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日( )

2007年5月20日()
 
フォトアルバム修正 (2)
 
 「キノコのフォトアルバム」には現在627種のきのこについての索引リストが12本ある。これらのリストを手作業で更新するのは膨大な時間と面倒な作業が必要だ。根が怠け者なので、面倒な作業は大嫌いだ。そこで、2001年春〜初夏にかけて索引自動作成プログラムを作成した。問題が生じる都度、部分的修正を加えながら現在に至っている。

 このプログラムは後日修正をしやすいようにPerlで作成した。方言やバージョンに依拠しないように作成した(つもりだった)。プログラムの基本的仕様(アルゴリズム)は現在も当時とほとんど変わっていない。しかし、この間にPerlの言語仕様に変更があった。
 急速にネット環境が拡大し、汎用言語としての地位を獲得したPerlは、この6年間に、大幅な拡張がなされ、基本的な仕様変更もあった。2001年に作成したプログラムはいつの間にか、論理的に齟齬をきたしていた。大幅修正が必要になっていたにもかかわらず、古いバージョンのPerlに依拠する論理と表現法を使っていた。そのことに今回改めて気づいた。
 自分では、フォトアルバムから何かを調べる場合、全文検索システムnamazuだけしか使っていなかった。アルバムを更新するとその都度、索引リスト12本も更新される。しかし、これらの索引リストをみずから利用してこなかったので、誤りがあってもなかなか気づかなかった。

 ここ1週間ほどは、画像処理ソフトの練習と並行して、索引作成にかかわるすべてのプログラムを見直して、書き換えることに時間を費やすことになってしまった。結果的に2本はゼロから書き直し、そのほか5〜6本のモジュールを大幅修正するハメになった。
 この過程で、記憶力の極度の衰退を感じた。このためPerlの仕様変更箇所を学習するのに、思いの外時間が必要となった。論理的思考能力がかなり減退していることも痛感した。


2007年5月19日()
 
画像処理の練習 (2)
 
 画像処理は意外と時間がかかる。ひとつ一つの画像ファイルに手を加えていると、きのこそのものを観察する時間がとれなくなってしまう。まず前回の続きとして、子実層托実質と子実層の写真をそのままアップした(f, g)。今朝画像処理をしたのは一枚だけだ(j)。
 
 
 
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 コザラミノシメジだとすれば、便腹型のシスチジアが、縁にも側にも見られるはずだ。ところが、このMelanoleucaは、ヒダ切片を見たとき、縁シスチジアも側シスチジアもほとんど判別できなかった(f)。そこで、ヒダを一枚取り外して、そのままスライドグラスに載せて、水で封入しカバーグラスをかけて縁をみた(h)。倍率を上げると、結晶を帯びた縁シスチジアがある(i)。
 MelanoleucaやInocybeなどにみられるシスチジア先端の結晶構造は、一般にKOHなどのアルカリで溶けてしまうことが多い。しかし、3%KOHで封入して数分間ならば、ほとんど溶けずに観察可能な場合が多い。しかし、そのまま10分間ほど放置すると、結晶はすべて消えていた(j)。

 報文などに使う場合、画像処理を可逆的過程として残しておくと便利だ。そのためには、レイヤー機能が非常に重要であることがわかった。最終的に提出する画像は、それぞれ別個に作っておき、訂正や変更があっても、レイヤーの一部を置き換えるだけで可能となる。


2007年5月18日(金)
 
顕微鏡の写真
 
 「顕微鏡下の素顔」のトップページには2種類の顕微鏡写真が並んでいる。オリンパスの単眼とニコンの三眼だ。すでに他人の手に渡り、いずれも現在は手元にない。両者とも、ミクロの姿の撮影には活躍してくれた。胞子やヒダ切片の画像撮影では、長らくこれらが主役の座を務めてくれた。現在アップされている画像の半分以上がこれらによるものだ。
 撮影に使用していたデジカメも、長いことニコンのCoolpix900を使っていたが、現在は、950と990が主体となっている。その990も最近はしばしば不調である。上記の顕微鏡を使っていた当時は、オリンパスのCamedia5060も使っていたが、最近はあまり使っていない。
 「顕微鏡下の素顔」のトップページ写真を変更しようと思い立って、すでに数ヶ月経過する。最近メインに使っているNikonのBIOPHOTの姿に変更しようと考えたのだが、別に顕微鏡の姿をトップページにもってくる必要はない。では何の写真にしようか、まだ考えがまとまっていない。

2007年5月17日(木)
 
画像処理の練習 (1)
 
 今朝は珍しく、画像処理ソフトの初歩的機能の練習をした。いくつもの画像を一枚に合成したり、フィルターを使ったり、ゴミ掃除などは苦手なので、ふだん利用することは滅多にない。画像処理ソフトで日常使う機能といったら、トリミングと縮小機能くらいだった。
 
 
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 練習用素材として使ったのは、今月11日にさいたま市の見沼自然公園で束生していたコザラミノシメジ?だ(雑記2007.5.12)。使ったのは、12日の朝撮影した写真ばかりだが、切り抜きとかレイヤー機能、ピクセル数とプリントサイズの統一などを練習した。
 画像処理の知識は、先に千葉でF博士から教示されて初めて知ったことばかりだ。これまでは、視力のことやら、面倒くささが先にたって、処理ソフトの諸機能は知らないままだった。最終のプリントアウトはすべてWordに頼っていた。しかし、Wordで処理した画像は、お世辞にも綺麗とはいえず、修正指示などが入った場合、ゼロから作り直す必要があった。

 コザラミノシメジのヒダは「湾入上生」とされているらしい(a)。湾生や離生っぽいものもあったが、あいにく撮影していなかった。胞子の観察には、ふだんカバーグラスに採取した胞子紋を使っている。まず対物40倍(総合倍率 400倍)で観察する(b)。
 直接メルツァー液で封入すると、背景が褐色となって見にくいことが多い。そこで、ていねいに見るときは、エタノールやKOHを使い、「前処理→水洗→試薬」と処理している。今朝は、背景の褐色を画像処理ソフトで消した(b, c)。前処理の有無で色が異なる(b〜d)。
 四つの個体から、それぞれ一枚ずつヒダ切片を切りだした。ふだんはそのうちから1枚をアップするだけだが、これも一枚に合成してみた(e)。色調の調整やらゴミとりはやってない。画像処理は意外と時間がかかるので、今朝はここまでしかできなかった。


2007年5月16日(水)
 
楔形スキャナ
 
 きのこを調べていくと次々と古い文献が必要となってくる。これをいちいち購入していると、いくら金があっても足りない。たとえば、川村『原色日本菌類図鑑』など、全八巻揃った物では、古書価格で十数万〜数十万円もする(a)。おのずと、コピーのお世話になる。
 
 
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 コピーにあたっては、コピー機の蓋の上から、本が壊れない程度に力を加えて、なるべく水平にする必要がある(b〜d)。しかし、力のいれ具合を間違えると製本部が簡単に壊れてしまう。紙が茶色になった古い本では、うかつにページを開いただけで壊れてしまうこともある。
 最近の事務用大型コピー機では、本のノドの部分も鮮明にコピーされるよう工夫がされたものが増えてきた。しかし、基本的に本の背側上部から力を加えるという仕様は変わらない。本をほとんど閉じた状態でコピーできる機械は生まれてこないものだろうか。

 たとえば、スキャナー本体が楔形をしていれば、本をそこに挟み込めばコピー可能なはずだろう(e, f)。日焼けして今にも壊れそうな古い文献でも、こうすれば、安全にコピーできる。ハンディタイプのスキャナーなら、移動読み取り部を楔形にすればよい。キノコ世界に限らず、多くの分野で需要はあるように思うのだが、いかがなものだろうか。


2007年5月15日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 今月初めに出会ったオオズキンカブリについて、メモを残しておくことにした。
 今年は1〜2月が暖かく春のようで、3〜4月が寒く真冬のような気候だったせいか、オオズキンカブリの発生期間にかなり異変があった。幼菌の発生を確認したのは4月8日(雑記2006.4.8)。だから、4月15〜18日頃に最盛期を迎え、20日過ぎにはほとんど姿を消すものと思っていた。
 ところが、5月3日に無駄を承知で行ってみると、まだ多数の個体が出ていた。最盛期は5月1日頃だったようだ。寒さで成長が止まっていたところで、4月後半の多雨と高温によって一気に成長したらしい。今年は例年に比較すると、背丈が大きく発生数も多かった。
 林道脇の斜面ばかりでなく、水流際の河原にもかなりの数が発生した(a, b)。頭部にはしばしば虫がみられる。あたりはコゴミ狩りにちょうどよい季節で、新緑にはまだほど遠い。すでに、何度も観察しているので、先日は、自然に転けたものを数個体持ち帰って観察した。
 1〜2時間程度で無数の胞子が落下した。胞子はとても巨大で、低倍率でも充分よく見える(c)。ギネスブック的にみると、きのこ世界では、最も大きな胞子ではあるまいか(e)。あまりに大きいからなのか、子嚢の中で成長する胞子は2つだけである(d)。アミロイド反応はマイナスで、隔壁を持った側糸は棒状で先端が特徴的に曲がる(f)。

2007年5月14日(月)
 
胞子の計測 (3)
 
 小さくて球形の胞子を持つきのこでは、胞子を観察する場合にはエタノールで封入している。水で封入すると、大きなかたまり状になってしまい、個々の胞子の観察はとても難しくなるからだ。その典型は、ケシボウズとかホコリタケ、ヒメツチグリなどの胞子観察だ。
 ただ、エタノールはすぐに揮発してしまう。したがって、接眼レンズを覗きながら、のんびりと胞子サイズをメモしたりしていると、数個ほど記録しただけで、たちまち観察困難となってしまう。したがって、エタノール封入の胞子を観察するには何らかの工夫が必要だ。

 正確に40〜60個の胞子サイズを計測するには、プリントアウトした画像を利用している。エタノールで封入したら、油浸100倍で輪郭部に焦点を合わせて直ちに撮影する。同一倍率で、対物ミクロメータも撮影する。これはプリントアウトしてから、セロハンに転写する。
 プリントアウトされた用紙上で、胞子の上にセロハン定規をあてて、サイズを計測する。エタノールの揮発を心配する必要がないから、計測にはいくら時間をかけてもよい。計測済みの胞子はマーカーで印をつける。これで、ダブル計測を避けることができる。
 注意するのは、画像をプリントアウトする場合、胞子画像の解像度と対物ミクロメータ画像の解像度を必ず同一にしておくことだ。また、計測にあたっては、光学的歪曲の少ない中央付近の画像を使うことだ。対物レンズがPlan系でない場合は、周辺の画像は必ず歪んでいる。これらを誤ると、ゼロからのやり直しとなってしまう。


2007年5月13日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 昨日秩父の栃本にある東大演習林を散策してきた。標高800〜950メートル付近を中心に沢に沿って歩いたが、夏のような暑さに閉口した。
 沢沿いの林道脇に出ているキノコは、いずれも乾燥気味で、ヒダを見ると無数の虫がはい回っていた(a〜c)。水流近くの腐朽木からは、ウラベニガサ属をはじめ、小さなきのこがいくつかでていた(d)。ハイゴケの間に落ちたブナ殻斗からは、小さな白い盤菌が出ていた(e, f)。
 川口市から演習林のある入川林道ゲートまでは、せいぜい130kmほどしかないのだが、早朝の時間帯でも2時間半ほどかかった。帰路は、3時間半ほど必要だった。途中温泉に寄って汗を洗い流した。メインの表街道を走ると、往復ともにさらに1時間以上はたっぷりかかりそうだ。それにしても、秩父市の羊山公園周辺の大渋滞は凄まじかった。

2007年5月12日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 大型連休の頃さいたま市見沼区にある自然公園で、ウッドチップ上にキノコを作る直前の菌糸塊をみつけた。菌糸を検鏡したところ Melanoleuca 属らしく、あと4〜5日もすればキノコを作り始めるだろうと思った。そこで、昨日午後その場所に行ってみた。
 またやられた、そう思った。新たなウッドチップの絨毯が数十センチの厚みで敷かれていた(a)。ウッドチップからはまだ湯気が上っていた。なんとも殺風景な風景に変わっていた。やむなく、場所を変えて、別のウッドチップ層に出ているきのこを確認してみた。
 ウスベニイタチタケ(or 類似菌)、ヒトヨタケ属、オキナタケ属、フミズキタケ属(b)、シロフクロタケ(c)、ツマミタケ(d)などが多数でていた。乾燥が続いているせいか、干からびた群も多数みられる。やりきれない気分で、ツマミタケの卵を切断してみた。
 ひしめき合って束生するコザラミノシメジ?をみつけた(e, f)。この仲間のきのこは、たいてい単生していて、このように束生する姿は見たことがなかった。念のために、胞子を検鏡すると、確かにMelanoleuca属だった。ウッドチップの下敷きになってしまった菌糸塊も、あるいはコザラミノシメジ?であってツブエノシメジではなかったかもしれない。

 今日はこれから秩父の東大演習林。秩父は距離では日光よりはるかに近いのに、時間的には日光よりずっと遠い。グチを言っていないでさっさと出かけよう。


2007年5月11日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 昨日川崎市の緑地でひとときを過ごした。ヒロハシデチチタケが最盛期らしく、あちこちで見かけた(a〜c)。現地では、他にもコガサタケ属、ハナビラニカワタケ、フウセンタケ属、などのミクロの姿を覗いて楽しんだ。ヒロハシデチチタケの胞子の他にも、ハナビラニカワタケの担子器、コガサタケ属の縁シスチジアの姿は参加者に好評だった。
 ヒロハシデチチタケは過去に何度も検鏡しているが、検鏡写真となると、随分久しく撮っていない(雑記2003.5.19)。小さな個体をひとつ持ち帰ったので、4年ぶりに撮影してみた。胞子紋をカバーグラスに採取したので、メルツァー液と水とで封入した(d)。胞子表面に合焦したものを左側、輪郭部に合焦したものを右側に、4枚を寄せ集めた。

 昨日の川崎市同様、簡易ミクロトームは使わず、今朝はすべて徒手で切片の切り出しを試みた。乳液のせいでカミソリがすぐに切れなくなる。それにもめげずに同じカミソリで何度も切り出した。写真のもの(e)は、それらのうちの最も薄いものだ(e)。プレパラート切片としてはかなり厚めだが、この低倍率でも、側シスチジアなどを明瞭に確認することができる。
 簡易ミクロトームとよく切れるカミソリ刃を使えば、誰にでもとても簡単に、写真の切片(e〜g)の1/2〜1/3ほどの厚みに切り出せるはずだ。悪いことに、すでに数十枚ほどコケの葉を切ったナマクラのカミソリを使ったので、薄く切ることはできなかった。
 フロキシンで染めて子実層周辺をみても、シスチジアの基部はみえない(h)。水封状態のまま、別の場所を探すとシスチジアの基部が托実質部に由来するのがわかる(i)。KOHでばらして、フロキシンで染めてみた。側シスチジア(j)と担子器(k)だ。傘表皮も念のために撮影してみた(l)。
 それにしても、簡易ミクロトームの製作開始が待ち遠しい。試作品には芸術品としての風格がある。Mさんの多忙が一段落する時期が目安となるか。


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