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日( )
2009年12月10日(木)
 
車が戻ってくる
 
 事故に遭った車の修理が終わって今日やっと戻ってくることになった(雑記2009.12.3)。早速スタッドレスタイヤに交換せねばならない。購入から7年、18万キロメートルほど走っているが、特に問題はなくまだまだまだ乗れる。これでやっとカーナビなし、手元照明灯なし、オートマチックの代車から解放される。修理から戻らないと冬季タイヤに交換できないので、週末の予定がままならなかった。しかし、これでどうやら安心して雪道を走れることになり、昨夜宿の予約を済ませた。今度の日曜日は久しぶりに温泉でのんびりすごすことにした。

2009年12月9日(水)
 
忘れられていたきのこ
 
 冷蔵庫の野菜ケースの隅奥に袋がへばりついていた。袋の側面に「2009/9/3 東京都東村山市野山北公園、落葉上、No.09」と書かれている。袋を開いてみるとハリガネオチバタケらしいきのこがすっかりカラカラに乾いて潰れていた(a)。9月3日に撮影した画像は残っていた。20分間ほど水没させると原形に近い姿にもどった。カサとヒダの横断面をまとめて、比較的楽に切り出せた(c, d)。ホウライタケ属のきのこは乾燥しても楽に原形に復帰するのが面白い。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
(d)
(e)
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(f)
(f)
(g)
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(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
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(k)
(k)
(l)
(l)
(a) 忘れられていたきのこ、(b) カサ、(c, d) カサ部の横断面、(e) ヒダの縁、(f) 胞子、(g) 子実層と側シスチジア、(h) 縁シスチジア、(i) 側シスチジア、(j) 担子器、(k) カサ面の細胞、(l) カサ肉のクランプ

 カサ部の横断面には、独特のカサ上表皮と側シスチジアが見える(c, d, g)。ついでヒダを1枚、フロキシンで染めてスライドグラスに寝かせた(e)。縁シスチジア(h)もカサ上表皮の細胞(k)と同じような姿をしている。胞子は大きく、どうやらハリガネオチバタケに間違いなさそうだ。
 図鑑にはカサ上表皮層の細胞や縁シスチジアの形は、ほうき状(箒状)と記されている。この姿を見るたびに、長く鋭い爪をもったモグラの手を連想されられる。何度やっても鮮明に撮影することができない。

2009年12月8日(火)
 
カーナビぼけ
 
 愛車のカーナビは7年前の機種ゆえ、新しくできた道や変更された交通規制には対応できない。旧道を選ばされたり、四角形の三辺を走らされることもある。しかし、目的地を設定すると、カーナビ上に方向線が表示され、別ルートや、予測到着時刻なども表示されるのはありがたい。渋滞に堪えきれず脇道に入ってもすぐに軌道修正され目的地へのルートが表示される。冊子の道路地図を読みながらカーナビとけんか?しながら走るのが日常となっていた。
 昨日筑波の(独)森林総研まで行った。常磐道は事故で大渋滞、通勤で混み合う一般道を走った。代車にカーナビはなく、室内灯を点灯しても手元は暗い。古い道路地図を頼りに主要幹線を避けながら目的地を目指した。文字が小さく手元が暗いこともあって、地図上で現在位置を把握するのに難儀した。あらためて、カーナビを目的地への誘導システムとしてではなく、現在位置を把握し目的地の方向を知るための機器、つまりGPSとして利用していたことに気づいた。暗くなったので帰路はあきらめてすぐに常磐道に乗った。高速料金が痛いが貴重な時間にはかえられない。すっかりカーナビに毒されていることに気づいた一日だった。

2009年12月7日(月)
 
落ち葉分解菌
 
 フカフカの落ち葉の絨毯を踏みしめて歩いていると、ふと落ち葉の布団の下にきのこのカサらしいものがある。落ち葉を取り除いてみると、脆いきのこがでてきた(a, b)。何となくサクラタケに似ている。きのこの少ない季節でもあり、持ち帰った。ヒダはやや疎で、横の脈絡脈があり、上生、縁が軽い鋸歯状だ(c)。ところが、ヒダを寝かせて縁をみても、横断面にもシスチジアはみつからない。とりあえず胞子紋をとった。カバーグラスに白色の紋ができた。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
(g)
(h)
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(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 胞子は非アミロイド(f, g)。おもしろ半分にフロキシン(h)、コットンブルー(i)で染めて遊んだ。担子器の基部にはクランプがあり、ヒダ実質やカサ肉などにもクランプがある(j, k)。カサの表皮はヒダ実質と似通った太めの菌糸が平行に走っている(l)。種名まではたどり着けなかった。
 今日はこれから筑波行き。代車に荷物を載せてそろそろ出発だ。今週末から日曜日にかけては温泉に行きたいと思っているので、それまでに車が戻ってきてくれることを願うばかりだ。

2009年12月6日()
 
キクラゲの仲間ばかり
 
 多摩湖周辺の緑地を散歩してきた。アラゲキクラゲ(b)、キクラゲ(c)、タマキクラゲ(d)、ヒメキクラゲ(e)、シロキクラゲ、ハナビラニカワタケ(f)などキクラゲ(広義)の仲間はいろいろと出ていたが、カサと柄をもったきのこは非常に少なかった。落ち葉から何種類かのきのこが出ていた他は、伐採した材からヒラタケ(a)、ニガクリタケなどがでていた。ニガクリタケの幼菌はとても美しい。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 修理に出した車はまだ戻ってこない。このところの足は、オートマチックの代車。やはり日常使い慣れた車がよい。戻ってきたらまずはスノータイヤへに交換しなくてはならない。

2009年12月5日()
 
やかんの蒸気を利用
 
 乾燥標本の中にはちょっと触れただけで簡単にボロボロに崩れてしまうものがある。でもこの標本を観察しなくてはならない。そんな場合に、少しふやかすと比較的簡単に薄片を切り出すことができる。もっともお手軽で日常やっているのは以下の方法だ。
 
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
 沸騰して口から湯気を出しているやかんを使う。乾燥標本の小断片をピンセットでつまんだり、柄付針にさしてやかんの口にあてる。これでボロボロ崩れることなく比較的楽に薄片を切り出すことができる。どのくらいの時間湯気にあてるかで切り出し易さはかなり変わる。もっとも、カラカラに乾燥している方が、薄く切るのは一般的に楽だ。

2009年12月4日(金)
 
乾燥標本から:ヌメリイグチ
 
 先月26日に海浜で採取したヌメリイグチ(a, b)はその日のうちに直ちに乾燥機に放り込んだ。乾燥する前にカサ断片をカバーグラスに載せて胞子紋をとっておいた。いつもどおりのやり方で、プラスチックケースに他のきのこと一緒に配置して蓋をかぶせた(c, d)。
 標本は乾燥剤を入れて密封してあった。今朝取り出してみると小さく軽くなっていた。ちょっと強く触ると簡単にボロボロと崩れる(e, f)。今朝はこの乾燥標本を素材にして遊ぶことにした。最初にカバーグラスに採取しておいた胞子紋から胞子を覗いた(g)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 ついで乾燥標本から小片を切り出した(h)。あとは実体鏡の下で、管孔部の縁、管孔部実質、カサ表皮などを薄切りにしてプレパラートを作成した。縁シスチジア(i)、散開型の実質(k)、カサ表皮層(l)などは、生のときよりずっと楽に切り出せた。
 しかし、管孔部実質は半乾燥状態からの切り出しの方がずっと楽だ。ボロボロと簡単に崩れる標本の場合は、標本小片を軽くふやかせると柔らかくなって切るのが楽だ。

2009年12月3日(木)
 
予期せぬ出来事:玉突き事故
 
 昨日昼過ぎ、帰宅の途について浦和所沢線を走っていた。前方がやや渋滞気味になってきたため、足ブレーキを踏んで停車し動き出すのを待っていた。すぐ前の車も、後続の車も停止していた。すると突然大きなショックがあって車が勢いよく前に押し出された。かろうじて前車にはぶつからずにすんだ。一瞬何があったのかわからなかった。
 直ちに車を降りて後続車に向かうと、後続車の運転者も何が何だかわからず戸惑っていた。さらにその後続車の運転者が「後ろから勢いよく突っ込んでくる車に気づいたので強くブレーキを踏んだが押し出されて前車に追突してしまった」と言っていた。車4台の玉突き事故だった。
 昼過ぎには帰宅できる予定だったが、警察による現場検証のため、帰宅できたときは既に薄暗くなっていた。車の後部はバンパーがみごとにめり込んでナンバープレートがひしゃげている。そろそろ冬用タイヤに交換しなければと思っていた矢先の出来事だった。保険屋さんとの連絡や車の修理のため、タイヤ交換どころではなくなってしまった。あぁ、面倒くさい。

2009年12月2日(水)
 
やはりミズゴケ節ばかり
 
 今年は初夏から晩秋まで湿原・湿地を求めてよく歩いた。主たる関心事はミズゴケから出るきのこだったが、あらためて図鑑類には掲載されていないきのこがいかに多いかを知らされた。もっとも、身近に毎年いつも見ているにもかかわらず未だに名無し(未記載種、未報告種)の多いきのこのこと、ミズゴケから出るきのこが知られていなくてもいっこうに不思議はない。
 雑記2009.10.5で、ミズゴケから出るきのこについて感想を記した。その後今日までにさらに50数点のきのことその宿主たるミズゴケを採取した。きのこは属レベルまでの同定は既に終えていたが、つい最近になってようやく採取したミズゴケの同定も完了した。きのこの側からみると、圧倒的に多かったのはケコガサタケ属 Galerina とアカヤマタケ属 Hygrocybe だった。一方、ミズゴケの側からは宿主はすべてミズゴケ節 Sect. Sphagnum のものだった。他の6つの節から出るきのこにはお目にかかれなかった。なぜなのか、今はまだ考証できる段階ではない。
 ミズゴケの仲間は枝葉の細胞の大部分が透明細胞からなり、それらの間に葉緑細胞が網の目状に配置されている。透明細胞は多量の水や空気を含むことができ、著しい貯水性と通気性をもっている。さらにミズゴケ節の仲間では、茎や枝の表皮細胞が大型透明で表面に螺旋状の肥厚がある。他の節のミズゴケにはこれはない。

2009年12月1日(火)
 
クロマツ防風林のシワカラカサタケ
 
 外房海浜のクロマツ林でシワカラカサタケ属 Cystoderma に出会った。とりあえず写真を撮って持ち帰っていた(a〜c)。カサの断片をカバーグラスに載せて胞子紋をとると、一晩でカバーグラスが真っ白になった。そこにメルツァー試薬をかけると全体が暗青色になった(e)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 しかし、胞子を少量落としたカバーグラスをメルツァーで封入すると、アミロイド反応は弱い(f)。多量の胞子だと誰がみてもアミロイド反応がプラスとわかる。同じようなことはニセマツカサシメジの胞子でも起こる(雑記2009.11.28同2005.11.12)。それにしてもカサ表皮の姿は面白い(i, j)。この仲間の属名は cysto- 嚢(ふくろ)、-derma 表皮だから、よく特徴を表していると思う。

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