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2016年2月10日(水) ネンドタケとダイダイタケ
 この寒い季節倒木や枯れ枝にはタバコウロコタケ科の硬質菌がよく目立つ。特によく見るのがネンドタケ、ネンドタケモドキ、ダイダイタケの三種だ。ネンドタケとネンドタケモドキについては昨年11月に両者を比較してみたが(雑記2015.11.27)、肉眼的にも明瞭に異なるので間違えることは少ない。しかし、ネンドタケとダイダイタケはちょっと見にはよく似ていることがある。つい最近採取したネンドタケ(上段 a〜f)とダイダイタケ(下段 a'〜f')を比較してみた。
 ネンドタケのカサは小さなものからかなり大きなものまである。カサ表面に環紋はないかあっても弱くたいていは低いイボを持っている。断面はくさび形で厚みがあってカサ表皮とカサ肉の間に別の色の薄層などはない(d)。顕微鏡で見ると、子実層托の菌糸に剛毛体は少なく(e)、大きさは三角錐のものが多い(f)。なおダイダイタケもネンドタケも原菌糸にクランプはない。
 一方、ダイダイタケのカサはあまり大きくなることはなく、カサ表面には密毛が生えていることが多くたいていは環紋を見ることができ(a')、カサに厚みがなくやや薄っぺらい。さらに断面を見るとカサ表皮とカサ肉との間にやや明るい色の薄層が見られる(d')。子実層托の菌糸には高い密度で(e')長くて大きな剛毛体が多数みられる(f)。
 
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 自宅から半径2〜3Kmの地域で陽がよくあたる場所では雪の消えたところが増えた。しかし、北向きの場所や杉並木の脇などはまだまだ雪だらけ。昼も気温が意外と上がらないので、凍りついて残っている。そんな場所では昼近くになってもアブラ氷が広がっていて歩くのが恐ろしい。自宅前の市道はその典型だ。今日の午後は県立博物館の収蔵庫でキノコとコケの観察。


2016年2月9日(火) パン屋への道すがら寄った緑地
 昨日午前中に鹿沼市と宇都宮市の二軒のパン屋に行った。その途中、宮環(宇都宮環状線の通称)を走っていると、偶然「鶴田沼緑地」と書かれた表示を見かけた。先月さんざん探し回ってたどり着けなかった緑地だった。そこで、宇都宮市のパン屋に行く途中で寄り道をして、案内標識に従って緑地に行って冬枯れの林内を歩いてみた(a, b)。
 思いがけず、伐採木があちこちに積み上げられており多くの硬質菌が着いていた。パンを買いに行くのが目的だったのでまともなカメラは持っていなかった。とりあえずメモとして撮影しいくつか採取した。アラゲニクハリタケ(c, d)、ヒメモグサタケ(e, f)、ヤケイロタケ(g, h)、シハイタケ(i, j)、エゴノキタケ(k, l)、ネンドタケ、ネンドタケモドキ、カワラタケ、カイガラタケ、チャカイガラタケ、ホウロクタケなどが目についた。クロハナビラニカワタケもミイラになって着いていた。
 
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 月曜日は近くの [かたくりの湯](自宅から9.5Km)が定休日なので、夕方になって清滝和の代町にある [やしおの湯](自宅から20.5Km)まで行った。やや遠いがガソリン代と二人分の入浴料を合算しても自宅の風呂を沸かすより安い。周囲はまだすっかり雪に包まれていた。雪景色に囲まれてのヌルみ系アルカリ泉は気持ちがよい。しかし硫黄泉が恋しくなってきた。


2016年2月8日(月) 凍り付いていたシラゲタケ
 朝の都市公園では一体が凍てついていて、雪の消えた遊歩道は一面の霜柱に被われる。陽が射してしばらくすると靴が泥だらけになる。そんな宇都宮の都市公園で霜に被われすっかり凍り付いたキノコにであった(a)。材から取り外そうとするとバリバリと崩れた(b)。
 持ち帰ったキノコをファンヒーターの前にしばし放置すると乾燥して軽くなった(c, d)。カサ表面は大きな束になった毛で被われていた(d, g, h)。孔口は1〜2個/1mmで(f)、口縁は歯牙状になっている(e)。菌糸構造は二菌糸型で(i, j)、原菌糸にはクランプがある(j)。紡錘型のシスチジアには先端に結晶をつけたものが多数みられた(k, l)。例によって胞子は見つけられなかった。シラゲタケに間違いなさそうだ。このキノコをじっくり見たのは昨年11月以来のことだ(雑記2015.11.23)。
 
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2016年2月7日() 都市公園の軟質菌:井頭公園にて
 日光市の都市公園はどこもまだ一面の雪に被われていて、散策できるコースは限られているし雪のため小径脇には入れない。自宅周辺を散策するにも未だ雪の歩道を避けては通れない。そこで、この三日間は真岡市にある都市公園「井頭公園」まで出向いて散策した。
 土曜日はさすがに人が多く、遊歩道はどこもジョギングをしたり散策をする人で溢れていた。舗装された遊歩道の両脇には雑木林や松林が続き、随所に伐採木が積み上げられている。そこにみられるキノコは大部分がカワラタケ、アラゲカワラタケ、シハイタケ、チャカイガラタケなどだが、ヒラタケ(a, b)、キヒラタケ(c, d)、エノキタケ(e)、シイタケ(f)などの軟質菌がみられた。
 
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 昨日はとても暖かかった。自宅の駐車スペースではようやく雪が消えたが、自宅前の道路や顕微鏡室前の庭は未だ雪に被われ、いつになったら地肌が見えるのか皆目わからない。


2016年2月6日() ミヤマシロアミタケ等にも似ているが・・・
 栃木市の太平山でモミの倒木に白色のコルク質で半背着生のきのこが多数着いていた。ちょっと見た目にはヒメシロアミタケやミヤマシロアミタケなどによく似ていた(a〜c)。カサ表面にはわずかに毛もあり、子実層托は管孔状、迷路状、ヒダ状と変化に富むが、乱れたヒダ状のものが多い。ヒダの幅はほぼ0.3〜0.8mmほどだろうか(d)。カサ肉部と子実層部はほぼ白色(e)。子実層を顕微鏡で見ると担子器らしきものは見えるが、シスチジアのようなものはみられない(f)。切断面を90度変えて切り出した断面をみると、菌糸がパイプ状に見える(g)。
 子実層の一部を切り出してバラして押しつぶしてみると、原菌糸と骨格菌糸の二菌糸型に見える(h)。低倍率では原菌糸の一部にクランプのような構造が見えたので、倍率を上げてみたがどうやらクランプはなさそうだ。分枝し始めた短い菌糸がクランプのように見えただけらしい(i, j)。
 改めてカサ肉の部分を切り出して同じようにバラシテみると結合菌糸のようにも見える菌糸がある(k)。倍率を上げて原菌糸の隔壁周辺を探したが、クランプらしきものは全くみつからなかった(l)。ヒメシロアミタケやミヤマシロアミタケなら原菌糸に明瞭なクランプがあるはずだ。さらにヒメシロアミタケにしてはカサがやけに大きい。またミヤマシロアミタケは一般的に亜高山帯にみられるもので、大平山のような低地の低山では発生の確率が低そうだ。
 
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 昨日の市営温泉、背中一面に石けんの泡をまとった60歳前後の太った人が洗い場からサウナの方向へ歩いてきた。サウナ近くの蛇口で泡を洗い流すのだろうと思った。次の瞬間、反対側の大浴場の方へサッサと進み、湯船にそのままドボン。この光景を見ていた人たちは皆あっけにとられて一言もなかった。目が点・・・、上がり湯をかぶってサッサと脱衣場へ退出した。


2016年2月5日(金) 宇都宮周辺の都市公園にて
 日光市の都市公園は未だに雪に被われたままだ。雪がなくても一年でも最も寒いこの時期に見られるキノコといえば、多年生の硬質菌とミイラ化した一年生の硬質菌ばかりだ。日光市ではこの時期にツバキキンカクチャワンタケやエノキタケの出ている可能性もほとんどない。
 そこで昨日宇都宮市界隈の都市公園を散策した。みずほの自然の森公園には広範囲に雪が残っていた。凍り付いたシラゲタケ(a)、カワラタケ(b)、ネンドタケモドキ(c)など数種のキノコがみられたが、あまりにも整然と片付き過ぎていて「自然の森」には首をかしげる。
 真岡市の県立井頭公園では、ミイラ化した硬質菌など多数出会った。ネンドタケ(d)、アラゲカワラタケ(e, f)、ホウロクタケ(g, h)、シハイタケ(i, j)、ヤケイロタケ(k, l)などを採取した。他にもカワラタケ、ヒイロタケ、カミウロコタケ、チウロコタケ、カイガラタケなども多数みられた。
 
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 ヤケイロタケを採取しているとき、棘のある枝に触れて反射的に指をはねのけた。何か冷たい塊に触れた。よく見れば大きく生長したシイタケだった。夕食の具になった。


2016年2月4日(木) おそらくホウネンタケなのだろう
 昨年日光市の小来川地域で採取して放置されていた硬質菌を確認してみた。立ち枯れの広葉樹にほとんど背着気味についていたもので、孔口はやや紫色を帯びていた(a, b)。乾燥しきったものは全体に褐色が強くなっていた(c, d)。孔口は5〜6個/1mm(e)。ノコギリを使って子実体を切ってみると、どうやら子実層が複数あるようだ(f)。多年生のきのこらしい。菌糸構造は二菌糸型で(g, h)、原菌糸と骨格菌糸(i, j)のみからなるように見えるが、いくら探しても原菌糸をとらえることができなかった。せめて原菌糸のクランプを確認したいと思ったが、どこを切り出してみても原菌糸を確認することができなかった。おそらくホウネンタケなのだろう。
 
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 国際的に石油価格が下落して、ガソリン価格が大幅に安くなっているにもかかわらず、プロパンガスの価格は高いままだ。「プロパンガス料金消費者協会」の「適正価格早見表」から算定した価格と請求額とがあまりにも違う。迂闊に自宅の風呂を沸かすととんでもない請求額になってしまう(雑記2016.1.7)。借家契約で勝手にガス会社を変更できないのがなんとも悔しい。


2016年2月3日(水) 怖い怖いアブラ氷の路面
 昨日はよく晴れて風もなく暖かな一日だった。それでも午後3:00頃の自宅の外気温は4度ほどだった。自宅前の市道はS字状の坂道で終日ほとんど陽が射さない(a)。また地形の関係からか周辺よりも気温が低い。このため冬期は車のスリップ事故が多く、市の維持管理課にとっても最も頭の痛い場所の一つらしい。先月18日と30日に降った雪が、日向ではかなりとけたにもかかわらず、日陰では未だに沢山残っている。写真(a〜f)はすべて昨日昼頃の自宅前の市道だ。
 積雪があるとすぐに除雪車がやってくる。除雪車が通った後には排除された雪が車道脇に積み上がる。歩道があればそこは雪塊の丘となる(b, d)。周辺の住人が除雪した歩道(d)の一部に昨日ようやく路面が現れたが(c)、歩行者は頻繁に車道の端を恐る恐る歩かざるを得ない。その路面だが、晴れて気温が上がると融けた雪が日中流れ出し、夕方になるとテカテカのアブラ氷状態となって凍りつく(e, f)。車にとっても歩行者にとっても最も恐ろしい路面だ。
 
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 初めて栃木県立博物館の収蔵庫の中に入った。地方博物館の例に漏れず、栃木でも収納スペースと予算不足から、配架できずに段ボールに入れられたままの標本が目立った。それでも、蘚類の異端児ナンジャモンジャゴケ(Takakia lepidozioides)標本ときれいに姿と色が保存されたアカイカタケ(Aseroe rubra)標本などを見ることができた。


2016年2月2日(火) たぶんクジラタケなんだろうなぁ
 広葉樹の倒木(a〜f)と立ち枯れ(a'〜f')によく似たきのこが着いていた。いずれもカサ表面には白色の菌糸がベッタリと張り付き、虫にでも食われたのかカサや孔口部に粉状の塊が多数着いていた。別種かもしれないと思い、それぞれ別々の紙袋に入れて持ち帰っていた。
 両者ともに管孔は長さ3〜5mmほどで(d, e; d', e')、孔口は2〜3個/1mm(f, f')。採取時はカサと管孔部を親指と人差し指で摘まむと軽い弾力性があったが、乾燥するとすっかり硬いコルク状になった。カサ肉や子実層は白色(d, d')。菌糸構造は両者とも三菌糸型で(g, g')、原菌糸にはクランプがある(h, h')。結合菌糸(i)と骨格菌糸(j)はいずれも透明ないし白色で同じような姿形をしている。典型的なものからはやや隔たりを感じるが、おそらく両者ともクジラタケなのだろう。
 
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 昨日朝の上野駅は暖かかった。浅草発am10:40の東武日光線に乗った。鹿沼市北部から車窓の景色に雪が交じり始め、日光市に入ると目に入る田畑は雪に被われたままだった。 帰宅したのはpm1:00頃、このとき自宅の室内は摂氏3.4度、庭の気温は4.4度だった。玄関から木戸までの通路は地肌が出てきたが、顕微鏡室前の庭はまだ雪に被われ尽くしている。


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