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2013年9月30日(月)
 
日本珍菌賞候補?
 
 日本菌学会ニュースレター 2013-4(9月)号に「第一回日本珍菌賞」というタイトルの記事が掲載されていた。記事中に珍菌賞候補上位5種が紹介されているが、その中に福島第一原発事故関連の種が二つ入っている。一つはセンボンキツネノサカズキ Microstoma aggregatum (a, b)、いまひとつはコブガタアリタケ Ophiocordyceps pulvinata (d, e)だ。
 記事中で、前者については「福島第一原発事故以降立ち入りが困難となり,この稀少きのこのその後は確認できていないという」とある。後者については「福島県飯舘村で発生が確認されたが,原発事故の影響で再調査が難しくなってしまった」とある。
 二つとも話題性にはことかかない種ではあるが、どっこい健在である。しかし、両者とも福島県では絶滅寸前という新たな危機にさらされている。理由は「除染」作業だ(c, f)。分布域の大半で灌木が切られ表土がはぎ取られた。菌の棲息域が広範囲に根こそぎ失われてしまった。
 不幸中の幸いは、予算の関係で分布域のすべてを「除染」範囲に含めることができなかったことだろう(雑記2012.10.18同2013.9.11同2012.9.8)。
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
(e)
(f)
(f)
 家の近くの石森山斜面にもようやくカキシメジの仲間フウセンタケ属など、少しずつ秋のきのこがではじめた。しかし、昨日時点ではサクラシメジなどはまだ幼菌だ。

2013年9月29日()
 
センボン狐:発生から80日、いまだ成熟せず
 
 センボンキツネノサカズキの生長を確認するために川内村まで行ってみた(a〜d)。発生から約80日ほど経過してかなり育ってきたがまだ成菌にまではなっていない。馴染みの子安川の畔ではホンシメジ(d)、サクラシメジ(e)、フウセンタケ属のきのこくらいしか出ていなかった。
 荒れた林道脇を歩いてみると、湿地の倒木からナラタケ類がでていた(g)。その同じ倒木にはタマウラベニタケが多数ついていた(h〜j)。湿地を抜けるとヒメベニテングタケが鮮やかな色を見せてくれた(k, l)。やたらに目立ったキノコは、ドクツルタケ、ツルタケ、カバイロツルタケだった。あまりにも沢山でているので食傷気味となり、これらは一つも撮影しなかった。
 
(a)
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(c)
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 昨日出発時、代車カムリの燃料計の針はゼロ。ガソリン携行缶を積んで出発した。川内村往復の130Kmはずっと警告灯が点灯していた。途中追加したガソリンは約1リットル。警告灯の点滅開始から100Kmほど走れた。夜は諏訪神社例大祭の前夜祭に参加。

2013年9月28日()
 
昨日出会った近場のきのこ
 
 いわき市や楢葉町の緑地帯にもきのこの姿が増えてきた。相変わらずどこに行ってもシロオニタケとカワリハツがやたらに多いが、変わりダネのきのこも出てきた。
 一つはカサ表皮に先端の尖った錐状のイボを多数載せたシロオニタケモドキ(a〜c)、いまひとつはカサ表皮も柄もヌルヌルで紫色をしたムラサキアブラシメジモドキだ(d〜f)。タマシロオニタケも数多く見られた(g, h)。サマツモドキもよく出ているが、カサ表皮に小さな子実体を逆さに載せたものが面白かった(k, l)。昨日歩いた範囲では、他にもチチアワタケ、アカハツ、ヘビキノコモドキ、ガンタケ、オニイグチモドキ、コビチャニガイグチなどがいくつも見られた。
 久しぶりにヒカゲシビレタケの群落を見た。いわゆる御禁制品である。5〜20本束生したものが10〜15株ほど出ていた(i, j)。このきのこはアイセンボンタケと酷似しているが、おそらく間違いないだろう。検鏡して縁シスチジアの形をみれば確実だが、法律がそれを許さない。
 
(a)
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(c)
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 今日と明日は集落の守り神である諏訪神社の例大祭。今朝は子供御輿が行われる。

2013年9月27日(金)
 
胞子は未熟だった:石森山のトリュフ
 
 先日友人と一緒に石森山のフラワーセンターを歩いた。以前トリュフが採れたという場所に行って、三人でホリホリ作業をした。「ないかな〜ぁ」と地面をひっかいていると、友人が「あった!」とほっとしたような声をだした。確かにトリュフが出てきた(a)。長径3cm強ほどの黒い塊状で表面はイボイボに被われている(b)。残念ながらこの日はこれひとつだけだった。
 持ち帰って半分に切断すると、特有の大理石模様があらわれた(c, d)。まだかなり若い。まだ胞子はできていないかもしれないと思いつつ、大理石模様の一部を摘んで顕微鏡に載せた。予測通りまだ胞子はほとんどできていなかった(e, f)。
 
(a)
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(b)
(c)
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(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 今朝はよく冷え込んだ。ホームセンターのチラシにはこのことろコタツやストーブの宣伝が賑やかだ。昨日は掘りごたつの底を掃除した。底にはクモ、カエル、昆虫の死骸がいくつも転がっていた。雨は降った。気温は下がりはじめた。秋のきのこが出る環境は整った。自宅庭のマツ樹下には、テングタケ属、ベニタケ属のきのこがいくつも出ている。

2013年9月26日(木)
 
キナメアシタケではなかった!
 
 今月前半、奥秩父の亜高山帯でカサや柄に強い粘性を帯びた小さなきのこを採取した(a)。肉眼的観察だけでキナメアシタケ(Mycena citrinella)だろうと思いそのままずっと放置していた。何気なく胞子を覗いてみたところ、キナメアシタケにしては何となく大きい。そこで、あらためて乾燥標本を引っ張り出して覗いてみた。画像(d, e)は生の時の写真だ。
 胞子(b)は弱いアミロイド(c)。ヒダの付き方は上生〜離生で(d)、ヒダの縁をルーペでみると厚みがあって何となくモヤモヤしている(e)。ヒダ断面を切り出すと(f)、ヒダの縁が綿毛を付けたかのようにボケてはっきりしない(g)。モヤモヤしている部分をフロキシンで染めて倍率をあげて見ると、モグラの手のような縁シスチジアの集まりがみえた(h, i)。担子器も意外と大きい(j)。カサ表皮は薄膜菌糸が平行に並び(k)、その上にはっきりとは捉えにくい細い菌糸が這っている(l)。
 どうやらナメアシタケ(M. epipterygia)のようだ。肉眼的にはキナメアシタケとほとんど区別はできない。胞子をみてもサイズを厳密に検証しないと、どちらなのかは分かりにくい。しかし、縁シスチジアを見れば両者の差異は明瞭となる。キナメアシタケの縁シスチジアはこん棒型〜紡錘形で、細い指先の様な分岐はない。久しぶりに顕微鏡が役立つ場面があった。
 
(a)
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(c)
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 メインパソコン(Windows 7 32bit)が怪しい。数ヶ月前から突然異音を発したり、起動時にエラーとなったりする現象が現れ始めた。本体は2007年に購入したもので、今年11月で使い始めて満6年になる。今朝も突然画面が暗くなって「落ちて」しまった。何らかの対策を施しておかないと危険かもしれない。とりあえず、データ類のバックアップ作業をやっておこう。

2013年9月25日(水)
 
秋のきのこの少ないこと!
 
 那須連峰北部のブナ・ミズナラ林までは自宅から150Kmほどある。そこを定点観察ポイントのひとつにしているが、昨日きのこのはほとんど無かった。新甲子トンネル東側、西郷村の沢沿いにだけきのこがあり、ハラタケ属とテングタケ属のきのこが見られた。
 KOHを滴下するとヒダがやや緑色に変色するハラタケ属(a, b)、ナカグロモリノカサと思われるもの(c, d)が広い範囲に幼菌から老菌までそろっていた。サクラシメジはまだ発生数がとても少なかった(e, f)。遊歩道脇ではドウシンタケが雨で汚れていた(g, h)。タマゴタケばかりがよく発生していた(i)。やや黄色みの強いタマゴタケによく似たきのこも見られた(j)。
 帰路いわき市のブナ林に寄ってみると、ヌメリツバタケモドキ(k)とキララタケ(l)が出ていた。ブナ倒木にきのこはほとんどなく、径5〜6mm程のツキヨタケがついているだけだった。
 
(a)
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 今年に関していえば、きのこは8月のお盆の頃に最も豊富に見られた。それ以降昨日まで、どこに行ってもきのこは全般的に少ない。どこも、いまだに夏のきのこが多くみられる。

2013年9月24日(火)
 
再びテングタケ類の季節
 
 昨日午後昼食後に石森山を歩いてみた。バライロツルタケの幼菌(a)をはじめ何通りか色合いの異なるツルタケ(b, c)、タマゴタケ(d)、ガンタケ(e)、ドウシンタケ(f)などがみられた。しかし、何といっても相変わらずシロオニタケ(g〜i)がいたるところで見られる。イグチ類は少なく、コガネヤマドリ(j〜l)、アカヤマドリ、ヤマドリタケモドキ、アワタケなどが見られた。
 
(a)
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(j)
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(k)
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(l)
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 秋のきのこはカキシメジがようやく見られるようになった(m, n)。集落の稲は黄金色の穂をたれ(o)、先の連休には終日コンバインや稲刈り機の音が賑やかだった。隣家の前の田圃では、刈り取られた稲がハザに掛けられて天日干しされた(p)。
 昨日の午前中は庭仕事に明け暮れた。作物の収穫、天日干し、草刈り、草集め、落葉はき、コンバインやチェンソーの整備、電気柵まわりの管理と、結構いろいろな作業があるものだ。こういった仕事は埼玉県で団地住まいの時にはまったく縁がなかった。
 
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
 今度の週末には集落の守り神である諏訪神社の例大祭がある。「県指定文化財」の「絹谷の獅子舞」が奉納される。今年も昨年同様、例大祭は日本菌学会のフォーレと日程が重なっているが、フォーレには参加しないので、獅子舞をたっぷり鑑賞できそうだ(雑記2012.11.19)。

2013年9月23日()
 
高線量地でのきのこ採取
 
 友人と三人で、福島県内の(放射線)高線量地である飯舘村の山中や伊達市の霊山町などできのこ採集をしてきた。放射線量測定のためのきのこを採取することが主目的だったので、観察用ないし菌類標本としてのきのこは採取せず、ごく一部のきのこしか撮影もしなかった。悪路ばかりを選んだこともあって、久しぶりにアドベンチャーランを楽しんだ。
 放射線測定用のきのこは10種類以上を採取できた。きのこの撮影はハンノキイグチ(a〜c)、モミタケ(d, e)、サクラシメジ(f, g)だけにした。どこも全体に乾燥気味で被写体としてよい状態のきのこはほとんど無かった。罠を振り切って脱出したが途中で息絶えたイノシシやらタヌキなどの死骸にであったり(i)、バッタが芋虫をむさぼり食っていたりしていた(j)。
 なお、線量測定用きのこを送っても受け取ったか否かの連絡もないのでは、なんとも心許ない。そういう部署や担当者には今後はわざわざ送るのはやめにした。
 
(a)
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(i)
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(j)
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 夕方、車検切れになるスバル フォレスターを車屋さんに引き渡してきた。新しい車が来るのは来月初め頃になりそうだ。それまでは代車のトヨタ カムリが日常の足となる。

2013年9月22日()
 
久しぶりの試薬作り
 
 先日の地震で薬品類の入った瓶(500mlないし500g)がひっくり返ったり割れたりした。幸にも劇薬類の濃硫酸とかフェノールの瓶は倒れただけで無事だった。地震前からきのこ用の試薬類がいくつか残り少なくなっていた。そのうちに調合しなくてはと思いつつ、面倒くさくて放置していた。地震被害の後始末を機に、意を決して不足気味となっていた試薬類を調合した。
 きのこの検鏡で最も使用頻度の高いのはメルツァー液とKOH、フロキシンだ。メルツァー液の調合は面倒だが、今後数年分の貯め置きが冷凍庫に入っている。KOHは顆粒を計量して蒸留水に溶かした。フロキシンは微量の粉末を蒸留水に溶かした。コットンブルー、グアヤクチンキ、アルファーナフトールが残り少ないが、今回はパスした。
 一般的なきのこ関連の試薬類は10年ほど前から自分の手で作ってきたが、一個人で試薬を作るのはやはり経済的にも効率的にもバカバカしい。必要な試薬セットを入手する最も簡易な方法は、菌類懇話会などの団体に加入することだろう。

 今朝はこれから友人の車で飯舘村や南相馬市などの(放射線)高線量地に向けて出発。


2013年9月21日()
 
郡山も福島もきのこがない
 
 昨日の地震被害の後始末は徐々にすることにして、気分転換を兼ねて中通りの郡山市から福島市を回ってみた。都市郊外の緑地にはきのこがほとんどなく、やむなく磐梯吾妻スカイラインに上がったが、標高1,600m近辺でもきのこの発生はとても悪い。
 標高1580mあたりのキャンプ場周辺と駐車場周辺でかろうじて10数種類のきのこが出ていた。それらのうちからいくつかメモしておくことにした。クロチチタケ(a, b)、オニナラタケ(c, d)、ヤマイグチ(e, f)、アミハナイグチ(g, h)、ヌメリツバイグチ(i, j)、アシグロタケ(k, l)は結構よく出ていた。他にもカキシメジ、フウセンタケ属数種、ベニタケ属数種を数えた。
 
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 これまで24万Kmほど愛用してきたスバルフォレスターは来週で廃車(雑記2009.9.10)。実質的に昨日の遠出が最後のご奉公になった。来週中に後継車両が届くことになっている。ニックネームにふさわしく車体色はブラックを選んだ。今度の車は車高がとても低いので林道は走れない。

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