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2006年8月31日(木)
 
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 ここ数日、筑波やら千葉に出かけていたこともあり、日曜日に持ち帰ったきのこをみるヒマがなかった。今朝は、やっとそれらの一部を観察することができた。
 テングノメシガイの仲間を持ち帰った。コケに覆われた斜面から出ていた(a, b)。頭部を横断面で切ってみると、表面が剛毛に被われていることがよく分かる(c)。この時点でGeoglossum属ではなく、Trichoglossum属と推定される。'trich(o)-' とはギリシャ語由来のラテン語で「毛の」という意味だという。Trichocoleaムクムクゴケ属など、植物の学名では頻繁に用いられる。
 カバーグラスに子実体を30分ほど放置しておくと胞子紋がたっぷり落ちた(d)。そのままスライドグラスに伏せて覗いてみた。いわゆるドライマウントである(e)。カバーグラス脇からスポイトで水を注入すると鮮明になった(f)。みごとにほとんどすべての胞子に7つの隔壁がみられる。
 隔壁で仕切られた各部屋には2〜3個の油滴がみられる(g)。子実層断面を切り出した(h)。さらに薄くしてプレパラートを作って(i)、メルツァー液を加えた。子嚢の先端が青く染まっている(j)。油浸100倍対物レンズで見ると、鮮やかである(k)。子嚢頂孔を通過する胞子があちこちに見られた(l)。側糸、剛毛、胞子から、ナナフシテングノメシガイだろう(雑記2006.7.11)。

2006年8月30日(水)
 
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(g)
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(j)
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(k)
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(l)
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 ブナ科樹下の蘚類の間からアセタケ属らしいきのこが出ていた(a)。アセタケの仲間はうかつに手を出すと大変である。コケを採取の言い訳(?)にアセタケを持ち帰ることになった。
 胞子紋はコケの葉にも付着していた。胞子は平滑で非アミロイド(b, c)。ヒダを切り出して(d)、ひだ実質(e)、ヒダ先端(f)を確認した。薄膜の縁シスチジアがあり、側シスチジアはない(f, j)。この時点でクロトマヤタケ亜属ザラツキトマヤタケ節に落ちる(保育社図鑑 p.213)。
 とりあえず、傘表皮(g, h)、柄の表皮(i)などを検鏡した。シスチジアはヒダの縁だけにしか見られない。傘の表皮はクランプを持った菌糸が、平行気味に走り、頻繁に大きく立ち上がっている。担子器がどれも潰れた様な姿をしている(k)。念のためにフロキシンで染めて何枚ものヒダを確認したがいずれも同じであった(l)。今朝はこれ以上、検索表などにはあたらなかった。

2006年8月29日(火)
 
(a)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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 日曜日に川崎市で出会ったキクバナイグチには若い個体がいくつかあった(a)。いずれも広葉樹の根元付近の樹皮から発生していて、樹皮と一体になったようにしっかりとついていた。持ち帰った若い個体は、孔口部が厚い被膜で覆われていた(b)。
 被膜に覆われたままでは胞子紋を採取できないので、被膜を取り去ってカバーグラスに一部を載せた。数時間放置すると、思っていたよりも多量の胞子紋が落ちた。キクバナイグチ属とかヤシャイグチ属の胞子は大型で美しい表面模様を持っている。
 最初に対物40倍でみた(c)。表面を縦に走る顕著な隆起は学習用顕微鏡でも間違いなく分かる。ウネとウネを結ぶ細かな横すじはじっくり観察しないと分かりにくい。普通の生物顕微鏡だと楽に見えるが、安価な学習用顕微鏡ではまず無理だ(雑記2001.8.19)。
 今朝みた個体では、胞子の形・Q比(長短径の比率)に大きなバラツキがあった(c)。アーモンドや柿のタネは見る方向によって、その形はいろいろに違って見える。胞子でも事情は同じである(雑記2004.9.18)。でも、このキクバナイグチの胞子は極限まで少ない封入液で見ているので、胞子の形が不揃いなのだろう。
 胞子の表面、輪郭部に合焦して撮影した画像を並べてみたが(d, e)、小さくてまるでひょうたんのような姿をしたものがいくつもあった。コンデンサや微動ノブをどう調整してもうまく合焦してくれない。小さな未熟胞子が重心の関係で斜めになっているのだろうか(f)。

2006年8月28日(月)
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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 どうやら本格的にきのこがいろいろ発生しはじめたようだ。昨日、菌懇会の例会に参加し、川崎市の緑地帯を歩いたが、予測していたよりも多くの種が多数みられた。
 ハリギリの腐朽木からトキイロヒラタケがでていた(a)。近くでは針葉樹の切り株脇からマツオウジが面白い姿をみせてくれた(b)。遊歩道わきには小さな落ち葉分解菌、ウラベニガサ属、アセタケ属のきのこをはじめ、容易には名前の分からないきのこが数多くでていた。
 圧倒的に目立ったのが、イグチ類である。キクバナイグチ(c)、キアミアシイグチ(d)、コガネヤマドリ(e)など、ドッシリした姿のものが目立った。他にも7〜8種類のイグチを見たが(f)、種名までは分からなかったものも多かった。やや遅めの夏きのこ本番を思わせる。

2006年8月27日()
 
(a)
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(c)
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(i)
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(j)
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 日光で採取したヘラタケで遊んだ。カバーグラス上にしばらく放置しておくと胞子紋が多量に落ちた。これを7〜8種類の試薬や染色剤に浸してみた。そのうちから、水(a)、メルツァー液(b)、コンゴーレッド(c)、フロキシン(d)で封入したものを並べてみた。ついでに、他のきのこの胞子との比較のために、油浸100倍対物レンズで撮影した画像も並べておこう(e)。
 切り出した子実層も、水で封入してから(f)、フロキシンで染めてみた(g)。この水を3%KOHで置き換えてカバーグラスに軽く圧を加えると、子嚢がいくつも飛び出してきた(h)。面白半分に点状に圧を加えると子嚢の側壁が破れて、横から胞子が飛び出しはじめた(i)。なお側糸は細い紐の様なかたちをしているので、まるでゴミのように見える(j)。

2006年8月26日()
 
昨日の雑記の訂正
 
 今朝のメモは、昨日の雑記の訂正とコガネヤマドリについての再認識である。

 昨日「写真(a)」として掲載した画像が誤っていた。正しくは雑記2006年8月7日写真(b)である。乾燥品を切り出したのはこのきのこである。誤ってアップしたきのこは、8月6日に山梨県白州町で採取したイグチだが、属までしか落とせなかったものである。
 昨日、大分県農林水産研究センターきのこ研究所の村上康明氏からメールをいただいた。このメールで指摘を受けるまで、画像のアップロードミスには気づかなかった。

見たところキアミアシイグチではなくコガネヤマドリのように思えますが、どうでしょうか? というのは、孔口部が白色の菌糸で覆われているように見えるからです。コガネヤマドリやヤマドリタケモドキの若い子実体に見られる特徴ですが、キアミアシイグチにはこの特徴はないはずです。また、生の時、肉に苦みはあったでしょうか? コガネヤマドリは色や形の変異が大きく、キアミアシイグチによく似た形態のものもあります。

 さらに、あらためてコガネヤマドリタケとキアミアシイグチとの違いを再認識することができた。誤ってアップしたイグチは、あるいはコガネヤマドリかもしれない。村上さん、適切なご指摘とご指導、ありがとうございました。


2006年8月25日(金)
 
(a)
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(i)
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(j)
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 乾燥したキアミアシイグチからプレパラートをつくって覗いてみた。採取したのは8月6日、山梨県白州町である(a)。管孔の一部をつまんでスライドグラスに置き、3%KOHを加えて、試料を取り除くと胞子だけが残る(b)。
 傘を手に持って管孔部を縦切りすると子実層托実質(c)、孔口表面を切り出すと子実層の縁(d)、さらに横断面を切り出すと管孔横断面が見られる(e)。縁シスチジア(d, h)、側シスチジア(f, i)を混同することなく確認できる。
 担子器やシスチジアのサイズなどの確認は、生標本と同じく管孔の一部をつまんで、フロキシンで染めてKOHで封入すればよい。傘上表皮の確認も生標本よりもずっと楽である(j)。キアミアシイグチを覗いたのはほぼ1年ぶりである(雑記2005.7.28)。
 今朝のプレパラート作成では、ピスを使う必要はなかった。生標本だとこうは行かない。イグチの顕微鏡観察に関しては、圧倒的に乾燥標本を使うほうが楽である。

[訂正] 写真(a)として掲載の画像は誤り。正しくは、雑記2006年8月7日の写真(b)である。

2006年8月24日(木)
 
(a)
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(c)
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(e)
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(f)
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 日曜日に採取したツノシメジを覗いてみた。昨年も同じような時期に顕微鏡で覗いている(雑記2005.08.22)。胞子はアミロイド(a)、ヒダ実質は並列型(b)。胞子を水で封入するとコントラストが弱くてとても目が疲れる。ヒダの先の方をカミソリで細長く切ってスライドグラスに載せ、フロキシンをかけて3%KOHで封入した。縁シスチジアが列をなしている(c)。
 このプレパラートを顕微鏡のステージに載せたまま、柄付き針で軽く押し潰して、再び縁シスチジア周辺を覗いてみた(d)。さらに軽く押し潰すと担子器がバラバラになった(e)。全体の形を確認したり、サイズを計測するには、バラした方がやりやすい。傘の上表皮の一部を切り出しと、平行気味に匍匐する菌糸が至るところで立ち上がっている(f)。

2006年8月23日(水)
 
(a)
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 今朝は、乾燥標本のニガイグチモドキから切り出した。先日のオオミノクロアワタケでは、乾燥保存をしておかなかったので、悲惨な目にあったが、直ちに乾燥しておけば、管孔部実質なども楽に観察できたことだろう(雑記2006.8.13)。観察済みの標本はすべて処分した。
 同じようなサイズの二つだったのに、乾燥するとかなり小さくなった。冷蔵庫に保管しておいたもの(a)から胞子紋をとった。いつの間にか他の雑菌に侵されてプレパラートには小さなものがうようよと蠢いていた(b)。偽アミロイドである(c)
 乾燥標本からだと管孔部実質の切片は楽に作成でき(d)、散開型もはっきり分かる(d, e)。縁シスチジアの姿もはっきりとらえることができる(f)。管孔部横断面も楽に切り出せる(g)。ここにあるシスチジアを見れば、側シスチジアであることは明瞭である(h, i)。
 一部をつまんでフロキシンで染め3%KOHで封入した。縁シスチジアも側シスチジアも同じような形で、サイズも似たり寄ったりである(j)。傘上表皮も乾燥標本(k)、生標本(l)ともに見られるが、乾燥標本からの切り出しは圧倒的に楽である。

2006年8月22日(火)
 
(a)
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(c)
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 日曜日(8/20)の日光で出会ったきのこから、昨日取りあげなかったものをいくつか並べてみた。出会った種類は多かったが、撮影したのは30種類ほどだったろうか。
 カンバの立ち枯れに立派なスギタケモドキが株をなしていた(a, b)。写真のものは横25cm、縦40cmほどある。展示用標本には最適の株であるが、残念ながら担当者がIMC8に参加(オーストラリア:ケアンズ)のため月末頃まで不在である。
 テングタケ科で最も多かったのがカバイロツルタケ(c, d)、次にヒメベニテングタケ(k)だった。イグチは7〜8種類出会ったが、よく出ていたのがヌメリニガイグチ?(e, f)である。イロガワリあるいはアシベニイグチのような、大型のイグチもかなり見られた。
 大きくてきれいなマスタケは、この直後クマに食われてボロボロになってしまった(g, h)。カラマツ林には広範囲にヘラタケがでていた(i, j)。ミズナラの老木からは相変わらず大きなオオカボチャタケがでていた。

2006年8月21日(月)
 
(a)
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 昨日は、足の向くままに走り出して日光にたどり着き、ほぼ一年ぶりにツノシメジとニカワウロコタケに出会った。イグチ類、テングタケ類が思いの外多数発生しているのに驚いた。タモギタケはほとんどが最盛期を過ぎて脱色して溶けた様な状態とか、立木に付いたまま乾燥していた。ホシアンズタケもよい状態のものはほとんどなかった(f)。
 ニカワウロコタケは立ち枯れのハルニレに出ているものや(d)、倒木の裏側に発生したものが目立った。また、昨日のホシアンズタケは、ヒダが何度も分枝しているのが特徴的だった。
 昨年の同日、つまり2005年8月20日にも日光でツノシメジやニカワウロコタケに出会っている(雑記2005.8.21)。日光市内の雑木林や低地ではきのこはほとんど見られなかった。

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