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昨日、埼玉県秩父地方、群馬県南西部にまたがる石灰岩地帯をめぐってきた。結論的には成果無しだった。しかし、途中で多くのきのこに出会った。ここに掲載したのはその一部。 ハラタケ科のキノコは持ち帰ると傘が開きはじめていた(a, b)。ヒダや傘肉に10%KOHをたらしてみたが何も変化はない。カメムシタケはいつもうまく撮影できない(c, d)。大きなチャダイゴケがあった。よく見るとスジチャダイゴケのようだ(e, f)。 腹菌類の卵がいくつもあった(g)。でこぼこしている。切断してみると、外層のゼラチン部分がいくつものブロックに分かれている。カゴタケなどが疑われるがこのままでは分からない。持ち帰って湿らせたウエットティッシュの上に据え置いてみた。 秩父ではキヌガサタケがほぼ終わりのようだ。夕方竹林を覗いてみたのだが、朝開いたと思われる個体がいくつもあった(i)。卵もあったが、これは今朝あたり開くのだろう(j)。同じ竹林にシロキツネノサカズキ(or モドキ)があった(k, l)。 |
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昨日のケショウハツに続いて、ニセクロハツのミクロの姿だ。採取時はクロハツなのかニセクロハツなのかはっきりしなかった。触れた部分や切断した部分はすぐに赤色になった。12時間ほど経過しても傷口や触れたヒダの縁が暗赤色のまま変化しないので、ニセクロハツだろうと思っていた。同時に持ち帰ったクロハツの方は完全に黒色になっていた。 ニセクロハツの胞子はクロハツとほぼ同様で区別は困難だ(a, b)。ヒダ切片を見ても、ちょっと見た目には縁シスチジア(d)しか見あたらない。フロキシンで染めてよく見ると側シスチジアが疎らにあった(e)。子実層面には担子器が並んでいる(f)。 ヒダが白色の部分と暗赤色になっている部分の縁シスチジアを比較してみた。いずれもフロキシンで染めてある。白色のヒダの縁シスチジアと暗赤色のヒダの縁シスチジアとでは先端部分が顕著に違っている。暗赤色ひだ先端を、水でマウントしてみると赤褐色をしている。担子器のサイズを測るためにいちおうバラして計測してみた。 まだ外は真っ暗だが、これから秩父・群馬方面の石灰岩地帯へ出発だ。多分徒労だろう。 |
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今朝は先日同定時に撮影したミクロの姿を取り上げた。埼玉県川越市の平地林で採取したケショウハツ。ベニタケ科の胞子はどれも似たり寄ったりで、胞子で種の同定ができるものはほとんど無い(a, b)。切り出したヒダは先の方が曲がってしまった(c)。まばらに側シスチジア(d)、密集した縁シスチジア(e)がある。カバーグラス脇からフロキシンを加えると明瞭になった(f)。 あらためてヒダの縁を切り出し、フロキシンで染めてみると槍先のような縁シスチジアが無数についている(g)。バラしてサイズを測ってみた(h)。縁シスチジアも同じくバラしてサイズを測る(i)。担子器もバラして同じことをしてみた(j)。やや小振りのものもある。 傘表皮は縁シスチジアとよく似た形の組織がビッシリ並んでいる(k)。この組織の基部は数珠状の形になっている(l)。さらに拡大して基部をみると明瞭にわかる。 ふだん同定時にはほとんど顕微鏡写真の撮影は行わない。この日は珍しく顕微鏡写真だけで50枚以上も撮影していた。ここに掲載したのはそれらの内の一部である。柄の実質部や表面の組織などは取り上げなかった。 |
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遠州灘の大須賀町で出会ったきのこのメモ。コウボウシバとケシボウズタケ属の目立つ砂浜に、赤みの強い茶褐色のきのこが何ヵ所かで群れをなしていた(a)。傘径20〜30mm、砂上部分の高さ2〜4cm、ヒダは離生(b)、柄は強靱で堅くしまり中実。胞子紋は白色(c)。 胞子は楕円形からややアーモンド型で一端が尖っている(d)。表面には非常に微細な疣があるようにもみえる。非アミロイド。何枚も切り出したヒダをいくら探してみても側シスチジアはない。よく見ると縁シスチジアがあるようにも見える。薄膜で丸っころい形をしている。これをシスチジアとしてよいかどうかは問題がある。 ひだ実質は平行から錯綜気味。担子器は細長く、基部にクランプを持つものが随所にある。傘肉や柄にはクランプがある。傘表皮は子実層状から柵状で箒状の細胞はない(f)。 以前から海浜でしばしば見るのだが、これまでは見ないことにして無視してきた。今回は珍しく持ち帰った。ホウライタケ属のきのこなのだろうか。 |
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都内や埼玉では今の時期クモタケがあちこちで見られる。昨日は本郷まで出かけたので、東京大学構内と上野公園をみたところ、あちこちでクモタケがみられた(g〜j)。雨で暗かったので生態写真はうまく写せなかった。他にも葉の裏や材から何種類かの冬虫夏草がでていた。 | |||||||
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昨日仕事先からの帰路、川越市と三芳町の雑木林をのぞいてみた。先週水曜日の面影は全くなく、きのこの姿はとても少なかった。ヤマドリタケモドキ、ムラサキヤマドリタケ、アカヤマドリ、マツオウジなどの食菌は日曜日にキノコ狩りの人たちに取り尽くされたようだ。一度採取してから捨てられたらしいきのこや、蹴飛ばされたり潰されたきのこがあちこちに転がっていた。不思議と、チチタケはほとんど手つかずの状態でいくつも残っていた。 逆に毒タケあるいはベニタケ科のきのこは結構見ることができた。キリンタケ(a)、ヒメコガネツルタケ(b)、ニセクロハツ(c)、ケショウハツ(d)、ケシロハツ(e)、アイタケ(f)、コバヤシアセタケ、ドクベニタケ、ヒビワレシロハツ、カワリハツ、フクロツルタケなどはかなり広範囲に見ることができた。また、小さな落ち葉分解菌はいくつもの種類が多数でている。先週の水曜日は発生の最盛期だったのだろう(雑記2005.6.30)。 |
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昨日はほぼ終日神奈川県川崎市の生田緑地にいた。夏のきのこが多数でているとのことだったが、きのこの観察は全くできなかった。専ら試薬作りに終始した。 今朝はアイタケを覗いた。最初はカバーグラスに採った胞子を見た(a, b)。ヒダのプレパラートは透明でとてもみにくい。そこでフロキシンを加えた(c)。これをいくら見ても、シスチジアがあるようには見えなかった。倍率を上げてみると側シスチジア(d)、縁シスチジア(e)がある。 水を3%KOHで置き換えると、組織がバラバラになる。担子器をチェックした(f〜h)。縁シスチジア(i)、側シスチジア(j)も見たが、多少サイズが違うだけで形はほとんど同じだった。 ふだん、ベニタケの仲間は胞子を見るだけで、滅多にひだ実質部は見ない。シスチジアはヒダをうまく切り出さないと分かりにくい。傘の上表皮層は肉からきれいにそぐことができる。今朝はこの部分は撮影しなかった。 |
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さいたま市の見沼地区では、芝や草地に相変わらずキコガサタケがよく出ている。今朝はこれを楽しんだ。カバーグラスに採った胞子紋をそのままスライドグラスに載せてみた(a)。カバーグラスの脇から水を注ぐ(b)。水をKOHに置き換えると胞子の色が赤橙色に変わった(c)。この仲間の縁シスチジアは面白い姿をしている(f)。担子器と同じような大きさだ(d)。担子器も丸っころい姿をしている(e)。 |
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先日川越で採取したチチタケのミクロの姿を一部掲げてみた。チチタケ属の胞子はすべてアミロイド(a, b)。おもしろ半分にフロキシンでも染めてみた(c)。切り出したヒダを見ると、子実層面には無数に厚膜の側シスチジアがある(d)。ヒダ実質部には球形細胞はみられない。側シスチジアはまるで槍の穂先のようだ(e)。一本取り出してみた(f)。このサイズにはとても入らないほど大きなシスチジアもある。 ヒダの先端部には側シスチジアよりやや小さめで、先端が尖っていない縁シスチジアがある(g)。フロキシンで染めてみた(h)。縁シスチジアも厚膜である(i)。傘表皮を見ると、ここにも厚膜で細めの傘シスチジアが球形細胞の間から出ている(j)。 |
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昨日、遠州灘を歩いてきた。静岡県御前崎市の浜岡砂丘は風紋が美しいことで知られる。ここではコナガエノアカカゴタケにであった。先月の千葉県富津市に続く(雑記2005.6.13)。珍しいことに3本が砂丘の斜面に並んでいた(a)。頭部の篭の部分にはまだ外被膜が残っていた(b)。掘り出してみると、全長は12〜15cmほどあり、かなり大きめである(c)。 これまでに千葉県九十九里浜、同富津市の浜、茨城県ひたち海浜公園、愛知県知多半島で採取しているが、静岡県では今回が初めてである。レッドデータ標本用に持ち帰って、直ちに乾燥標本にした。摂氏60度の熱風を4時間ほどあてると10cm程に縮まってしまった。 浜岡砂丘でもそうだが、浜松市中田島砂丘に続く遠州灘全体を見ると、どこにでも頻繁に出ていて最盛期を迎えていたのはカヤネダケだった(d)。コウボウムギ、コウボウシバ(カヤツリグサ科)、ハマニンニク(イネ科)等の青く活き活きした個体につく。掘り出してみると、まるで植物の一部でもあるかのように地中の茎から出ている(e)(雑記2002.5.15ほか)。 ドングリタケもかなり見られたが、今年発生のケシボウズタケ類はまだほとんどない。採取できたのは数本の新鮮な個体と、数ヶ月以上前に発生したと思われるミイラだけだった(f)。 |
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一昨日の川越には実に多くのきのこが出ていたが、撮影したり持ち帰ったのはそのうちにごく一部だった。広範囲に見られた種類だけを撮影したのだが、カメラの特性がよく分かっておらず、大部分が失敗だった。撮影した一部を載せておこう。 雨に汚れてきれいな個体は少なかったが、ミドリニガイグチ(a)、クロハツ(b, c)は場所を選ぶときれいな姿の物がいくつもあった。早々とヤグラタケ(d)もチラホラみられた。アイタケは多数あるのだが、なかなかよい被写体になるような典型的な姿のものは少なかった。写真のアイタケ(e)は二つの個体の傘が合体しはじめていた。チチタケ(f)は、この林では茶色タイプよりも赤色タイプの方が多いが、両者とも出会った数はわずかだった。 去年の今頃はカラカラ陽気できのこがほとんど出ていなかった(雑記2004年7月上旬)。今年も雨不足だが、関東では最近になって急に多くのきのこが出てきた。 まだ夜中だが、今日はこれから遠州灘の海辺散歩。昨年の今頃は雨不足でハズレだったが、今年はどうだろうか(雑記2004.7.13 )。まずは浜松へ。そろそろ出発時刻だ。 |
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日光で採取したオオワライタケ(a, b)がいつまでも冷蔵庫野菜ケースを占拠していた。川越のきのこの収納スペースが足りない。おまけに筑波に行っている間にすっかり傷んでしまった。捨てることにしたが、その前に今朝慌てて検鏡した。川越のきのこは後回しである。 例によって最初に胞子紋を取ったカバーグラスをそのまま覗いた。胞子表面の様子がよく分かる(c)。顕微鏡に乗せたまま、カバーグラスの脇から水を注いだ(d)。水の代わりに3%KOHでマウントすると赤褐色に変わった(e)。こちらの方が表面の様子は分かりやすい。 採取から日数を経ているのでヒダの切り出しは容易ではなかった(f)。ヒダ実質部は平行に菌糸が走っている(g)。縁シスチジアは独特に姿をみせてくれる(h)。KOHを使ってバラしてみた(i)。シスチジアばかりではなく、担子器の姿を確認することにした(j〜l)。なぜかやたらに濃く染まるものがある(l)。傘表皮の撮影までは手が回らない。ウジ虫との戦いの朝だった。 |
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