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2006年2月20日(月)
 
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 昨日は東京駒込で菌類懇話会の講演会が行われた。講演会に先立って行われた総会の参加者は50名弱であったが、池田良幸氏の講演が始まる頃には参加者は60名ほどに膨らんでいた。きのことの関わりのきっかけとなったエピソードから「北陸のきのこ図鑑」発刊までの話は興味深く、面白かった。スライドに移ると、次々に鋭い質問がとびかった。講演のあとの懇親会にも多くの参加があり、あちこちで議論が沸騰している様子だった。遠方からの参加者も多く、日頃なかなか会えない顔ぶれにも出会え、楽しい一日だった。

2006年2月19日()
 
アミガサタケ
 
 例年3月初めの頃になると、(トガリ)アミガサタケが小さな姿をみせ始める。この冬は寒かったこともあり、若干時期はずれるかもしれないが、関東地方では、今年もやはり3月初めのころには、アミガサタケ類がみられるのではあるまいか。
 ちなみに最近数年間の、発生状況を撮影データからみてみた。あと2週間もするとトガリアミガサタケの発生が始まる。背丈1〜2ミリの幼菌なら、今週中にもできているだろう。
 年日 今日の雑記 背丈
2002年3月5日  2002.3.530〜50mm
2003年3月5日  2003.3.53〜8mm
2004年3月13日  2004.3.1430〜40mm
2005年3月10日  2005.3.103〜5 (25)mm
 今日は菌類懇話会の総会と講演会。池田良幸氏の講演が行われる。そして懇親会。

2006年2月18日()
 
春はまだ
 
 昨日、さいたま市見沼区の公園に行ってみた。新たなウッドチップが一面に厚く敷き詰めらていた。ヒトヨタケ科のきのこをはじめ、傘と柄をもったきのこの姿は全くみられなかった。浦和競馬場近くの馬糞堆からも、糞生菌は何一つみられなかった。雑木林でかろうじてみられたのは、キクラゲ、アラゲキクラゲ、タマキクラゲ、コウヤクタケの仲間くらいだった。馴染みの珈琲豆屋で美味しいコーヒーを飲んで戻った。
 昨日の雑記(2006.2.17)でとりあげたケシボウズの採取地は、正しくは三重県(旧)河芸町ではなく、三重県津市白塚町であった。標本ラベルを修正せなばならない。

2006年2月17日(金)
 
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 冬場は採取されるケシボウズの仲間が多い。このため、すべての個体のチェックはとてもできない。2004年11月21日に三重県河芸町(当時)津市で2個体だけ採集したケシボウズもそうだった(a)。乾燥標本には発生時の面影はない(b)。このとき採取した多くがTulostoma adhaerensだったので、これも同一種だろうと思って、当時は胞子すら見ていなかった。
 先週末になってようやく、胞子、弾糸などを確認することができた。胞子がとても小さい。大きなものでも径3μmほどしかない。光学顕微鏡で観察する限り、胞子は類球形で平滑(c, d)。中央が窪んだ円盤状になったものが多数みられる。弾糸には顕著な拳状節がみられる(d)。SEMでみても1,000倍では光学顕微鏡でみたのと同じようだ(e)。しかし、10,000倍でみると、平滑ではなく微細な疣に被われている(f)。疣のサイズは光学顕微鏡の分解能を超えている。
 T. adhaerensだろうとばかり思っていたが、まったく別種である。念のために今年1月28日に旧河芸町津市で採取したケシボウズをすべて調べてみたが、同一種らしきものはみつからなかった。件のケシボウズだが、旧河芸町津市のどの浜で採取したのか覚えていない。

2006年2月16日(木)
 
池田良幸氏講演会
 
 今度の日曜日、2月19日に「北陸のきのこ図鑑」の著者池田良幸氏の講演会が行われる。演題は「北陸・白山のきのこ」となっている。菌類懇話会主催の講演会だが、当日の一般参加も歓迎だという。会場、時間などは下記のとおり。
日 時 2006年2月19日(日)14:00〜16:30
場 所 東京都豊島区立駒込社会教育会館 (山手線駒込駅北口下車2分)
      〒170-0003 東京都豊島区駒込2-2-2  電話:03-3940-2400
参加費 500円
 日本菌学会関東支部年次大会・講演会が4月22日(土)に玉川大学で行われる。今年のテーマは「菌類の分布と生態」ということで、興味深い演題が並んでいる。演者・時間などの概略を「お知らせ」に載せた。会員でなくても参加できる。

2006年2月15日(水)
 
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 昨日に引き続きケシボウズの話題である。日曜日にナガエノホコリタケ(a, b)と一緒に持ち帰った中に、どうやら異なった種が混在していたようである。一見したところナガエノホコリタケのようにみえる。掘り出したものをよくみると、外皮が菌糸状というよりも、明瞭な膜質状のものが混じっていた(c)。ナガエノホコリタケであれば、外皮は菌糸状である。
 胞子は対物40倍では単なる疣にしかみえないが、油浸100倍でみると、その疣が脈絡糸のような組織で繋がっている(d)。SEMでみるといっそうはっきりする。これは疣というよりも、鶏の鶏冠が繋がったような姿をしている(e, f)。SEMでみたときのナガエノホコリタケは多数の疣がみられ、一部吻合しているが、一般的にはここまでとさか状に繋がることは少ない。
 となると、これはナガエノホコリタケではなくTulostoma cyclophorumの可能性が非常に高いことになる。ちなみに発生環境は、1m以上も背丈のある深いヤブに被われた、お世辞にも日照環境がよいとはいえない砂地である。ナガエノホコリタケの発生環境とはやや異なる。
 過去国内でナガエノホコリタケとして扱われたものには、T. cyclophorumがかなり含まれているのではないかと思っている。外皮がベロっと剥がれたら怪しい。

2006年2月14日(火)
 
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(e)
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(f)
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 12日の日曜日に、九十九里浜では何ヶ所かでウネミケシボウズタケがみられた。つい最近発生したものが多く、砂地上に頭部を曝していた(a)。膜状の外皮が頭部下側に残っている。周囲の砂をどけていくと、白い柄が現れるが、表面の砂をどけないとはっきりしない(b)。のべ100個体以上を観察したが、そのうちから新鮮なものだけを10個体ほど標本として持ち帰った(c)。
 胞子には特徴的なウネがみえる(d)。これは、油浸100倍対物レンズでみた像だが、対物40倍でも明瞭にとらえることができる。SEM(走査電顕)で確認すると、胞子表面の模様はさらに明瞭に捉えることができる(e, f)。ウネ状の胞子は他にTulosotma nigerienseしか知られていない。

2006年2月13日(月)
 
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(d)
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 昨日早朝の千葉県九十九里浜には霙が舞った。畑や浜の周辺はうっすらと白かった。浜に出るにはクロマツの防風林を通過する。マツ樹下にはいたるところにマツカサキノコモドキがみられた(a〜c)。一方、かなり熱心に探してもニセマツカサシメジは全くみられない。ウサギの糞がいたるところにあるが、ハチスタケなど糞生菌はみられなかった。
 クロマツ防風林を抜けて砂浜にでた(d)。30分もすると霙は止み、次第に日差しが眩しくなってきた。砂地には、ドングリタケ、ケシボウズの仲間だけしかみられない。前回同所を訪問したのは、昨年12月3日。その折りに新鮮だったナガエノホコリタケはすっかり形を崩して頭部にはコケすら生えていた(雑記2005年12月5日)。
 何ヶ所かの浜で、1月後半から2月初めにかけて発生したと思える、ケシボウズがかなりみられた。新鮮なウネミケシボウズタケとナガエノホコリタケを少し持ち帰った。

2006年2月12日()
 
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(e)
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(f)
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 標本番号t03006というとかなり前のものだ。2003年3月13日に千葉県富津市で採取したナガエノホコリタケである(a, b)。採取した時に光学顕微鏡で胞子や弾糸類を確認している(c, d)。その折り、コットンブルーで染めると胞子表面の模様がかなりはっきりした(d)。
 光学顕微鏡では、微動ネジを微妙に操作して、胞子表面から輪郭部までを少しずつみて、胞子全体の姿を頭の中にイメージする必要がある。したがって、特殊な画像処理でもしないかぎり、一枚の写真で胞子の全体像を表現することはできない。そこで写真撮影をする場合、必ず胞子表面と輪郭部の両者に焦点を合わせて、最低でも2枚は撮るようにしてきた。
 このところ、これらの古い標本を数十点ほどSEM(走査型電子顕微鏡)画像と比較してみた。焦点深度の深いSEMでは、同じ1000倍でも胞子表面の様子がかなりはっきりわかる(e)。3000倍では、かなりはっきりと表面の様子を捉えることができる(f)。

2006年2月11日()
 
(a)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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 手元のSEM画像には、デジタル画像と各種のフィルムとが混在している。フィルムにも35mmやらブローニー、ポラロイドとまちまちである。最終的にはデジタル化して管理している。
 中判フィルム用スキャナは非常に高価で、おまけにスキャンにとても時間がかかる。専門業者によるデジタル化サービスも考えたが、ブローニー判からのデジタル化は高価で論外であった。結論として、フィルムをライトボックスに載せ(d)、COOLPIX995で撮影することにした(a)。これは吹春俊光博士から教えていただいた方法である。
 この場合解決すべき問題が二つある。一つはフィルム面への映り込み。当初は明るい部屋でカメラを黒布で覆って撮影したが、根本的な解決には至らなかった。この問題は、室内を暗くして撮影すればほぼ解決した(b)。中途半端に暗くてもダメであった(c)。
 今ひとつは、フィルムの捻れや丸まり。何もせずともフィルム面は曲面である。ポリエチレン板やガラス板を載せると平らになるが、映り込みが激しくなる。そこで、低反射ガラス板を使うことにした。車のフロントガラスなどに使われているものと同じである。
 得られた画像はネガ(e)なので、これは原版として保存する。これには加速電圧、倍率、スケール、標本番号が埋め込まれている。利用するときは画像処理ソフトで階調を反転(f)させてからトリミングする。等倍撮影のできるレンズとデジタル一眼レフを使えば、さらに精細な映像が得られるだろう。ファイルサイズが大きくなるのでCOOLPIX995を使うことになった。

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