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2015年11月10日(火) ハナビラニカワタケの幼菌?
 倒木にゼラチン質のきのこがついていた(a)。帰宅後すぐに胞子紋をとる段取りをしたが、翌朝になっても胞子がほとんど落ちていなかった。二日目の朝、ようやく少量の胞子がとれた。楕円形ないしタマゴ形をしている(b, c)。子実層を切り出してみた(d)。倍率を上げてみると熱気球のような形の担子器が見られる(e)。あらためてフロキシンで染めてみた(f, g)。菌糸にはクランプがある。胞子の発芽の様子は分からないが、その形と単子器の形などから、シロキクラゲ科のきのこと思われる。おそらくハナビラニカワタケの若い菌なのだろう。
 
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 干し柿のできを楽しみにしていたが(i)、今朝見ると表面が青色のカビに覆われていた(j)。最もカビの少ないものを齧ってみたが強いカビ臭さに耐えられず吐き出してしまった(k)。悔しいが諦めてすべて廃棄処分した(l)。日照と温度・湿度管理に問題があったのだろう。
 神橋周辺の慢性渋滞がほぼ治まってきたので、昨夕ひさしぶりに東照宮の先の温泉まで行った。途中の街道の両側には素晴らしい紅葉がずっと続いていた。


2015年11月9日(月) オシロイタケ:骨格菌糸? or 結合菌糸?
 日光の名勝憾満ガ淵で水分をたっぷり含んだ白色系の塊状のきのこに出会った(a, b)。硬いスポンジ状のきのこの子実層面には管孔が4〜6個/1mmほどある。胞子はソーセージ形で(f)、非アミロイド(g)。子実層の薄切りを試みたがうまくいかなかった(i)。
 菌糸型は二菌糸型または三菌糸型で(j)、原菌糸にはクランプがある(k)。厚壁で隔壁のない菌糸が骨格菌糸なのか結合菌糸なのかよくわからない。骨格菌糸にしてはたいてい途中で枝分かれするし、結合菌糸にしては長くまっすぐに伸びる部分が多い(l)。オシロイタケだろう。
 
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(a) 子実体上面、(b) 子実体裏面、(c) 孔口、(d) 管孔部断面、(e) 子実体断面、(f) 胞子:水 、(g) 胞子:メルツァー、(h) 胞子:フロキシン、(i) 子実層、(j) 菌糸型、(k) 原菌糸、(l) 結合菌糸?


2015年11月8日() 宇都宮の都市公園:すっかり晩秋
 午前中に宇都宮市の標高150〜180mほどの地にある都市公園を散策した。紅葉も大方終わって晩秋そのものだった。クルマを駐めて古墳への遊歩道を歩いてみた。落葉の下のきのこは見つけにくかったが、やや干からび始めたきのこを見つけた(a〜c)。何となくサケツバタケのように思えたが確信が持てなかった。帰宅してから胞子(d, e)を確認し、ヒダの縁を顕微鏡で見た(f)。サケツバタケでよさそうだ。落葉などがリター状になっていたのでそこから発生したようだ。他にはナラタケの仲間(g, h)、クリタケなのかチャナメツムタケなのかよくわからないきのこ(i, j)、クヌギタケの仲間(k, l)などが見られた。夕方になって霧雨が降り始めたが夜には止んでしまった。
 
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 川口市やいわき市では、スーパーマーケットで「渋柿 干し柿用」といった表示をされた柿が販売されている姿にはお目にかからなかった。ここ日光では10月後半頃からどこのスーパーに行っても渋柿が大量に販売されている。自宅周辺を歩いていると多くの家に吊るし柿をみる。食習慣の違いなのだろうか。いずれにせよ干柿好きにはとてもありがたい。


2015年11月7日() カミウロコタケ:カサ上面を初めて確認した
 これまで何度もカミウロコタケには出会っているが、いつも背着生の子実層面だけしか見られなかったので、全背着生のきのこというイメージが染み付いていた。先月末に市内の憾満ガ淵で出会ったものは棚状のカサを作っていた(a〜c)。カサ上面を確認したのは初めてだった。図鑑などに半背着生と記されていることに実感としてようやく納得できた。
 乾燥すると子実層面は褐色になった(d)。カサ表面の毛には変化はなかった(e)。断面を切り出すとシスチジアが無数にみえる(f)。倍率を上げると、紫色のシスチジアが子実層の奥から伸びて上部に多数の結晶を帯びている(g)。子実層にすっかり埋没しているものも多い。KOHで封入すると褐色となった(h)。胞子らしきものもわずかに見えた(i)。フロキシン・消しゴム法で組織をバラすと、シスチジアの結晶はすっかり溶けてしまった(j)。菌糸構造は一菌糸型でクランプはない(k)。担子器らしきものは捉えられるが、担子小柄をつけたものは見つからなかった(l)。過去にも何度かカミウロコタケを検鏡している(雑記2006.5.23同2003.9.30、etc.)。
 
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 朝つくば市に向かうためクルマで出立したが、運悪く宇都宮市の通勤渋滞に巻き込まれた。さすがに北関東最大の都市だけあって、どこまで行っても車列は絶えず、たかだか20Kmほどの区間を抜けるのに70分ほどかかってびっくりした。朝の通勤時間帯にこの区間を走行したことはなかったが、これまではこの区間を通過するには25分もあれば十分だった。


2015年11月6日(金) 久しぶりの都市公園散策
 風邪がまだくすぶっているので暖かい時間帯に短時間だけ近くの都市公園を散策した。日陰は寒いのに日向は暑いくらいのおかしな陽気だった。どこまでも一面に澄み切った青空の先には男体山やら女峰山がくっきりと見えていた(l)。
 遊歩道の周囲には落葉が厚く堆積してきのこの姿はほとんど見えない。一方で落葉がなくコケに被われた一画にはいくつかのきのこが見られた。チャヒメオニタケ(a, b)、スギタケ(c〜f)、ハタケシメジ(g)、チチアワタケ(h, i)、ノボリリュウタケ(j, k)など。もしかしたら落葉の下にも出ているきのこがあったのかもしれないが、それらを探す気力はなかった。
 
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 今日はこれからつくば市の森林総研へ。帰路、日光市の温泉に寄って帰宅の予定だ。


2015年11月5日(木) いかにも「〜らしくない」カワウソタケ
 風邪が快方に向かい始めたので、昼近く暖かくなった頃を見計らって、三日ぶりに軽い散歩に出た。山を撮影するつもりで簡易コンパクトカメラだけを持って出た。
 駅前の桜の老木に硬質菌が多数ついていた(a〜d)。いくつかをむしり取ってポケットにいれ持ち帰った。自宅であらためて撮影すると(e)、カサの縁が胞子にまみれたものがあった(f)。
 孔口は2〜3個/1mmで(g)、カサ表面には微毛もみられる(h)。カサに付着した胞子は明褐色の楕円形だった(i)。子実層托の一部をみると一菌糸型に見えた(j)。あらためてカサ肉の一部をほぐしてみた(k)。褐色の菌糸は骨格菌糸のように見えるが、よく見れば隔壁を持っている(l)。どの菌糸にもクランプは見られない。やはりこれは一菌糸型のきのこのようだ。菌糸が茶褐色で一菌糸型、クランプはないとくればタバコウロコタケ科ということになる。となれば、どこかに剛毛体があるはずだと思ってさんざん探したが、結局剛毛体は見つからなかった。
 カワウソタケに間違いなさそうだが、ちょっと見にはまるでカワウソタケらしくない。カワウソタケでは剛毛体をほとんど作らないものや、非常にわずかの剛毛体しか持たないものがあるという。胞子を見なかったら、カワウソタケとはわからなかったかも知れない。
 
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 10月はある時期からきのこの発生がパタッと止まってしまった。雨不足が大きく影響したと思われる。地元の新聞にもそれを裏付ける記事が掲載されていた。


2015年11月4日(水) Trichaptum(シハイタケ属) or Irpex(ウスバタケ属)
 栃木市のみかも山公園で立ち枯れの樹に明褐色のきのこが重なりあうように無数についていた。一つひとつのきのこはチャウロコタケやハカワラタケ等と似通った色と形をしているが(a, b)、裏面の子実層は長い針状になっている(c, e)。カサの頂部にわずかに毛が見られるが、それ以外のカサ上面には毛らしい毛はない。早朝記したものを修正した(am9:00)。
 菌糸構造は三菌糸型のように見える(g)。原菌糸にはクランプがある(h)。結合菌糸のように見える菌糸がある(j)。子実層を切り出すのは面倒なので、押しつぶし法でバラバラにした(k)。端子小柄を持ったものが見つからず、担子器なのか偽担子器なのかわからない(k)。シスチジアは表面が平滑なものしかみられない(l)。胞子は見つけられなかった。
 管孔部を見るとまるでニクハリタケ属(Steccherinum)のようにも見えるが、いくつかの図鑑にあたってみてもこのようなきのこはみあたらない。そこでシハイタケ属(Trichaptum)かもしれないと思い図鑑にあたってみた。子実層面が淡紫色にならないことからシロハカワラタケ(T. elongatum)にも似ているが、子実層托が違う。となると、ウスバタケ属(Irpex)が考えられる。コゴメウスバタケ(I. parvulus)にも似るが、ほとんど背着していない。結局種名にまでは至らなかった。
 
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(a, b) 子実体上面、(c) 子実層托、(d) 乾燥品、(e) 子実層の針、(f) 断面、(g) 菌糸、(h) 原菌糸、(i) 骨格菌糸、(j) 結合菌糸、(k) 担子器、(l) シスチジア

 冬場の日光にきのこは極端に少ない。周辺で見られるきのこといえば殆どが硬質菌ばかりだ。さらに多年生の硬質菌はまだしも、一年生のものはミイラ状態だ。「雑記」の内容も硬いきのこ中心になってしまいそうだ。風邪がようやく快方に向かい始めたようだ。


2015年11月3日(火) 弾力性のあるきのこ:シミタケ
 先月末に中禅寺湖畔で採取したきのこを観察した。ボロボロに腐朽した広葉樹に多数ついていた(a〜c)。触れるとしっとりとした湿り気を感じ弾力性があり、若い菌ではカサも子実層部もほぼ白色で、指で摘んでみると汁がにじみ出て押された部分が紫褐色に変わった。乾燥するときのこ全体が暗褐色になり木質化して非常に軽くなった。一菌糸型で菌糸にはクランプがある。孔口は不規則な形をしており3〜4個/1mm。シミタケ(Oligoporus fragilis)なのだろうが、乾燥標本はまるで別種のきのこに見える。
 
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(a, b) 子実体、(c) 子実層面、(d) カサ表面、(e) 子実層面、(f) 断面、(g) 孔口、(h) 孔口部断面、(i) 胞子と原菌糸など、(j) 菌糸と担子器、(k) クランプがある、(l) メルツァー液で封入

 先週の土曜日頃から風邪に捕まってしまった。咳こそ少ないが、鼻水、クシャミ、発熱、頭痛、悪寒が激しく、日常生活にかなりの支障がでている。絶えず鼻水が垂れるので、顕微鏡やらパソコンに向かう時には、鼻孔にティッシュペーパーを詰めなくてはならない。昨日朝は久しぶりに本格的な雨となった。しかし、雨でなくとも散歩などの外出は無理だった。


2015年11月2日(月) タイヤ交換:狭いスペースに難儀した
 昨日午前中にプリウスとアルトのタイヤをスタッドレスタイヤに交換した。駐車場自体は小型車と軽自動車を格納できるスペースがあるにもかかわらず、中ほどに柱がありしかも床面が傾いている(a)。プリウスを駐車スペースにバックで入れると、この柱のために右側が隣家の石垣ギリギリになってしまい(b)、ジャッキを噛ませたり十字レンチを回すのに十分なスペースが得られない。もちろん左側は楽に作業できる(a)。屋根のある側のスペースにはプリウスは入らない。だから理屈としては、片側の交換を済ませたらクルマの向きを変えてから作業すればよいのだが、しかしそれはかなり面倒だ。そこで苦しい姿勢でクルマの位置を変えずに作業した。
 軽自動車アルトの作業は簡単だった。小さくて軽いためにジャッキを前後に一度ずつ噛ませればよく(d)、比較的簡単に交換できた(e)。ちなみに、いわき市時代プリウスの交換作業はジャッキとタイヤの運び出しから交換作業をして後片付け終了まで含めて、30分ほどで済んだものだが、今回は1時間もかかった。アルトはいわき市時代同様に20分ほどだった。
 
(a)
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(e)
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(f)
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 10月20日に吊るした渋柿がかなり熟れてきた(f)。干し柿ができる日も近い。


2015年11月1日() シュタケとヒイロタケ
 図鑑などにはシュタケ(Pycnoporus cinnabarinus)は北方系、ヒイロタケ(P. coccineus)は南方系とされ、シュタケはブナ帯以上に多く、ヒイロタケは本州以南の平地に多いとされる。シュタケがPycnoporus(シュタケ属)の基準種とされ、両者ともに三菌糸型だと記されている。両者は「胞子の大きさが違うが,肉眼的には管孔の大きさでも区別ができる」とある。「孔が肉眼ではっきり認められるのがシュタケ,ルーペで見てはっきり認められるのがヒイロタケである」という。
 日光では市街地でヒイロタケ、中禅寺湖畔でシュタケが見られる。上段の(a)から(e)がシュタケ、下段の(a')から(e')がヒイロタケ。(f)と(g)は両者を並べたもの。残念ながら両者ともに胞子をみつけることはできなかった。そこで、孔口と菌糸型を確認することにした。(g)は断面。フロキシンで染まっている原菌糸には両者ともにクランプが認められる(e, e')。
 
背面腹面孔口菌糸型原菌糸比較
(a)
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(e)
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(a')
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(d')
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(e')
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(g)
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 昨日栃木市のみかも山公園に行ってみた。山全体がすっかり乾燥しきっていて、きのこの姿はほとんどなかった。アラゲキクラゲはコチコチ状態、硬いきのこもすっかりミイラ状態。多少みられたのはカイガラタケキカイガラタケ(上面)同(裏面)ネンドタケヒイロタケくらいだった。


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