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昨日どしゃ降りの日光を歩いてきた。雨があまりに強いので、傘の内側から滴がたれて、首やら肩がびしょ濡れになってしまった。タモギタケの大群落にであったが、激しい雨のために、カメラがすぐにビショビショになってしまう。ポリ袋をかぶせたカメラに傘をさして撮影した(a, b)。 タモギタケは第一回目の発生がほとんど終わりとなり、今現在は第二回目の発生らしい。雨に濡れてすっかり脱色して白色になってしまった群が目立った(c)。ホシアンズタケに到っては、まともな撮影はできなかった。かろうじて撮影したものをいくつか並べた(d〜f)。 今年の日光は天候異変の影響なのか、例年なら今頃はオオシャグマタケが成熟の最盛期を迎えているのだが、ほとんど見られなかった。また、ヒロメノトガリアミガサタケはあちこちで多数出てはいるが、いずれも背丈が小さく例年の半分くらいの大きさしかない。 |
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簡易ミクロトームを使って、先日採取したイタチタケ(a)のヒダ切片や傘上表皮などを観察したときのメモである。白い紙にカバーグラスを数枚置き、そこにキノコを伏せて胞子紋をとると、そのまま胞子を確認できる。封入したのは、水(b)、3%KOH(c)、濃硫酸(d)である。 径7mmほどのキビのピスを長さ、5cmほどに切り、そこに縦に4cmほど切り目をいれた。イタチタケのヒダを一枚ピンセットで摘み取り、ピスに挟んで簡易ミクロトームにセットした。固定ネジを軽く回してピスが安定したところでとめた。一見ヒダが潰れそうにみえたが、無事だった。 貝印の長柄カミソリで、最初に一度突出部を切り捨てた。次に回転部のノブを30〜40度ほど回した。簡易ミクロトームの天版の上に、試料を挟んだピスがわずかにせり出す。長柄カミソリを天版に載せたまま手前に軽く引いた。息で舞い上がりそうなほど薄いピス片には試料が一緒についている。厚さは25〜30μmほどだろうか。 簡易ミクロトームを使うと、薄切りは非常に楽だが、その薄く切ったピス片から試料をはずすのに難儀する。スライドグラスに水を少量はって、ピンセットで摘んだピス片をそこにおいて、柄付き針で試料をはずした。予めスライドグラスに水を張っておくのがポイントだ。 しかし、たいていは、ヒダなどの試料はピスにではなく、切り出しに利用した刃物の先に付着する。この場合、面相筆などの柔らかく細い和筆でスライドグラスに試料を運ぶのが楽だ。硬いものを使うと、薄切りになった試料が潰れたり捻れてしまう。 ヒダ切片(e, f)につづいて、傘表皮も簡易ミクロトームで切りだした(h, i)。縁シスチジアや担子器などの観察には、ミクロトームは不要であり、単純にKOHでずらすように軽く押し潰せばよい(j〜l)。なお、イタチタケには縁シスチジアはあるが、側シスチジアはみあたらない。 ヒダ切片など、試料を厚切りした場合には、楽にその部分だけを取りだしてスライドグラスに置くことができる。しかし、薄切りになった試料は取扱いが面倒だ。馴れないと、ピスやカミソリの刃面に付着した薄片をはずすのに難儀するかもしれない。 |
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簡易ミクロトームも所詮は切片づくりを手助けするための補助具に過ぎない。これさえ使えば、誰にでもすぐに薄い切片が簡単に作れるわけではない。実体顕微鏡さえあれば、誰にでも楽に薄切りができるかというと、そんなことはない。これと同様である。 あらゆる道具は、その使い手によって、有用な武器にもなれば、たんなるガラクタにもなる。目的と機能に応じた使い方をする場合にしか役立つことはない。これまで、プレパラート作成に腐心して、いろいろと工夫を重ねてきた人には非常に有用だろう。 だから、テキトウに作ったプレパラートをテキトウにみられればよいのだという人には、何の役にも立たないガラクタに過ぎない。高価な文鎮を買うつもりならば、それも悪くはないかもしれないが、こんなもの3万円も出すのは、ドブに金を捨てるようなものだ。 目的意識と工夫さえあれば、何も高い簡易ミクロトームなど買うことはない。注射器製の簡易ミクロトームで充分だろう(雑記2003.6.16、同2006.11.23)。ただ、注射器製にはできない高度なことができる可能性を秘めている。どんな道具にも馴れと使いこなしという要素がある。 |
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昨日新しい簡易ミクロトームでムジナタケをいろいろな部位で切り出してみたが、かなり安定して薄い切片を切り出すことができた。その結果の一部をここに掲載しておくことにした。胞子はミクロトームとは直接関係ないが、念のために取りあげた。 胞子を水(a)、3%KOH(b)、濃硫酸(c)で封入した。おもに胞子表面付近に合焦して撮影したものを並べた。ヒダの切片は、ピスに挟み込む段階で潰さないようにすることが重要だ。新旧両ミクロトームともに、楽に薄手V字型片を切り出すことができた。 このまま倍率を上げていけば、ひだ実質部と側シスチジア(e)、縁シスチジア(f)、担子器(g)などが楽に見られた。傘表皮も同じようにピスに挟み込んで切ってみた(h)。 なお、PW製簡易ミクロトームの試作2号機を、菌懇会の例会(6/10)の場で使ってみようかと考えている。PW製簡易ミクロトームは、受注数だけをつくる予定となっていて、注文方法などの詳細は当日配布の菌懇会通信No.135に記されることになる。 |
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所沢の航空公園で採取したムジナタケを肴に、新旧二つの簡易ミクロトーム(a)で切片の作成をしてみた。新しい簡易ミクロトームはまだ製作されていないので、試作2号機を使っている。 ここでは、仮に小形の旧タイプをIW製、大型の新タイプをPV製と呼ぶ。IW製は径が8.5〜9.2mmのピスを使うことが前提となっている。ピスは太さ7.5mmのものを使った。したがって、IW製で想定された径より細いピスである。案の定、ピス固定ネジを目一杯締め込んでも、ピスは浮いた状態で(b)、このままでは安定した切り出しはできない。 従来もそうであったが、こんな場合、不織布製のクッキングペーパーなどをピスの外周に巻いて適度な太さにして使うとうまくいく(c, d)。カミソリで抵抗なく切れて、一定の厚みのあるものなら何でもよい。しかし、この作業はかなり面倒くさい。 一方、PV製はピス径をあまり気にする必要はない。ピス径5.5mm程度でも楽に固定できる(e)。7.5mmなら安定して固定できる(f)。従来、細いピスは、簡易ミクロトームでは使えないので、もっぱら手作業専用だった。手作業での切り出しは熟練を要する。 カッティングには柄付カミソリ(貝印:ステンレス長柄)と厚手の片刃カミソリ(フェザー:カーボン鋼S)を使ってみた(g, h)。IW製では、クッキングペーパーをピスと一緒に切らねばならず、多少の馴れが必要だが、PV製では気楽に着ることができた。どちらも同じように切り出せた。 |
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アマゾン・ドット・コムは早かった。昨日の朝注文したら、夜には届いた。内容が削除されたCFカードは、幸いに画像データの復活に成功した。データ復元ソフトは、これまであまり信じていなかった。今回は、つくづくとありがたみを味わった。もし、復活できなかった場合、再度日光まで出向くことも視野にいれていたので、なおさらであった。 きっと、誤って削除してしまったりフォーマットしてしまい、泣く人が多いのだろう。データ復活ソフトは数年前とは比較にならないほど高性能となっている。全般的に復活成功率は高くなり、操作は分かり易くなって、価格も安くなっている。 以前ならば、データ復活を専門とする業者に高価な対価を支払わなくては難しかったパターンでも、かなりの範囲まで復活ソフトがカバーするようになっていることを知った。2004年夏の悪夢は二度と味わいたくない雑記2004.8.1、同8.2、同8.3)。 |
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今日の早朝久しぶりに、所沢の航空記念公園をあるいてみた。サケツバタケ(a,b)、ムジナタケ(c, d)、イタチタケ(e, f)、キオキナタケ、シロフクロタケ、ヒメヒガサヒトヨタケ類似菌などが、かなりみられた。干からびきって使い物にならないので、採取しなかったがツブエノシメジ、コザラミノシメジもみられた。イグチ、ベニタケの仲間も顔を出しはじめたが、いずれも幼菌だった。 歩いてみて、あちこちでていねいにひっくり返されたキノコにであった。多分、キノコ関係者が撮影を行ったアトだろう。月曜日にもかかわらず、蹴飛ばされたり、踏みつぶされたものが少なかった。これは非常に珍しいことだった。
パソコン不調のあおりをうけて、「雑記」のアップを午後に回した。「コピー」をクリックした途端にマウスが勝手に動いて「削除」を選んでしまい、その後突然電源が落ちた。昨日撮影した200枚ほどの画像を納めたCFカードのデータがすべて削除されてしまった。いろいろと復旧策を試みていたため、雑記のアップが後回しになったからだ。 |
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今日と明日は日光で行われる合宿に参加する。といっても、キノコではなくコケ観察だ。それにしてもJRを使うと、交通費の高いことにあらためて驚いた。電車で日光に行くのは初めてだ。東武日光駅まで直接乗り入れるJR便があるが、東武鉄道で行く場合と比べて、交通費は倍以上も違いがある。所用時間は乗り換え時間を入れても15分程度しか違わない。 そういえば、高尾山に行くにも、JR電車を使わず京王線特急を使うと、はるかに安くしかも早く高尾まで行かれたっけ。都心を車で走るのはバカバカしいので、高尾山には電車でしか行ったことがない。車で行けば、電車の数倍の所要時間が必要だ。 |
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先に簡易ミクロトームの試作品(1号機)を紹介したが(雑記2007.2.6)、かなり完成に近づいてきた。ここ何日か、先日手元に届いた2号機を試用してきたが、あらためて完成度の高さに目をみはった。市販の卓上ハンドミクロトーム(一例)などと比較すると、ずっと小形で軽い。もともと市販品に対する不満から生まれたものだから当然だろう。 ちょっと見た目には、1号機も2号機もほとんど同じように見えるが、よくみると外見的にもいろいろと改良が施されている。刃物をあてる天板を固定する方式が変更されて、固定ネジが筒横に移動した。さらに、見えないところにもいろいろ工夫がされている。 池田製簡易ミクロトーム(a, a'の下側)の欠点は完全に克服されている。池田製に比べると、一回り大きいこと、やや重いことが欠点といえるかもしれない。しかし、使ってみると、手に馴染む大きさである。何よりも、いろいろな太さのピスを使えるのがよい。池田製では、太さ8.5〜9.2mmの範囲のピスしか使えなかったが、2号機では、径4mmのピスでも安定して切り出せた。 ちなみに、「こけ雑記」で「観察覚書」として5/28〜5/31に取りあげたプレパラート(葉、茎などの横断面)は、この2号機を用いて切り出したものだ。 現在、頒布製品の仕様決定に向けて、最終段階のツメを行っているが、すでに10数台の予約を受けているという。手作業による精密加工を伴うので量産はせず、知人友人などからの受注分だけ製作し、頒布価格は3万円前後となるという。
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