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日( )
2009年5月20日(水)
 
過剰対応の怖さ
 
 今週末鳥取で行われる予定だった日本菌学会大会が、昨日急遽延期された。新型インフルエンザを理由に、日本菌学会に限らず、先々週から続々といろいろな学会の大会が延期ないし中止となっている。予定どおり実行すれば、国内から社会的批判をあびることになる。でも海外での報道からは、日本人の過剰対応に批判的な空気が伝わってくる。
 マスコミはこぞって大げさなキャンペーンを張り、過剰対応を批判する輩を国賊扱いしかねない勢いだ。しかし、新型とはいえ症状の軽いインフルエンザ。かつて中世西欧で広く蔓延したペストなどとは根本的に違うと思うのだが。怖いのは全体主義的な風潮の広まりだ。ここ数週間の報道をみていると、大東亜戦争突入前夜のようなきな臭ささえ感じる。

2009年5月19日(火)
 
きのこが全く無い!
 
 一昨日は奥多摩、昨日は秩父と奥武蔵、東京都下と、何ヶ所もの山や沢、自然公園などを回ってみたが、どこにもごくごく一部の硬質菌を別として、きのこの姿は全くなかった。ごくわずかに干からびきったキクラゲ、乾ききって黒褐色になったウラベニガサなどが散見される程度だった。車で200km以上走り、あちこちを歩き回った結果は全くの徒労だった。

 今日と明日は団地駐車場前の道路工事で車の出し入れがまったくできない。さらに、住宅公団による天井塗り替え工事が行われるため、部屋中がごった返している。台所の流し等の使用はもちろん、室内での作業は何もできない。さらに、工事中はずっと立ち会わねばならない。それもあって、昨日いろいろ観察ポイントを回ったのだが、カメラの出番は一度もなかった。


2009年5月18日(月)
 
ベニヒダタケで練習
 
 ウラベニガサ、ヒイロベニヒダタケと顕微鏡で遊んだので、数日前に採取したベニヒダタケ(a〜d)も、切り刻んでみることにした。胞子は水やKOHで封入すると図鑑などに掲載された形と同じような姿にみえる(e)。しかし、メルツァー液や濃硫酸で封入すると、担子菌であれ子嚢菌であれ、窪みができたり、形が変形するものは多い。メルツァー液や硫酸で封入したときは変色性を観察するだけにとどめておくのがよさそうだ。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
(k)
(l)
(l)
 ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて、フロキシンで染めKOHで封入して縁をみると多数の縁シスチジアがみえる(h)。めくら切り(雑記2008.7.29)でヒダを切り出してフロキシンで染めた(g)。その一方で、実体鏡の下で連れ合い(通称 カミコン)がヒダを切り出す練習をしていた。
 実体鏡の下での切り出しは初めてのことだ。十数枚切り出した中に5〜6枚、きれいな切片があった。逆散開型のヒダ実質と側シスチジア(j, k)、縁シスチジア(i)が明瞭にとらえられている。脆いきのこでは、ピスに挟んで切るよりもきれいな切片が得られるようだ(同2008.8.7)。カサ表皮は実体鏡の下で切り出して水道水で封入した(l)。KOHで封入すると色素が抜けて透明になる。

2009年5月17日()
 
極小の鮮やかなきのこ
 
 アオキオチバタケを探していたら、地表からさらに小さな鮮やかなきのこが出ていることに気づいた。カサ径は0.8〜1.2mm、地表部に出た背丈は3〜7mm。ベニカノアシタケによく似ているが、あまりにも小さい。カサから柄を切り離して一晩胞子紋をとってみた。紡錘形の胞子が、数えるほどしか落ちなかった。十分成熟しているとは言い難いので、胞子の撮影などは放棄した。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
(i)
(j)
(j)
 ヒダを一枚取り外して、スライドグラスに寝かせた。フロキシンで染めて、縁をみると、シスチジアらしきものがある(e)。ヒダを切り出してみた(f, g)。ヒダ実質の構造ははっきりしないが(h)、縁シスチジアはある(i)。水をKOHで置き換えてヒダを押しつぶすと、担子器やシスチジアが判別できた(j)。ここまでみてから、すべての個体を廃棄した。

 小さなきのこの検鏡は大変だ。ヒダの横断面とかカサ表皮の構造を確認するには、とてつもない忍耐と緻密な解剖作業が必要とされる。しかも、属名にまで到達できればよい方で、種名まで判別できるケースは少ない。外は雨、でもam6:00には奥多摩に向けて出発だ。


2009年5月16日()
 
同じ Pluteus でも
 
 狭山湖畔の自然公園を歩いてみると、ウラベニガサ属 Pluteus のきのことマツオウジやたらに目立った。特に鮮やかで遠目にも目立ったのがヒイロベニヒダタケだった。ただ十分に成熟してカサを大きく開いた個体は少なかった。そのせいか、ヒダは柄に対して上生で(c)、図鑑などにあるような離生にまで成熟した個体は少なかった。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
(h)
(i)
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(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(a〜c) 若い子実体、(d) 胞子、(e) 切り出したカサとヒダの一部、(f) ヒダの横断面、(g) 縁シスチジア、(h) 側シスチジア、(i, j) カサ表皮、(k) フロキシン+KOH、(l) ヒダ実質

 いつもとやり方を変えて、実体鏡の下でカサと柄を一緒に切り出した(e)。一度の切り出しで、縁シスチジア、側シスチジア、ヒダ実質、カサ表皮を確認するためだ。脆くて崩れやすいので、よく切れるカミソリを使い、慎重な作業が必要だ。倍率を上げてそれぞれの該当部分をみると、目的のパーツの状態を確認することができた。
 一通り見たあとで、カバーグラスの縁からフロキシンを流し込み、ついでKOHを注いでカバーグラスの反対側から濾紙で吸い取った(k)。KOHを注いだとたんに、ヒダがみるみる潰れて行くのがわかる。ヒダ実質の逆散開型はやや弱かった(l)。

2009年5月15日(金)
 
虫に食われたウラベニガサ
 
 ボロボロに腐った倒木からウラベニガサがでていた(a)。裏側をみるとカサの縁やヒダの縁が虫に食われてかなり形が崩れはじめていた(b)。この仲間のヒダはピンク色で、柄に対して離生なので(d)、裏返してみると柄の回りがリング状に凹んでいる(c)。別の腐朽木に若いウラベニガサが出ていたので(e)、裏返してみたり縦切りにしてみた。ヒダは白色で、まだ離生とはなっておらず、上生の状態だった(f)。この若い菌からは胞子紋はとれなかった。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
(k)
(l)
(l)
 ヒダをルーペで見ると、シスチジアがあることが分かる(g)。虫に食われた部分を避けて比較的きれいな場所を撮影した。ヒダを切り出して子実層をフロキシンで染めてみた(h)。縁シスチジアははっきりしないが、独特の形状をした側シスチジアが多数あり(h)、ヒダ実質が逆散開型(i)であることが明瞭にわかる(雑記2008.07.19)。
 胞子紋は淡橙褐色で、胞子は非アミロイド(j)。メルツァー液で封入すると、すっかり液の色に染まる。ヒダの一部をバラして、シスチジアを念のために撮影しておいた(k)。カサ表皮は細い菌糸が匍匐している。なお、クランプは見つからなかった。

2009年5月14日(木)
 
再びシロキクラゲ
 
 先日狭山市で多くのシロキクラゲに出会い、一部を持ち帰っていた(雑記2009.5.11)。プラスチックケースに入れて冷蔵庫に保管してあった。まだ生の時とほとんど変わらない状態を保っていた。検鏡用に一部を自然乾燥しておけばよかったと思った。
 ほかのきのこと違ってキクラゲの仲間は野外での観察だけでは不十分だし、乾燥機などは使わずに、自然乾燥をしなくてはならない(同2006.5.10同2006.1.26)。
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
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(e)
(e)
(f)
(f)
 胞子は大きなソーセージ形(b)。材に付いたまま実体鏡の下で薄切りにして、フロキシンを加えてKOHで封入した(c)。独特のイチジク形担子器が4本の長い柄を伸ばしている(d)。軽く押しつぶしていくと、担子器の姿がさらに鮮明にとらえられた。菌糸にはいたるところにクランプがある(f)。乾燥したコチコチパリパリの状態からの方が、薄切りはずっと楽だ。

2009年5月13日(火)
 
とても脆いきのこ
 
 公園の腐朽木からナヨタケ属のきのこが出ていた(a, b)。非常に脆くて紙袋に入れて持ち帰っただけで、大半はカサが割れ、柄は折れて、全体に潰れてしまっていた。現地で二つに縦断してみると、ヒダは上生で柄は中空だった(c)。コナヨタケに似ていると思った。乾燥するとカサの条線は消えほとんど白褐色となった。ヒダをルーペで見ると、縁にも側にもシスチジアがあるようだ(d)。胞子紋は暗紫褐色、胞子は褐色だが(e)、濃硫酸で紫色を帯びる(f)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
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(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
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(i)
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(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 実体鏡の下にカサをひっくり返して置き、カミソリで断面を切り出した(g)。ヒダを一枚ピスに挟んで、横断面を切り出そうとした。すると、カミソリがピスに触れただけでヒダは直ちにペシャンコに潰れてしまった。あらためて、スライドグラスにヒダを寝かせてカミソリで切った(h)。
 縁シスチジアは棍棒形〜熱気球のような姿のものが多く(i)、側シスチジアはほとんどがフラスコ形〜紡錘形だ(j)。ヒダ実質は、錯綜型とも類並列型とも言い難い(k)。カサ表皮には類球形の細胞が柵状に並ぶ。切り出しにしくじると、カサ表皮は丸みを帯びた多層の偽柔組織のように見える。いずれにせよナヨタケ属のきのこだろう。

2009年5月12日(火)
 
キクラゲ遊び
 
 キクラゲ背面の毛はアラゲキクラゲと比較すると、まるで目立たない。特に湿った状態では裏面をいくらよくみても、毛があるようには見えない(a)。しかし、少しでも乾きはじめると毛は明瞭に分かるようになる(b)。顕微鏡で覗くと長さがまるで違う(c)。
 湿ったキクラゲをカバーグラスに伏せて30〜40分ほど放置すると、白色の胞子が多数落ちる。これを水で封入するとコントラストが弱い。フロキシンを加えると明瞭になるが、KOHで封入すると形に変化が生じ、やや太めになる(d)。
 キクラゲ類の検鏡にあたっては、半乾燥ないし乾燥状態にしてから、薄片を切り出すのが定石だ。しかし、あえてグニャグニャの生状態から切り出してフロキシンで染めてみた。KOHを滴下してカバーグラスをかぶせると組織がやや潰れた(e)。生状態からは薄切りが難しい。試料が厚過ぎるため、顕微鏡で覗いても子実層の様子はよくわからない(f)。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 カバーグラスの上から軽く圧を加えると、棒状の担子器が密に並ぶ子実層がみえてきた(g)。まだ重なり合っていて詳細は不明だ。ついで、カバーグラスの上から消しゴムをあてて、少しずつずらしながら押しつぶした(h)。今度は子実層がかなりわかりやすくなった(i)。
 図鑑によれば、キクラゲやアラゲキクラゲの担子器は棒状で、横断的に4部屋に仕切られ、それぞれの上部から柄を伸ばして胞子をつけると記され、きれいな模式図が掲載されている。しかし、現実にそういう模式図に近い姿を見られるチャンスは少ない。
 今朝もいくつかの切片で模式図に近い形の担子器はないかと探してみたが、結局ひとつとしてそういった典型的な姿をみるけることはできなかった(j, k)。菌糸のクランプはいたるところにあるので、簡単に確認できる(l)。

2009年5月11日(月)
 
キクラゲ類最盛期
 
 早朝埼玉県狭山市の自然公園を歩いてみた。いたるところの倒木や枯木にキクラゲの仲間がビッシリとついていた。特に多かったのがキクラゲ(a)、アラゲキクラゲ(b)、シロキクラゲ(c)、ヒメキクラゲ(d)、タマキクラゲ(e)だった。サカズキキクラゲやアカキクラゲ類は見かけなかった。
 
(a)
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(c)
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(e)
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(f)
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 例年なら今頃アオキ樹下には、非常に高頻度でアオキオチバタケが見られるのだが、今年はどうも様子が変だ。枯れ枝や落ち葉から素直に出ているものは少なく、積もった落ち葉の下で、無理矢理柄を曲げられたものやら、カサが1mm未満と異常に小さな個体ばかりが目に付いた。このところの真夏を思わせる陽気のせいか、蚊やらスズメバチが活発に活動していた。

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