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日( )
2008年6月30日(月)
 
小さなゼラチン質
 
 先日竹林で採取したニカワアナタケ(a)はチャック付きポリ袋にいれて持ち帰っていた。帰宅してすぐに胞子紋採取のため、カバーグラスに伏せて一晩待ってみた。胞子紋は全く落ちずに、小さな線虫やワムシのような虫だけが落ちていた。
 もう何年も前に、何度かニカワアナタケの胞子を観察しようと試みたが、うまくいかず、結局今回も失敗だった(雑記2005.8.27同2002.7.3)。今回観察したのは、きのこの径3mmほどのものだったが、十分成熟していなかったのかもしれない。
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 胞子はあきらめて、実体鏡の下で子実層を切り出した(b)。厚いゼラチン質が邪魔をしてとても切りにくい。おまけに透明で非常に見にくい(c)。そこで、フロキシンに浸してやり直した(d)。担子器らしきものは見えるが(e, f)、胞子の姿ははっきりと捉えられなかった。

2008年6月29日()
 
夏のきのこはいつ?
 
 昨日埼玉県秩父地方の山を歩いた。美の山ではきのこはほとんど見られなかった。ミューズパークや音楽寺周辺では、明るく開けた草地ではきのこに出会った。しかし、樹林下や林内では、いまだにきのこの姿はほとんど見られなかった。竹林にキヌガサタケやソライロタケの姿は全くなかった。石灰岩生のきのこはもちろん皆無だった。
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
(l)
 テングタケ科のきのこには1種類だけ出会った(a, b)。ベニタケ科の赤色のきのこは何種類かでていた(c, d)。カワリハツのようなきのこも多かった(e, f)。カサにヌメリをもったチチタケ属のきのこが束生していた(g, h)。カンバの樹皮や落ち葉からは、柄に白色の菌糸をまとった端正なきのこがみられた(i)。ベニヒダタケは最盛期のようだ(j)。アセタケ属のきのこも何種類もみられた(k)。ナカグロモリノカサのようなハラタケ科のきのこは少なかった(l)。
 雨は降ったけれども、気温が低いことが影響しているのだろうか。昨日も、蒸し暑い梅雨といった印象はまるでない一日だった。

2008年6月28日()
 
あぁキヌガサタケ!
 
 昨日早朝、科博のお二人のHさんらとともに、キヌガサタケの撮影と標本採取のために、竹林に向かった。現地に着くと、前日開いた個体が2つ、しっかりした姿で立っていた。マントの部分が落ちて、スッポンタケのような姿になっていた。でも、そのすぐ脇やら周囲にはいくつもの卵が顔をだしていた。今にも出てきそうなタマゴ(a)を前に、何時間かジッと待った

 
(a)
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(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
(e)
(f)
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 結果として、ついにキヌガサタケが開くことはなかった。周辺には、オオホウライタケ(b, c)やニカワアナタケ(d〜f)や、小さな白色のシロホウライタケ属菌がみられた。標本採取ケースにはタマゴがいくつか収められただけとなった。それにしても、竹林の中はとても涼しく、蚊が異常に少なかった。蚊取り線香がお飾りのようだった。

2008年6月27日(金)
 
キヌガサタケが出た
 
 昨日知人からキヌガサタケが出はじめたという連絡をいただいた。今年もまたそういう季節がやってきた。きのこシーズンの開幕だ。今年は蒸し暑さが足りないので、発生は7月に入ってからだろうと思っていた。急遽日程のやりくりをして、今日これから出かけてくることになった。キヌガサタケの開花(?)の観察は早朝が要となる。

2008年6月26日(木)
 
しつこく散開型撮影
 
 海辺で腹菌類以外のキノコは、撮影しても持ちかえることはあまりない。ところが、先週防風林からテングタケ属を持ち帰ってしまった(a, b)。散開型のヒダ実質部を撮影するつもりだった。ところが、帰宅後は他の野暮用に追われて、このキノコは冷蔵庫に放置となった。かろうじて胞子紋だけはとってあったので、まずは胞子を見た(d)。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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 冷蔵庫から出して袋を開くと、幸いにもまだあまり崩れていなかった。しめしめと思いつつ、カサの一部を切り取って、実体鏡の下でヒダを数枚まとめて切り出した(e)。ところが、実質部がかなりスカスカになっている(f)。散開型と思えば、そうも見える(g)。
 フロキシンで染めれば、もう少し鮮明に捉えられるかもしれないと妄想を抱いた。再び、複数枚のヒダをまとめて切り出し、フロキシンに浸してすぐに取りだした(h)。何となく散開型らしく見えはするが(i)、倍率を上げてもあまり明瞭にはならなかった(j)。

 ひだ実質部の構造を確認するなら新鮮なうちがよい。乾燥標本からでも確認できる。一般には生標本は採取から時間が経つと、実質部が崩れ始めたり、虫に食われたりして、散開型の構造などは見えにくくなる(雑記2008.5.30同2004.7.23同2003.7.4)。


2008年6月25日(水)
 
奥多摩の石灰岩地
 
 昨日菌友と二人で、奥多摩の石灰岩地を歩いてきた。目的のきのこには一つも出会うことができなかった。出会ったきのこといえば、シロフクロタケ(a, b)、コケから出る小さなケコガサタケ属のきのこ(c, d)、石灰岩から出る不明菌(e, f)だけだった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
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 林道脇はほとんどが石灰岩壁、さらに周囲には大きな石灰露岩が多数あるので、ていねいに探してみたが、全く出会いはなかった。石灰岩生の蘚苔類にはいくつも出会えたので、こちらは貴重な標本をいくつも得ることができた。真夏のように暑い一日だった。帰宅してからのビール、じゃなかった発泡酒がとてもうまかった。

2008年6月24日(火)
 
肉眼計測と写真計測
 
 簡便なサイズ計測には接眼ミクロメータが便利だ。一般的には、接眼ミクロメータの一メモリは、対物40倍レンズでは概ね2.5μm前後、対物100倍レンズだと1μm前後となる。正確な計測には、対物ミクロメータと比較して、各倍率の対物レンズごとに、接眼ミクロメータの一メモリが、具体的に何マイクロメータなのか、把握した上でそれを利用する必要がある。
 この値は、同一メーカーの同一型番・同一レンズタイプの顕微鏡でも、微妙に異なっていることがある。対物ミクロメータは3,000円くらいからあると聞くが、一般的には6,000〜12,000円くらいする。「安物」では、メモリの精度への信頼性に不安を感じる商品もある。
 
(a)
(a)
(b)
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(c)
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(d)
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(e)
(e)
(f)
(f)
 対物ミクロメータには1mmを100等分したスケールを刻んだものが多い(a, b)。つまり、一メモリは0.01mmつまり10μmだ(c)。手持ちの対物ミクロメータは線幅が2μmのものだ。これを頻用度の高い、対物40倍レンズと対物100倍レンズで撮影して使っている(d, e)。
 「胞子サイズ xx.x〜xx.x μm, R=xxx.xx, n=xx」などの記録を目的として、多数の胞子を計測する場合は、胞子写真をプリントアウトしてスケールをあてる。OHP用紙などの透明媒体にプリントアウトしたスケールを作っておくと便利だ(d, e)。この作業を肉眼だけで、つまり接眼ミクロメータを使って行おうとすると、眼が非常に疲れるし誤差も大きくなりがちだ。
 対物ミクロメータを撮影した画像の利用にあたっては、使用する顕微鏡、撮影用レンズ、用いるカメラ、カメラの解像度、利用する縮小サイズ、使用するプリンタを統一しておく必要がある。これらのうち、一つでも変更があれば、その都度作り直す必要がある。
 「雑記」など日常的な気楽なスケールバーには、簡易スケールを描いたファイルを呼び出して、そこから必要な部分を範囲指定して、コピー&ペーストしている(f)。

[参考] 雑記2005.3.30同2007.4.29同2007.5.10同2007.5.14


2008年6月23日(月)
 
対物レンズ:40倍と油浸100倍
 
 今の時期、大形で端正なミヤマトンビマイがよくみられる(雑記2008.6.8)。このキノコ、ボタンイボタケやトンビマイタケなどに似通ったすがたかたちをしているが、若い菌は柔らかく、昔から食用にされてきた。もっとも、成菌になると硬くてとても食べられないが・・・・
 下の写真は、ミヤマトンビマイの落下胞子を、水道水(a, a')、メルツァー試薬(b, b')、フロキシン水溶液(c, c')で封入した時のものだ。胞子の形状やアミロイド反応がベニタケ類に非常によく似ているので、昔からベニタケとの関連性を指摘されてきた。これらの写真をみていると、オキナクサハツとかドクベニタケなど、ベニタケ類の胞子を思わせる。
 
対物レンズ 水道水 メルツァー フロキシン
40倍 (a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
油浸100倍 (a')
(a')
(b')
(b')
(c')
(c')
 ところで、対物40倍レンズを使い接眼ミクロメータで胞子サイズを計測すると大きな誤差がでやすい。40倍レンズはシスチジアやカサ表皮などを観察するには最適だが、胞子の観察には向かない。胞子の観察には、油浸100倍レンズを用いるのが原則だろう。

 胞子写真を掲載したついでに、ミヤマトンビマイのミクロの姿を、一部アップしておこう。
 

(0)
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(2)
(2)
(3)
(3)
(4)
(4)
(5)
(5)
 ミヤマトンビマイの横断面(0)や子実層の一部(1)、担子器(2)などをみた後、フロキシン消しゴム法で(雑記2003.9.18同2008.5.9)、菌糸型の確認をした(3)。原菌糸(4)と骨格菌糸(5)からなる二菌糸型(dimitic)だった。原菌糸には隔壁があり、骨格菌糸に隔壁はない。

2008年6月22日()
 
アカヤマタケ属のキノコ
 
 一週間ほど前千葉県大多喜城址公園で、落ち葉の間から出ていたアカヤマタケ属のキノコは(a, b)、観察時間を確保できそうにないので、帰宅後すぐに乾燥標本にしてしまった。カサの径は1〜3cmほどあり、まるで上生か湾生に見えた個体もあったが(a, c)、よくみると他の個体(b)同様に垂生だった(d, e)。カサに粘性は無く、ほぼ平滑で、湿時には条線もみえる。ヒダは疎で、子ヒダとの間には横の脈絡がある(e, f)。変色性は全くない。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
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(g)
(g)
(h)
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(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 今朝乾燥標本を引っ張り出してきて観察してみた。胞子は透明で見づらいが(g)、フロキシンで染めると明瞭になった(h)。ヒダ実質は並列型(i)、カサ表皮は菌糸が並列に走る(j)。担子器はすべて2胞子型で、担子柄 sterigma がとても長い(k)。外見的特徴だけから保育社の図鑑にあたってみると、コベニヤマタケ Hygrocybe imazekii (Hongo) Hongo あたりが近い。しかし、特徴的な担子器とシスチジア様の構造(l)は、別の種を示唆しているようだ。

 つくば市の菌教会研修棟で行われる講座に参加のため、am6:30頃には出発だ。午前中「宮崎県のキノコと絶滅危惧菌類『キリノミタケ』の現状」(黒木秀一さん)、午後「関西菌類談話会・幼菌の会及び菌類談話会の過去の活動と今後の方針−はたして、きのこ会の行事は会員の同定能力向上に貢献しているのか−」(森本繁雄さん、後藤康彦さん)が予定されている。午後の話は、どういった展開になるのか興味深い。お二人は何をしゃべるのだろうか。


2008年6月21日(土)
 
顕微鏡撮影:カメラと装置 (3)
 
 ニコンの顕微鏡撮影用に、少々乱暴な方法で直筒もどきを作った。カメラ一台用の純正撮影装置を破壊した(a)。配線をペンチで切り、シャッター機構等を取り除き、潜望鏡用の穴を塞ぎ、ブラックテープを巻いた(b, c)。これで、コントロールボックスは不要となった(d)。
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
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(e)
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(f)
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 ニコン純正撮影装置はYahoo!オークションで、コントロールボックス付き8,000円で落札した。撮影用レンズは手持ちのオリンパス NFK2.5X を流用し、対物ミクロメータを各倍率で撮影し(e)、新たにスケールバーを作成した(f)。さてこのシステム、どこまでつかえるのだろうか。このシステムで、先週川越市の保護林で採集したフミズキタケを撮影してみた。
 
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 この日出会ったフミヅキタケは、内被膜が非常によく発達した個体が多かった(0)。ルーペでみるとシスチジアが無数にある(1, 2)。上記の組み合わせで、胞子(3)、ヒダ断面(4)、側シスチジア(5)、縁シスチジア(6)、カサ表皮(7)、菌糸のクランプ(8)、担子器(9)などを撮影してみた。

 顕微鏡の接眼レンズによる合焦位置と、カメラ側の合焦位置には、若干のズレがでる。このズレ幅が従前のシステム(二台装着型)よりも大きい。その結果、撮影のためカメラの液晶を見てピントを合わせると、対物レンズの先端がカバーグラスにあたってしまうことがある。上記の仮直筒にオリンパスの撮影用レンズを使用した場合にも、この問題が生じた。
 このため厚手のスライドグラスは使えず、封入液を多めにすることもできない。やむなく、甘いピントのままシャッターを切った(3〜9)。画角が小さくなるのか、従来の画像と比較して、胞子やら担子器がやたらに大きい。光学ズームではなく、電子ズームをして拡大したような画像となった。
 ニコン純正の撮影用レンズを使えば、問題はほぼ解決されると思われる。しかし、中古業者やネットオークションには、オリンパスの撮影用レンズはよく出るが、ニコンのものは非常に少ない。この直筒もどき利用の可否はニコン純正レンズの入手にかかっている。


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