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☆! | 求む! ツブエノシメジ | !☆ |
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1週間ぶりに多摩湖周辺の緑地を歩いてみた(雑記2008.10.3)。頻出するきのこの様相がまるで変わっていた。どこにでも出ていたのはナラタケ類だった(a)。遊具の下(b)とか桟道脇、駐車場のコンクリート隅、裸の赤土斜面など、思いがけない場所に多数でていた。 イヌセンボンタケもあちこちで見られた。幼菌から老菌までそろっていた(c, d)。立派で大きめのニガクリタケが、竹林やら通路脇、腐朽木の周辺などいたるところに束生していた(e)。ムジナタケ(f)、フクロツルタケ、コクサウラベニタケ、ドクベニタケ、フサタケ、ヒメカバイロタケは相変わらず多数みられた。 |
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今日は午後から、上野の国立科学博物館で特別展「菌類のふしぎ --きのことカビと仲間たち -- 」の一般公開に先だって、「開会式・内覧会・レセプション」が行われる。内覧会では、久しぶりに遠方の友人等と顔を合わせることができそうだ。 | |||||||
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キツネタケ属のきのこを持ち帰ってきた(a)。ちょっと見にはオオキツネタケかキツネタケ、あるいはカレバキツネタケのようだ。柄の基部に紫色の菌糸はついていないから、オオキツネタケではなさそうだ。とりあえず胞子をみると、類球形(c, d)。ヒダを切り出して(e)、ヒダ実質(f)をみて、カサ表皮(g)、クランプを確認(h)した。 キツネタケの分類では担子器が2胞子をつけるか、4胞子をつけるかがキーとなっている。しかし、これは簡単なようで、意外とむずかしい。ちょっと見た目には2胞子性にみえても、じっくり合焦位置を変えて観察すると、4胞子性だったりする。 |
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このきのこも、普通に顕微鏡を覗く限り、40倍対物レンズでは2胞子性にみえた。担子器柄が小さくて分かりづらいことも影響しているようだ。そこで油浸100 倍にして、いくつかの担子器に照準を合わせた。合焦位置を変えていくと、4胞子性であることが判明した。ここでは、そのうちから二つを掲載した。 整理すると、このきのこは、4胞子性で、胞子は類球形となる。4胞子性か2胞子性という形質を最重視すると、キツネタケ Laccaria laccata に近いようだ。しかし、典型的なキツネタケであれば、胞子はやや扁平な球形だ。この変種には胞子が類球形のものがある。いずれにせよ、広義のキツネタケとしてよさそうだ。 |
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ネズミシメジだろうと思って採集したきのこが残っていたので観察してみた(a, b)。ネズミシメジのヒダは柄にたいして湾生であるとされるが、これはどうだろうか(b)。時間が経っていることもあり胞子紋は採取できなかった。ヒダをスライドグラスにこすりつけて採取した胞子やら、その他の画像に写っていた胞子を寄せ集めてみた(c)。
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ヒダは何とか切り出せた。シスチジアはないから、キシメジ属であるとしてもよさそうだ。顕微鏡を覗きながらカバーグラスの脇からフロキシンを追加した(d)。ヒダ実質は並列型(e)。カサ表皮をみると、細い菌糸が匍匐している(f, g)。Tricholoma virgatum のカサ表皮とはちょっと違うようだ。担子器の基部にはクランプをもったものがある。 生きのこを観察するのであれば、何といっても採取当日が最も適している。冷蔵庫などに保管しておけば、2〜3日は大丈夫かもしれない。しかし、1週間以上経つと、イグチ類とヒトヨタケ属、コガサタケ属などはまず全滅だ。このネズミシメジ類似菌についても、今朝の時点での姿は、現地で撮影した写真(a, b)とはおよそ似ても似つかない姿になっていた。 |
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8月にもショウゲンジを検鏡したが、今朝もまた確認してみた。保育社図鑑によれば、ショウゲンジには棍棒状の縁シスチジアがあるとされる。しかし、8月28日の観察では、どのヒダにも図鑑に書かれたような形とサイズの縁シスチジアはみあたらなかった。 長さ37〜44×10〜11μmの棍棒状の縁シスチジア、という図鑑の記述が気になっていたので、今朝も食べるのを中止して、確認してみた。虚無僧型ではなく、よく成熟した個体を用いた(b)。はじめに、合焦位置を変えながら、胞子を覗いて遊んだ(c)。 |
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何枚ものヒダをスライドグラスに寝かせて縁をみたが、やはり大きな棍棒状のシスチジアはない。ついで、同じく何枚ものヒダを薄切りにして先端をみた(d)。やはり縁シスチジアらしき構造は見あたらない。側面をみると子実層がよく見える(e)。 ついで、ヒダの一部を例によってKOHとフロキシンで封入してバラしてみた。偽担子器かシスチジアかはっきりしないものが、ヒダの縁に多数みられた(f)。奇形の担子器がやたら多くて興味深かった(g)。組織には、いたるところにクランプがある(h)。カサ表皮は偽柔組織のような丸い細胞層の上に細い菌糸が匍匐している(i)。 結局今朝みたショウゲンジにも、明瞭な縁シスチジアらしきものは全くみあたらなかった。 |
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多くの場合、往路で見つけた食用きのこは帰路には無くなっている。スギヒラタケが毒きのこになってからは、道ばたの倒木にも大きな群をよく見かけるようになった。マスコミで騒がれて以来、これまで長いこと食べてきた人たちの間には困惑が広がった。相変わらず食用として採取する人は極端に減り、大方は食べることを放棄したようだ。
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丸くて非アミロイドの胞子(b, c)、ヒダにはシスチジアなく、ヒダ実質は並列型(d)、傘表皮には匍匐菌糸(e)、やや長めの担子器(f)と、ミクロの姿は何とも単調なきのこだ。鬱蒼としてうす暗い樹林のなかで、そこだけ浮き上がるように白い姿は独特のものがある。食用きのこから毒きのこになろうと、毎年出会いを楽しみにしているきのこに変わりない。 | |||||||
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例年だとツキヨタケは9月から10月によく見かけるのだが、今年は様子がちがっている。7月に発生をはじめ、北関東では9月半ばには、ほとんど発生を終えてしまったようだ。先週標高1800mあたりのブナ林で、ようやくわずかの個体を採取できた(a)。 発光性のことはよく知られているが、KOHで青変することは意外と知られていない。特に、生状態の傘に滴すと、たちまち暗青色に変わる(b)。傘肉やヒダもゆるやかに青変する(c)。乾燥標本の傘にKOHを滴してみたが、すぐには変化せず、5分ほどして暗青色になった(d)。 |
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胞子が大きな球形で非アミロイドであることはよく知られている(e)。シスチジアはなく、ヒダ実質は並列型(f)。カサ表皮には顆粒を帯びた菌糸が匍匐するが(g)、KOHで封入したとたんに、菌糸がたちまち暗青色に変わり、顆粒も大半が見えなくなる。 担子器の多くは4胞子をつけるが(i)、2胞子しかつけないものも多い。今回採取した標本では、2胞子性の担子器が80%以上だった(j)。保育社の図鑑には「4胞子をつける」とあるが、これまで観察したもので、すべての担子器が2胞子性のケースもかなりあった。 ホームページの引越(雑記2008.9.21)以降、Mac の OS X と Safari の組み合わせの場合に、サムネイル画像をクリックしても大きな画像が出てこなくなったという話を聞く。Opera や Firefox、IE では、従来と変わらないらしい。しかし、OS X と Safari を使っていても従来と変わらず画像が出てくるという話も聞く。きのこ雑記自体の記述環境などは変わっていないので、プロバイダ側のサーバー Apache の設定が、Wakwak と Sakura ではかなり違うのかもしれない。OS X と Safafi にはバージョンの組み合わせによって様々な不具合が生じると聞く。 |
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これまで何度かチシオタケのカサ表皮の撮影を試みたが、いまだに鮮明な画像を得られていない。偽柔組織のような傘肉の上を3〜4層の細い菌糸が平行に走り、最上部の菌糸の表面は短い樹枝状の突起が多数でている。このため撮影には何か工夫をしないと難しい。 とりあえず、ありきたりの胞子(c, d)、縁シスチジア(e, g, i)、側シスチジア(h)、ヒダ切片(f)、ヒダ実質(j)、担子器(l)などを撮影した。ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて縁を撮影すると、多数のシスチジアが見える。ここでは、フロキシンで染めて撮影した(e)。 |
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さてカサ表皮だが、とても脆くて薄いため、ヒダ横断面の切り出しよりやっかいだ。生標本が新鮮でよい状態のものでないと、鮮明な画像を得られないのかもしれない。いちおう薄く切ったが、やはり不鮮明だ(k)。倍率を上げると焦点深度が浅くなり、樹枝状の短枝を出す細い菌糸はますます不鮮明になる。かといって、低倍率では、小さな樹枝状部分がうまく表現できない。 | |||||||||||||
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明日からしばらく、上野の科学博物館で終日作業要員をつとめるので、きのこ観察に出かけたりじっくりと観察などはできなくなる。そこで、昨日東京都の水源地の一つである村山貯水池周辺の緑地を歩いてみた。野山北公園には安心して車を停められる場所がいくつもあるが、きのこはほとんど見られなかった。もっぱらハイキングのみとなった。 東大和公園の周辺には駐車スペースが全くない。あたりをさんざん走り回った末、結局パスして多摩湖周辺の駐車場に車を停めた。狭山緑地にはいろいろなきのこが見られた。マツオウジ(a)、ヒメカバイロタケ(b)、シロハツモドキ(c, d)、ツルタケ、フクロツルタケ、クサウラベニタケ、モリノカレバタケなど15〜20種を数えた。シロハツモドキはいたるところにみられた。 |
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雑木林でよくわからないきのこに出会った(e, f)。とても瑞々しく大きなきのこで、傘径は18cmほど、とても脆い(g)。ヒダは柄に垂生。ヒダは基部では粗く、何度か枝分かれし(h)、縁が濃褐色に彩られる。柄には網目状の隆起がありその節々に粒点がある(i)。
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ヒダを一枚横断面で切り出してみた(j)。フロキシンで染めるまでもなくヒダ実質は並列型(k)。ヒダ切片の側をみると、子実層らしき構造がなく、たんに表皮組織があるのみ(l, m)。一晩経ても胞子紋は全く落ちなかった。落ちたのは線虫やら微細な虫ばかりだった。 ヒダをフロキシンで染めて、KOHで押し潰してみたが、胞子や担子器は全く見あたらず、なんとなく偽担子器のような構造のものがごくわずかにみられた(n)。どの部分にもクランプがあり、傘表皮の組織は細長い菌糸が匍匐している(o, p)。写真(p)には径2〜3μmの楕円形の粒子がみられるが、カサ表皮の一部にだけしかなく、このきのこの胞子ではなさそうだ。 |
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今年は7月末から9月末まで、長い期間にわたってハナイグチをみることができた。誰にでもひとめで簡単に見分けられるきのことあって、いちいち検鏡したりする人はほとんどいない。あまりに当たり前すぎて、「今日の雑記」などでも、ハナイグチの検鏡画像というのは、取り上げたことがなかった。しかし、一度くらい取り上げてもよかろう。 カバーグラスに胞子紋をとって、まずはドライ状態で覗いた(c)。ついで水道水で封入した(d)。管孔の先端部をピンセットでつまんで縁シスチジアを確認したが、透明で非常に見づらいので、フロキシンを加えた(e)。水道水をKOHで置き換えて軽く押し潰した(f)。 |
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管孔部実質を確認するため、最初生状態で切り出した。ついで、半乾燥状態にしたのち、実体鏡の下で管孔部を切りだして、実質を確認した(g, h)。散開型には変わりないが、キヒダタケ亜型なのかヤマドリタケ亜型なのかよくわからない。管孔部実質やカサ表皮を観察するのであれば、生状態ではなく、半乾燥状態ないし乾燥状態にしてから切り出すのが圧倒的に楽だ(雑記2003.7.13、同2005.3.2、同2007.9.4)。 カサ表皮も水(i)やKOH(j)だけで封入すると、コントラストが弱くてわかりにくい。フロキシンを加えると若干見やすくなった(k)。これは生状態のものを実体鏡下で切りだした。最期に、例によってKOHとフロキシンによる押し潰し法で担子器などを確認した(l)。 |
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9月23日に富士山で採集したヌメリササタケ(a〜d)についてのメモ。アブラシメジ、ナメコ、ホシアンズタケといった強い粘性をもったきのこの検鏡はやっかいだ。ヌメリササタケは傘表面から柄のほぼ全体にわたって、厚いゼラチン質で被われる(c, d)。胞子紋をとると液体でグッショリとなり、液体中には微細な菌が浮遊し、胞子はそこに浮いている(e)。 幸いなことに、ヒダはゼラチン質で被われてはいない。しかし、しばしばゼラチン質が付着してベトベトになっている。まずは、実体鏡の下に傘を置いて、ヒダを切り出してみた。ゼラチン質が邪魔をして試料をうまく固定できず、最初の切片はかなり厚ぼったくなった(f)。 あらためて、ヒダ一枚だけをスライドグラスに載せて切り直した。今度は薄く切れたが、気泡が入ってしまった。しかし、縁シスチジアのあること(g)、側シスチジアがないこと、ヒダ実質が並列型であること(h)は明瞭に捉えられている。側の一部には胞子をつけた担子器も見える(i)。 |
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ヒダの一部をピンセットでつまみ、フロキシンで染めてから3%KOHで封入して押し潰した。担子器の基部にはクランプがみえた(k)。クランプのない担子器もある。ヒダにも傘肉にもクランプは豊富に見られる(l)。縁シスチジアは丸味の強い棍棒状や熱気球のような姿をしている(l〜n)。
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面倒なのがカサ表皮の観察だ。ゼラチン質が邪魔をして薄く切るのは思いの外難しい。新しい両刃カミソリを引っ張り出して、二つに割って、実体鏡の下で「押し切り」をすると、案外うまく薄切りができた(o)。傘表皮は類球形の薄膜の細胞列が薄い層をなし、その上を被うゼラチン質の中には糸状の細い菌糸がみえる(p, q)。糸状の菌糸はいたるところにクランプをもち、基部は嚢状の細胞に繋がる(r)。
ここに掲げた画像は、実体鏡の下で両刃カミソリを使って、「押し切り」したものだが、実は簡易ミクロトームを使うともっと楽に薄い切片を作ることができる。 |
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