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ゆえあって、ニシキタケの胞子画像を取り直すことになった。そこで、今年1月30日と同じ乾燥標本(a)を引っ張り出して(雑記2008.1.30)、あらためて胞子を撮影した(b)。今回は、担子器なども撮影したので、最初に3%KOHで処理したものを、水洗したのち、メルツァー試薬を加えた。
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KOH等のアルカリとメルツァー液を直接混ぜると、化学反応でたちまち白濁してしまう(c)。アルカリ処理した試料のアミロイド反応をみるには、「水洗」が必須で、教科書などには必ず書いてある。ところが、この水洗を忘れたり、いい加減に処理する人が多いようだ。 ニシキタケの胞子はアミロイド反応で、表面の網目状隆起が青色になるのが、水洗をいい加減に行うと、青変しない(d)。これをみて、非アミロイドという結果をだすことになる。このとき、周辺には針状の結晶がみられることが多い(e, f)。アミロイド反応をみるときは要注意である。 |
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自宅団地の下の階で改装工事が始まった。先日管理担当者と工事担当業者がそろってやってきた。むこう3週間ほど工事による騒音が生じることになるので了解して欲しい、という。上下や両隣の改装工事はこれまでにもあったが、その際でも、工事担当者がやってくることはなかった。数日間、何かバタバタして時折大きな音がする程度だった。 一昨日から工事が始まると、関係者がわざわざあいさつにやってきた理由を納得した。通常の改装工事とは違っていた。部屋の構成を変えるのか、壁を壊して、新たに別の位置に壁を造るという、かなり大がかりな工事をしている。予想以上の騒音と振動だ。ふだん自宅では有線放送で音楽を流しっ放しにしているが、これがまともに聴かれない。 昨日は、顕微鏡写真を撮ろうとして結局断念した。思いがけないところで振動のために、プレパラートは不安定となり、撮影してもピンボケが多発するはめになった。しばらくの間は、工事をしている日中に顕微鏡を覗くのはやめにするしかなさそうだ。 |
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昨日、東京駒込で山梨県森林総合研究所の柴田博士による講演「富士山の亜高山帯針葉樹林を中心とした外生菌根菌の生態」を聴いた。グラフを駆使して、長年の調査結果に基づいた研究成果の紹介を中心とした興味深い話だった。いつものユーモアに溢れた話ぶりを楽しんだ。 |
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話の最後に「おまけ」として、きのこの発生予測と指標になるきのこのこについての話題になると、聴講者の目が輝きはじめた。それによれば、9月上旬の降水量が多いと豊作が予測され、地中温度が19度を下回ると、きのこが出始めるという。以下、指標きのこについての抜粋である。
亜高山帯でショウゲンジの発生が早い年は、きのこの発生も早い |
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昨日、千葉県内房の海(a)と茨城県鹿島灘の海(d)を歩いてきた。内房の海までは片道120km、鹿島灘の海までは片道150kmほどある。高速道路を使えば時間の節約にはなるが、そうそう高速料金を払ってもいられない。早朝に出発し一般道を走って千葉の海に向かった。
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3時間ほどかかって、内房の浜に着くと、富士山の麗姿が海を隔てて望めた。浜にはナガエノホコリタケが散発的に出ていた。いつもたいてい発生している Tulostoma kotlabae は新たに発生したものはなく、ミイラしかみられなかった。他にはきのこの姿は全くなかった。 一般道経由で鹿島灘までは結構遠い。内房の浜からは130kmほどある。浜にはいつの間にか、発電用の風車が増えていた。ここでも、浜にはきのこの類は全く見られず、防風堤の遊歩道脇にナガエノホコリタケ、アラナミケシボウズタケが十数個発生していた(e, f)。 |
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先日購入したラベルライターで遊んだ。いわばラベル出力専用プリンタで、一行ものだけでなく、罫線入りの表なども作れる(a)。この表はそのまま顕微鏡の台座に貼れる。
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試薬入りの小瓶のラベルは、従来はラベル用紙等に書いてセロテープで貼り付けていた(b)。これは結構面倒で、おまけにセロテープがネバネバするようになる。漏れた液が浸みて文字が読めなくなることもあった。最近のラミネートテープは、化学反応にも強い。試薬類のラベルや、しばしば間違われる精密ピンセットなどに貼るには最適のようだ(c)。 昨日の雑記の補足写真を2点添えた(d, e)。飛び出したペリジオールが周辺の植物に付着した状態だ。ペリジオールのへその緒から伸びた糸も見える。 |
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昨日さいたま市見沼区のウッドチップを歩いていると、足元にハタケチャダイゴケが群をなしていた(a, b)。発生から日が浅い様子で、黒い碁石のような形をしたペリジオールはまだ柔らかく、ピンセットで摘むと凹んで跡がついた。子実体だけをウッドチップから切り離して(c)、縦に切るとペリジオールがいくつも重なり合っている(d)。 |
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ペリジオールの下側中央には褐色の粘液質がつき、これで壺の内壁ついている(e〜g)。雨粒に打たれると、ペリジオールは勢いよく飛び出す。すると、粘液質が長く伸びて糸状になる(g, h)。糸は長いものでは20cmを超える。模式図などでは、しばしばへその緒の端に糸が折り畳まれた状態で描かれている。実際には粘性を持った菌糸の塊があるだけで、これが引っ張られて糸状になる。蜘蛛の糸は、体内で折り畳まれているわけではない。 |
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長く伸びる糸は、細い菌糸で織りなされている(i)。できたての糸はネバネバしているが、すぐに乾いて硬い紐状になる。糸を顕微鏡で覗くと、厚壁の菌糸が分枝し、拳状の節でつながり長く伸びている(j)。拳状の節にはクランプが見られるものもある。何重かの殼皮に包まれたペリジオールの内部には子実層がある(k)。胞子も厚い壁に包まれている(l)(cf: 雑記2006.6.27)。 | |||||||
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知人からテキストの組版を頼まれた。添付された原稿は拡張子が [.txt] のテキストファイルで、文中にはいろいろなコマンドが挿入されている。懐かしい LaTeX2e 原稿だった。依頼してきたのは、組版スタイルや見出しを統一的に扱うためのスタイルファイルの作成だった。 TeX システムで組版をし、スタイルファイルを作成していたのは、1998年頃までだった。その後数年間は QuarkXPress やら InDesign という組版ソフトを用いて、DTPの仕事も受けていた(雑記2002.12.31)。今では、その InDesign ですらすっかり忘れている。 ましてや、複雑なコマンドを埋め込んで組版をしていく TeX システムについては完全に忘れている。念のために、書棚に TeX 関連書籍を探してみたが、1冊も残っていなかった。思えば、一年半ほど前に、組版と電算関連書籍をほとんど処分している(雑記2006.8.12)。 10年の歳月を経て、いまやスタイルファイル作成どころか、コマンドを埋め込みながら文章を書いていく作業すらできなくなっている。依頼の仕事は、もちろん丁重にお断りした。 顕微鏡を使っての作業や、プレパラートの作成なども、たまにしかやらないと、忘れてしまうだろう。試薬類も変質したり結晶化して使えなくなっているかもしれない。 |
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先に一度紹介したが、この次の日曜日(2/17)に東京駒込で山梨県森林総合研究所の柴田 尚博士の講演会が行われる(雑記2008.2.7)。富士山の亜高山帯が舞台の話である。菌類懇話会主催だが、非会員や一般の方の参加も歓迎である。講演会もさることながら、会場では佐野書店による割引価格での書籍販売や、アトリエ エシュ手作りの本革製きのこグッズなども販売される。販売予定の書籍などは佐野書店ブログ(2008.2.7)を参照されたい。 今日の午後は、上野の国立科学博物館で、科博と日本菌学会共催による公開講演会『身近な菌類』が行われる(雑記2008.1.23)。せっかく科博に行くのであれば、少し早めに着いて、是非とも全球型映像施設「シアター360」で360度の音と映像に包まれる体験をするとよい。さらに、科博NEWS展示「カエルツボカビ−生物と環境への影響−」(2008/02/05〜04/06)も観ておけば、科博入館料の600円など安いものだろう。 |
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