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☆! 求む! ツブエノシメジ !☆

日( )

2008年5月20日(火)
 
チチタケ仲間のプレパラート
 
 5月17日(土)に川崎市で採取したヒロハシデチチタケを覗いてみた。この日出会った個体の多くは、相対的に柄が長く、傘表面の環紋状模様が弱く、色も白いものばかりだった(a, c)。ヒダでも柄でも、傷つけるとすぐに白色の乳液が出る(b)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 ヒダを一枚切り出してメルツァー液で封入した(d)。低倍率でも側シスチジアの存在は明瞭に分かる(d)。倍率を上げると形がはっきりした(e)。基部の形やサイズの計測には、組織をバラした方が分かり易い(f, g)。ついでに担子器も覗いてみた(h)。
 カサ表皮は細い菌糸が平行に走っている(i)。薄切りにせずに表皮だけを薄く剥がしてフロキシンで染めてみた(j)。フロキシンを使わず水やKOHだけで封入すると、全体が透明でコントラストが弱く、目がとても疲れる。胞子表面の隆起模様は、ドライマウント(k)でもよく分かる。メルツァー液で封入すると鮮やかなアミロイド反応を見せてくれる(l)。
 それにしても、チチタケの仲間のプレパラート作りはやっかいだ。ベトベトする乳液のために、カミソリがすぐに切れなくなる。さらに乳液が邪魔をしてプレパラートが濁りやすい。

2008年5月19日(月)
 
20枚にも満たなかった
 
 ふだんスライドグラスは台の上に置いてプレパラートを作る(a)。原則として1種のキノコの検鏡に1枚を使う。胞子紋は直接カバーグラスにとり、スライドグラスに載せて封入液を注ぐ。検鏡が済んだカバーグラスには油浸オイルがついているので、再利用はせずに捨てる。
 胞子を観察し終わったスライドグラスは、消毒用アルコールとティッシュペーパーで拭き取ってまた使う。ヒダやカサなどを検鏡するたびにティッシュで拭き取る。1種のキノコの検鏡がすむと中性洗剤入りの水道水を容れた缶に放り込む(b)。一定量たまると洗う。
 一方、コケの観察では1種について10数枚ほどプレパラートを作る。キノコと違って、油浸レンズは使わず、コンタミのおそれもないので、スライドグラスもカバーグラスも、破損するまで同じものを使う。このため、スライドグラスの消費量は驚くほど少ない。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
 久しぶりにスライドグラスを洗った。ここ3ヶ月ほど洗っていなかった。洗い終わったスライドグラスは立てて自然乾燥させる(c)。今朝洗った枚数は20枚にも満たなかった(d)。すべて洗って干すのに、5分もかからなかった。

2008年5月17日()
 
カバーグラスの消費
 
 一昨日所沢で採取したサケツバタケを覗いて楽しんだ。ちょうど今の時期、都市公園や空き地などを歩くと、巨大サイズのサケツバタケが大きな群をなしている。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
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(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 ヒダの柄につく様子は、上生というのだろうか(a)。胞子紋をエタノールで封入すると、ドライマウント(封入液なし)と類似の状態でみることができる(b)。普通に水で封入すると、厚壁で発芽孔を持っている様子がわかり(c)、KOH等のアルカリで封入すると、あかるい黄褐色味がまし、発芽孔などはより鮮明になる(d)。
 久しぶりにヒダ切片を切りだした(e)。水をKOHで置き換えると、たちまちカバーグラスの重さで子実層が潰れた(f)。子実層托実質は類並列型(g)、側シスチジアは、薄膜のものと(h)、やや厚膜でアルカリで黄変するものがある(i)。カサ表皮はクランプの目立つ細い菌糸が平行に走る(j)。
 ヒダの一部をKOHで封入してフロキシンで着色した。担子器の実質は赤く染まったが、表面を包む透明な膜の部分は染まらなかった(k)。組織にはカサ、カサ肉、ヒダ、柄のどの部分にも、クランプがあるとされるが、なかなか見つけにくい。カサ表皮部分には確実にクランプをみることができた。ひだ実質にもクランプはみられるが、数は少なかった(l)。
 エマージョンオイルを使い対物100倍レンズで覗いたので、今朝だけでカバーグラスを10枚ほど捨てた。このところ、コケを主体に顕微鏡を使っているので、カバーグラスは数十回に及ぶほど、何度も何度も使い回していたが、キノコではそうはいかない。これからのシーズン200枚入りケースがたちまち空になることだろう。

2008年5月16日(金)
 
埼玉県南部の公園にて
 
 昨日の午後、ツブエノシメジと教材用野生きのこを求めて、埼玉県南部の公園をいくつか歩いてみた。ウッドチップを撒いた場所を中心に歩いた。すっかり草に覆われて、一見するとウッドチップベースとは思えない場所は要注意である(g)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 結果として、ツブエノシメジはじめザラミノシメジ属は全くみられなかったが、それ以外のきのこは7〜8種類を見ることができた(a, b, h; c, d; e, f; i, j; k, l)。残念ながら胞子紋の色が白色のものや、アミロイド反応が陽性の菌類は見られなかった。ここに掲げた写真以外には、ツマミタケやキツネノタイマツなどの腹菌類、アラゲキクラゲ、キクラゲ、エノキタケ、ヒラタケなども見られた。

2008年5月15日(木)
 
[苔とキノコの雑記帳]
 
 [苔とキノコの雑記帳] というブログがとても面白い。このブログが始まったのは、昨年8月らしいのだが、気づいたのは先月初め頃だった。きのこの話は比較的少なく、コケに関わる啓蒙的・分類学的な話が中心となっている。
 文体と内容から推測すると、筆者は間違いなく兵庫県立人と自然の博物館の秋山弘之さんだろう。コケ初心者にとっては、非常に役立つ内容でありがたい。一方で「ネタがない,,,」などのいうタイトルの記事をみると、何とも身につまされる。
 きのこ世界でも、こういった気楽でなおかつアマチュア研究者に役立つ話題を提供してくれるブログが欲しいと思う。きのこの専門家で誰か、こういったブログをやってもらえないものだろうか。たとえば、Nさん、Hさん、Fさん、Mさんなど適任だと思うのだが・・・・

2008年5月14日(水)
 
うがい薬イソジン
 
 5月5日に採集したカンムリタケ(a)は、タッパウエアに入れて冷蔵庫に保管しておいたが、今朝もまだ新鮮な状態を保っていた。久しぶりに子嚢を覗き、さらにうがい薬のイソジンでメルツァー代用を試みた。カンムリタケの子嚢頂孔(b, c)はメルツァー液できれいに青変する[アミロイド](d)。うがい薬のイソジン(e)はしばしばメルツァー液の代用に用いられる。カンムリタケではごく弱く青変するのが確認できるが(f)、ちょっと見た目にはほとんど青変していない。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 メルツァー液もイソジンも主成分はヨウ素なので、多くの子嚢菌でアミロイド反応を確認するのに、イソジンはかなり広範囲に代用がきく。でも、イソジンを使うと、本来は強アミロイドを示す組織でも、反応が非常に弱かったり、非アミロイドのような反応を示すこともある(雑記2007.7.26同2003.12.19同2002.12.31)。

 千葉菌類談話会の会誌 [談話会通信] は、No.1〜No.12まではタイトルだけしか読めないが、No.13〜No.24(最新号)はネット上で全文を読むことができる。[No.19] 掲載の長尾英幸氏「うがい薬で調べる子嚢のヨード反応は?(PDF)」はとても参考になる。


2008年5月13日(火)
 
ツブエノシメジなし
 
 昨日さいたま市見沼地区のウッドチップを敷き詰めた公園を歩いてみた。目的はツブエノシメジないしコザラミノシメジだった。2時間ほどかけて、草をかき分けて探し歩いたが、昨日の時点では一個体も発生していなかった。今年に入ってずっと同じ調子だ。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 数日前に降雨があったせいか、シロフクロタケ(a, b)、ツマミタケ(c, d)、フミズキタケ属(e, f)などは、多数顔を出していた。ウッドチップからわずかに白いものが見えるので、表土をどけると、腹菌類の卵が多数でてきた。ザラエノヒトヨタケらしきものは多数みられた。

 先日雨の前日光林道周辺を走ったときは、残雪を考慮してスノータイヤだった。例年だとまだ雪を踏むことが多いのだが、今年は雪はなかった。もはや雪道を走ることはないと思われるので、スノータイヤをノーマルタイヤに履き替えた。


2008年5月12日(月)
 
ハンガー泥棒:カラス
 
 このところ、ベランダの物干し竿に吊した、金属ハンガーが次々と消えている。ここ2週間ほどの間に、10本以上が消えた。例年今の時期になると起こる珍現象で、犯人はカラスだ。都会のカラスが巣づくりの材料に針金製の金属ハンガーを使うことは今や周知の事実だ。
 かつては、人のいないときに、こっそりやってきて、いつの間にか運んでいた。ハンガーをくわえたカラスが飛んでいる姿は何度も目撃した。最近はすぐ近くに人がいても、いっこうにおかまいなく、平気でやってきては、堂々と目の前でハンガーをくわえて飛び去っていく。
 折しも今はハトの繁殖期、過去に何度もベランダに巣を作られ、卵を孵されてしまった。洗濯物は糞に汚れ、ベランダには白い糞跡がまだら模様を作る。ところが、カラスが頻繁にやって来る時期には、ハトはあまり近寄ってこない。そこで、わが家でも、ハトには厳しく、カラスには寛大に接することになる。その結果、最近ではカラスにすっかりナメられてしまったらしい。

2008年5月11日()
 
雨の前日光
 
 昨日はam4:00に川口市の自宅を出発して、早朝から昼過ぎまで前日光の基幹林道前日光線周辺の林道を走った。基幹林道前日光線はよく整備された全長64Kmに及ぶ長い林道で、途中から数十本の支線を分ける(a)。支線の林道からはさらに別の林道が複雑に分かれている。多くは一般車通行止めで、沢や尾根の途中で突然道がなくなる。
 何本かの林道は、道の深くえぐれた悪路で、凸凹は車高を越えていた。車体に致命的ダメージを与えないよう走ることに神経を集中した。やっとのことで難関を越えたと思ったら、崩壊や落石のためそれから先には進めず、Uターンもできない。路肩の脆い悪路を延々とバックで走るのは生きた心地がしなかった。おかげで(?)、左足首や歯の痛みのことはすっかり忘れられた。基幹林道前日光線に戻るとホッとしたが、足や歯の痛みも戻ってきた。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 途中天狗で有名な古峯神社に寄って休養し(b〜d)、再び支線の荒れた林道に入り込んだ。そのうちに、もはや現在位置は把握できず、どこに続くのかも不明となった。突然石裂山の麓、加蘇神社近くに出たので驚いた(雑記2008.4.21)。道路地図には、袋小路の寸断された道ばかりしか記されていない。どこをどう走ったのかは結局不明だった。
 赤色のチャワンタケ仲間を捜したのだが、きのこにはほとんど出会えなかった。結果的にキブシを多数持ち帰って(e)、自宅で髄を抜きピスを作った(f)。先にゴールデンウイークの福島県で採取したキブシといい、昨日のキブシといい、今年のピスは総じてあまり質がよくない。

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