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日( )
2011年6月19日()
 
きのこ多量発生
 
 福島県川内村に入る予定だったが、諸般の事情を考慮して昨夜になって中止した。そして今朝埼玉県南部の雑木林を歩いてみた。先日とは大違いで、きのこが大量に発生していた。
 アカヤマドリ、ヤマドリタケモドキ、オニイグチ(or モドキ)をはじめ、イグチ類が7〜8種、ガンタケ、テングタケをはじめテングタケ類が6〜7種、ハラタケ類4〜5種、ツエタケ類2〜3種、コバヤシアセタケ、シロトマヤタケ(or シロニセトマヤタケ)などアセタケ類6〜7種、ハナオチバタケなどホウライタケ属3〜4種など、ざっと数え上げても40〜50種のきのこに出会った。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 アカヤマドリなどの大型で重いきのこをエキシカータ用に採取したので、何度も車まで戻っては再び歩くことになった。自分でじっくり観察したいと思うきのこがあったのだが、今朝はそれに時間をかけることは諦めた。一定量のきのこを確保したらさっさと引き上げてきた。

2011年6月18日()
 
クヌギタケ属の小さなきのこ
 
 日光では小さなきのこが十数種類みられた。この日は標準ズームの一眼レフとコンパクトカメラしか持って行かなかったので、小さなきのこの撮影に一眼レフは使えなかった。カラマツ林のコケの中から、カサ径5〜8mm、柄長2〜3cmの小さなきのこが多数出ていた。掘り出すと柄の基部はカラマツ球果に繋がっていた。ルーペでみるとヒダにシスチジアらしきものが輝いて見えた。ヒダを一枚取り外して寝かせてみると、表面に小さな濃色の点が多数見られた。 (I. A.)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 かさ径が5mm以下の子実体を観察するのは時間がかかる。小さくて可愛い姿に魅せられた結果、苦労するのである。実体鏡下でひだを見ると縁にもひだ上にも橙色の点がみえていた(g)。予測どおりに縁、側シスチジアに橙色の色素をもったものがある。この色は水を追加したり、つぶしたりするとすぐ消えてしまう。押しつぶすと色素は消えてしまう。KOHで色の変化はない。そっと寝かした切片でしか見られない。かさの頂部の組織にも同じような色素がみられた(h)。かさ上表皮には多分枝菌糸がみられる(i)。子実層托実質は類並列型(j)、クランプあり。担子器は4胞子性、根元にクランプがあるが写真を撮ることはできなかった(k)。胞子はアミロイド(l)。 (Y. A.)
 
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 保育社図鑑に従えばクヌギタケ節らしいことはわかったが、時間がないのでこの先の検索は後日とすることにした。もう一つクヌギタケ属のきのこが観察されるのを待っている。 (Y. A.)
 
[補足] 側シスチジアは細長いフラスコ型で上半は透明で下半はオレンジ色を帯びている(m, n)。生標本のヒダ実質は類並列型だが、乾燥標本から切り出すととても並列型には見られない(o)。乾燥標本を切り出したものをフロキシンで染めて(p)、縁シスチジア(q)を再確認してみた。
 ヒダの側面に妙な組織が見つかった。先端が指状に枝分かれしたシスチジアだ(r)。ただ、頻度は低く、子実体によっては全く見つからなかった。 (I. A.)
 
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)

2011年6月17日(金)
 
これでも同じキノコ
 
 ホシアンズタケは美しいきのこだ。特に雨の後、よく晴れた朝にはカサの表面が芸術的な模様を見せてくれる。でも、こういった網目模様が見られるのは幼菌から若い菌に多く(a, b)、成菌から老菌になると、なかなかこのような姿は見せてくれない(d)。ヒダの様子も、若い菌ではやや疎で直生だが(c)、成菌になるとかなり密になり上生から離生となる(e)。
 柄の液滴、独特の甘い匂い、弾力性のあるゼラチン状の質感などは、幼菌でも老菌でも変わらない。初めて見る人には両者の姿(a と d)からはとても同一種のきのこには見えないようだ。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 ホシアンズタケの撮影をしていると、すぐ後ろでなにやら生き物の気配を感じた。振り返るとすぐ脇に、子鹿がじっと息を潜めて草むらに潜んでいた(f)。たぶん人が近づいてくることに気づくのが遅れて逃げそびれたのだろう。軽く頭部に触れると、慌てて走り去っていった。日光では、ひところ減っていたシカだが、最近は再びかなり増えているようだ。

2011年6月16日(木)
 
ミヤマトンビマイ
 
 昨日、杉並木で知られる日光街道や、例幣使街道などを歩いた(a)。この時期スギの巨木の根元には美しい姿のミヤマトンビマイがよく出る。注意深く見ていれば、時には車窓からでもその姿を捉えることもできる(b)。日光では古刹に詣でる石畳の参詣路が多く、たいていその両脇にはスギの老木が並んでいる。のんびり歩いてみれば、それらの根元には大きなミヤマトンビマイの姿が若い菌(d, e)〜成菌(c, f)までいくつも見られる。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 ミヤマトンビマイだけでも標本は両手にいっぱいある。さらに他にもオオワライタケやヒロメノトガリアミガサタケなど、エキシカータ標本用に何種類かを採取した。これらの標本類をすべて自宅で乾燥標本にするのはかなりしんどい。そこで、まっすぐに帰宅するのはやめて筑波の科博経由で帰宅した。家に着くと夜の10時を回っていたが、乾燥標本をつくる手間は省けた。

2011年6月13日(月)
 
ビロードツエタケの仲間
 
 鹿島市飯島緑地でカンゾウタケ探しをしていて見つけたきのこである(a)。1本しかないし暗いので撮影はやめた。1mほど離れたところにあったきのこも柄の根元が同じように膨らんでいる。かさの色はかなり違っていた。連れ合いに「小さいのもビロードツエタケに近いね」と言われた。
 以前からツエタケの仲間を検鏡しようとねらっていた。しかもビロードツエタケらしいと言われ、ますます楽しみになった。やはり生態写真を撮らなかったことは悔やまれる。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
 胞子は非アミロイド(b)、子実層托実質は錯綜型(c)。側シスチジアは便腹状・棒状・紡錘形で、頂部が頭状で厚膜のものが多い(d)。縁シスチジアはまれで側シスチジアと同じようなものがある。担子器は4胞子型、クランプを見つけることは出来なかった(e)。かさ上表皮は子実層状(f)、洋梨型や小嚢状の細胞で褐色の色素を含む(g)。そして、黄褐色の厚膜の剛毛が大小沢山ある。柄にも同じような剛毛がある(h)。
 これらの特徴からスイスの菌類図鑑のXerula pudensに非常に近いのではと思われた。この仲間は現在タマバリタケ科ビロードツエタケ属となっている。一緒に採取した小型のきのこはかさの色が違うだけで、顕微鏡下では違いは見られなかった。 (Y. A.)

2011年6月11日()
 
きのこがない!
 
 雨はよく降った。気温もそこそこ高くなってきた。でも、埼玉南部から東京北西部の緑地帯にはきのこがほとんどみられない。昨日の早朝、多摩湖畔、入間の自然公園などを歩いてみた。ごく一部の硬質菌を除けば、出会ったキノコはキオキナタケ(a)、ナガエノチャワンタケ(b)、テングタケの仲間(c)、ツエタケの仲間(d)、スジオチバタケくらいだった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
 今月末から7月末までは何かと遠出をする機会が多い。久しぶりにパワーポイントファイルを作りながら、訪問予定地周辺の地理を調べた。岡山や九州などでは、これまでに記録されている菌類・蘚苔類・地衣類リストなどのなかに、自分にとって興味深いものがきっとあるだろう。

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