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日( )
2009年3月10日(火)
 
黄色いチャワンタケ
 
 昨日一部の写真を載せた黄色いチャワンタケは苔類や蘚類の群からも出ていた(a, b)。傷つけると托外皮(チャワンの裏側)が青変する。チャワンの一部を切り出してみた(c)。子実層、子実下層、托実質、托外皮が明瞭に分化している。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 水道水で封入すると、側糸中の色素顆粒は濃黄色〜黄褐色だが(c, d)、メルツァー試薬では暗青色になる。子嚢先端部や球形で平滑な胞子はメルツァー試薬には反応しない。面白半分にフロキシンで染めてみた(f)。一般にきのこを作る子嚢菌は、子嚢や胞子が大きいので、担子菌のように油浸対物100倍で確認しなくても、メルツァー反応や胞子の形はよく分かるものが多い。キチャワンタケも例外ではない(雑記2005.6.1)。

2009年3月9日(月)
 
盤菌類の季節
 
 昨日、栃木県の石灰岩地域の林道を走り回り(a)、三峯山と呼ばれる石灰岩峰に登った。暖冬を物語るように、標高1,000m以下では雪はほとんど消え、例年とはかなり様子が違っていた。スギエダタケがまだ見られたが、ハラタケ型のきのこは少なかった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
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(e)
(e)
(f)
(f)
 山の斜面にキンポウゲ科のユキワリイチゲのような花がちらほらと咲きはじめていた(b)。草の基部や周囲をよくみると、茶褐色のチャワンタケがでていた(c)。アネモネタマチャワンタケかもしれない。登山道脇には、腐葉土や腐木、蘚苔類の間から、黄色いチャワンタケが多数でていた(d)。杉の枝には暗茶色のチャワンタケが多数ついていた。径脇にはモグラが死んでいた。
 きわどいバランスで急斜面の石灰露岩を渡り歩き、露岩の周囲の落ち葉をかき分けて探索したが、目的のきのこにはまたまた出会えなかった。久々の岩峰歩きだった。

2009年3月5日(木)
 
自宅標本
 
 ゆえあって、昨日きのこの自宅標本を総点検した。かなり少なくなったはずなのに、すべての標本をチェックするのに4〜6時間ほど必要だった。かつて標本に付随する基礎データをすべて失ったとき(雑記2004.8.1)、標本番号のみで管理していたものはすべて廃棄した。この時点で手元にあった標本の90%以上を捨てたが(同2006.11.14)、またいつの間にか増えていた。
 原則として Tulostoma 以外の標本は手元に残さず、なるべく公の標本庫に入れるようにしている(同2007.1.14)。それでも、この2年ほどの間に、Tulostoma 以外の自宅標本が800〜1,000点ほどに膨れあがっていた。昨日は、これらの中からリストにある350点ほどを探したのだが、符合する標本は51点ほどしかなかった。ほかにも、20数点あるにはあったが、黴びたり虫食いのため、直ちに廃棄するしかなかった。この総点検で、ほかにも200点ほどを廃棄処分した。
 一方、2006年7月から始まった蘚苔類標本がいつのまにやら600点ほどになった。これはカビとか虫食いのおそれはほとんどないので、北側の部屋の押し入れに放置したままだ。きのこの標本を長期にわたって自宅で管理しようと思えば、温度湿度対策だけではなく、防腐剤・防虫剤を定期的に入れ替えたり面倒な作業がかかせない。昨日改めて思い知らされた。

2009年3月3日(火)
 
春はまだ・・・指名手配種
 
 昨日の朝、例年なじみの場所にチャムクエタケモドキの撮影と採集を目的に足を向けた。埼玉県南部では、例年3月はじめ頃から日当たりの良いやや湿った場所でヨモギ科植物の根元近くによく出る。今冬は観測史上二番目の暖冬だったという。きっと出ているだろうと思ったのだが、一個体もみつからなかった。昨年に引き続いて空振りだった(雑記2008.3.9)。 北風がやたらに強く、当てが外れたこともあり、ことのほか寒く感じた。

 今年はハラタケ型のきのこ約150種を追いかけなくてはならない。生態写真と解剖写真の撮影をしたものは、原則として標本として残すことになる。相手は気まぐれなきのこたち、どこまでできるかわからないが、あきらめてやるしかない。チャムクエタケモドキもそのひつだ。


2009年3月2日(月)
 
発生したばかりのケシボウズも
 
 昨日早朝出発して、千葉県内房、外房の九十九里、茨城県鹿島灘の浜計4ヵ所を、ケシボウズの仲間 Tulostoma を主体に観察してきた。総行程は凡そ400Km。海辺は終始激しい雨と強い風のために、観察はまだしも、撮影はほとんどまともにはできなかった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 内房の浜は2月1日以来だったが(雑記2009.2.4)、先月何もなかった場所に T. brumale(ケシボウズタケ)、T. kotlabae、T. striatum(ウネミケシボウズタケ)の3種が混在した群がいくつもできていた。すっかりミイラ化したものや、若い新鮮な個体が多数あった(a〜c)。いずれもこの1ヶ月の間に現れた(一部はミイラ化)ものばかりだ。
 外房九十九里では、蓮沼近辺にはケシボウズは全く見られず、匝瑳市(ソウサシ)の浜でウネミケシボウズタケ T. striatum の大きな群落をみた(d, e)。これらの浜は昨年12月29日以来だったので、ほぼ二ヶ月ぶりのことだ(雑記2008.12.30)。昨年末に発生していた場所にはひからびたミイラすらなく、昨日の発生地点は新たな場所だった。
 茨城県鹿島灘の浜では、T. fimbriatum var.campestre(ナガエノホコリタケ)が新たに発生しはじめていた(f)。ここでは風雨があまりにも強いため、早々に引き上げた。

2009年3月1日()
 
マンネンタケくらいしか・・・
 
 昨日さいたま市の公園をいくつか巡ってみた。いわゆる受験シーズンも終盤を迎えたのか親子連れが多く、どこも梅祭りなどでとても賑わっていた。出会ったきのこといえば、マンネンタケ、アラゲキクラゲ、タマキクラゲといったどこにでもよくあるものばかりだった。トガリアミガサタケにはひとつも出会うことがなかった。
 今日は一ヶ月ぶりに千葉の海に行ってみよう。暗い内に一般道をせっせと走っていくことになる。そろそろ出発時刻だ。何か出ているとよいのだが・・・

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