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日( )


2005年4月20日(水)
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
(e)
(f)
(f)
 ウッドチップがにわかに活気づいてきた。降雨後の夏のような陽気のせいだろうか、さいたま市見沼の公園では、傘と柄をもったきのこが急に顔を出しはじめた。ヒトヨタケの仲間はむろん、キコガサタケキオキナタケツバナシフミズキタケなどである。昨日はざっと数えてハラタケ目だけで10種類を超えていた。
 特に目立つのがシロフクロタケ(a〜c)とウスベニイタチタケ(d〜f)である。成菌はもちろん)のこと、タマゴ(b)、幼菌(c)が多数みられた。ウスベニイタチタケはその名に反して、薄紅色ではなく退色している(d)。幼菌は濃色の独特の色調をもつ(f)。

2005年4月19日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 先日奥多摩の天祖山登山道で出会った白い小さなチャワンタケを検鏡した。ブナの殻斗からでる小さなもので、子嚢盤の径0.4〜1.0mm、柄の長さ1〜3mmほどしかない(a)。柄から托外皮層、子嚢盤の縁には細い毛が一面に生えている(b)。最初に低倍率で子嚢盤の切断面の組織構造を確認した(c)。小さいので切り出しが面倒だ。
 白毛は薄膜で隔壁を持ち、表面には微細な粒点が見える(d)。メルツァーを加えると子嚢先端は鮮やかに青く染まる(e)。サイズを測るために子実層をバラした(f)。子実層をバラしたりアミロイド反応をみるのに、3%KOHでマウント→軽く押し潰し→水洗→メルツァー滴加→水洗、という手順を踏んだ。(f)はそうやって作った。
 切片にKOHを加えて軽く押し潰すと、組織がバラバラになりやすい。子嚢サイズ、担子器のサイズ測定、担子器基部のクランプを確認したりするには有効な方法だ。
 KOHでマウントした組織に、そのままメルツァーを加えると、化学反応を起こして正確なアミロイド反応が分からない。5%など濃いKOHにメルツァー液を滴下すると、白濁して観察の邪魔になることもある。途中の「水洗」を省略するわけにはいかない。
 現時点では、シロヒナノチャワンタケとして扱っても支障はないだろう。

2005年4月18日(月)
 
 
ヤマネ
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
 土曜日(4/16)の奥多摩。荒れた林道に妙なものが転がっていた(a)。拾い上げてみると、小さな縫いぐるみ(?)だった。冬眠中のヤマネである(b)。
 斜面の上部から転げ落ちてきたのだろうか。手の中でつついても目を覚ます気配はない(c)。とても愛嬌のあるかわいらしい顔をしている(d)。危険な林道から安全な場所に移し、落ち葉の布団をたっぷりかぶせて、そのまま天祖山に向かった。
 数時間ほどして山から戻り、再びヤマネを移動させた場所をみた。相変わらず、スヤスヤと深い呼吸をして眠っていた。一名マリネズミとも呼ばれ、一年のうち半分近くを冬眠して暮らすと聞いているが、十分納得できた。
 天祖山は石灰岩の山である。急登が続くがとても気持ちよい径である。目的のきのこには出会えなかったが、とても幸せな一日だった。

2005年4月17日()
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
(e)
(f)
(f)
 奥多摩の最奥部を歩いてきた。早朝の往路、青梅線古里駅近くで「古里附のイヌグス」として東京都の天然記念物になっている巨樹に立ち寄った。風格のある老木であるが、いたるところに多数のマユハキタケが付いていた(a, b)。サルノコシカケなど硬質菌もあちこちから出ている。樹木としての寿命は長くないように感じた。
 古里附のイヌグスについては、東京の樹(Juhskeさん)、森の神(ramukaさん)に詳しい。日本の巨樹・巨木の高橋弘さん(日原森林館)、ありがとうございます。
 昨日は日原鍾乳洞方面には向かわず、大雲取谷を遡った。天祖山に登る登山道脇でツチナメコによく似たきのこが出ていた(c, d)。登山道を天祖山に向かったが、ブナの殻斗や実からは白い小さなチャワンタケが多数でていた(e)。林道や登山道の脇では樹液酵母がよく目立った(f)。目的のきのこには出会うことはできなかった。
 昨日の最大の収穫はヤマネに出会えたことだ。ヤマネは日本固有種で国の天然記念物に指定されている夜行性の生き物だという。

2005年4月16日()
 
砂地とデジカメ
 
 購入から数ヶ月のCAMEDIA5060WZが故障した。ケシボウズ撮影で砂地にカメラを置いたのがいけなかったようだ。CAMEDIAは電源オンでレンズ部分が繰り出して、電源オフで再びボディに沈み込む。このときに、微細な砂粒がネジ部に噛み込まれる。こういったことが何回か繰り返され駆動系に無理な力がかかったらしい。
 一方、従来から使ってきたCOOLPIX990では、レンズの繰り出しは本体内部だけで行われる。これまで何度も砂地に直接カメラを置いて撮影をしてきた。でも駆動部に砂が入ったことはない。過去の故障の原因の多くは濡れによるものだった。
 あらためて、砂地生きのこの撮影にデジカメ一眼レフは向かないと感じた。砂地でのレンズ交換さえ避ければ大丈夫と思っていたのだが、とんだ伏兵ありである。ケシボウズの生態撮影は今後もCOOLPIX9xxシリーズが中心になりそうだ。

2005年4月15日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 昨日の早朝、千葉県内房富津市の浜まで定点観察に行ってきた。ナガエノホコリタケの末期の姿があった(a〜c)。昨年秋に発生したものなのだが、毎月ずっとその経時変化を追ってきた。浜の北部で、柄と頭部を備えた個体を2本採取した(c)。ここの観察地点では、頭部がいくつか転がるだけとなった。
 別の場所では、また違った種のケシボウズが比較的よい状態で残っていた。今年の冬に発生したもので、頭部に比較して柄が太くて長いという特徴をもつ(d, e)。この辺りはすっかり春景色となっており、コウボウムギの緑色がすっかり浜を被っていた。他にはきのこの姿は全く見られなかった。
 昼にNIKONサービスセンターでCOOLPIXシリーズ用のリモコン装置を新品に交換してもらった。購入当初から、起動までに15〜20秒はかかり、最近では数分もかかるようになっていた(雑記2005.2.5)。帰宅してCOOLPIX9xxシリーズで確認したところ、いずれも7〜9秒で起動する。これで安心して顕微鏡撮影に使える。

2005年4月14日(木)
 
(a)
(a)
BIOPHOT
 E990
COOLPIX LABOPHOT
E950 
(b)
(b)
 日常愛用していたデジカメCOOLPIX990のオートフォーカス機能が完全に壊れた。うかつに修理に出そうものなら、中古相場より遙かに高い金額となってしまう。幸いなことに無限遠への固定は可能なので、顕微鏡専用に回すことにした(a)。
 これまで専用機として使用していたCOOLPIX950はLABOPHOT専用とした(b)。これに伴い、新たなスケールを作るため対物ミクロメータを撮影した。従来は、一台のデジカメを付け替えて使用していたのだから、大幅な環境改善である。
 これまで使用していた950にはリモコンは使えなかった。しかし990ではリモコンが使える。これはとても大きなメリットだ。

2005年4月13日(水)
 
石灰岩生Tulostoma
 
 ケシボウズタケ属Tulostoma標本の多くは海浜砂地で採取されている。ウネミケシボウズタケ(T. striatum)の最初の一個体を見つけるまでには、何年かにわたる数十回の海辺探索、定点観察が必要だった。長いこと無駄足が続いた(トップページのきのこ)。
 一方、石灰岩地にウロコケシボウズタケなどを探し始めて既に数年になる。このためだけに石灰岩地に足を踏み入れることが増えた。途中から、今日の雑記にも徒労の跡を記すようにした。ざっと拾ってみても、かなりある。
(1)雑記2003.8.25 (2)同2003.10.26 (3)同2004.3.4 (4)同2004.3.12 (5)同2004.10.5
(6)同2004.11.6 (7)同2004.11.7 (8)同2004.11.24 (9)同2004.11.26 (10)同2005.1.20
(11)同2005.1.27 (12)同2005.3.26 (13)同2005.4.10
 他人に案内されて、あるいは場所などを教えてもらってウロコケシボウズタケのミイラに出会ったことはある(雑記2004.11.26同2005.4.5)。今年は何としても、自力でこれらを埼玉・東京地方で見つけたい。海外に出かけているゆとりはない。

2005年4月12日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 一昨日採取した大きなチャワンタケはそのまま冷蔵庫に放置してあった。さいたま市の見沼地区ではウッドチップや古畳からよく発生している。形態だけからの予断は禁物なので、念のために早朝調べてみた(雑記2003.4.24)。
 子嚢盤を切り出してみると、濃い色をした子実層、厚い髄層が目立つ(a, b)。メルツァーを加えると子嚢先端は青色、子嚢の基部から真ん中くらいまでは濃赤褐色にそまった(c, d)。托外皮層の外側には微粉状から糸状をした白い組織がある(e, f)。
 子嚢を計測するためにKOHでバラしてフロキシンで染めた(g)。水とメルツァーでは組織をバラすのは難しいのだが、強引にやってみると、周囲の組織が引きちぎれた(h)。悪ノリついでに無理矢理胞子を噴出させてみた(i→j)。
 なお、托髄層の中央部には細い絡み合い菌組織がみられ、子嚢盤全体にわたって薄い層をなしていた(b, k)。メルツァーでは子嚢先端が鮮やかに青く染まる(l)。オオチャワンタケとしてよさそうだ(雑記2002.6.11同2003.6.4)。

2005年4月11日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
 例年なら今の時期には、大宮市見沼区の公園のウッドチップからは多数のきのこがでる。でも、今年はほとんどきのこの姿が見られない。昨日見られたのは、ヒトヨタケ属のきのこ(a, b)、巨大なチャワンタケの仲間(c, d)、大きく広がる変形菌アメーバのみであった。いずれもかなり乾燥気味で胞子紋はとれなかった。
 この公園ではここ一年以上、休日返上で毎日ウッドチップ製造機がフル稼働している。つい数週間前にウッドチップが散布されたかと思うと、またその上に新たなウッドチップが絨毯のように敷かれている。雨が降り、そろそろきのこが出てくるのではないかと早朝の公園に行ってみると、新たなウッドチップの絨毯を見ることが増えた。
 菌糸が成長し子実体を作るよりも先に、次なる新たなウッドチップの絨毯爆撃が襲う。これまで以上に爆撃の間隔は短い。例年なら沢山見られる、ネナガノヒトヨタケやウスベニイタチタケは影も形もない。

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