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日曜日の京都は快晴無風のとても穏やかな一日だった。この日は幼菌の会の採集会に参加させてもらった。集合場所の八坂神社(a)に行くと半分くらいは友人やら顔見知りだった。会の代表Mさんや、事務局のMさんに会ったのはこれが初めてだった。きのこを観察しながら将軍塚までたどり着いた。あいにく空が霞んでいて鮮明な展望を楽しむことはできなかった(b)。何種類かのきのこに出会うことはできたが、傘と柄をもったきのこはやはり少ない。センボンクヌギタケらしきキノコ(c)のところで、撮影風景を楽しんだ(d)。コイシタケや冬虫夏草の仲間なども見られた。最後は清水の舞台に行き、観光客となってしまった(e, f)。 | |||||||
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一昨日の土曜日仲間6人で、三重県の海辺の砂浜を歩いてきた。若いマツの植林された浜では何種類かのきのこがみられた(a)。コツブタケが成菌から老菌まで非常によく目立った(b, c)。割れた老菌を切断してみたのは初めてだった(d)。一方、砂地にはかなり多数のケシボウズが発生していた(e, f)。すでに発生から数ヶ月経過したものやら、つい最近発生したばかりのものなど、何種類かを観察することができた。気温が低いばかりではなく、とても風の強い寒い一日だった。 | |||||||
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ハラタケ型きのこの頭部を記す語について、先日仲間内で話題となった。英語ではpileusあるいはcapである。capは帽子だが、pileusはギリシャ語由来のラテン語で、原義はフェルトの頭巾、帽子。「傘」に該当する英語はumbrellaで、これは柄を伴った概念である。はたして、pileusを表記するには「傘」でよいのか、「かさ」あるいは別の表記をするのが適切なのか。 象形文字としての「傘」は「あまがさ」である。だから、厳密に解釈すると、きのこの頭部の意で使うのは不適切となる。「かさ」には、「傘」のほかにも、「笠」、「暈」がある。多くの図鑑類では、おもに「傘」が使われている。意識的に「かさ」と表記している図鑑もある。ちなみに、小林義雄「原色日本菌類図鑑」ではpileusを「葢」(=蓋?)として表記し、「傘」は使っていない。 さて自分たちはどうかといえば、あまり気にすることなく「傘」も「かさ」も使ってきた。しかし、厳密に考えると「傘」よりも「かさ」の方が理にかなっている様に思える。ただ、どちらの表記を採用しようと、専門誌のレフェリーからこの点を指摘されることはない。 今日から2日間不在にするので、月曜日まで雑記はお休み。三重、京都などを歩いてみる予定だが、はたしてきのこに出会えるのだろうか。 |
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例年だと、団地内を歩くとたいていキクラゲ類が見つかるのだが、今年はほとんどない。昨日落ちていた樹皮をよくみると、硬質菌らしきものがついていた(a)。ルーペで見ると針のようなものが無数についている(b)。すっかり乾ききっている。サガリハリタケだろう。 針の先の方を横断的に切り出した。透明で見にくいのでフロキシンで染めた(c)。倍率を上げて子実層を見たが、担子器らしき組織は明瞭には捉えられない(d)。薄膜の原菌糸のみからなるモノミティックで、胞子は類球形、組織には多数のクランプがある(e)。 画期的な一眼レフデジカメが出るようだ。昨日オリンパスのズイコークラブから案内メールが届いた。E-330、フォーサーズ仕様、液晶画面でフレーミングしながらの撮影が可能とある。手持ちのレンズ4〜5本がすべて生きる。現時点できのこ撮影には最適なデジカメといえよう。 |
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先日の菌懇会例会の席上で、キクラゲ類のプレパラートのことが話題になった。今の時期でもキクラゲの仲間は広く見られる。きくらげ類の胞子観察やプレパラート作成では、かさと柄をもったハラタケ目のきのこととは違った配慮が必要とされる。 生の状態では、うまく胞子が見られなかったり、切片作りもかなり難しい。かつて切り出しに苦労していた時期に目から鱗だったのが、青木孝之氏による小論「キクラゲ類の研究方法」(神奈川キノコの会会報 くさびら 第10号, 1988年5月)だった。 キクラゲ類について、初歩的なところからかなり高度な内容までがコンパクトにまとめられている。これは一読の価値がある。その中の一節に以下の文がある。
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科博ニュース(国立科学博物館ニュース)第442号は「特集 菌類と生きる」である。表紙を飾るのは、昨年10月に熊本県菊池渓谷で撮影されたロクショウグサレキンの仲間(a)。徳増征二「菌類とのつきあい」、出川洋介「自然の中の菌類」、細矢剛「菌類と人間」、奥田徹「人間が利用できる菌類」、原田幸雄「人間をおびやかす菌類」といった興味深いテーマ並んでいる。 科博ニュースは、(財)国立科学博物館後援会の発行する月刊の一般向け教育啓蒙誌である。中程のページには毎月「教育普及活動のご案内」が掲載されている。かつてここに掲載された各種の菌類学講座に出席して勉強したことが懐かしい。 昨日所沢まで行ったので、ついでに航空記念公園を歩いてみた。雪はほとんど消えたがきのこの姿はほとんどない。わずかにツバキキンカクチャワンタケが落ち葉の下に出ていた。 |
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一昨日の日曜日、今年初めての菌懇会例会があった。毎月観察を続けている川崎市の生田緑地はすっかり雪に覆われ、きのこを探すにはかなり厳しい状況だった(a〜c)。しかし、それにもかかわらず、雪をどけて、マツカサキノコモドキとかツチダンゴの仲間を採取してくる強者もいた。おかげで久しぶりにハラタケ目の切片を観察する機会を得た。ことし初めてのマツカサキノコモドキだった(雑記2005.11.11)。一方、白色のツチダンゴの仲間はコウボウフデの子嚢胞子とよく似た形の胞子だった。 午後は井口潔氏によるゼミ「ドングリキンカクキンの暮らし −コナラ堅果の分解にかかわる生物たち−」が行われた(d)。雪の影響か参加は例年より少なかったが、興味深い話題にわいた。帰路、夜の生田緑地は路面がテカテカに凍り付いていて歩くのが怖いほどだった。 仙台の斉藤 紀さんが亡くなられたという。今一度じっくりと話をしたいと思っていたが、ついにそのチャンスは亡くなってしまった。残念だ。ご冥福をお祈りします。 |
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手元にツバキキンカクチャワンタケが残っているので、今朝はそれをみた。子嚢菌の切り初めである。子嚢盤の一部を適当に切り出すと、子実層などがみられる。何度も繰り返し使ってきた古いカミソリはすっかりナマクラであった。組織が引きずられている(a)。 托外皮層は円形菌組織、托髄層は絡み合い菌組織(b)。子実層は水で封入すると、よほど薄切りにしない限り透明で見にくい。これは40μmほどあり厚すぎだ(c)。ただ、子実層上皮のように突出した子嚢なら撮影も楽だ(e)。メルツァー液を加えると全体に着色されて見やすくなる(d)。倍率を上げると子嚢先端の孔の壁が青く染まっているのが明瞭に捉えられる(f)。 分かり切ったきのこを何度でも検鏡するにはわけがある。近年記憶力の衰えが激しい。そこで、同じものを何度でも見て、こぼれ落ちていく知識を補充する。ザルの様になっていく老化した脳に頼らずに、すこしでも体で覚えるようにしている。無駄な抵抗かもしれぬが。
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昨日は雪にもかかわらず、千葉菌スライド会には40名以上の参加者があった。定刻には集まりが悪かったが、いつの間にか参加者が増えていた。関西からの参加者もあり、思いがけず盛況だった。数年前まではポジフィルムによるスライド映写が大半だった。しかし、昨日は発表者の大半がデジタルデータによるプロジェクター利用だった。 懇親会にも24〜25名が参加した。解散時、千葉駅市内はかなりの積雪があったが、都心に近づくにつれ積雪は少なくなった。帰宅した川口市では積雪はごくわずかとなり、道路には溶けた雪が少し残っている程度だった。千葉市内の方が積雪が多いことに驚いた。今日は菌懇会の例会だが、川崎市の緑地もすっかり雪を被っていることだろう。 |
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今日から2日間、大学入試センター試験が行われる。天気予報では雪になるかもしれないという。降雪の影響で交通機関が麻痺したり、入学試験の円滑な実施に支障がでれば、大きな社会問題になる。天気予報の質が厳しく問われることになる。そこで、この時期に出される天気予報は、「悪天」を必要以上に強調する傾向がある。いわゆる政治予報である。 しかしこの冬は実際に例年になく寒い日が続いている。成長し始めたツバキキンカクチャワンタケも、この急な寒さでしぼんでしまいそうだ。例年なら、そろそろハンノキのキンカクキンなどが顔を出しはじめるのだが、今のところ姿を見ない。公園のウッドチップからもきのこは出ていない。今日は千葉菌類談話会のスライド会・新年会。千葉はとても遠い。帰りが寒そうだ。 |
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