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日( )
2008年7月10日(木)
 
8年もやって60〜70種!
 
 コケについて勉強し始めて、今週で満2年が経過した。とりあえず、身近なコケを知る意味で、分類から入ることにして、観察覚書を書き始めたのが、2006年7月7日。この覚書を記した「こけ雑記」は、当初「きのこ雑記」の付録ページだった。独立サイトとなり、観察覚書で取り上げたメモは391件、種の数はこの2年間で217種となった(雑記2008.4.11)。しかし、2年もやってきて、屋外で種名の見当がつくものは、いまだに20〜30種に過ぎない。

 一方、きのこを勉強し始めて、今年で既に満8年を超えた。これまで観察して同定作業の真似事をやってきたものは、ゆうに2,000件を超えているはずである。更新を放棄した「きのこのフォトアルバム」掲載種には、626種もが取り上げられている。しかし、8年もやってきたにも関わらず、屋外で種名の見当がつくものといえば、60〜70種に過ぎない。

 観察会などで、指導者が次々にきのこに名称を与えていく姿を見ては、「すごいなぁ〜。自分には一生かかってもできないだろうなぁ」と思ってきた。彼らには「5年もやってりゃ、誰だって分かるようになるさ」と何度も慰められたが、結局そうはなれなかった。

 昔は「やる気がないから覚えられないんだ!」とよく非難されたが、先天的な記憶力の悪さは今更どうにもならない。最近は加齢に伴って、ただでさえ悪い記憶力がさらに低下している。


2008年7月9日(水)
 
大小二つのアセタケ
 
 アセタケ属 Inocybe は肉眼だけでは同定の難しいきのことされる。肉眼的観察は大切だが、顕微鏡による観察が不可欠だ。もっとも、顕微鏡でみたからといって、種名が明らかになるわけではないが、胞子が平滑か否か、シスチジアが厚膜か薄膜か、傘や柄にシスチジアがあるかないか、などを確認すると、同定には大きな手がかりとなる。
 マツ混じりの林で大小2種を採取した(a, g)。先入観抜きで、胞子(b, c; h, i)、ヒダの先端(d; j)、側シスチジア(e; k)、傘表皮(f; l)を確認してみた。外見は全く違うが、ミクロの姿は、ともにこぶ状の胞子をもち、厚膜で先端に結晶をつけたシスチジアをもち、傘シスチジアはない。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 アセタケ属には必ずクランプがあるので(m)、確認は不要だが、柄シスチジアの有無や、担子器基部のクランプの有無、などは確認することになる。両者ともに柄シスチジアはなく、担子器の基部にはクランプがある(o)。写真は掲げないが、両者ともに、傘頂部にも、傘縁にもシスチジアはなかった。柄の上部にも(n)、中部にもシスチジアはなかった。
 
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
 いちおう、ヒダ横断面を切り出したが(p, q)、何もわざわざ切片を切り出す必要はない。縁シスチジアの有無・形をみるなら、ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて、軽く押し潰して縁をみればよい(r)。側シスチジアをみるなら、ヒダの縁を捨て去って、残ったヒダをスライドグラス上で押し潰せば、そこにあるシスチジアは側シスチジアということになる。

 柄の根本は大きなアセタケでは軽い凹頭状、小さなアセタケでは緩やかに膨らむ。保育社の図鑑とスイスの菌類図鑑に準拠して種名を推定すると、大きいアセタケはニセアセタケに近い種(和名なし)、小さなアセタケはコブアセタケかもしれない。


2008年7月8日(火)
 
日曜日の入生田
 
 標本採集をしなかったので、取り上げるつもりはなかったのだが、掲載しておくことにした。日曜日に神奈川県の入生田で出会った夏のきのこだ。気紛れに撮影したのは、出会ったうちの一部だったが、イグチ類は比較的少なく(a)、テングタケの仲間がいくつもみられた(b〜f)。数日前から急激に気温や湿度が上昇し、一気に猛暑の夏がやってきた。しかし、例年と比較してヤブ蚊の数が極端に少ない。蚊が少ないのはありがたいが、きのこも少なかった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 多くのきのこを目にしてきた人には明らかなきのこばかりらしいが、標本の採集をしていないので、正確な名称などはわからない。とはいっても、テングタケの仲間は、シスチジアもなければ、どれも似たり寄ったりの胞子なので、検鏡したからといって重要な手がかりが得られるわけでもない。いずれにせよ、次のチャンスに観察してみよう。

[補足:am9:50]

(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
 リュックを整理していると、なにらやペシャンコになった採集袋が出てきた。開けてみると、白いテングタケ科(d, g)のきのこがすっかり潰れ、ウジ虫だらけで入っていた。どうやらこれ1種だけ持ち帰っていたようだ。ウジ虫を取り除いて、KOHをかけるとすぐに黄変した(h)。胞子はアミロイド(i)。となると、これはシロタマゴテングタケではなく、ドクツルタケの可能性が高い。

2008年7月7日(月)
 
Russula と Marasmius
 
 6月28日に採取したベニタケ属(a)とホウライタケ属(g)のきのこを廃棄する前に覗いた。冷蔵庫に保管してあったきのこはかなり崩れて、観察には今朝が限界だった。画像は、上段がベニタケ属、下段がホウライタケ属で、それぞれ、胞子(b, h)、ヒダ実質(c, i)、縁シスチジア(e, j)、(偽)担子器(e, k)、カサ表皮(f, l)だ。胞子はともにメルツァー液で封入した。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 シスチジアや(偽)担子器などは、3%KOHでバラしてフロキシンで染色し、カサ表皮は水で封入し、その後フロキシンを加えた。この両者を比較しても意味はないが、ともにミクロの姿には興味深いものがある。しくじって、フロキシンで指先が赤く染まってしまった。

 ちなみに、今朝もヒダやカサ表皮の切り出しには、使い慣れた実体顕微鏡を使った。他人には勧められないが、切り出しに使ったカミソリは、ここ何日か交換していない。一度に切るのはせいぜい数回、これを直ちにエタノールで拭き取って、次のキノコを切る。さらに、スライドグラスも、6月半ばから一枚だけをエタノールで拭き取って使っている。カバーグラスは7月に入って数枚目だ。しかし、カミソリやカバーグラスの使い回しは感心したことではない。


2008年7月6日()
 
できれば欲しい実体鏡 (2)
 
 現在メインに使っている顕微鏡は、多摩光顕(東京都八王子)から購入した中古品だ。ネットオークションからも過去に何度か落札した。Yahoo!オークションには、しょっちゅうニコンやオリンパスの中古顕微鏡が出る。しかし、ネット上から落札した品は、ほとんどがそのままでは使い物にならず、落札価格と同等かそれ以上の整備料金が必要だった。

 ところが、実体顕微鏡についてはかなり事情が異なる。浜野顕微鏡や多摩光顕など中古販売専門業者に依頼しても、実体顕微鏡はなかなか入手できない。玉数がとても少ないのだ。ところが、ネットオークションには、頻繁に中古の実体顕微鏡が出品される。
 去年と今年のはじめ、ニコンとオリンパスの実体顕微鏡を、3万円台〜10万円台で何度か落札した。多くは、自分でちょっと清掃すれば、新品同様に使えるよい状態だった。写真(a)は20倍固定のニコン製で、昨年3万円で落札した(a)。整備は全く不要、お買い得品だった。
 

(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
 解剖作業には、台座が薄く照明装置のない、単純なものがよい。照明は学習用電気スタンドが使いやすい。リング状の専用照明装置等(b)は、作業スペースが狭くなって使いづらい(c)。ふだんは、台所のテーブル上で、天井からの明かりだけで作業している。

 昨日は届いたハードディスクの処理で一日が終わってしまった。外付けUSB接続1TBのものだが、パソコン内部から画像データを中心に、大量にファイルの移動をした。緊急避難先として使っていた昔の40MBのハードディスクは処分した。とりあえず緊急事態は回避できた。


2008年7月5日()
 
できれば欲しい実体鏡 (1)
 
 小さなきのこの切り出しには、実体顕微鏡が威力を発揮する。ヒダやカサ表皮を切り出すには、柄を切り離し、カサ部をヒダ面を下にして載せ、カミソリでバッサバッサと切る。薄く切れたものだけを残して、他の切片をすべて捨て去る。

 キイボカサタケ(a)は小さくはないが、脆くてピスには挟みにくい。カサをスライドグラスに伏せ、切片を浮かせる水をたらし(b)、バッサバッサとやった(c)。ここから、比較的薄いものを残して、他の切片をすべて捨て(d)、カバーグラスをかけて顕微鏡で覗いた(e)。
 

(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
 コケでも薄片切り出しは重要だ。オオシッポゴケ(f)の葉の横断面切り出しの画像を添えた。茎ごとまとめてスライドグラスに載せ、指先で押さえてカミソリをあてた(g)。最初に先端を切り捨てた(h)。そして、少しずつずらして次々に切った(i)。残った破片のうちから薄そうなヤツだけを選びだした。そしてカバーグラスをかけて顕微鏡で覗いた(j)。
 
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 カミソリはすぐ切れなくなるので、こまめに交換する必要がある。また、カミソリは刺身を切るときのように、引き切りをする。その場合、「慎重に慎重にゆっくりと」ではなく、「さっさと次々に」切り出すことが肝要だ。たくさんの切片を切り、そのなかから薄いものを選ぶとよい。

2008年7月4日(金)
 
残念なオオシロカラカサタケ
 
 一昨日、埼玉きのこ研究会のUさんの案内で、上尾市に出たオオシロカラカサタケを観察する機会を得た。フカフカの腐葉土からでたきのこは、残念ながら最盛期を過ぎ、かなり乾燥気味だった(a)。既に倒れていた別の個体のヒダをみると、かなり痛みが激しく、柄の中は虫だらけだった(b)。一方、まだ若い小さな個体もいくつか見られた(c)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 やや痛みの激しい個体を持ち帰ったが、紙袋を開けると虫だらけで腐敗臭も激しいので、直ちに乾燥器にかけた。乾燥したヒダをスライドグラスに押しつけて胞子をとり、顕微鏡で覗いた(d)。昨年7月21日に三重県津市の海岸砂地で出会ったオオシロカラカサタケは新鮮なよい状態だった(e, f)。たった一日の差で、きのこの状態は激変する(雑記2007.7.28)。

2008年7月3日(木)
 
ゆっくりゆっくり慎重に?
 
 ハイゴケの間から小さなきのこが多数でていた(a)。胞子表面には微細な疣がある(b)。どうやらケコガサタケ属のきのこらしい。筑波での講習に備えて6月初め頃に少し使ったが、その後ずっと簡易ミクロトームを使っていない。そこで、練習のつもりでヒダの切り出しを試みた。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 キノコが小さいので、ピンセットでヒダを一枚つまみ出してピスに挟んで、ミクロトームの穴に挿入した。最初に、多くの人がやりがちな「慎重にゆっくり」切ってみた。ヒダが波打ってしまった(c)。ついで、カミソリをあてると一気に切り出した。今度はくさび形がそのまま残った(d)。必要以上に慎重にゆっくり切り出すと、ヒダ切片はクシャクシャに崩れてしまう。
 せっかく薄くきれいに切れても、カミソリやピスにこびりついた切片をスライドグラスに移すところでしくじることが多いようだ。筆先で落とすのが一番楽なようだ。
 ついでに担子器の基部を確認した。一般的には、水だけで封入した場合よりも(e)、フロキシンで染めた方がずっと見やすくなる(f)。今回はあまり代わり映えがしなかった。

2008年7月2日(水)
 
夏のきのこ、ボチボチ
 
 昨日埼玉県川越の保護林を歩いてみた。夏のきのこがボツボツではじめたようだ。赤みを帯びたキイボカサタケ(a)、淡い黄色のキイボカサタケ(b)、やや痛み始めたヤマドリタケモドキ(c)、若いヤマドリタケモドキ(d)、コオニイグチ(e)、マツオウジ(f)をはじめ、イタチタケ、ウラムラサキ、ムレオオイチョウタケ、サケバタケ、ニガクリタケ、ベニタケ類、などを見ることができた。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 それにしてもこのところのガソリン価格の高騰は常軌を逸している。ここまで高くなると、いやでも車による遠出は控えて、なるべく電車利用で出かけざるを得なくなる。埼玉県には海がない。海浜生の菌類を調べるには車で出かけなくてはならない。これまで海浜生の菌類をメインテーマとしてきたが、今後は諦めるしかないのかもしれない。

2008年7月1日(火)
 
ハードディスクが満杯!
 
 6月28日に採取したテングタケ科のきのこ(a)で、再び散開型の撮影を試みた。とりあえず胞子を確認した(b)。カサ表皮(e)と担子器(f)もいい加減にチェックした。あらためてヒダ切片を切りだして実質の構造を確認した。散開型であることは分かるが、大量に気泡が混じってしまい、綺麗な画像を得ることができない。水(c)でもフロキシン(d)でも同様だった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 困ったことが起こってしまった。画像を保存しようとUSBカードリーダからパソコンのハードディスクにコピーしようとして、はたと困った。残り容量があまりにも少なくて、コピーに失敗した。応急措置として、少容量の外付けUSBハードディスクに保存せざるを得なかった。
 カメラの画素数は増え、数年前と比較して、写真一枚あたりの容量が格段に大きくなった。おまけに顕微鏡撮影の頻度も以前よりずっと増えた。もはや内蔵ハードディスクに収めることは難しそうだ。新たに、大容量の外付けUSBハードを購入しなくてはならなくなってしまった。

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