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日( )
2009年4月30日(木)
 
ハルシメジのクランプ
 
 昨日午後にサクラのハルシメジ(広義)を検鏡して遊んだときに思い出した。去る23日に採集したウメ樹下のハルシメジを冷蔵庫の奥に放置したままだった。形が崩れきっていたので捨てたと思って忘れていた。すっかり乾燥してコチコチに硬くなっていた。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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 ヒダをカミソリで切り出してフロキシンで染めてみた(b)。むろんシスチジアなどはない。フロキシンで染める前に、ヒダの脇に散乱する胞子をみた(a)。カサ上表皮は水封では平行気味に匍匐しているが、3%KOHで封入すると、サクラのハルシメジと同様に、菌糸が立ち上がってくる。
 図鑑などには、シメジモドキ(梅のハルシメジ)にはクランプはないと記されている。確かに、カサ肉やヒダ、柄にはクランプは見られない。しかし、たいていの場合、カサ上表皮の菌糸にはクランプがある(e, f)。一方、サクラ樹下のハルシメジのカサ上表皮にはクランプはない。
 広義のハルシメジをいくら検鏡しても種の同定にはほとんど役立たないことなどは、過去の雑記(2006.4.282007.4.26)でも何度か触れたが、ケヤキ樹下のハルシメジのカサ上表皮にもクランプは見あたらない。カサ上表皮にクランプを持つのは、これまで出会ったものでは、ウメとリンゴのハルシメジだけだった。ただ、ちょっと目には見つかりにくい。

2009年4月29日(水)
 
サクラのハルシメジ
 
 一昨日の日光では東照宮のある標高の低い地域で、サクラ樹下に広義のハルシメジが出ていた(a, b)。標本を持ち帰っていたので、気まぐれに顕微鏡で覗いて遊んだ。採取時はヒダはまだほとんど白色だったが、半日も経過するとすっかり淡桃色に変わっていた(c)。カサの頂部はイチメガサ状に軽く突出し、柄は中空で、ヒダは直生。柄の肉はグアヤク脂で青変しない。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(j)
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(k)
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(l)
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 胞子紋は淡いピンク。ドライマウント状態の胞子は角張った多面体だが(d)、水封するとこの仲間独特の姿が現れた(e)。しっかりしたきのこなのでヒダは楽に切り出せる(f)。フロキシンを加えると子実層が明瞭になった(g)。シスチジアはなく、ヒダ実質は並列型(h)。倍率を上げると、胞子をつけた担子器がみえた(i)。3%KOHで押しつぶしフロキシンで染めると担子器のサイズを計測したり基部のクランプ有無を確認しやすい(j)。
 カサ上表皮は水で封入して見る限り、細い菌糸が平行に走っているだけだが、KOHで封入すると顕微鏡下でこの菌糸が立ち上がってくるのが分かる。コントラストが弱いのでこれもフロキシンで染めた(l)。図鑑などに掲載されているカサ表皮はKOHで封入したときの状態だ。
 なお、このきのこは偽担子器の基部にはクランプがある。担子器の基部にクランプを持ったものも低い比率である。しかし、カサ表皮、カサ肉、ヒダ、柄のいずれにもクランプは見つからなかった。たぶん、基本的にクランプを持っていないのだろう。今日はきまぐれに、午後になってから顕微鏡を覗き、雑記をアップすることになった。

2009年4月28日(火)
 
凍てついたシャグマアミガサ
 
 昨日の日光は、前日の降雪と吹雪で道路や径には大きな木の枝が散乱していた。早朝はまだすっかり雪雲の中で、嵐のような強い風と舞う雪で、しばしば歩行困難となった。頭上からは音を立てて折れた枝が落ちてきたり、目の前を飛び交った。
 
(a)
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(e)
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 モミの森はすっかり雪に覆われ、シャグマアミガサタケは凍てついて縮み上がっていた。脚を踏み入れた時は、すっかり雪に覆われて絶望的だったが、目をこらしてじっと見ていると、次々にシャグマアミガサタケが見つかった。多くはわずかに雪上に独特の色を曝していた。掘り出さないと分からないものばかりではなく、雪上に顔をだしたものも数十個体見つかった(a〜d)。
 午後から時折晴れ間も出始めたので、雪の少ないカラマツ林を歩いた。ここでは、オオシャグマタケが姿を現していた(e, f)。アミガサタケ、テンガイカブリタケ、オオズキンカブリタケなどはまだひとつも見あたらなかった。この日はやけにシカが多かったが、35mmマクロレンズしか持っていなかったので撮影はできなかった。気温が低く風が強くて、終日とても寒い一日だった。

2009年4月24日(金)
 
昨日の所沢界隈
 
 昨日、さいたま市から所沢市、武蔵村山市といくつかの自然公園や雑木林を覗いてみた。ハルシメジは発生数が例年より少なく、幼菌の内から虫などに囓られて、成菌の多くが崩れたような姿をしていた(a)。サケツバタケも大きく成長したものは少なかった(b, c)。ヒメカバイロタケは先週の筑波山でも多数見たが、あちこちによく出ていた(d)。ヒトクチタケもよく見かけた(e)。
 
(a)
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(e)
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(f)
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 広義のキクラゲ類で、黄色いゼラチン状のものは肉眼的観察だけでは、科レベルで判断を誤りやすい。昨日もハナビラダクリオキンかコガネニカワタケか分かりにくいものがいくつもあった(f)。写真のものは担子器をみると、どうやらコガネニカワタケらしい。菌糸にはいたるところにクランプがみえる。ハナビラダクリオキンなら担子器は音叉形をしている。この両者は、科レベルで異なるが、しばしば肉眼的形態は間違えるほどよく似ている(雑記2006.7.19)。

2009年4月22日(水)
 
週末の玉川大学は興味深い
 
 今度の土曜日(4/25)は玉川大学で日本菌学会関東支部の年次大会がある。[話題提供講演 −「種問題を考える」−] も興味深いが、その後の懇親会&オークションはさらに楽しめそうだ。噂では「Ms. Neda がオークションの司会をするらしい」と聞く。しかも、「Ms. Neda の衣装は、自分でミシンで縫ったらしい」ということだ。カメラを忘れないようにしたい。

 さらに当日の会場では、近日刊の勝本謙著 安藤勝彦編『日本産菌類集覧』の優先予約も行われる。この文献は、2008年までに日本国内で発表された新種、新産種の菌類学名、著者、論文名、雑誌名、habitat、産地、標本番号などのデータが網羅されている。Royal Botanic Gardens, Kew から出版されているかの有名な Checklist of the British & Irish BASIDIOMYCOTA の日本版ともいえよう。きのこや菌類の名前調べ、出典調べには必須の文献といえよう。

 懇親会&オークションは会場の関係で予約申込みが必要だが(4月21日締切)、大会・講演会は当日参加も歓迎という。予定を変更しても出席する価値がありそうだ。


2009年4月18日()
 
こだわりきのこグッズ Sareki
 
 きのこグッズなるものにはとんと関心がない。したがって、自宅にはきのこに関わる装飾品は少ない。ドコモタケもケータイを docomo から au に乗り換えた時に処分した。あちこちから頂いたもやしもんグッズもみな他人にやってしまった。したがってわが家に残っているきのこグッズといえば、バケツや手提げ袋など三重県のきのこグッズ、関西菌類談話会のきのこタオル、変形菌研究会のタオル、アトリエきのこのTシャツ数枚くらいだ。要するに実用品ばかり。
 
(a)
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(c)
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 なぜか数年前から「工房 Sareki」のきのこグッズ制作に関わるようになってしまった。「Sareki」は少量手作り生産で、今現在の「きのこシリーズ」は、アミガサタケ、セイタカイグチ、スナジヒメツチグリの3種、製品数でも6〜7点らしい。
 セイタカイグチのカサの縁や管孔、柄への着き方、柄の表面模様など、かなりのこだわりが見られる。スナジヒメツチグリの反り返った外皮についた砂粒も微妙だ。これらは、いずれもシルバーかプラチナで高価だが味がある。今はウスキブナノミタケの制作中という。
 なお、スナジヒメツチグリ(G. minimum) は、つい最近糟谷氏らによってタイコヒメツチグリ(G. fornicatum) ともに、新たに和名を与えられたばかりだ[下記]

T.Kasuya et al. (2009) Floristic study of Geastrum in Japan: three new records for Japanse mycobiota and reexamination of the authentic specimen of Geastrum minus reproted by Sanshi Imai, Mycoscience 50:94-99

2009年4月17日(金)
 
きのこ無し 秋ヶ瀬公園
 
 昨日用事があって浦和方面に出かけたので、秋ヶ瀬公園に寄ってみた。雨無し状態が長かったためか、例年なら必ず顔を出しているきのこも全くでていないかった。ただ、一部の桑の樹下に、成熟し大きくなったキツネノワンがでていた。キツネノヤリは見られなかった。
 
(a)
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(b)
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(c)
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2009年4月13日(月)
 
描画イメージと合成画像
 
 図鑑やモノグラフには詳細な描画イメージによる検鏡図はあるが、検鏡写真を載せたものは少ない。描画イメージとは、微動ノブで合焦位置を上下しながら観察し、全体像を頭の中で組み立て、それを一枚の描画として表現したものだ。
 高倍率になるほど合焦深度が浅くなるので、焦点のあった部分だけしか明瞭には見えない。たとえばホンシノブゴケの葉身細胞のように、大きな歯牙状突起を持ったものでは、合焦位置の異なる画像を別々に撮影したり、ヒロハヒノキゴケ葉縁の二重の歯を表現するのに、撮影方法に工夫をこらさないと、うまく表現できないことになる。
 したがって、実際に光学顕微鏡でミクロの姿を覗いても、図鑑にあるような描画イメージが見えるわけではない。だから、光学顕微鏡による観察では、微動ノブで対物レンズを上げ下げしながら観察する必要がある(「「きのこの話題」→「顕微鏡の焦点深度」)。

 複数の画像を合成して、全体にピントの合った画像を作成するソフトがある。胞子の表面模様を撮影した画像と、輪郭部を撮影した画像を合成すると、胞子全体にピントの合った画像が得られる。合成ソフトにもピンからキリまであって、できのよいソフトだと、複数のオリジナル画像の撮影位置が多少ずれていても、それを補正した上できれいに合成してくれる。
 デモンストレーション用とかショーでは、こういった画像を積極的に使えばよい。しかし、こうやって作った画像は、報文などでは使えない。きれいな合成画像を得ることに時間や金を費やすより、描画イメージ作成能力や文章による記載能力を向上させることに時間をかけたい。


2009年4月12日()
 
マムシ君の日向ぼっこ
 
 昨日は千葉県清澄の東大演習林の一般公開日だったこともあり、午前中に演習林を散策した。モミの松ぼっくり鱗片に菌核菌らしきものが着いていた(a)。演習林では採取許可を取って入らないかぎり、キノコや動植物の採取は一切できない。したがってこの盤菌も正体は不明。午前中で演習林散策を切り上げて、房総半島中央部の山間部に入った。
 
(a)
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(b)
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(e)
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(f)
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 ほとんど終わっていると思っていたカシタケが、スダジイ樹下で天然乾燥標本となっていた(b)。一部にはまだ若い個体も発生していた(c)。カシタケを探していると、マムシ君が日向ぼっこをしていた(d)。直ぐ脇にしゃがみこんで、15cmほどまでカメラを寄せて撮影していると、鎌首を持ち上げ尻尾を振って威嚇してきた。無視して撮影していると、膝の上を這って去ってしまった。先月に引き続き樹の洞の中のマユハキタケを観察してから帰途についた(雑記2009.3.30)。この洞はマムシのねぐらになっていて、先月はとぐろを巻いていたので一時退散してもらったが、昨日は不在だった(「マムシにご注意!」)。

2009年4月11日()
 
演習林の一般公開日
 
 今日明日と来週の土日は、千葉清澄にある東大演習林の一般公開日。友人等とこれから参観してくる予定だ。一般公開日には動植物やきのこの採集は一切禁止されている。今回は、あるきのこが発生する可能性の有無を探ることが目的だから、別にそれは構わない。可能性が少しでもありそうとなれば、改めて採集と利用の許可をとってでかければよい。忘れちゃならないのが、地図・カメラ・GPSだろうか。

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