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安比高原フォーレ 申込締切:2009年9月18日(必着)

日( )
2009年8月31日(月)
 
小さな胞子と短い管孔
 
 衆議院議員選挙は民主党の圧勝となった。高速道路料金休日最大1,000円の制度が開始されてから渋滞と事故が激増している。民主党の公約である高速道路無料化が実施されると、大型車とモラルのない乗用車が溢れて道路事情は激変するんじゃないだろうか。

 ハンノキイグチを覗いた。この仲間は管孔部が非常に短いので子実層托実質の切り出しがやっかいだ。管孔部実質は並列気味の散開型だ(b, c)。カサ表皮、カサ肉、管孔部実質、柄のどこをとっても、菌糸にはクランプがみられる(l)。胞子はとても小さい(f)。
 

(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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(a) 孔口、(b) 管孔部の縦断面、(c) 管孔部実質、(d) 子実層、(e) 管孔先端付近、(f) 胞子、(g) カサ表皮、(h) カサ表皮の菌糸にはクランプがある、(i) 担子器:基部にはクランプがある、(j, k) シスチジア、(l) 菌糸にはクランプがある

 和名はハンノキイグチでも、ハンノキよりもコナラやミズナラの樹下によく見かける。今シーズンは何度もハンノキイグチを見かけた。金峰山への径ではハンノキが多かったが、白馬岳中腹はモミとミズナラ主体の林でハンノキは見かけなかった。

2009年8月30日()
 
奥秩父 金峰山
 
 奥秩父の名峰金峰山に登った。大弛峠は標高2,360mで、マイカーで到達できる最高地点ということだ。かつては、乗鞍岳が最高地点だったがマイカー規制のためその座を譲ったという。立派な舗装道路が峠まで続き、峠には駐車場とトイレが設置されている。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(e)
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(f)
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(g)
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(i)
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(j)
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 am6:00の大弛峠にはすでに10数台の車が駐車していた(a, b)。峠からきのこを求めて歩みを進めていくと、やがて山頂だった(d)。緩やかな針葉樹林が続き、テングタケ類、イグチ類を中心にいろいろなきのこが出ていた。ガンタケによく似たきのこがやたらに目立った(f〜j)。
 五丈岩は遠目にもよくわかる金峰山の象徴だ(c, d)。早朝には快晴の空も(c)、昼近くになるとにわかに雲に覆われ(e)、昼過ぎには土砂降りの雨になった。帰路ブナ林を探索するつもりだったが、激しい雨のため中止した。pm5:30頃には帰宅してビールで喉を潤していた。

2009年8月29日()
 
クリソシスチジアとクランプ
 
 白馬岳中腹の針葉樹林で採取したハナガサタケを覗いて遊んだ(a〜c)。胞子は小さくて発芽孔の有無ははっきりしない(d)。胞子は非アミロイド。ヒダの横断面を切り出した(e)。ヒダ実質は並列型(f)。ヒダを一枚スライドグラスに寝かせKOHで封入して縁をみた(g)。多数の縁シスチジアがあり、アルカリで黄金色になるものが混じっている(h)。
 側シスチジアも同じような形で、クリソシスチジアが多数みられる。横断面を切り出したヒダにフロキシンを注いで縁をみると縁シスチジアが多数みられた(i, j)。カサ表皮は菌糸が入り乱れて匍匐している(k)。クリソシスチジアには隔壁を持ったものが多かった(l)。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(e)
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(f)
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(g)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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 菌糸にはクランプがある。保育社図鑑の検索表を素直にたどると、なかなかハナガサタケには辿り着きにくい。辿っていく過程でカサ表面の粘性などの項にぶちあたって迷うことになる。

2009年8月28日(金)
 
マツオウジばかり
 
 昨日、多摩湖畔の緑地できのこ狩りの人から声をかけられた。手にしたポリ袋の中にはチチタケがいくつも入っていた。いたるところでマツオウジがきれいな姿で残っているので(a〜c)、マツオウジは食べないのかと尋ねてみると、中毒するから食べないのだという。
 先日歩いた石川県、新潟県、長野県でもそうだったが、近場の緑地でもきのこがとても少ない。でもいくつか目立つきのこがあった。地表にはシロハツモドキツエタケ、材上にはヒメカバイロタケとマツオウジがいたるところに出ていた。まっ白なツエタケのアルビノ(?)もあった。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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 このところずっと雨が少ない。それでもよくみるとアセタケ属、小さなテングタケ属はよく出ていた。そんな中に大型のきのこが束生していた(d〜f)。ムレオオイチョウタケらしい。雨が降るまではフィールドにでかけてもどうにもならないようだ。

2009年8月27日(木)
 
乾燥して持ち帰った方が・・・
 
 日本菌学会・同東北支部・菌類懇話会共催による「安比高原フォーレ」の申込み締切日が9月18日(金)に延期された。しまったと思っていた方も慌てずに申込みができることと思う。

 8月24日に白馬岳北西面で採集したミヤマイロガワリ(とおぼしききのこ)は、持ち帰って紙袋を開くと、2個体のうち一つは完全にグズグズになって虫と汁にまみれていた。残りのひとつは何とか検鏡に耐えると思えたので、カバーグラスに管孔部の一部を伏せて数時間放置した。
 

(a)
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(b)
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(c)
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(f)
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(g)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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 カバーグラスに落ちたのは大部分が線虫とウジ虫だった。したがって、胞子をきれいな状態で撮影することはできなかった(a)。だましだまし管孔部実質を切り出してみた(b)。ズルッと崩れてとても切りにくい。場所を選ぶと何とかヤマドリタケ亜型(散開型)を確認できた。管孔側面を見ると紡錘形のシスチジアも見える(d)。
 フロキシンを加えてKOHを流し込むと、全体が崩れてしまったが、散開型はより鮮明になった(e)。そのままカバーグラスの上から力を加えて押しつぶして組織をばらした。シスチジアにはアルカリで黄金色になるものもあった(g)。縁シスチジアも側シスチジアもほぼ同じだった(f, h)。
 管孔部を横断面で切った。最初はやや厚すぎ(i)、次は薄すぎた(j)。シスチジアをよけて切ってしまったのか、拡大しても側シスチジアを鮮明には捉えられなかった(k)。カサ表皮を観察するころには(l)、腐敗はさらに進んでいた。採集したその日に現地で乾燥してしまった方が、観察はずっと楽だったろう。きのこは7〜8個に縦断して乾燥機に放り込んだ。

2009年8月26日(水)
 
きのこは少なかった
 
 去る22日未明に出発して、仲間4〜7名で石川県、富山県、長野県、新潟県と巡って昨日帰宅した。石川県穴水町では懐かしい友に出会うことができた。輪島市ではミズゴケを採取できた。富山県中央植物園では貴重な蘚苔類の別刷りをみて楽しんだ。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(e)
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(f)
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 こけときのこを観察しながら山を歩いた。天気には恵まれたが、どこもきのこの姿は少なかった。蓮華温泉から白馬岳北西面の池に登る途中、急斜面でミヤマイロガワリ(a〜c)やハンノキイグチ(d〜f)、ハナガサタケ、多くのアセタケ類などに出会った。
 今回は山小屋を利用したが、あらためて宿泊料金の高いことに驚いた。以前にも、山小屋の宿泊料金が高いため、宿泊を中止して夜を歩き通したことがあった。今や小屋泊まりの山歩きは高価な遊びなのだろう。足場の悪い岩場でも両手に杖を持っている姿にはあきれた。

2009年8月22日()
 
強靱なヒダをもつきのこ
 
 今am0:30、これから車で石川県の友人宅へ向けて出発。その後は北アルプスで山登り、あるいは森林限界から上を散策の予定。地図とGPSを頼りに行き先は成り行きと気分で決まる。帰宅は25〜26日頃になるんじゃぁないかな。しばし「今日の雑記」はお休み。

 近場の公園にイタチナミハタケらしききのこが出ていた(a, b)。ミミナミハタケ属のきのこは全体に強靱で、ヒダなどの切り出しはとても楽にできる。ヒダにメルツァー試薬をかけると、全体が紫褐色に変わった。この時点で色が変わらなければイタチナミハタケではない(雑記2004.9.26同2003.6.13)。胞子を水道水(d)、メルツァー(e)、サフラニン(f)で封入して見た。フロキシンにはほとんど染まらず、サフラニンで染色すると胞子表面の微イボがわかりにくくなった。
 

(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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 このきのこは非常に強靱なので、多少荒っぽく扱っても簡単には潰れない。ヒダの切り出しはいたって楽である(g)。ヒダ実質はメルツァー液で紫色になる(h)。次いで、ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて、表面の子実層部分をそぎ落としてメルツァー液をかけた(i)。骨格菌糸はメルツァーで紫色に染まるようだ(j)。カサ表皮の組織もとても強靱だ(k, l)。グレオシスチジアや担子器、クランプなどは撮影しなかった(同2003.10.8)。

2009年8月21日(金)
 
まるで線虫のような胞子
 
 18日から昨日まで埼玉県熊谷で行われていた日本蘚苔類学会第38回埼玉大会に参加し、昨日帰宅した。今日は安比高原フォーレの申込み締切日(必着)。参加するつもりで申込みを忘れているのであれば、今日のうちに E-mail などで、担当部署に連絡を忘れないようにしたい。

 テングノメシガイ科のきのこには面白いものが多い。富士山の針葉樹林では至る所でコゲエノヘラタケの群生を見ることができる。ヘラタケでは軍配形の部分と柄とがほぼ同色であるが、コゲエノヘラタケの柄は「焦げ柄」の名の通り濃褐色をしている。
 

(a)
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(c)
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(k)
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 胞子紋をとるご一瞬ギョッとする。まるで無数の線虫が蠢いているかのようだ(c)。軍配部分を横断面で切ってみると周囲に子実層がある(d)。胞子は棍棒型の子嚢に入っている(e)。子嚢先端は非アミロイド(f)。側糸は紐状で先が湾曲するが、しばしば螺旋状になる(j)。
 細長い胞子は、おおむね整然と子嚢に収まっているが(f〜h)、しばしば螺旋状になっている(i)。子嚢を見ていると、胞子が先端から次々に放出されるのを見ることができる(k, l)。

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