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先日、日光で大型のチャコブタケ属 Daldinia を採取した。長径50mmを越える茶色の塊で(a)、現地で切断すると同心円状の環紋が並んでいる(b)。何となく気になったので、今朝改めて別の個体を切断してみた(c)。髄層の内部に多数の空洞がある(d)。ルーペで見るとまるで子嚢殼の痕跡のようだ(e)。チャコブタケにしては内部髄層に孔が多すぎる。保育社「原色日本新菌類図鑑」でツボミタケという菌について触れている。「子座の髄が熟後に空洞化することで区別される」とある(II,.p281)。しかし、それ以上の記述はない。 外皮層表面をよくみると茶色の中に黒色の微穴が多数みられる(f)。子座に開いた胞子の噴出孔である。切断面をみるとこれは明瞭である(g)。外皮層直下にある子嚢殼の中には多数の子嚢がみられる。(h)。子嚢は薄く透明である(i)。先端のアミロイドリングはクロサイワイタケ科を特徴づける(j)。アナモルフはNodulisporiumとされるが、Nodulisporiumのテレオモルフにはクロコブタケ属もある。クロコブタケ属ならばKOH液による色素抽出の確認が必要となる。 今日明日の2日間、千葉県清澄にある東大演習林で行われる観察会に参加する。日本菌学会関東支部と千葉菌類談話会との共催である。したがって、明日の雑記はお休みである。 |
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先に9月13日の「今日の雑記」でも紹介したが、菌学教育研究会による平成16年度自然史セミナー「菌類の多様性と分類」講座の詳細を再度とりあげることにした。講座開催の時期は、11月27(土)〜12月5日(日)であり、今回の講座からは、できあがったばかりの筑波の研修棟が会場となる。講座受講の申込〆切は10月20日(必着)となっている。今日のタイトル部分をクリックすると詳細を記した案内が表示される(日本菌学会のホームページを参照しています)。なお、照会先は下記の通り
である。
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阿武隈山系で採取したきのこをいくつかメモしておくことにした。シャカシメジは幼菌と成菌とでは印象がかなり異なる(a, b)。食味は幼菌の塊よりも大きくなった成菌の方が上のように思える。スジチャダイゴケは撮影時カップ内側のスジがやや不明瞭だった(c, d)。持ち帰って数日経過すると明瞭なスジが現れていた。クチベニタケがコケの間からわずかに顔を出している姿はとても風情がある(e)。掘り出してみるとゼラチン質の柄があり、まるでタコのようである。 9月後半にデジカメ一眼レフカメラを購入した。同じ頃にリモコン、アングルファインダをネット上から注文した。リモコンはすぐに届いた。既に2週間が経過しているが、アングルファインダがいまだに届かない。肝心のマクロレンズはどれにすべきか、いまだに決めかねている。そんなわけで、一眼デジカメはまだしばらくは出番がなさそうだ。 一部プロバイダがメンテナンス中のため表示に不具合が生じる。仮ミラーサイトは下記。 | |||||||
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先日福島県に出向いた折り、帰路の東北自動車道那須高原サービスエリアでカエンタケに出会った(a)。広葉樹の切り株上とその周辺の地上から発生しており、まだ若くて先端が黄色い(b)。強い雨と薄暗い環境の中で撮影した。切断してみると内部は白色でとても柔らかい(c)。子嚢殼は子実体の先端付近(d)にはなく、中央付近から基部にかけての部位(e)にある。子嚢殼のある付近を拡大してみると、子座表面に先端を突出させている(f)。 |
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顕微鏡で見るために、子嚢殼の周辺を切断して低倍率でみた(g)。メルツァー(h)、フロキシン(i)でも染めてみた。子嚢も同じく、水(j)、メルツァー(k)、フロキシン(l)で染めたものを掲げた。これらをみると、細長い子嚢の中には16個の胞子が入っているのがわかる。水やらメルツァーではあまり見やすくならないので、胞子(m, n)、子嚢(o, p)などはフロキシンで染めて撮影した。 いつぞやの中毒死ですっかり有名になったカエンタケではあるが、野外で実際に発生している姿を目にしている人は案外少ないのではあるまいか。まして、子嚢殼やら胞子を見るチャンスはほとんどないだろう。 |
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プロバイダの大規模メンテナンスが10月8日までに伸びてしまった。まだしばらくは、下記の仮ミラーサイトを使わないと一部の写真などが表示されないかもしれない。 |
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今の時期、広葉樹林の地上には保護色で目立たないきのこが多数発生している。つい大型のハラタケ目のきのこにばかり目がいってしまって、小型の子嚢菌やら小さなきのこはなかなか気づいてもらえない。ホテイタケ属の子嚢菌もそれらの一つだろう。 保育社の「原色日本新菌類図鑑2」には3種類が取り上げられている。今朝顕微鏡を覗いたのは、去る10月2日に福島県の阿武隈山系で採取したホテイタケである(a, b)。外見からはゴンゲンタケとは区別できても、オオホテイタケとほとんど区別することはできない。子嚢の形と側糸の先端の形が同定には重要らしい。 縦に切断すると頭部の縁は内側に湾曲して柄に接している(c)。内部は白色から淡褐色で子実層の部分は案外薄っぺらい。メルツァーには陰性であり(d)、胞子は細長く中間でくびれたような形をしている(g)。水でマウントすると透明な子実層はとても見づらい。フロキシンで染めると子嚢の形や、胞子を格納した様子などがはっきりする(e)。 まだプロバイダのメンテナンスは終わっていない。今日の午前中までは以下のURLが確実。 |
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10月3日は朝から強い雨だった。福島県阿武隈地域の沢では、コナラの枯枝からセンボンキツネノサカズキがでていた(a〜f)。既に最盛期は過ぎていたのか、全般的に数は少なく、老菌もちらほら見られた。しかし、中には株の長径15mmほどの幼菌もいくつか見られた(f)。濡れているときと乾燥しているときとでは、印象がかなり異なる。一本一本の個体をみるとシロキツネノサカズキが無数に集まったような姿をしている(e)。 この日はあまりにも雨が強くなってきたので、菌類観察は放棄して鍾乳洞観光に切り替えた。鍾乳洞近辺の石灰岩地帯では念のためにウロコケシボウズ探しをしたが、出会うことはできなかった。それにしても阿武隈洞は何度みても美しい鍾乳洞である。 まだプロバイダの大規模メンテナンスは終わっていない。確実に画像が表示されるのは明日の午前中くらいだろうか。それまでは以下のURLが確実だ。 |
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一昨日と昨日(10月2〜3日)、仲間6〜8名で福島県阿武隈山系の山の中を歩いてきた。やはり天候異変の影響は大きいようで、その数日前までかなり雨は降っていたにもかかわらず、きのこの姿は例年に比較して圧倒的に少なかった。それでも、キシメジ、アイシメジ、ミネシメジ、シャカシメジ、ホウキタケの仲間、ヌメリイグチ、チチアワタケなど数多くのきのこに出会え、初日の昼には現地できのこ鍋を楽しめるほどだった。 昨年は発生が非常に悪かったコウボウフデもかなり広範囲に発生しているのを確認できた(a)。発生位置や地味のせいか、群れによって少しずつ異なった色合いをもっている(b〜e)。数日前の強い雨のせいか、柄が泥の跳ね返りで汚れたものが目立った(d)。少し掘ると黄色みを帯びたツボが見えてきた(e)。全体の姿は掘り出してみたものを並べてみるとよく分かる(f)。 今月の5日までは利用しているプロバイダの一部が大規模メンテナンスを行っているために、画像ファイルの一部が表示されない。この間は以下のURLをミラーサイトに設定した。 |
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今朝検鏡したのは、日光ではかなりありふれているのだが、よくわからないキノコの一つである。ハルニレとカラマツ混じりの樹下にでる、かなりポピュラーなきのこである(a〜c)。 胞子紋は白色、胞子は球形に近い卵形(d)で、偽アミロイド(e)、フロキシンを注ぐとやや見やすくなる(f)。ヒダ切片を何枚か切り出したが、シスチジアはどこにも見つからない(g)。ヒダ実質はやや並行気味の散開型(h, i)。子実層の部分だけをフロキシンで染めてみた(j)。担子器の基部にクランプはなく、基部に繋がる組織は球形の細胞となっている(k, l)。 |
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海辺の松林にはマツカサタケがよく見られる。マツボックリから出てるのだが、小さなきのこでもあり保護色なので、なかなか気づきにくい。先日のひたち海浜公園で同行のSさんがとても小さな個体を見つけた(m〜o)。傘径3x5mmほどであるが、傘表皮が毛むくじゃらである(o)。同じマツカサタケでも、傘表皮が全体にノッペリしていてあまり毛に被われていないものもある。2002年に千葉県蓮沼海岸で採取したものは、柄こそ短い毛に被われているが、傘表皮にはほとんど毛がなく、平滑に近かった(p, q)。しかし、胞子などミクロの姿には違いは無い。 今日明日と2日間福島県まで遠出をするので、明日(10/3)の雑記は休みの予定。 |
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職場の庭の芝には小型のきのこがよくでてくる。「こんなものがあったが何だろうか?」と、昼休みに持ち込まれた。いずれも小型で、柄は脆くて細長い。ヒダは疎であるが、よくみると何種類か混じっている。外見から、大きく3タイプに分けてみた(a〜c, f〜h, k〜m)。 種の同定作業は抜きにして、とりあえず顕微鏡で胞子を確認してみた。やはり3種類は別種でる。上段のきのこはアミロイド(e)。中段のきのこは非アミロイド(f)。下段のきのこは胞子の形からイッポンシメジ属であることがわかる(n)。(o)はコットンブルーを加えたものだ。 外見的特徴ばかりではなく、胞子を見るだけでも新たな同定の手がかりが得られることはこの結果をみても明らかである。同じ顕微鏡観察でも、ヒダ実質部や傘表皮のプレパラートを作成するには経験が必要だが、胞子なら誰にでも簡単に見ることができる。 なお、これらの顕微鏡写真は携帯用単眼小型顕微鏡の接眼部にデジカメ(Nikon CoolPix950)を取り付けて撮影したものである。 |
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