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明日(6月1日)から数日間、利用しているプロバイダの一つが大規模メンテナンスにはいる。このため、メンテナンスが終了するまで一部のミラーサイトの利用ができない。更新もできないので、「今日の雑記」なども5月31日付けのままとなりそうだ。メインサイトでも、写真などが表示されないページが生じるおそれもある。 ひさしぶりに「きのこ雑記」のファイル群にメンテナンスを加えた。今後に備えて、顕微鏡写真の部分のディレクトリ構成とファイル名を大幅に変更した。少しずつ鮮明な映像に変更し、かつて単眼顕微鏡にデジカメを押しつけて撮影した映像は廃棄する予定だ。 それにしても、たかだか130件強のHTMLファイルを変更することがこれほど面倒だとは! 関係するJPEGファイルは約600ファイル、相互に引用しているHTMLファイルが400ほどあった。インデックス作成までやったら、たっぷり半日かかってしまった。 |
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日光は相変わらず雨不足と低温が続いている。足下はカラカラ、倒木は干上がっている。そんな様子だから、見られるきのこはとても少ない。シャグマアミガサタケはまだ新鮮な状態で発生を続けている(a)。オオシャグマタケはすっかり熟した個体がチラホラみられた(b)。 タモギタケの多くが、乾燥し未成熟な状態で干からび、成長がとまっていた。色を保持した株にはごくわずかしか出会えなかった(c)。例年だとカラマツなどにツバを持ったマツオウジがかなり見られる。探したわけではないが、昨日は道ばたで若い菌をみただけだった(d)。 これほど乾燥していても、テンガイカブリタケばかりは新鮮な個体がかなりみられた(e, f)。乾燥して干からびきった個体も同じくらい多く見られた。総じて今年の日光では、今のところきのこは非常に少なく、例年とはかなり様子が異なっていいる。 |
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先日はカンゾウタケの胞子以外の部分を観察した(雑記2005.5.26)。今朝は、胞子だけをとりあげた。あらかじめ、昨日のうちにカバーグラス2枚の上にカンゾウタケをかぶせておいた。図鑑などには胞子を「卵形」と表現しているものが多い。 最初にカバーグラスに付着した胞子をそのまま、油浸100倍レンズの下でみた(a)。つぎにカバーグラスの縁にスポイトで水を注いだ(b)。フロキシンを追加しても特に見え方に変化はない(c)。もう一枚のカバーグラスをメルツァー液でマウントした(d)。非アミロイドだ。油球らしきものが顕著に見られることと、単なる卵形ではないことが興味深い。 ちなみに、今日の顕微鏡写真は三眼部にCOOLPIX990をアダプタで固定しリモコンで撮影。一方、以前とりあげた胞子などの映像(2002年5月)は単眼顕微鏡の接眼部に同910を押しつけて撮影。目で見えたとおりには写っていない。今夜は外泊ゆえ、明日の雑記はお休み。 |
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「顕微鏡下の素顔:Microscopic Features」は2003/10/19を最後に全く更新していない。この数年の間に、アマチュアの間にも顕微鏡がすっかり定着した感がある。取り上げた134種の映像には不鮮明な映像がかなりあり、全般的には鮮明な映像は少ない。 顕微鏡は研究者だけのものではない。写真撮影も難しくない。安価な単眼顕微鏡と普及型デジカメでも充分楽しむことができる。そういったことを少しでも伝えたいと思った。だから、三眼顕微鏡による鮮明な映像があっても、あえて単眼顕微鏡の接眼部に手持ちでデジカメを押しつけて撮影したものを優先して掲載した。 「キノコのフォトアルバム」掲載の580種についてはすべて検鏡しているので、顕微鏡写真はかなりある。ただ、同定にあたって必ずしも撮影はしていない。さらに、事故などで検鏡写真の多くを失っている(雑記2004.8.16、同8.2、同8.1、同7.29、同7.17)。だから、取扱種すべてについて検鏡写真があるわけではないが、手元には少なくも800種以上、数千カットはある。 今となってはMicroscopic Featuresを継続する意味は無い。しかし、全面的なリニューアルにはかなりの時間と労力が必要だ。手元にはケシボウズ等の未同定・未記載の標本が山積み状態だ。とても新装開店をする時間的ゆとりはない。 |
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カンゾウタケの名を知らない人は少ないだろう。しかし、霜降り肉を連想させる鮮やかな切断面や、特異な姿をした裏面となると、知らない人も多いようだ。さらに「卵形」と表現される胞子、担子器その他の組織を見た人は案外少ないのではないだろうか カンゾウタケの裏面をルーペで拡大してみると、管孔面のような筒がビッシリと並んでいるのがわかる(a)。切断してみるとそれぞれの筒は独立している(b)。さらに拡大してみると何かにとてもよく似ている(c)。まるでセンボンキツネノサカズキをみているかのようだ。こういった映像をみせられて「センボンキツネノサカズキの一部」などと説明されたら簡単にダマされてしまう。切断面をみると同じ太さの筒が子実下層から伸びている(d)。 筒の先端には微細な毛が生えている(e, f)。筒の内側側面には子実層がある(g)。透明で見にくいのでフロキシンで染めてみた(h)。あらためて、裏面から筒を一本取り出し、それを切って担子器を確認した(i, j)。なお、菌糸にはクランプがある。 |
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趣向を変えて仲間の撮影風景を2題。今年5月の日光。Tさん(a)が路脇の急な斜面から発生しているシャグマアミガサ(b)を撮影している。アングルファインダーをのぞき込んでシャッターを切る。足場を固めたつもりらしいが、途中でズルズルと落ちる姿が笑いを誘う。 Sさん(c)は地面にベッタリと座り込んで低い位置から、オオシャグマタケ(d)を狙う。アングルファインダーは使わずに、低い姿勢からファインダーを覗き込む。だからだろう、潰れた蛙を連想させる。きっと自分の撮影姿も、はたから見ると滑稽そのものなのだ。 Sさんはウチワ製レフ板を愛用している。表に銀紙(e)を張り、裏面は白色(f)のまま使う(雑記2004.1.16)。レフ板も持参するが、たいていはウチワで用が足りてしまう。 懸念していたとおりWindowsXPが非常に不安定になってきた。今朝も電源スイッチをいれたところ、Windowsの初期画面でフリーズ。リセットボタンを押してやりなおし。10回目くらいにやっと起動した。おかげで、何本もの原稿が中断状態のままだ。 |
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カンゾウタケの名を知らない人は少ないだろう。さらに胞子の姿を見た人は多くても、担子器などを見た人は案外少ないのではないか。 先日茨城県笠間市で採取してきた虫草の子実体頭部からルーペを覗いて1mm角ほど切りだした。最小限の損傷で検鏡試料を得るのは、標本庫から借りた標本の扱いでは常識だ。そのつもりで切片を切り出せば、虫草の場合でも、元の姿をほとんど傷つけずにすむ。 子嚢果の先端は表面にわずかに突出している(a)。子実体の柄は円柱形でそのまま宿主に繋がっている。アシブトアリタケでは柄の基部は根状に分岐して宿主に繋がるとある。 子嚢果は斜埋生型をしている(b)。子嚢は着色しないとコントラストが弱くてはっきりしない(c)。そこで安易にフロキシンで染めてみた(d)。子嚢先端の亀頭状の部分はどの虫草にもほぼ共通する形をしていて、分類上はあまり役にたたない。コットンブルーで染めてみると外部へ通じる細い通路がみえた(e)。ライターで熱すると、子嚢先端が破れ、一次胞子がバラバラになった(f)。マルミアリタケとしてよいのだろう。 |
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光学顕微鏡による観察では、一般に試料を水やKOH等で封入して観察する。しかし、封入剤(液)を用いずに、試料の上にカバーグラスを載せただけの状態で観察することも行われる。一部では、これをドライマウントと言っているようだ。 そのドライマウント状態で対物40倍から油浸100倍にしようとすると、油の張力に引きずられて、簡単にカバーグラスが浮いたり、ずれたりしてしまう。したがって、油浸100倍レンズで、ドライマウント状態を保つにはなんらかの工夫が必要になる。 要はカバーグラスがずれなければよい。セロテープを使うのが簡単だ(a)。カバーグラスに採った胞子紋を、スライドグラスに載せたら、両側をセロテープで固定する(b)。作業後に剥がしやすいように、テープは手前側にはみ出させるとよい。 セロテープで固定されているので、低倍率で位置をあわせて油浸100倍レンズにしても位置のずれはない(c)。まずこの状態で胞子を観察する(d)。次に封入液をいれたスポイトで、カバーグラスの脇から液を注ぐと(e)、たちまち鮮明な像に変わる(f)。スポイトで注ぐのはごく微量である。多すぎるとセロテープの接着面が浮き上がってしまい、せっかくの固定が無駄になってしまう。 |
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茨城県太平洋側の神社仏閣にはスダジイの老木が多い。例年だと老樹の根際に多数のカンゾウタケが見られる。今年は小振りで発生も悪い。大きなものでも差し渡し12〜18cmほどだった(a, b)。小さな祠だけの社で、すっかり腐朽した丸太に赤いゴミのようなものがついていた(c)。カンゾウタケの幼菌だった(d)。思いがけない発生環境に驚いた。道脇の法面に虫草らしきものがみえた(e)。掘り出してみるとホストは大型のアリだった。 帰路、茨城県自然博物館に立ち寄った。ここを訪問するのは初めてである。好天に恵まれミュージアムパークは家族連れでとてもにぎわっていた。1987年に茨城県波崎町で採取された標本がアラナミケシボウズタケとして保管されていることがわかった。小幡和男さん、戸来吏絵さん、多忙な中ありがとうございました。 |
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先日(5/18)に引き続き5月3日に持ち帰ったオオシャグマタケとシャグマアミガサタケの件である。オオシャグマタケの方はうまく熟してくれたが、今朝になると、急に表面が黒くなり崩れ始めた。シャグマアミガサは腐敗が始まり異臭を放ち始めた(a)。 もはやこれまでと思えるので、シャグマアミガサの子実層面を切り出した(b)。グズグズになっていてとても切り出しにい。前回(雑記2005.5.13)に比べて子嚢は多数できていた(c)。子実層をあちこち探したが、ほとんど胞子をもった子嚢がない。やっとのことで、ごくわずかに胞子ができはじめのものをみつけた(d)。KOHでバラしてさらによく探すと、ほんの一部胞子ができ始めていた(e)。しかし、成熟した胞子(f)と比べるとかなり小さく、膜も未完成である。 追熟実験は今日でおしまいにして、検鏡後に生ゴミとして処分した。よくみると白い小さな蛆が無数にうごめいていた。捨てた後にも不快臭だけが辺りに漂った。 |
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