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この [今日の雑記] のページ最下部に [過去の雑記] を設けている理由は、自分で参照することが多いからだ。ちょっと古い記事に記されたURLをクリックすると、しばしば「Not Found!」とか「ご指定いただいたURLでは、ページが見つかりません」等と表示される。 自己サイトである「きのこ雑記」を参照した場合にも同じようなことがある。特に3年以上前の記事を参照する場合に多い。この数年間に利用プロバイダを変更したり、ファイルの配置を変えたりしたことによる。プロバイダの統廃合による名称変更が原因のものもある。 ネット上のアドレスはかなり不安定である。googleなど結果表示に「キャッシュ」があるのは、変更・引越への対応策だろう。最近はそのキャッシュをたどってもエラーとなるケースが増えた。ブログの普及などで急激にサイトの数が増えたことも一因なのだろうか。 |
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先週の土曜日(15日)に奥多摩で出会ったキクラゲの仲間(a)はそのまま、ポリ袋にいれて冷蔵庫に置いてあった。一見したところ、キクラゲの幼菌にもみえる。胞子をみるとソーセージ型をしている(b)。透明で見にくいのでフロキシンで染めてみた(c)。 採集会などでは、キクラゲの幼菌として処理されてしまいそうだ。胞子をみても誰も異論を唱えることはあるまい。しかし、何となく変だ。きのこの縁をみても、何となくキクラゲとは異なる(k, l)。子実層を見ることにした。柔らかいゼラチン質のきのこは切り出しが難しい。 水でマウントした子実層はとても見にくい(d)。しかし何となくキクラゲの子実層とは違う。フロキシンで染めてみた(e)。倍率を上げると担子器らしきものが見えてきた(f)。これは明らかに、キクラゲではない。ヒメキクラゲやタマキクラゲなどの担子器と同じタイプである。 さらに念のために、あらためて子実層を切り出しフロキシンで染めてから、3%KOHでバラしてみた(g)。油浸100倍でみると、担子器の姿が明瞭に捉えられた(h〜j)。典型的な姿ではないが、サカヅキキクラゲである。今朝は生状態から切り出したが、キクラゲ類の子実層を覗くには、自然乾燥させたものから切り出せば、薄切りにするのは簡単である。 |
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日曜日(4月16日)に川崎市の生田緑地で行われた菌懇会ゼミは、京都府立大学の折原貴道氏(a)による「クラマノジャガイモタケをめぐる問題とOctaviania属の分類」(b〜d)。 話は地下生菌についての一般的通念の紹介から始まった。Octaviania属をめぐる学名の不運な混乱の話は、すっきり整理されてとてもわかりやすかった。しかし、話の内容は国際植物命名規約について一定の理解が前提となるので、寝息と欠伸も目立った。 クラマノジャガイモタケについての具体的な話になると、にわかに活気づき多くの質問が飛び交い、もはや寝息は消えていた。クラマノジャガイモタケ=ジャガイモタケ、そして、ジャガイモタケの学名としてはOctaviania columellifera Kobayashiを採用すべきという結論であった。ゼミのために折原氏の作成した資料はA5版で55ページに及ぶ大作であった。 OctavianinaとOctavianiaをめぐる経緯についても、あらためて再認識することができた。それにしても、胞子表面の刺が封入液によって大きく伸びる、という話はとても興味深かった。ことし、ジャガイモタケを採取することがあれば、直接自分の目でも確認してみたい。 ゼミの行われた緑地では、チラホラと傘と柄をもったきのこもではじめていた。この日は、フウの実からでるきのこや、キンカクキンらしきものだけを撮影した(e, f)。 |
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土曜日のヒトヨタケ科のきのこの続き(雑記2006.4.15)。先日見なかったところを今朝確認した。先日珍しくラクトフェノールでプレパラートを作ったのでそれをみた。子実層を見るには、やはり薄切り片を切り出さないとわからない(a)。胞子を帯びた担子器も同様である(b)。 担子器やシスチジアのサイズを計測するには3〜5%のKOHで封入して、カバーグラスの上から軽く圧を加えれば、組織がバラバラになる。しかし、そのままでは透明で分かりにくい(c)。フロキシンを加えると明瞭に捉えることができる(d)。クランプの確認も同様である(e)。 傘表皮を薄切りにしてみた。表皮は西洋梨のような組織が柵状にならび(g)、ところどころに濃褐色の剛毛がみえる(f)。KOHで封入するとこれもバラバラになる(h)。剛毛は傘の頂部にはほとんどなく、周辺から縁にかけて多数みられる。中には節をもったものもある(i, j)。 忠実に各種のヒトヨタケ属検索表をたどると、オオカバイロヒトヨタケに落ちる。そういえば、友人のきのこ屋(高橋 博)さんが、先日「くさびら日記:4月15日」で、このきのこはオオカバイロヒトヨタケに間違いない、と記していたっけ。やはり見る目は確かだ。 |
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昨日早朝家を出発して、奥多摩の山の尾根スジを歩き、その後石灰岩地帯を貫くひどく荒れた路面の林道を走り回ってきた。当初の予測通り、オケラであった。距離、標高差を含めて、歩いた距離もかなりあり、久しぶりに足がだるくなった。 出会ったきのこといえば、ブナの殻斗から出る白いチャワンタケ(a, b)、キクラゲの仲間(c, d)、マユハキタケ(e, f)くらいだった。白いチャワンタケはシロヒナノチャワンタケと思われるが、持ち帰らなかったので、種名はわからない。ブナ林の落ち葉の下に無数に発生していた。 帰路寄ってみた瑞穂市の桜並木の下には、多数のアミガサタケが出ていたが、いずれもすでに最盛期を過ぎていた。今日は菌懇会のゼミ、京都の折原貴道さんによる「ジャガイモタケの問題とOctavianina属の分類」がある。 |
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昨日、所沢の航空公園で久しぶりに傘と柄をもったきのこにであった(a〜c)。ウッドチップベースの肥えた場所からでていた。外見からヒトヨタケ科のきのこらしい。胞子紋は色の確認ができるほどは落ちなかった。胞子を水(d)、3%KOH(e)、濃硫酸(f)でマウントしてみた。 実体鏡でヒダの側面をみた。若い菌(g)、成菌(h)、老菌(i)のいずれにも、まるで水滴が付いたかのように側シスチジアが多量にみえる。切片を切りだして顕微鏡でみると側シスチジアは薄膜で頭部は丸味を帯びている(j〜l)。久しぶりの切片作りは、やはりうまくいかない。 再び胞子紋をとる段取りをして、とりあえず外観と上記の条件から検索表をたどってみることにした。保育社の原色日本新菌類図鑑のヒトヨタケ科(p162)の検索表をみた。胞子は濃硫酸でも淡スレート色にならないから、ナヨタケ属ではない。側シスチジアはあるが胞子は表面が平滑なので、ヒメシバフタケ属ではない。となると、ヒトヨタケ属になる。 次にヒトヨタケ属の検索表(p163)をたどってみた。傘表面には被膜はなく、中央部はビロード状なので、ヒメヒガサヒトヨタケ節に落ちる。あとは、傘表皮の組織の構造を調べる必要がある。今朝はここまでで時間切れになってしまった。これから奥多摩に出発。 |
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古い「今日の雑記」の顕微鏡画像を見る機会があった。検鏡画像を初めてアップしたのは2001年4月30日のオオズキンカブリ。次は同年6月27日で、ヒロメノトガリアミガサタケの子嚢。同年11月30日にはモエギタケのかなり杜撰な検鏡写真をアップしている。 当時はスケールなども入れていない。また、撮影に使用していた顕微鏡も、オリンパスの単眼学習用顕微鏡であった。デジカメ(初期のCOOLPIXスイバル機種)もアダプターなど使わずに、顕微鏡の接眼部にカメラ側のレンズ先端を押し当てて撮影している。 今から見ると、よくこんな画像をアップしたものだと思う。最近はこういった手抜き画像はあまり使わなくなったが、基本的にはこの5〜6年間検鏡写真をとるスタンスは変わっていない。 プレパラート作成技術、撮影技術、使用顕微鏡の対物レンズ、画像処理技術などに若干の進歩はあったと思うが、要は目的次第で検鏡写真の質は変わって当然だろう。 写真はそれぞれの時期に、ホシアンズタケの胞子を撮影した画像だが、目的と意図、撮影技術の稚拙によってずいぶんと異なっている。 |
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福島県南相馬市で4月9日に採取されたというケシボウズが昨日の夕方届いた(a)。発生からはやや時間が経過している。福島県いわき市の友人Yさんからで、「多分ウネミケシボウズタケだろうと思う」とメールにあった。ケシボウズタケの仲間は、姿形が単純で分類形質に乏しいため、簡単には種名までたどり着けない。胞子にいたっては見慣れが必要だ。 しかし、ウネミケシボウズタケは、頭部と胞子さえみれば簡単に見分けることができる。孔口は房状、外皮は膜質でボロッと剥がれ、しばしばフリンジのような形で残る。これらは特徴的なので、見慣れるとすぐに分かる。しかし、最終的には顕微鏡で胞子を確認する必要がある。念のために胞子(b)と弾糸(c)を確認してみた。間違いなくウネミケシボウズタケであった。いわき市では既に採取されているが、南相馬市での採取は初めてである。 ウネミケシボウズタケは関東以北の太平洋側では、千葉県、茨城県、福島県、青森県で記録されている。今回、福島県北部の南相馬市で確認されたということは、宮城県にも発生している可能性が非常に高いと考えられる。 |
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腹菌類の胞子の一例として、ケシボウズタケ属 Tulostomaを2種取りあげてみた。2004年11月21日に愛知県の渥美半島で採取したナガエノホコリタケ T. fimbriatum var.campestre (a〜c)とアバタケシボウズタケ[仮] T. adhaerens (d〜f)である。いずれも、胞子は径4〜7μmほどの類球形である。薬局で簡単に入手できる消毒用アルコールを使って封入した。
普通に封入すると(c)、(f)のように、胞子が何層にも重なり合った状態になる。ヒダや管孔を持ったきのこならば、水で封入するだけで胞子はきれいに一層になってくれる。ところが、エタノールの場合、胞子を一層に並べるにはちょっとした工夫が必要だ。 一般には、適度の厚みで多層状態のものを撮影しておけばよい。それをみれば、胞子の表面模様もサイズも一枚で同時に分かる(c, f)。多層状態のものに加えて、一層の状態を作って、表面(a, d)から輪郭部(b, e)までを4段階くらいに分けて撮影することにしている。 微妙な差異が浮き彫りにされてくるからである。ちなみにSEM(走査電顕)でみると、ナガエのホコリタケとアバタケシボウズタケ[仮]とは胞子の形状がまるで違う(いずれも3,000倍)。 |
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日本菌学会関東支部の年次大会・講演会の締切が近づいた。今月の4月22日(土)に行われ、今月14日が締切であるが、メールでの申込なら締切日ギリギリまで間に合う。会場は東京都町田市にある玉川大学で、会員でなくても参加できる。 今年は「菌類の分布と生態」というテーマで特別講演が4本もあり、専門家にとってもアマチュアにとっても、非常に興味深い話を聞くことができそうだ。なお、詳細は下記を参照されたい。懇親会で予定されているオークションでは、伝説のauctioneer Ms.Neda (根田) のあでやかな姿も楽しみの一つといえよう。衣裳もそろそろ決まったのかな。 |
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