好者という意味ではないということだ。 「きのこ雑記」は徹頭徹尾、素人きのこ愛好者の単なる気まぐれである。「フォトアルバム」はきのこ図鑑を意図したものではないし、「今日の雑記」は菌類研究メモなどではなく、趣味・嗜好のなせるままに記した戯言・覚えに過ぎない。アマチュア研究者によるメモとは違う。 |
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変形菌の世界から楽しい姿の写真をいただいた。先に川口市で行われた研究発表コンクールで使用された写真だが、コシアカモジホコリ(Physarum pusillum)(a)、シロエノカタホコリ(Didymium squamulosum)(b)というものだという。いずれも高さ1〜2mmほどのとても小さなもので、高さ30〜50mmほどのナガエノホコリタケ(c)と比較すると実に小さな生き物である。 それでも拡大された写真の一部だけを見ると「おや?」と思ってしまう。変形菌には門外漢で、全く何も分からないが、変形菌世界の人たちには日頃いろいろとお世話になっている。ルーペや実体鏡の下に展開される華麗な世界にはいつも驚嘆させられてきた。中でも、このようにケシボウズと似通った姿の子実体をみると、妙な親近感を覚える。 |
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昨日は埼玉県伊奈町で行われた土居祥兌博士の講演に出席した。50名弱の参加があり会場のセミナー室はほぼ満杯だった。博士は今年3月をもって国立科学博物館を定年になるので現役最後の講演となった。スライドとOHPを使った話はとてもわかりやすかったのだが、アマチュアきのこ愛好会での講演としてはやや難しかったかもしれない。 講演会のあと大宮市の魚料理店で10数名で懇親会をもった。ここでも土居博士は素朴な質問や幅広い話題に気さくに応じておられた。久しぶりに菌学的雰囲気に包まれた一日であった。 |
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今日は伊奈町の県民活動センターで埼玉きのこ研究会主催の講演会。講師は国立科学博物館で長年菌類を担当されてきた土居祥兌博士である。講演が終わったあとの懇親会に土居博士も出席されるというので、今日は聴講と親睦でのんびりすることにした。 いつの間にか2月も後半、菌懇会ゼミの資料作りなどをまじめにやらないと間に合わない。検索表の翻訳は菌友S氏がやってくれたから、これを流用させてもらうことにした。各論部分の記述はまだ全くやっていない。それが一段落したら、次はpptファイル作りが待っている。 うかつに引き受けてしまった4月講演の準備はまだ手をつけていない。面倒な資料作りはないが、テーマに対してかなり関心が薄れている上に、pptファイル作りがあるので気が重い。両者ともpptファイル作りはWindowsを立ち上げて作業しなくてはならない。 |
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先日(2月4日)きのこ屋(高橋 博)さんと一緒に千葉県立中央博を訪れた。その折りに青木 実氏の使用していたという顕微鏡を見せていただいた。青木氏の手になる検鏡図の正確さと詳細さは定評のあるところである(a, b)。[ちなみに (a)コブアセタケ、(b)フミヅキタケ] 「貧弱な小さな単眼顕微鏡で観察をしていた」と話には聞いてはいたが、実物を見たのは初めてだった。撮影はしなかったが、ちょうど私が半年ほど前まで使っていた、単眼の簡易顕微鏡(c)とほぼ同じで、ステージがメカニカルではなく押さえバネで固定するタイプであった。 もともと自然光をミラーで反射して光源とするタイプである。簡易光源を装着して使っていたが、青木氏も同様の工夫をされていた。非ケーラー照明で光量調整もできない機種で、青木氏はミクロの撮影もしていたという。今は手元に無いが、昨年2月頃まではこの顕微鏡で撮影していたのでなんとも懐かしかった。(雑記2003.1.7、同2003.1.8、同2003.1.9) 青木氏が貧相な顕微鏡で、あれほどまで緻密な観察をできたのは、非常に高度なプレパラート作成技術にあった。お世辞にも良質とはいえない実体鏡を用いたり、ピスを使ったりして精巧な薄片を作っておられたようだ。 |
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所沢航空公園と三芳町の社寺林を歩いてきた。急に春めいて暖かくなってきたが、乾燥続きの毎日のせいか、きのこの姿はとても少ない。出会ったのは硬質菌5〜6種類、キクラゲ類数種、クロコブタケの仲間数種のみであった。エノキタケ・ヒラタケは全くみられなかった。 ヒメキクラゲがすっかり乾燥して、黒いつや無しビニールのような姿で枯枝にへばりついていた。見慣れないとヒメキクラゲであるとはなかなかわからないだろう(a)。1時間ほど水没させて放置しておくと図鑑などにあるような姿になった(b)。 切片を作ってフロキシンで染めた(c)。一段倍率を上げても担子器の姿がわかりにくい(d)。他の菌やら虫に浸食されている。純粋な子実層面だと切り出したときの様子(e)も、倍率を上げたときの姿(f)もまるで違い、低倍率でも担子器は鮮明である。今朝の個体はまるでダメであった。 |
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昨日に引き続き、ひたちなか市の砂浜で採取したキノコついてのメモである。アカキクラゲ属など数種類は保存が悪くカビさせてしまったので、今朝廃棄した。 ケシボウズの頭部だけのような姿の個体があった(a)。先日広義のTulostoma fimbriatumと判断したケシボウズの群から50m以上離れた地点である(雑記2004.2.8)。過去にこういった丸い菌は必ずしもケシボウズとは限らなかったので(雑記2003.2.10)、念のために別のフィルムケースにいれて持ち帰っていた。 外皮は菌糸状(hyphal)、内皮は褐色。孔口部は筒状とか房毛状というより、縁が唇のように軽く膨らんだような姿である(b)。裏面は一見柄が分離したようにみえる(c)。胞子、弾糸はナガエノホコリタケ(胞子1, 胞子2)など思わせるが心持ち大きめで、疣は小さい(d)。コットンブルーで染めてみると胞子表面には微細な疣がみえ、弾糸は青く染まる(e, f)。 これはどうやらケシボウズの頭部が分離して転がっていたものと思われる。ナガエノホコリタケ、アラナミケシボウズタケなどと近縁で、広義のT. fimbriatumの仲間と思われる。 |
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ひたちなか市の砂浜で小さなヒメツチグリ属を採取したのだが、紙袋に入れたままの状態でテーブルに放置したままになっていた(雑記2004.2.4)。このとき柄の長い別のタイプのヒメツチグリ属も採取したが、そちらは2月9日に検鏡などはすませた(雑記2004.2.9)。 紙袋から出して並べてみたが、形の変化はほとんどない(a, b)。柄はほとんど無くいわゆる座生である(b)。大きさのバラツキがあまりにも大きいので、最初にいくつかの個体の胞子を比較してみた。径や表面模様はいずれもみな同じであった(c)。子実体が小さいからといって未成熟ということではなさそうだ。 低倍率でちょっとみたところ、弾糸には分岐がほとんど無いようにみえた。しかしよく見ると枝分かれしているところもある(d)。さらにクランプあるいはクランプの痕跡も多数みられる(e)。他の形質についても調べた後、いくつかのGeastrumのモノグラフや図鑑類をあたってみたが、これもまたどの種におちるのかまったくわからなかった。 |
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