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日( )


2007年1月18日(木)
 
しばしお休み
 
 「今日の雑記」をしばらく休むことにした。
 (1) 冬場はきのこが非常に少なく話題に乏しいこと、
 (2) 「雑記」そのものがこのところマンネリ化して新鮮味が薄れていること、
 (3) そのため有用な情報提供がほとんど無いこと、
などが主たる理由である。
 さらに今週末東京で行われる菌懇会主催の<種の記載論文の書き方>をテーマとする合宿への参加、来週富山で行われる客員研究員講義「きのこの分類と生態」に参加するなど、しばらく外泊が続くことも、「雑記」を休むにはちょうどよいチャンスだ。

 これまで「今日の雑記」は2001年4月末から今日まで、原則として毎日更新してきた。しかしこれからは、毎日更新するという原則は捨てることにし、折に触れてその時点での雑記をアップする。「今日の雑記」というタイトルは、変更せずにそのままとした。したがって、今後は1〜2週間以上更新しないこともあれば、従来のような連日の更新もあるだろう

 来期からいくつかの菌類・キノコ関連団体の幹事を降りることになった。したがって、今後は、菌類一般であるとか、きのこ全体への配慮はしないでよい。これはありがたい。


2007年1月17日(水)
 
「キノコのフォトアルバム」のこと (2)
 
 「キノコのフォトアルバム」では、当初の3条件 (1) 標本が残っていること、(2) 検鏡して同定したこと、(3) 記録が残っていること、を放棄・修正せざるを得なくなってしまったが、少なくとも蘚苔類では同じ過ちを繰り返さないよう、最初から標本番号を明記することにした。
 いまさらどうにもならないが、キノコに関しても、写真に標本番号を添えて置けば、標本の管理に対する配慮にも自ずと違ったものがあったはずだ。そうであれば、「フォトアルバム」掲載種も根拠を持ち、多少とも意味のあるものとなったのだろう。
 今後の「フォトアルバム」については、昨年の雑記に記したように、(a) 同定の信頼度が高いこと、(b) 広く通用している和名を持っていること、(c) 形態・発生時期に幅があるもの、を随時追加していくことになる(雑記2006.12.27)。ただ、ここ数年はきのこ観察のために山に入ることが非常に少なくなっている。今年も、新たなきのこの追加はあまりないだろう。

2007年1月16日(火)
 
「キノコのフォトアルバム」のこと (1)
 
 「キノコのフォトアルバム」というコーナーを作ったのは、2001年5月31日。撮影したキノコから、和名を持ち一定の条件を満たすものだけを選んで並べた。その条件というのは、次のようなものだった。その方針にそって新たな写真を追加していくつもりだった。

 (1) 標本が残っていること:自宅あるいは標本庫に納めた標本があること
 (2) 検鏡して同定したこと:胞子、シスチジア、傘表皮などの検討をしたこと
 (3) 記録が残っていること:何らかの形で観察結果を記録してあること

 写真だけではきのこの同定は困難である。また標本のない記録は基本的には無価値である、との基本認識に立ってのことだった。2002年夏頃までは、これらの基準は比較的厳格に守られていた。同定済み標本の一部は公の標本庫などに納めていた。
 雑記2006.12.27で偉そうなことを書いたが、これは、当初の条件を満たせなくなり、つじつま合わせのため2003年頃に変更したものだ。当初の三条件が崩れはじめたのは2002年秋の頃からだ。この後、自宅標本を腐らせたり、ハードディスクのクラッシュなど不測の事態があった。中でも2004年夏の記録消失は最大の痛手だった(雑記2004.8.2等々)。
 したがって、現在の「キノコのフォトアルバム」は単なる趣味的アルバムに過ぎない。少なくとも学問的には全く価値はない。というのは、最も重要な(1)が満たされていないからだ。標本を失った記録は、あってもしょうがないので、これも破棄した。


2007年1月15日(月)
 
きのこが無い
 
 土曜日と日曜日、いずれも午前中に何ヶ所かの自然公園を回ってみた。エゴノキタケ、ネンドタケ、サルノコシカケ、ニクウスバタケといった硬質菌やキクラゲ、アラゲキクラゲ、クロコブタケなどはあちこちで出会った。しかし、傘と柄をもったきのこは、数種類出会っただけで、いずれも状態が良くなかった。エノキタケに到ってはカラカラに乾燥していた。
 冬場はやはり、海浜で腹菌類を探索するとか、公園や雑木林などで地下生菌を掘るとか、日常とは違った環境で目先を変えた行動をするのが賢明なのだろうか。あるいは、普段なかなかできない菌類関係の基礎文献等を読んで勉強するのもよいのかもしれない。

2007年1月14日()
 
自宅標本
 
 最近ではごく一部のきのこについてしか標本を保管していないが、あらためて自宅できのこ標本を保管・維持することの難しさを感じた。関東地方であれば、例年ならば冬季は標本の保管にあまり気を遣わなくてもすむ。冷暖房をしない北側の部屋に保管しておけばほとんど問題はなかった。しかし、今年はどうも様子が違う。
 昨年11月には多くのきのこ標本を処分したが(雑記2006.11.14)、今年になって再び大幅に処分するハメに陥った。この冬の高温と多雨のためだ。従来なら、低温で乾燥した冬場は、標本のことはほとんど考えなくてすんだ。もはや、手元に残ったきのこ標本といえば、Tulostomaとごく一部の腹菌類だけになった。ハラタケ目の自宅標本はもはやほとんど全滅状態だ。
 今後はハラタケ目に関しては自宅標本は残さないことにした。ということは、この雑記の記録も根拠のない単なるメモという位置づけになる。もっとも、公的標本庫に納めたものを除けば、既に標本がないのだから、過去の雑記も根拠を失っているわけである。

2007年1月13日()
 
雪道
 
 今シーズンはまだ、一度も雪道を走っていない。昨年(雑記2006.1.14)、一昨年(同2005.1.15)にも、この頃は雪道の感触を楽しむことができた。例年今頃は、雪見酒と温泉が最大の冬場の楽しみのひとつとなっている。でも、今年は暖冬のせいもあり、先週行った栃木県の山間部でも雪を踏むことはできなかった。ただ、ミゾレが舞う中を歩いたのみである。
 今月は、これから先の土日がほとんどキノコ関連の行事や合宿などで埋まってしまっている。したがって、海浜にも石灰岩地にもとうぶん行かれない。雪道を楽しむことができるとすれば、2月に入ってからになる。10日後の富山行きは夜行バス利用なので、残念ながら雪の感触を楽しむことはできない。もっとも、今年は富山も積雪が異常に少ないらしい。また、津軽の地吹雪体験ツアーは雪が少ないため中止に追い込まれたと聞く。やはり冬は寒くて雪が降るのがよい。

2007年1月12日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 久しぶりにケシボウズタケを覗いた。というのは、今月3日に京都で久しぶりにウロコケシボウズタケが見つかり、昨日手元に届いたことによる。その、ウロコケシボウズタケのSEM撮影はまだやっていない。忘れないうちに、昨年11月24日に受け取ったケシボウズタケ属(11月19日に大分県で採取)についてのメモを記しておくことにした。
 昨年11月24日に受け取った三ヵ所のケシボウズはすべてナガエノホコリタケだったのだが、ここでは代表してそのうちから大分県糸ヶ浜で採取されたもの(a)の胞子を取りあげた。ケシボウズの胞子は水で封入すると団子のように固まってしまうので、エタノールで封入した。
 一枚の画像で胞子の表面模様とサイズの両者を表現するのはなかなか難しい(b)。そこで、普段は胞子表面に合焦(c)、胞子輪郭部に合焦(d)の2枚を組み合わせて表現することが多い。図鑑などでは、両者の合成イメージが手書き図で表示される。
 これを一枚の画像で表現しようとすれば、SEM(走査型電子顕微鏡)を使うしかない(e)。同じ1,000倍でも光学顕微鏡のそれと比較すると解像度がはるかに優れている。倍率を3,00倍、5,000倍(f)、1万倍と上げていけば、表面模様の詳細な構造を知ることができる。

2007年1月11日(木)
 
薄切り練習 (2)
 
 上手く切れた薄片は、ちょっとした風でもヒラヒラと舞い上がる。スライドグラスに置いても、ごくわずかな空気の流れですぐに飛んでいってしまう。だから、スポイトを使って、あらかじめスライドグラスに水を滴らせておく。切り出したピス片をすぐにこの水滴の上に置く。
 
  
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
 やり方とコツは解っているつもりでも、なかなか思い通りにはいかない。昨日も、せっかく切り出した薄片を、スライドグラスに置く前に何度か失ってしまった。風ではなく、自分の息をかけてしまったことによる。50回ほど切り出して、5回ほど薄片を失った。
 なんとか2回ほど上手く切れた。それが(d)の画像である(倍率が違うので大きく見える)。これを撮影したあと切片を90度倒したのが(e)である。切り出し幅は10〜12μmほどだ。切るときに躊躇したり、刃先の鈍ったカミソリを使うと、組織が引きずられてしまう(g)。
 最初は小道具を全く使わず手作業だけで切り出した。両刃カミソリを4〜6つに割って、指先でピスを支えて刃をあてた(h)。薄片の大部分は35〜50μmだった(f)。これでは横断面の観察など論外である(f)。横断面を観察できた切片はごくごくわずかだった。

 画像(d)、(e)は簡易ミクロトームを使って切り出したものだ。目と指先がダメでも、良い道具を上手に使えば楽にプレパラート作りができる。刃物としては、安価な簡易剃り具(i)を使った。1本20円程度だが、刃支持部に半切した両刃カミソリを差し替えれば何度でも使える。手作業だけに比べると、なんと簡単に40μm以下の薄片が切り出せるのかをしみじみと痛感した。


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