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昨日、好天の日光を歩いてきた。26日から中禅寺湖畔に向かうハイブリッドバスも運行をはじめた。しかし、早朝の時刻にはまだ動いていないので、のんびりと歩いて湖に向かった。早朝の気温は摂氏マイナス4〜2度。周囲はまだ緑もなく冬景色だ。 例年に比較して雪は少ない。にもかかわらず、この時期としては残雪が多い。悪い予感はあたっていた。目的のひとつシャグマアミガサタケは発生数も少なく、成長も悪い(a, b)。オオシャグマタケも同様にまだとても小さい(c)。テンガイカブリに到っては、まだようやく頭部を現したばかりで、落ち葉を掻き分けて探さないと見つからないほどに小さい(d, e)。オオズキンカブリはまだひとつもでていなかった。せっかく背負っていった一眼レフは一度も出番がなかった。 昼頃には気温もかなりあがり、上着を着ていると厚いくらいの陽気となった。カンバについたカバノアナタケの菌核もいまはまだ無事に姿をみせていた。 |
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ケシボウズ標本の胞子サイズを計測したのは、計測方法の洗い直しと基準作りが目的だった。計測した標本はおおよそ300袋、その標本袋から数個体を抽出しては、胞子を40個ずつ測定し記録した。だから、トータルでは2万個以上の胞子を計測したことになる。これらの計測値をもとに算出した平均値、中央値、標準偏差、Q比などを検討した。 最初この作業をするにあたって、画面上のピクセル数をもとにサイズを計測するソフトを使うことを考えた。しかし、姿勢の判定や胞子刻紋のあるなしの両者で計測すること、等々を考慮すると、結局個別に手作業でやるしかないという結論に達した。
計測にあたっては、まず写真を撮り、モノクロでプリントアウトする。次に、胞子の姿勢ごとに色分けをする。その各色毎に番号を付けて、そこにスケールをあてて記録していく。スケールは、対物ミクロメータを撮影・印刷して、それを厚手セロハンに転写して作った。番号をつけるのは、同じものをダブって計測せぬよう、漏れの無いようにするためだ。 |
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昨日、20日ほど前に採集したコケの観察を始めたところ、複数種が混じっていることがわかり、ウンザリしながら仕分け作業にとりかかった。1時間ほど試みたがバカバカしくなって、標本番号を欠番として、同定作業は放棄した(こけ雑記→たわごと 2007.4.28)。
今月前半は連日、過去に採集したケシボウズ標本の胞子サイズを計測した。胞子計測の目的と方法については、後日メモを残すことにして、計測の過程で深刻な問題にぶちあたってしまった。「基本に忠実」に採集していれば、起こりにくい問題だった。
混在が見つかったのは静岡県の遠州灘で採集した標本で、簡単に廃棄するわけにはいかない。胞子計測以前に、袋の中のすべての個体について、ひとつひとつ同定作業を強いられるハメになった。まさに悪夢だった。作業は予定より大幅に遅れてしまった。 |
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昨日さいたま市の見沼区にある自然公園を歩いてみた。シロフクロタケ(e)、キオキナタケ(f)をはじめ、お馴染みのきのこ10種類が多数出ていたが、肝心の Melanoleuca verrucipes はひとつも出ていなかった。しかし、全く無駄ではなかった。 1週間前に散布されたウッドチップの上には、さらに覆い被せるように新しいウッドチップが覆っていた。草が茂っていた部分では、大型芝刈り機のような重機が唸りを上げて稼働していた。重機の通過した後には、刈り取られた草と押し潰されたきのこが転がっていた。 ふと足下をみると、まるでシイタケのような外観のきのこがウッドチップからでていた(a)。すっかりひび割れ、柄はすっかり乾燥していた。ひとつを掘り出してヒダをみると、Melanoleuca (ザラミノシメジ属) のようだ。ツブエノシメジは無かったので、これを持ち帰った。 胞子紋は落ちなかった。ヒダ切片を観察すると、Melanoleuca 特有のシスチジアがみられる(b, c)。ヒダをスライドグラスに押し当てて胞子を採取してメルツァー液で封入してみた(d)。確かに Melanoleuca のようだ。落下胞子ではないので、サイズの形状などはしなかった。Melanoleuca を研究しているいわき市の友人に連絡を取って、直ぐにクール宅急便で発送した。 |
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顕微鏡を使ったところで同定には全く役立たない例を、具体的に示してみた。 去る4月21日に川崎市の緑地で採集したイッポンシメジ科のきのこである。いわゆるハルシメジ(広義)であるが、上の段はツツジ(?)の生け垣下に出たもの(a〜f)、下の段はウメの樹下に出たものである(a'〜f')。前者は小形でやや貧相、ウメ樹下のものは大型でしっかりしている。 それぞれ、対応するパーツを上下に並べて配置した。胞子(b, b')、子実層托実質(c, c')、傘表皮を水で封入(d, d')、傘表皮をフロキシンで染めて3%KOHで封入(e, e')、フロキシンで染めた担子器(f, f')である。これらの上下の写真をいくら比べてみても、ほとんど差異は無い。 試薬、たとえば、グアヤク脂を傘肉や柄などにかけて反応をみれば、違いがあるのかもしれない(雑記2006.4.27)。しかし、顕微鏡でみる限り、ほとんど違いを読みとることはできない。要するに、この2種の区別のためであれば、顕微鏡観察は無駄といえる。イッポンシメジ科のきのこではかなりの頻度で起こる事例なので、バカバカしさを承知でアップした。 |
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昨日所用で千葉まで行ったので、青葉の森公園を覗いてみた(a)。舗装された遊歩道を歩いていると、あちらこちらの道の脇にはアミガサタケが多数でていた(b〜e)。桜の下、ツツジの生け垣の下、ウメ林の脇などに広範囲にみられた。日曜日にはかなりの人出があったろうに、よく蹴飛ばされたり踏んづけられずにこれだけ残っていたものだ。梅林が何ヶ所もあるので、下草の中を探してみたが、ハルシメジはみられなかった。他には、芝のなかにキコガサタケが数ヶ所でみられた。平地では今年最後のアミガサタケと思って、何枚も撮影した。 | ||||||
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茨城の神社で出会ったセンボンイチメガサ属のきのこで遊んだ(a)。比較的乾燥していたので、傘を紙に伏せて一晩放置したところ、濃すぎる胞子紋がたっぷりとれた(b)。検鏡のため一部を削いだ。茶褐色系である。帰宅後30分間ほど採取した胞子紋でも色はよくわかる。 きのこ自体はやや乾燥気味だったが、傘表面に水をかけると粘性があり、傘の縁の条線がはっきりしてきた。ヒダは直生で密、柄の表面にはササクレ状の鱗片があり、ツバの痕跡がある。一部のきのこでは、繊維状〜膜質のツバが残っていた。 胞子を水と3%KOHで封入してみた(c, d)。KOHでは胞子の色が明るい蜜色となる(d)。外見のよく似たコレラタケの胞子は、片側がやや尖り表面には微疣があるので、顕微鏡を使うと400倍でも充分楽に判定できる。自信がないとき、胞子さえ確認すればかなり安心だ。 きれいな状態で束生したコレラタケの中には、センボンイチメガサと実によく似た印象を与えるものがある。以前、センボンイチメガサだと思って鍋に放り込もうとしたきのこを、念のために検鏡したところ胞子に疣があったので、慌てて捨てたことがあった。 ツバを高倍率のルーペでみると、縁シスチジアがあるようにみえる(e)。念のためにヒダを切り出し(f)、先端を見た(g)。側シスチジアを持たないことは直ぐ分かるのだが、ちょっとみたところ、縁シスチジアらしきものがみえない。小さくて子実層に埋もれてしまっているらしい。 ヒダの縁付近だけを、フロキシンで染めてKOHでバラしてみた。すると偽担子器のような姿の縁シスチジアが多数みられた(i)。そうそう、ひだ実質は並列型、担子器の基部にクランプあり(j)。これも3%KOH+フロキシンでバラした。センボンイチメガサとしてよさそうだ。
傘表皮の構造を確認しようとして愕然とした。持ち帰ったきのこの傘表皮を切り出すと、切片の表皮側が胞子にまみれている(k)。やや倍率をあげると、傘表皮はどうやら菌糸上の組織が平行に走っているらしいことがわかる(l)。しかし、厚い胞子の層が観察の邪魔をする。 |
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昨日の千葉の海は非常に風が強く、目を開けているのも辛い状態だった。内房の浜では、ポツリポツリとケシボウズタケの仲間がわずかに発生をしているようだが(a)、多くは数ヶ月から1ヶ月ほど前に出たと思われるミイラばかりだった(b)。 海辺でのきのこは期待できそうもないので、外房には行かずに、そのまま茨城県鉾田市へ回った。カシタケはすでにほとんど終わっていた。アミガサタケがあちこちに見られた(c)。シイとタブの巨木が残る神社仏閣では、マユハキタケ(d)、カンゾウタケ(e)、センボンイチメガサ属(f)のキノコが出ていた。ウラシマソウがやたらに目立つ一日だった。 カンゾウタケは、都内で4月15日時点ですでに10cm以上に育っていたのに、茨城県ではまだ幼菌が顔を出しはじめたばかりだった(雑記2007.4.16)。 |
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昨日菌懇会の例会で、川崎市の緑地を歩いてみた。いわゆるハルシメジが最盛期をむかえていた。よく知られているウメ樹下にでるもの(a, b)、樹種はよくわからないが、小さな灌木の生け垣の下にでるもの(c, d)などがみられた。 腐葉土の積み重なった斜面にも傘と柄をもったきのこが姿をみせてくれた。やや乾燥気味だが最近でたばかりのキシメジ科らしきものがみられた(e)。アミガサタケも相変わらずでていたが(f)、多くは泥に汚れた老菌となっている。 今はam4:30、これから今日は仲間4名で、久しぶりに千葉の海に出かける。 |
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昨日さいたま市の神社で採取したワカフサタケ属のきのこを調べた。この場に観察結果である退屈なメモをまず書き出してみた。たまにはいいだろう。昨年7月以来「こけ雑記」の「観察覚書」では、ずっとこの退屈なメモを公にしてきた。
子実体は、胸高径40cmほどのアカマツの基部から65cmの位置、腐葉土の中に出ていた。3つが束生し、傘径はそれぞれ13cm、3.5cm、2cmで、大きく開いた傘はほぼ平ら。表面は淡黄土色で平滑、粘性がある。肉は厚く白色〜肌色(c)、ヒダは淡肌色、上生で密。柄は上下同太で、採取した3個体は、7cm x 20mm、5cm x 8mm、4cm x 6mm、表面は細鱗片〜逆毛状。
観察結果は、コツブオオワカフサタケを示唆している。カバーグラス2枚に胞子紋をとった後、その落下胞子を水と3%KOHで封入してみた(a, b)。胞子を観察した後、最初にヒダを切り出した(d)。そのままヒダ先端をみると細長いシスチジアがみえるが、透明でとても分かりにくい(g)。そこで、プレパラートを顕微鏡のステージに置いたまま、カバーグラスの脇からフロキシンを注いだ(f)。カバーグラスの脇から注いだために、ヒダ実質は染まっていない(e, f)。 |
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