Top  since 2001/04/24 back


日( )
2012年10月10日(水)
 
胞子の姿が楽しい旧オニイグチ科
 
 新潟フォーレ(9/29〜10/1)直前に採取してそのまま乾燥しておいたセイタカイグチを覗いて遊んだ。カラカラに乾燥した子実体は、生の時の姿とは似てもにつかない姿になっていた。胞子紋だけはいつも通り採取当日にカバーグラスにとっておいた。
 旧分類オニイグチ科のきのこは一般に胞子がとても興味深い姿をしている。セイタカイグチも例に漏れず胞子表面の隆起が特徴的だ(a, b)。シスチジアは縁でも側でも同じような姿をしている(c)。管孔部を切り出すと、カミソリを充てた部分がコロコロと崩れ落ち、担子器は子実層からはずれてしまっていた(d)。カサ表皮の組織ははっきりしないが(e)、柄の表皮には管孔部のシスチジアと同じような姿のシスチジアがある(f)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 最近インターネット接続の速度がとみに低下している。画像などをクリックすると、まるでスキャナーをゆっくり動かしているかのように、上からジワーッと画像が現れてくる。フレッツ光という接続環境だが、なぜか一時代前のモデム接続環境のように遅くなっている。

2012年10月9日(火)
 
山を甘くみていた! 反省
 
 昨日阿武隈山中の山ですさまじい藪漕きをしてきた。背丈以上の強い笹藪をさんざん漕いで進み、いい加減腕が疲れてきた頃になんとか笹藪を抜けることができた。ズボンもシャツもすっかり汚れきっていた。これほどひどい藪漕ぎを強いられたのは30数年ぶりのことだった。
 しかし、その甲斐あってか多くのきのこに出会った。50〜60種ほど数えたが、以下に多数出会ったものだけを掲げた。ホンシメジ(a)、カクミノシメジ(b)、シャカシメジ(c)、サクラシメジ(d)、アミタケ(e)、シロカノシタ(f)、ムラサキフウセンタケ(g)、オウギタケ(h)、コウボウフデ(i)、ザボンタケ(j)。フウセンタケ属の紫色の強い粘性をもったきのこ(k)、アミハナイグチ ウツロベニハナイグチ?(l)にもよく出会った。しかし、持ち帰ったのはごくわずかだった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 はじめて登った山の頂にたどり着くまではよかったが、そこで方向を見失い山中を彷徨った。人の踏み跡はまったくなく、自分たちがどこにいるのかもわからず、なんとか見覚えのある斜面にたどり着くまでにかなり難儀した。遭難寸前の状態だったといえる。未知の場所に入るのに地図と磁石を持っていなかった。山を甘く見てはいけないことをあらためて痛感した一日だった。
 
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
 イノシシによる今朝の庭の荒らされかたはすさまじかった。昨夜は赤外線カメラの前をイノシシがもろに通過したらしく、Video画面には同時に最大4頭のイノシシが写っていた。

2012年10月8日()
 
長い長い柄をもつ担子器
 
 背面がつるつるのアンズタケ類に出会った(a〜c)。アンズタケモドキらしいが、背面には全く脈やシワがなくノッペラボウだ。胞子紋は黄色で、顕微鏡下でも胞子に色味が少し残っていた(d)。コットンブルーで染めると、一部が濃色に染まった(e)。子実層には担子器がビッシリ並んでいる(f)。フロキシンで封入して押し潰した。担子器の柄はとにかく長い(g〜i)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 朝、雨のなかイチジクの熟しかけた実に雨蛙が鎮座していた。午後になってもじっと動かなかった。夕方ふとイチジクを見ると、イチジクは鳥に啄まれて半分ほど無くなっていた。不思議なことに雨蛙は鳥に食われるでもなく、そのまま、イチジクの実の上にジッと佇んでいた(j)。

2012年10月7日()
 
ホウキタケ仲間のパレード
 
 川内村の渓流でホウキタケ仲間のパレードに出会い、思わず写真を撮ってしまった。きっかけはオリーブ色がかかったホウキタケの美しさである(a)。この6種類はほとんど隣接して発生していた。こんな光景ははじめての経験である。。不慣れなコットンブルーの染色練習にもなった。コットンブルーでの染色は熱を加え過ぎて条線が消えてしまったのではないかと心配した。ほとんどの胞子が微細な疣を持っていて、縦条線があったのは1種類のみであった。しかし、6種類も次から次へと顕微鏡観察をするのは大変だった。間違ったフォルダーに胞子写真を保存しないようにということにも非常に気をつかった。 (Y. A.)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(a')
(a')
(b')
(b')
(c')
(c')
(d')
(d')
(e')
(e')
(f')
(f')
(a'')
(a'')
(b'')
(b'')
(c'')
(c'')
(d'')
(d'')
(e'')
(e'')
(f'')
(f'')
[補足] 井口監修・河原訳『図解 きのこ鑑別法』(西村書店 2010年) には、コットンブルーについて、以下のように記されている(p.198)。加熱・沸騰で反応が促進されるようだ。 (I. A.)
[手順] 調べる標本をスライドグラス上の1滴のコットンブルー中に浸し,カバーグラスをかぶせて観察する。沸騰させると反応が促進される。陽性反応を得るまで1時間かかる可能性もある。
[使用法] ある種のハラタケ類,例えばムラサキシメジ属 Lepista の数種では,胞子壁は細胞質より高度にコットンブルーを吸収する。時に胞子の刻紋は胞子の他の部分よりも濃く色づく。このような例としては,他にラッパタケ属 Gomphus がある。胞子の壁あるいは刻紋が胞子の内部と明らかなコントラストで濃く染まるときには,その胞子は好青染性 cyanophilous と呼ばれる。コットンブルーはまた,ニセホウライタケ属 Crinipellis の子実体の特定部位の菌糸壁を染色できる。さらに,黄金シスチジアの一部では,その内容物はコットンブルーで強く染まる。
 胞子が煮えてしまうんじゃないか、とかなり心配したようだ。スライドグラスの下からライターで炙ると、封入液が蒸発をはじめてジュクジュクと泡が出始める。どのタイミングで炙るのをやめるのか、慣れないと不安がつきまとう。なんどかやってみるっきゃないんじゃないかなあ。

2012年10月6日()
 
食用きのこがボチボチと
 
 川内村のなじみの山に入ってみた。林道を走っていると突然倒木に道を遮られた。運の悪いことに車にチェンソーを積んでいなかった。しょうがないので、その場に車を放置して徒歩で先に進むことにした。セイタカイグチはすでにほとんど終わっていた。さんざん探し回るとコウボウフデに出くわした(k)。菌輪の内側には前年度のミイラも見られた(l)。
 山から戻ると、沢沿いの林道を進んだ。いろいろなきのこが出ていた。シャカシメジホンシメジは大きな菌輪を作っていた(a, b)。ハツタケ(c, d)、ハナイグチ(e, f)もかなり出ていた。その近くには巨大なミネシメジがでていた(g, h)。カサ径20cmを越えていた。ドクカラカサタケも幼菌から老菌までそろっていた(i, j)。オリーブ色を帯びたホウキタケをはじめ5〜6種のホウキタケにも出会った。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 ここ数日イノシシの被害がすさまじい。庭全体の1/4ほどがしっかり掘り起こされ、畑の野菜やコスモスが広範囲にひっくり返されてしまった。大小の足跡が無数に残っている。昨年、今年と捕獲禁止のため急激に数を増やしているようだ。イノシシ=制御のきかない耕耘機。

[2012/10/8訂正] 写真(a), (b)をシャカシメジからホンシメジに訂正した。千葉県の松崎浩三さんから指摘をうけ、一度はシャカシメジだろうと思ったが、10月8日現地で再確認した結果、ホンシメジに間違いなかった。松崎さんありがとうございました。


2012年10月5日(金)
 
海浜ではきのこ乏しい
 
 一昨日から昨日にかけて強い風と雨がよく降った。午後になって雨が止んだので海岸に行ってみた。砂浜にはきのこは全く見られなかった。アカマツ防風林でもきのこの姿はとても少ない。かろうじてチチアワタケばかりがあちこちで見られた(a〜c)。ほかにはMelanoleuca(ザラミノシメジ属)のきのこ(d, e)、白色系のAmanita(テングタケ属)(f)、赤色系のベニタケ属がわずかに見られただけだった。山でのきのこ大発生とはあまりにも対照的だった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 自宅斜め前の田圃も稲刈りが済み(g)、稲穂を垂らした田圃は少なくなってきた。自宅脇の小川にも水がたっぷりあり、一頃の渇水期とは様変わりした(h)。そのすぐ近くではようやくヒガンバナ一色となった(i, j)。例年と比較して10日から2週間ほど遅い開花だった(雑記2007.9.22)。いっぽう、庭のコスモスは長いこと咲き続けている(k, l)。コスモスのすぐ脇に出ていたParasora(ヒメヒガサヒトヨタケ属)やConocybe(コガサタケ属)のきのこはめっきり少なくなった。

2012年10月4日(木)
 
呆れるほど多くのきのこが・・・
 
 昨日朝、家のすぐ先から続く石森山の遊歩道に入ってみた。足許にはあまりにも多くのきのこが出ているので、一瞬呆然とした。遊歩道入り口には、いつの間にか「野生きのこ採取禁止」と表示された真新しい札が掲げられている。先日までなかった。一気に多くのきのこが発生してきたので、慌ててあちこちに札を掲げたようだ。
 相変わらず夏のきのこが多い。バライロツルタケ(a, b)を始め、ツルタケ(c)、タマゴタケ(d)、シロオニタケ(e, f)、シロテングタケ(g)などAmanita(テングタケ属)、カワリハツ、クロハツ、クロハツモドキ、ニセクロハツ、オキナクサハツ、クサハツモドキ、白色系と赤色系のベニタケ属などのベニタケ類も多数見られた。ヤグラタケもいまだに見られる(i)。ニギリタケ(h)、キツネノハナガサ(j)、チチアワタケ(k)、ワカフサタケ属?(l)なども多数見られた。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 撮影したり採取したのは出会ったきのこのうち、ごく一部に過ぎない。歩いた距離は30〜40mほどだろうか。その間に大型菌が40〜50種ほど出ていたことになる。

2012年10月3日(水)
 
ボテッと大きな黒いイグチ
 
 新潟フォーレに出かける前の9月26日に南会津町で大きな黒いイグチを採取した(a〜c)。ビロード状で黒紫色のカサ径は20cmほどあり、傷つけると赤変した(d)。採取当日に胞子紋だけとって、本体は切り刻んで乾燥標本にしておいた(f)。今朝ようやくこの乾燥標本を覗いた。
 カチカチに乾燥した子実体からカミソリで小ブロックを切り出して、そこから管孔部を薄切りにした(g)。縁シスチジアと思われる組織は黒紫色でフロキシンでは染まらず(h)、側シスチジアは透明でフロキシンによく染まった(i)。側シスチジアの中には、色素を帯びてフロキシンに染まらないものもある。カサ表皮は細く黒紫色の菌糸が軽く絡み合っている。柄の表皮は棍棒状の細胞が柵状ないし子実層状に並んでいる。たぶんオオクロニガイグチとしてよいのだろう。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 昨日はイノシシ対策の作業にすっかり追われてしまった。これまで一定の効果があったので、新たに動体センサーライトを複数取り付けた。また、イノシシの進入路と思われる場所にBushnell社製のTrophyCam(動体センサー付き赤外線照射機能付きカメラ)を設置するため、設定をいろいろ変えてみて結果の確認をした。動体キャッチからカメラ作動までの反応時間が1秒とやや長いが、それでも何時頃に何頭がやってくるかはわかるだろう。

2012年10月2日(火)
 
台風通過の狭間で:新潟フォーレ
 
 9月29〜10月1日にかけて新潟県南魚沼市で行われた「2012新潟フォーレ」に参加してきた。台風17号の接近で天候が心配されたが、採集予定日は雨にも降られることもなかった。高温と雨不足の影響かきのこの発生はあまり芳しくなかったようで、同定会場に並んだ標本は、テングタケ類、ベニタケ類など圧倒的に夏のきのこが多かった。参加したコースではカオリツムタケばかりがやけにめだった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 台風の日本列島直撃で10月1日朝まで全国的に交通機関が大きく乱れ、30日に帰宅した参加者は苦労したようだ。10月1日am9:40頃解散。只見線沿いの国道252号から南会津に入り、甲子トンネルを経由して国道49号から帰宅した。途中数ヶ所の山に入ったが、どこもまだ夏のきのこが主流で、フウセンタケ属などはわずかしか見られなかった。

過去の雑記

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2012 上中
2011 中下 中下
2010
2009 中下 中下
2008
2007 上中
2006
2005
2004
2003
2002
2001