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ヤマイグチの仲間では、胞子とかシスチジアはみな同じようで、これらから種の違いを読みとるのは難しい。いやでも周囲の樹種、外観、変色性、匂いなどに大きく頼ることになる。でも、傘表皮を見ると、スミゾメヤマイグチは独特の姿をみせてくれて楽しい。 |
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まずは、とりあえず胞子とシスチジア(c)を型通りにみた。裏面管孔部(a)をルーペでみると、縁シスチジアがあることは明瞭にわかる(b)。傘の断面をみても、傘表皮が球形の細胞からなっているらしいことは、見当がつく(d)。傘表皮を簡易ミクロトームに挟んで、切り出した(e)。確かに、球形の細胞が縦に数珠のように繋がった組織が、柵状に並んでいる(f)。 |
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ヤマイグチとは全く関連がないが、先日同じ場所で採取したキアミアシイグチである。気紛れに撮影したので、記憶媒体をフォーマットする前に検鏡写真を残すことにした。裏面(g)、管孔部(h)、シスチジア(i)、担子器(j)、傘表皮(k, l)である。傘表皮の検鏡は、種の同定に必要な場合がかなり多い。胞子、シスチジアと併せて、傘表皮も観察すると興味深い。 | |||||||
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ハイビジョン対応の16インチ小形テレビが届いた。以前と同じAQUOSシリーズで、LC-13S4シリーズとほぼ同サイズだ。これまで通り、顕微鏡のすぐ脇に置くことができる(a)。デジカメの液晶画面(b)だけでピント合わせをするよりも、外部モニターを併用すればずっと楽だ(c)。 ただ、昔のスイバル機構のCOOLPIX9xxシリーズの場合は、あまり役に立たない。しかし、最近のCOOLPIXシリーズやOLYMPUSのCAMEDIAであれば、外部モニター送出信号も高解像度だから、外部モニターでピント合わせが楽にできるはずである。 だいぶ前に、COOLPIXが不調続きの時に、OLYMPUSのCAMEDIA5060WZを、顕微鏡撮影専用としてアダプタとあわせて購入した。今後は、それをメインに使うことになりそうだ。デジカメも、COOLPIX990を使う場合には、旧テレビモニター画像(d)とあまり変わらない(c)。 しかし、CAMEDIA5060WZから出力すると、状況はまるで変わる(e)。細かな部分まで表示される。入力端子が6系統あるので、PCや実体鏡に装着したデジカメからも、リモコンのボタン一つで、すぐにパソコンや実体鏡画面に切り換えられる(f)。 13インチとやや小さいが、検鏡画面を表示しながら、エディタで文章を書くには便利だ。以前は、キーボード脇に単眼簡易顕微鏡を載せながら、エディタを使っていたが、今後は顕微鏡の脇にキーボードを持ってきて書くことができる。このやり方だと、いちいち顕微鏡を覗かなくても、リモコンで切り換えるだけでよいから、目の疲れ型がまるで違う。 |
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日光を歩いてきた。ムラサキヤマドリタケ(a, b)、ヤマドリタケモドキ(c, d)、タモギタケ(e, f)にあちこちで多数出会うことができた。ムラサキヤマドリタケとヤマドリタケモドキはごくわずか採取したが、そのまま酒の肴となった。タモギタケは大きく育った株は採取せず、若い小さな株だけを採取した。幼菌も多数みられたが、初夏から梅雨時のタモギタケは一段落したようだ。 いつみても飽きないのはホシアンズタケだ(g〜j)。ちょうど今の時期、傘径数ミリの赤色の幼菌も多数みられたが、きのこ自体は最盛期を迎え、大きく育った成菌があちこちでみられた。キイロスッポンタケ(k)、ツエタケ類(l)にも出会ったが、テングタケ類、イグチ類、ベニタケ類もずいぶんと多くなってきた。夏のきのこシーズン到来なのだろう。 |
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昨日川越市の保護林を歩いてみた。例年に比較してきのこの発生は芳しくない。しかし、テングタケ類、ベニタケ類、チチタケ類、イグチ類をかなりみることができた。 テングタケ類は7〜8種類に出会ったが、撮影したのは2種のみで、しかも持ち帰って調べたわけではないので、正確な種名はわからない(a, b)。ツチカブリが異常に多数、到るところに出ていた(c)。チチタケ類では最も目立った大形菌である。 クロハツがいくつもでているように見えたが(c)、なかには傷つけて1時間ほど経過しても、黒色にならず、数時間後にも暗褐色のままだったから、ニセクロハツの可能性が高い。ヤグラタケを載せたクロハツ類はまだみられなかった。 イグチの仲間では、スミゾメヤマイグチ(e)、キアミアシイグチ(f)が最も高い頻度で発生していた。傘表皮だけではまるで別種に見えたが、裏側をみると、いかにも黄色の網足そのものだった。例年なら今頃よく見かけるムラサキヤマドリには一つも出会えなかった。 |
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先日採取したツバナシマツオウジ(a)が冷蔵庫の中で残っていたので、処分する前に覗いて楽しんだ。傘の表面に白色の胞子紋が厚く着いていたので、その一部をピンセットでつまんでプレパラートを作った(b)。非アミロイドである(c)。 ヒダはかなり崩れはじめていたが、なんとか切り出せた(d)。顕微鏡のステージに載せたまま、脇からKOHとフロキシンを注いで、反対側の縁に濾紙を当てた。KOHのせいで、組織が潰れてバラバラになった。ヒダ先端には、曲がった類円柱状の縁シスチジアがある(f)。 久しぶりに、フロキシン消しゴム法で、菌糸型の確認をした(雑記2003.9.20、同9.19、同9.18)。マツオウジはdimitic、つまり2菌糸型とされ、原菌糸と骨格菌糸という菌糸構成になっている。しかし、ヒダ実質をいくらみても、骨格菌糸は見つかりにくい(g)。 傘肉や柄内部の白色の組織をみると、骨格菌糸がはっきりと捉えられる(h, i)。細胞壁が厚くても、隔壁を持ち、フロキシンで染まっているものは原菌糸だ(j)。それにたいして、菌糸内部の空洞にフロキシンは入り込んでいても、ほとんど染まらず隔壁をもたない菌糸が骨格菌糸だ(i)。 |
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現在も顕微鏡写真の撮影にはCOOLPIX990や950を使っている。スイバル機構を備えたこの9xxシリーズは、誰にでも安いコストで楽に顕微鏡撮影を可能としてくれた(雑記2005.1.13)。カメラのレンズ径が、顕微鏡の接眼レンズ径に近く、アダプターも豊富だったので、三眼鏡筒(b)はもちろん、双眼鏡筒でも、単眼鏡筒にでも楽に固定できた。 しかし、その反面、小さな液晶画面でピントを合わせる必要があり(雑記2005.2.2)、専用リモコンも高価でお世辞にも使い勝手がよいとはいえなかった(雑記2005.2.5)。液晶画面は、シリーズ初期の機種では2.5インチ13万画素だったが、リニューアルされる都度小さくなり、ついには1.5インチ11万画素となってしまった(COOLPIX4500)。 このため、顕微鏡写真のピント合わせにはいつもウンザリしてきた。ピントがあっているのか否かがはっきりしないため、苦肉の策として、その周辺で少しずつピントをズラせて、複数枚撮影するようになった。やがて外部モニターを補助的に使うようになった。 しかし、COOLPIXの外部モニター送出信号は画素数等が大幅に省略されている。だから、いくら高精度の外部モニターを使っても無駄である。それもあって、シャープ製品で640×480ピクセルの、AQUOS LC13S4を使ってきた。30万画素、昔のファミコン画面のようだ。 最近、しばしばCOOLPIXが不調で、頻繁に撮影に支障をきたすようになった。顕微鏡写真撮影専用には、別の機種を考えざるを得なくなってきた。この機会に、外部モニターも小形で高精細画面のものに変えることにした。清水の舞台から飛び降りて、1366×768ピクセルの16インチテレビを注文した。用途は、顕微鏡類とパソコンを切り換えながら表示することだ。 |
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先日の長柄カミソリの使い勝手に関する続きのメモ(雑記2007.6.29)。本来、取り扱うキノコを代える場合、刃先も交換すべきだろう。それを前提とすると、ステンレス鋼よりも、炭素鋼の刃の方が、生キノコの切り出しには適しているようだ。したがって、長柄カミソリは最初の一回だけ購入したら、あとは、柄の部分だけを利用して、炭素鋼を挟み代えて使うのがよいのかもしれない。柄の挟み込み部分にガタがきたら、また買えばよい。
写真(a)は、ミドリスギタケのヒダを一枚の炭素鋼の刃を使って、何回くらい実用レベルで切り出せるものなのか、PV製簡易ミクロトームを使って試したものだ(a)。次々に切り出して、5枚目ごとに、プレパラートを作った。それ以外の切片は無条件に捨てた。 |
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すでに何度もみているのだが、またオキナクサハツ(a)を捨てる前にみておくことにした。胞子は最初からメルツァー液で封入した(b, c)。いつも通り、胞子表面(b)と輪郭部(c)に合焦した画像を並べた。写真にする場合、一枚の画像で胞子の表面と輪郭の両者を鮮明に捉えることができないので、結局2枚にせざるを得ない。観察の現場では、顕微鏡の微動ノブを上下しながら、全体像を頭の中で組立ながら全体像を把握することになる。 SEM(走査型電顕)でみると、全体にピントがあうので、1枚の写真で胞子形状を表現できる。ベニタケ類の胞子は、非常に印象的な姿をしていて楽しい。焦点深度が光学顕微鏡とは比較にならないほど深いから、頭の中で全体像を組み立てる必要がない。 ヒダ切片は、簡易ミクロトームを使って切り出した(d)。比較的楽に25〜30μm厚に切り出せるが、あまり薄く切り出すと、試料が二裂したり、捻れてしまう。そこで、40〜50μm厚に切った(d)。水をKOHで置き換えるときに、うかつにもカバーグラスに触れてしまってわずかに動いてしまった。その結果は、ヒダ先端の変形となった(e)。 縁シスチジアはみられない(g)。子実層には、色素を帯びた側シスチジアがみられる(h)。メルツァー液で封入したら子実層はかえってみにくくなった(i)。傘表皮(i)と柄の表面の小さな粒点(j)も、念のためにみておいた。 |
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先日埼玉県三芳町の多福寺の雑木林で、ヒカゲウラベニタケ、イナバノウラベニタケを採取した。このうち、イナバノウラベニタケは、検鏡写真を撮る前に蛆が多数発生し、おまけに腐敗してしまったので捨てた。今朝は、ヒカゲウラベニタケの顕鏡写真を撮影した。 現地で撮影した個体は、まだ若くてヒダがほとんど白色だった(a, b)。自宅に持ちかえる頃にはヒダがわずかに淡紅色を帯びていた。胞子が独特の形をしているので、比較的楽に種名にたどり着ける(c〜f)。採取した個体は、乾燥気味で胞子紋はほとんど落ちなかった。 図鑑には「楕円状紡錘形で6本の縦に走る肋状隆起がある」とある。しかし、普通に水で封入してみる限り、縦に走る肋状隆起は分かりにくい(c, d)。これを確認するには、ドライマウントをするか(e)、何かで軽く染めてエタノールやアンモニアで封入する必要がある(f)。 肋状隆起の数を確認するには、胞子を寝かせた状態だけではなく、立ち上がらせた状態でもみる必要がある。そのためには、封入液をたっぷり満たして、胞子を泳がせる必要がある(c, d)。 ヒダを一枚つまんで、フロキシンで染めて縁をみた(g)。縁シスチジアはない。ヒダ切片を切りだしてもそれは確認できる(h)。ヒダ実質は並列型(i)。担子器の姿(j)やクランプの有無(k)を確認した。どこにもクランプはみられない。傘表皮は菌糸状の組織が匍匐している(l)。 ヒカゲウラベニタケは近場の雑木林などにかなりの頻度でみられるが、胞子の姿を自らの目で確認している人は少ないようだ。1枚のプレパラートで胞子(縦横の状態)を確認して、それを撮影すると、封入液の多さが邪魔をして不鮮明な写真となりやすい(c, d)。 |
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昨日秩父でキヌガサタケをたっぷり堪能してきた(a, b)。竹林所有者の話では、3〜4日前から発生が始まっていたらしい。例年と比較すると、おおよそ2週間ほど早いように思う。昨日はam7:30頃から9:00頃までキヌガサタケをじっと見守ることになった。たぶん、キヌガサタケを観察したり撮影したりするのはこれが最後となるだろう。 さらに数日前に出たらしいキヌガサタケの残骸も多数転がっていた。昨日は、卵を掘り出して切断してみたり、若い菌がマントを伸ばして大きく広がっていく姿をいくつも見ることができた(f〜j)。たまたま、「キノコのフォトアルバム」のキヌガサタケの項をみたら、京都や他県で撮影したキヌガサタケはただの1点もアップしていないことに気づいた。 |
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