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☆! | 求む! ツブエノシメジ | !☆ |
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9月24日の雑記でも紹介したが、先週の富士山で最も印象的だったのは、巨大な子実体を作るナラタケ類(オニナラタケ?)だった。あらためてメモしておくことにした。もっとも大きなものでは、柄の径6〜7cm、高さ30cm、重量600gに及んだ。大人の腕の太さとほぼ同じだ。 |
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それよりは小さいが、幼児の腕ほどの太さで、長さ20cm程度のものならば十数本に出会った。それぞれ1本がズッシリと重く、1本で普通のオニナラタケ十数本のボリュームがあった。採取したのは、それらの内から小形のものを二株だけだったが(d, e)、それだけで5人用鍋が満杯となった。味は、普通のナラタケと変わらなかった。胞子やヒダの様子や大きさも普通のナラタケのそれとほぼ同様だった。ジャンボサイズはキヌメリガサだけではなかった。 | ||||||
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富士山の三合目付近で採集したきのこについてのメモ。現地で見たとき、てっきりチャヒメオニタケだろうと思った(a, b)。傘の表面をみると・・・?と感じた(c)。ヒダは直生(d)。なぜか、先日富士山で採取したきのこの多くが、まともな胞子紋をとれなかった。このきのこも同様だが、メルツァー液で封入するとアミロイドだ(e)。ということは、チャヒメオニタケではない。 |
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ヒダ切片を切りだしてみると、シスチジアがない(f)。より鮮明に捉えたいと思ってフロキシンで染めてみた(g)。ヒダ実質は並列型(h)。傘表皮をみると球形の細胞が数個、柵状に並ぶ(i)。KOHで封入すると赤褐色を帯びた(j)。柄の表皮も水(k)とKOHとでは(l)、ずいぶん色が違う。 あらためて、保育社図鑑のハラタケ科シワカラカサタケ属の掲載種をたどると、シワカラカサタケ Cystoderma amianthinum ということになる。チャヒメオニタケなら顕著なシスチジアがあり、胞子は非アミロイドだ。富士山のモミ主体の針葉樹林に出ていたことを考慮すると、やはりシワカラカサタケなのだろう。 |
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昨日群馬県と栃木県の山の中を歩いてきた。奥利根源流の山々は強い風と雪が舞った。強風に加えて、氷雨や雪のため、出会ったきのこの大半は撮影を断念した。厚手の手袋を準備して行かなかったため、指先が寒さで動かず、カメラの操作が思い通りにできなかった。群馬県でも栃木県でも、震えながら山を歩いては、下山すると温泉に直行した。 昨日の主目的は、ツキヨタケ、ムキタケ、クロサカズキシメジ、スギヒラタケの撮影と採取。とりあえず、採取はできたが、なんとか撮影できたのはスギヒラタケだけだった。 |
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北関東ではきのこの発生は例年と比してかなり悪いようだ。沼田と日光を結ぶメインの街道には、野生きのこや野菜を売る出店が多い。例年だと今頃は、ホンシメジ、コウタケ、クリフウセンタケ、ムレオオフウセンタケをはじめ、大形の食菌が多数店頭に並んでいる。 ところが、昨日はどこの出店でもきのこがほとんど並んでいない。「きのこ」を看板にした店はどこも開店休業の状態だ。かろうじて売られていたのは、マイタケ、ナラタケ、ヌメリスギタケくらいだった。店の主に話を聞くと、今年はきのこが出ていない、という。
サンゴハリタケ(0)やブナシメジ(1)に出会ったのは久しぶりだった。オシロイシメジ(2)やスギヒラタケ(3)は今や「毒きのこ」となったことで、採取する人が激減して楽に採取できる。ヒメベニテングタケ(4)やチシオタケ(5)は寒さで震えているようにさえみえた。 |
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昨日に引き続き、富士山のお中道で採集したヌメリガサ科の黄色いきのこを観察した(a〜c)。一見したところキヌメリガサのようだが、発生する季節があまりにも早すぎる。傘表面は湿ると粘性を示すが、採集したものは多くが乾いていた。柄は粘性のある透明な被膜に包まれている。 |
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カラカラに乾いていたせいか、カバーグラスにはごくごくわずかの胞子がおちた(d)。ヒダ実質部は散開型(e)。フロキシンで染めるとより明瞭になる(f)。なまじヒダを薄く切ると、カバーグラスを載せたとたんに、重さで潰れてしまう(g)。シスチジアはない(h)。カサ表皮と直下の黄色い組織をみた(i, j)。菌糸にはクランプが多数みられる(k)。担子器はとても長い。 先入観を捨てて、保育社図鑑の検索表にあたると、チャヌメリガサ節 Sect. Discoidei に落ちる。さらに種への検索表をたどると、キヌメリガサに落ちる。例年なら晩秋に出るきのこなのに、今年は夏のきのこと一緒に出ている。am2:30、これから群馬県方面に出発。ETC深夜割引に間に合うよう出るのも大変だ。指名手配種に出会えるとよいのだが・・・ |
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富士山五合目のお中道付近には、ヌメリガサ科のきのこが目立った。やたらに多かったのが、傘径2〜4.5cmの真っ白なきのこだった(a)。ちょっとみたところオトメノカサを小さくしたような印象だった。オトメノカサ属 Camarophyllus であれば、ヒダ実質は錯綜型だ。ヒダを切り出してみると散開型だ(d, e)。となると、コオトメノカサ、ヒメオトメノカサの可能性は消える。
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この仲間の胞子はみな同じような形と大きさで、同定にはあまり役に立たない。胞子紋は白色。シスチジアはない(f)。ヒダ切片の縁をみると長い担子器が見える(g)。担子器基部には多くがクランプを持ち、カサ表皮はクランプのある菌糸が匍匐する(k)。胞子は楕円形(j, l)。2日間にわたって何度か採取を試みたが、胞子紋はほとんど落ちなかった。また、柄の基部にKOHを滴下すると黄変した。
山渓の写真図鑑には該当種は掲載されていない。保育社図鑑をみると、ひだ実質が散開型をしているのはヌメリガサ属 Hygrophorus だ。[節の検索表] をたどると、シロヌメリガサ節 Sect. Hygrophorus となる。種への検索表からはシロヌメリガサ H. eburneus となる。 |
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10年前と比較すると、きのこ関連のサイトは膨大な数になった。Googleなどの検索サイトで「きのこ」をキーワードにすると1千万件以上ヒットする。さらにしぼって「きのこ & 菌類」とやっても8万件以上ある。もっとも、このうちの大半は単に「きのこ」「菌類」という語彙が使われているだけのサイトだろう。それにしても、国内だけでも数え切れないほどのサイトがある。 昨日久しぶりにリンクページを更新した。といっても、リンク切れを修正し、更新は放棄されたが資料的価値のあるサイトを別途区分けし、新たに「きのこ なら」「きのこ図鑑・撮れたてドットコム」「牛肝菌研究所」などいくつかのサイトを追加しただけだ。他にも優れたきのこサイトはたくさんあるだろう。リンクページに掲載しているサイトは、独断と偏見に基づいて選んだものにすぎない。要するに、今後もアクセスしたいと感じるサイトだ。 ホームページを開設するのは簡単だ。ブログならばさらに気楽に開設できる。しかし、随時更新して継続していくのは結構しんどい。きのこに限っても、これまで多くのサイトが誕生しては、消えていった。全く更新を止めて何年間も放置されたままのサイトも多い。「牛肝菌研究所」は意欲的で今後の充実が楽しみなサイトだ。 |
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昨日富士山山梨県側のスバルラインを経て五合目まで行って来た。ここ何年間かは、富士山に入る場合、林道しか使うことはなかったので、実に久しぶりだった。通行料2,000円は高いが、景観はやはりすばらしい。昨日は山頂はもちろん、南アルプスをはじめ、遠くの山々を望むことができた。道路脇のいたるところに、キノコ狩りの人たちの車が停めてあった。
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食用キノコを求めて歩き回るには最適のシーズンらしい。ちょっと歩いても、クロカワ(a, b)、ショウゲンジ(c)、ヌメリササタケ(e)、キシメジ(f)、ハナイグチ、アカモミタケ、タマゴタケをはじめ、多くの優秀な食菌に多数出会った。なかでも、25cm超の巨大なオニナラタケ?(d)が乱立する姿は壮観だった。ドクヤマドリとフジウスタケにはなぜか出会わなかった。 三合目付近を歩き始めた時、最初にきのこ観察の目で進んでしまった。あまりにも多くのキノコが出ているため、2時間で50〜60メートルしか進めなかった。採集袋は不足し、カメラのバッテリーは2度の交換を迫られた。このままだと五合目まで到達できないと思い、途中から方針を変更して、一部特定のきのこ以外には目もくれないで進むことにした。 昨日の富士山行きの目的は、カラマツベニハナイグチとドクヤマドリ、ヌメリササタケ、マルダイゴケなど糞生ゴケの採集だったが、目的を果たせたのはヌメリササタケだけだった。 |
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ムラサキフウセンタケ Cortinarius violaceus は広葉樹林に出るとされ、針葉樹林に出るものは、近縁種の Cortinarius hercynicus だと、国内の図鑑類には記されている。先日富士山では広葉樹林に出るもの(a)と針葉樹林に出るもの(d)を採取した。 それぞれの胞子紋から採取した胞子を、広葉樹林のもの(b, c)と、針葉樹林のもの(e, f)で並べてみた。この写真だけをみると、針葉樹林のものは幅が広いが、ドライマウント状態ではほとんど変わりなかった。ヒダによっては、(b)・(c)と同じ形の胞子が多数落ちた。 |
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両者から、ヒダとカサ表皮の切片を切りだして比較してみたが、ほとんど相違は感じられない。以前会津などのミズナラ林で採取した数十個体を、富士山のシラビソ林で採取した数十個体と比較したときも、同じ結果に至った。ここに掲載したもの(g〜l)は針葉樹林のものだ。 側シスチジア(h)はヒダ切片を覗いたときのもの。縁シスチジア(i)はヒダを一枚スライドグラスに寝かせてKOHで封入したものだ。いずれにも透明のものと有色のものがある。担子器はKOHでバラしてフロキシンで染めた(j)。カサ表皮は菌糸が匍匐している。菌糸にはクランプがある(l)。 C. violaceus と C. hercynicus とは別種ではなく、変種に過ぎないという意見や、同一種に過ぎないという意見もある。これまで8年間に採集した数十個体を比較した限りでは、両者の間に有意の差を感じられなかった。形態分類からは結論はでないのかもしれない。 |
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昨日「きのこ雑記」の引越作業を行った。これまでずっとメインのプロバイダとしてWakwakを使ってきたが、今日からはSakuraに変更となった。昨日、ホームページに関連するプログラムファイルをすべて修正し、さらに数千のHTMLファイルの画像リンク先を書き換えた。それらすべてをSakuraにFTPでアップした後、Wakwakに置いてあったファイル類を削除した。 「きのこ雑記」の前身は2000年夏に自宅サーバー上に開設した [毒きのこ試食] メモだ。シャグマアミガサタケ、ドクツルタケ、ニガクリタケ、ヒカゲシビレタケ、オオワライタケなどを試食して、自らの体が示す症状を詳細・克明に記録したものだった。掲載種が20を越えた頃、安易に真似をして命を落とす輩が出るおそれがあるとして、ある筋から強い警告をうけた。
そこで、サーバーを商業プロバイダのWakwakに変更して、3ヶ月後に全面的に内容を一新したのが「きのこ雑記」だ。当初は、[種の記載](観察記録) と [いまこんなきのこが出ている] といった内容が主だった。しかし、[種の記載] は半年ほどで削除した。学術的には意味があっても、あまりにも単調で退屈だったからだ。かわりに「キノコのフォトアルバム」を開始した。その「アルバム」は昨年3月をもって更新を終了した。 |
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一昨日と昨日、日本菌学会関東支部の観察会に参加してきた。 懸念された台風の直撃もなく、楽しい2日間を過ごしてきた。予測通り、夏のきのこが目立った。今日は菌懇会の例会だが、欠席して二つの緊急で面倒な作業に時間を割くことにした。 ひとつは、先週水曜日に採集したきのこの処理(雑記2008.9.18)。手元にいくつもの生標本がたまっていたので、支部の観察会からは何ひとつ持ちかえらなかった。案の定、昨日帰宅すると胞子紋を採取していたきのこの周辺には、ウジ虫が多数うごめいていた。 いまひとつは、ホームページの引越作業。とりあえずWakwakからSakuraへすべてを移すことにした。長年利用してきたWakwakは数ヶ月後に解約することになる。多数のファイルのアップロードにはうんざりするほど長い時間かかる。しかし、面倒なのは、CGIの再設定や、新サーバー向けスクリプト(プログラム)の書き換えだ。これが10本ほどある。 この「雑記」をアップするために、プロバイダ上から100ファイルほど削除して2MBほどアキを作った。したがって、クリックしても開けないファイルが多数生じているはずだ。 |
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