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日( )

2008年5月31日()
 
目覚まし代わりの検鏡撮影
 
 夜間早朝割引を使うためには、東名東京インターをam6:00前に通過して100km圏の裾野インターで降りねばならない。さらに通勤割引を利用するため、裾野インターから100km圏の吉田インターをam6:00過ぎに降りねばならない。その後はひたすら三重県の津に向かう。
 東京インターまでは順調に走ってほぼ1時間。今は夜中の3:00、あと40分もしたら出発だ。夜中の2:00に目覚めてふと気づいた。もう一寝入りする時間はない。そこで、先日狭山丘陵で採取したヒメカバイロタケ(a〜c)を撮影して目を覚ました。

 検鏡そのものは、採取した日に終えているのだが、いちいち顕微鏡撮影はやっていない。胞子紋はカバーグラスにとってあった。胞子は水封状態では眼が疲れる(d)。メルツァー液では暗い灰青色のアミロイド反応を示す(e)。フロキシンで染めると輪郭部が明瞭になった(f)。
 

(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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 ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて、縁をみるとどうやらシスチジアらしきものがある。そこで、薄片を切り出した(g, h)。左側が水封、右側がメルツァーで封入したものだ。側シスチジアも縁シスチジア同様に薄膜だ(i)。ヒダ実質は類並列型(j)。カサ表皮は、微細な粒点を帯びた菌糸が平行に走る(k)。担子器の基部にはクランプがあったり無かったりだった(l)。カサやヒダ、柄の組織には、たいていクランプがみられる。

 三重県で行われる催しに参加のため、明日1日(日)から6月2日(月)まで、「雑記」はお休み。夜間ずっと走り続けるので、例によって今夜の宴会は居眠り乱発での参加となるのだろう。


2008年5月30日(金)
 
テングタケの仲間
 
 先日狭山丘陵から持ち帰ったオオツルタケで遊んだ。ヒダの縁は暗色で縁取られている(a)。ヒダの横断面を切り出すと、縁取り部分が欠けてしまった(b)。あらためて縁を壊さないように切り出した(c)。テングタケの仲間のヒダ実質は散開型とされるが、この標本では染めてよく見ないと分かりにくい(d)。カサの表皮部分は平行に菌糸が走る(e)。カサの表皮を薄く剥がしてそのままスライドグラスに載せ、フロキシンを加えてみると、細い菌糸が平行に走っている(f)。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(f)
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(g)
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(k)
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 胞子は薄膜で類球形(g)、非アミロイド(h)。フロキシンにもよく染まる(i)。ヒダの一部を取りだして、フロキシンで染め、KOHで封入して押し潰した(j)。担子器の基部にはクランプはない(k, l)。

 採集から3日目、標本は冷蔵庫の野菜ケースに保管してあったのだが、今朝引っ張り出してみると、白いウジ虫がウヨウヨしていた。3本あったきのこのうち、1本はドロドロにとけ、ウジ虫汁の様相を呈し、異臭を放ち、野菜にも臭いがついてしまった。残りの2本も、水っぽくなってヒダはかなり崩れはじめていた。このため、ヒダの切り出しには難儀した。乾燥機にかけて、半乾きの状態にしてはじめてヒダを切り出すことができた。それが(b)〜(d)の写真となった。


2008年5月29日(木)
 
微小なMarasmius
 
 5月22日に川越市の保護林で採取した小さな材上生のきのこは、結局胞子紋がほとんど落ちなかった(a)。モリノカレバタケ型をし、比較的強靱で、いったん乾燥した後も濡らすと元に戻り、細くて硬い柄をもつこと等から、ホウライタケ属 Marasmius のきのこだろう。
 ヒダは疎で一個体あたり、12〜14枚ほどしかなく(b, c)、柄は微細な毛で覆われる(d)。小さくて押さえが利かないので、実体鏡の下に練りゴムを置き、そこに柄を取り去ったきのこを、ヒダを上に向けて埋め込んだ。この状態で、カサと一緒にヒダの横断面を切り出した(e, f)。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 カサ表皮は、先端がホウキ状に分岐した細胞が子実層状に並び(e, g)、縁シスチジアも似たような形をしている(f, h)。この形態が三次元的なため、どうやってもうまく合焦できない。
 ヒダの一部をつまみ出し、フロキシンで染めてKOHで封入して押し潰した。担子器や特異な形のシスチジアが捉えられた(i, j)。次にカサ表皮部分だけを慎重に剥がして、同様の処理をすると、不定形で先がホウキ状に分かれた細胞が多数みえる(k, l)。

 保育社図鑑にしたがうと、ヒメホウライタケ節 Sect. Marasmius に落ちる。図鑑に記載のヒメホウライタケ M. graminum に似るが、採取サンプルは、襟帯がやや不明瞭で、柄は全体にわたって暗褐色をしている。発生基物も図鑑では「イネ科植物体上」に発生とある。

 微細なきのこの観察や解剖では、練りゴムが威力を発揮することが多い。不安定なきのこの姿勢を保って解剖作業をしたり、コケのを撮影するときなども、とても役にたつ。


2008年5月28日(水)
 
狭山丘陵のきのこ
 
 昨日狭山丘陵の多摩湖・狭山湖周辺の緑地帯を歩いた。思いがけず多くのきのこが発生していた。杉の腐朽材からヒメカバイロタケ(0, 1)、コナラの腐朽木からヒイロベニヒダタケ(2, 3)、松の倒木から大きくて立派なマツオウジ(4, 5)がでていた。
 
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(10)
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(11)
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 コナラ林には夏のきのこのオオツルタケがでていた(6〜8)。他にも夏のきのこと思われるベニタケ属、チチタケ属がいろいろと発生していた。調べていないのでよく分からないが、切り株から白色のヒダを持つしっかりしたきのこ(9, 10)や、小さなきのこ(11)が多数でていた。

 それにしても暑い一日だった。狭山丘陵付近に出かけるときはたいてい車を使うのだが、昨日は電車を使った。何度も乗り換える必要があり、乗っている時間よりも、乗り換えたり電車待ちの時間の方が長かった。車だと1時間少々の行程が、電車を使うと2時間半ほどかかった。


2008年5月27日(火)
 
チャヒラタケ属のきのこ
 
 近場の腐朽木に、あまりよい状態ではないが、チャヒラタケ属のきのこがついていた。カサの表面模様、胞子(b)やヒダの様子からはクリゲノチャヒラタケを想定させる。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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 採取したきのこは、ベッタリ潰れ、ヒダは張りつき、非常に水っぽかった。こうなると、簡易ミクロトームでのヒダ切り出しは難しい。実体鏡の下にカサ側を上にしてキノコを置いて、何枚かの薄片を切った。それらの内から比較的薄く切れたものを観察に使った(c)。クリゲノチャヒラタケであれば、比較的大きな縁シスチジアがあるとされるが、確認できなかった(d)。切片の縁ばかりではなく、ヒダを一枚寝かせて縁をみたが、結果は同じだった。ヒダ実質は菌糸が並列に走り、子実層には担子器も確認でき(e)、菌糸にはクランプがある(f)。
 
(g)
(g)
  (h)
(h)
(i)
(i)
 他の菌に冒されたのか、奇形がかなりみられた(g)。本来の姿と比較すると、ヒダが異様に白くて大きく、全体が激しく反り返っている。7年ほど前に、日光や戸隠などでヒラタケないしウスヒラタケの奇形と思えるきのこ(h, i)を見たことを思い出した(雑記2001.7.7)。

2008年5月26日(月)
 
久しぶりの狢(むじな)
 
 二日続いて雨が降ったので、早朝さいたま市の秋ヶ瀬公園を歩いてみた。出会ったのは、数本のムジナタケだけだった(a, b)。群生したものはなく、どれもポツンと単生していた。
 
(a)
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(g)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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 先日イタチタケを覗いたので、今朝はあらためてムジナタケを覗いて遊んだ。胞子は、この仲間にしては特異な表面模様を持ち(d)、濃硫酸でもあまり色の変化は感じられない(e)。
 ヒダを一枚切り出して(f)、何ヶ所かにポイントを絞って拡大してみた。シスチジアは縁にも側にもあり、いずれも薄膜でゆがんだ棍棒型をしている(g, h, k)。胞子は発芽孔を上に担子器についている(j)。カサ表皮は洋梨形〜細胞形の組織が柵状に並び、その上に狢の毛の部分を構成する毛状の菌糸がついている。この毛には多数のクランプが見られる。

2008年5月25日()
 
コナヨタケ節のきのこ
 
 昨日、昼頃までしか天気がもたないだろうと考えて、目的地を変更した。pm4:00頃まで雨は降り出さなかった。歩いた地域も選択を誤り、全くのオケラで昼過ぎに帰宅した。

 帰宅してから、保管してあったナヨタケ属 Psathyrella のきのこを覗いてみた。5月22日に川越の保護林で採取したものだ(0)。カサ径は1〜3cmで、湿っているときに目立った条線は乾燥すると、すっかり消えていた(1)。ヒダの付き方は上生から直生(2)、胞子は楕円形〜カキノタネ形で7.5〜9×4〜4.5μm(3)、濃硫酸で明紫色を帯び(4)、発芽孔がある。
 

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 ヒダを一枚簡易ミクロトームに挟み込んで横断面を切り出してみた(5)。何度やってもヒダ先端が崩れたり捻れてしまう。そこで、あらためてカサのの一部をヒダ7〜8枚幅の扇形に取り出して、実体鏡の下でまとめて薄切りにした(6)。今度は、ヒダ先端は壊れなかった。どうやら、ヒダ先端があまりに薄いため、ピスにこびりついてしまい、外す時に崩れたり捻れてしまうようだ。
 縁シスチジアも側シスチジアも薄膜で、紡錘形〜フラスコ形をしている(7, 8)。今日はバラしてフロキシンで染めた写真は掲載しなかった。カサ表皮は、洋梨型の細胞が柵状〜細胞状に並んでいる(9)。
 観察結果は、ウスベニイタチタケとは全く別のイタチタケ亜属 Subgen. Drosophila のコナヨタケ節 Sect. Obtusatae を示しているようだ。このきのこは、コナヨタケ P. obtusata やアシナガイタチタケ P. spadiceogrisea などに近い種なのだろうか。

 顕微鏡のフィルターを変更した。肉眼ではとても見やすくなったのだが、カメラのホワイトバランスが狂ってしまった。今朝の撮影結果は全体がやたらと青みがかっている。また、写真(2)はいい加減な照明下でケータイカメラによる撮影だったので、ヒダの付き方が不鮮明となった。


2008年5月24日()
 
今朝の見沼公園
 
 今朝も明るくなると同時に、さいたま市の見沼地区にある自然公園をほっつき歩いていた。ウッドチップに出るきのこを探していた。しかし、目的のきのこはなく、ちっとも紫色ではないコムラサキシメジ(a, b)とか、群生せず単生するウスベニイタチタケ(c)、ウッドチップには常連のツマミタケ(d)、キツネノタイマツ、ヒトヨタケ科の脆いキノコなどしかなかった。
 
(a)
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(b)
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(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 腹菌類の卵はしばしばカッターで縦切りにしてみるが、今朝は、6ヵ所で横切りをしてみた(e, f)。この卵も、どうやらキツネノタイマツではなく、ツマミタケらしい。

 一昨日採集して、昨日検鏡したイタチタケらしいキノコの検鏡結果の一部を、以下に取り上げた。(j)はカサ表皮、(m)はヒダを一枚そのままスライドグラスに寝かせて縁をみたもの。(n)はヒダ切片の先端付近、(o)は組織をバラしてフロキシンで染めた縁シスチジア。形や発生環境が非常に変化に富んでいたが、いずれもみなイタチタケとしてよさそうだ。
 

(h)
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(i)
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(j)
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(m)
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(n)
(n)
(o)
(o)

2008年5月23日(金)
 
昨日の川越にて
 
 たっぷり雨は降り気温も急上昇したので、ひょっとしたらキノコが多量に発生しているのではあるまいかと思って、昨日、所沢のウッドチップ散布地と川越の保護林を歩いてみた。所沢のウッドチップからはきのこは何も発生していなかった。川越ではいくつかのきのこが出ていた。
 
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 ベニヒダタケらしききのこ(0, 1)、チャヒラタケ科の水っぽいきのこ(2, 3)、フミヅキタケらしいきのこ(4, 5)、ウスベニイタチタケのようにもみえるきのこ(6)、材上生の小さなキシメジ科と思われるきのこなどが見られた。圧倒的に多かったのは、イタチタケによく似たきのこで、材上、地上、落ち葉の間と広く発生していた(8〜11)。
 以下にベニヒダタケの検鏡結果だけを掲載しておこう。柄に対するヒダの付き法は、この属に特有の湾生ないし離生(12)。ヒダの横断面は逆散開型(14)。シスチジアは薄膜(15, 16)。カサ表皮は菌糸がほぼ平行に走っている(17)。胞子は単純な姿をしている(13)。
 
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 今朝は、昨日再度組み上げて顕微鏡撮影をしたVANOXを、再び各パーツに分解しそれぞれを梱包して、落札者に向けて送り出した。最も短命な顕微鏡だった。

2008年5月22日(木)
 
VANOX最後の顕微鏡画像
 
 オリンパスのVANOXは梱包用に各パーツにバラしたが、最後に記念撮影をしておくことにした。素材は、さる4月17日にいわき市で採取したフクロシトネタケの可能性が高い子嚢菌だ。持ち帰ったものは全くの未熟状態でほとんど子嚢ができていなかった(雑記2008.4.19)。
 
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 この1ヶ月ほど、自宅で追培養をしていたが、最近になって胞子を放出するようになった。サイズも1.2倍ほどに成長した(b, c)。子実層を切り出すと(d)、明らかに子嚢胞子は成熟している(e)。子嚢先端は非アミロイド。油浸対物×100で、合焦位置を変えながら胞子を撮影して、それぞれを一枚に合成した(f, g)。子嚢胞子両端の嘴状突起と表面模様が特徴的だ(h, i)。
 撮影には、VANOXの三眼部に3.3倍撮影用レンズを装着して、オリンパス純正の直筒(j)、OM−EOS変換アダプタ(k)、EOS Kiss Digital(l)を使った。これが最後の画像になる。

2008年5月21日(水)
 
Yahoo!オークション:顕微鏡
 
 Yahoo!オークションに出していた顕微鏡が昨夜落札された。1,2年前に知人から25万円で引き取り、顕微鏡の整備専門業者に10万円ほどかけて整備してもらった位相差顕微鏡だった。オリンパス製で当時の最高機種だったが、何といっても非常に重い。最近では、自分でもややお荷物になり始めていた。知人の何人かに声をかけた。欲しいという人がいれば、10万円くらいで引き取ってもらおうと思っていたが、欲しいという物好きはいなかった。
 そこで、どうせならと思って、Yahoo!オークションに出品した。はるかにポピュラーな入門機ともいえる古い顕微鏡が7〜10万円で落札されている。だから、きっと10万円は超えるのではないかと、甘い見通しをもっていた。・・・・・・落札金額は71,200円だった。落札者はよい品を安価に入手したことになるんだろうなぁ〜。各パーツに分解して梱包するのが大変だ。

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