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☆! | 求む! ツブエノシメジ | !☆ |
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今am3:00、まだ夜中だがこれから秋田に向けて出発だ。日本蘚苔類学会第37回秋田大会に参加し、そのあと秋田・山形を中心にキノコとコケなどを観察してくる予定。腰痛の回復がはかばかしくないので、どの程度動けるのか心許ないが、ごまかしながら動くことになりそうだ。予定では9月4日夜の帰宅となる。それまで「今日の雑記」はお休み。
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昨夜、先日採集したカラマツベニハナイグチを覗いた。現地で柄が中空でないことは確認しているので(a)、ウツロベニハナイグチでないことは明らかだ。管孔部を見ると、縁シスチジア(b)、側シスチジア(c)があるようだ。胞子は偽アミロイド(e, f)。管孔部実質の構造ははっきりしない(g)。フロキシンで染めて縁シスチジア(h)、側シスチジア(i)をみた。菌糸にはクランプがある(j)。シスチジアは薄膜(k)。傘表皮は匍匐気味に平行して菌糸が走る(d, l)。 それにしてもよく降る雨だ。今日は終日雨の中を走ることになるんだろうか。 |
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ショウゲンジはきのこ初心者にもすぐにわかるきのこだ。外見からすぐにわかるので、いちいち顕微鏡で確認する人などほとんどいない。イボに覆われた独特な形の胞子、大きな担子器、菌糸が平行に走る傘表皮などは、対物40倍レンズで十分に楽しめる。先日、一面イワダレゴケに覆われた針葉樹林で採集したショウゲンジを胃袋に入れる前にちょっと遊んだ。
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胞子は表面と輪郭部に合焦したものを1枚にした(b)。縁シスチジアを確認しようとヒダ横断面を切り出した(c)。ヒダ実質部の菌糸は並列型(d)。ヒダの縁をいくらみても、シスチジアらしきものはない(e)。ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて縁を見たがやはり、それらしき構造はみられない(f)。フロキシンで染めたヒダの縁の一部(青い円)を拡大してみた(g)。担子器とほぼ同じ大きさの棍棒状のものが縁シスチジアだろうか。 菌糸にはクランプがある(h)。担子器の基部にはクランプはない(j)。傘上表皮は菌糸が平行に走っている(j)。そのすぐ下側には黄褐色の顆粒を帯びた嚢状の菌糸がみえる(k)。フロキシンを加えてみた。ここまでは水で封入した。あらためて傘の上表皮の部分をフロキシンで染めてKOHで封入した。バラバラになった平行菌糸が匍匐状に連なっている(l)。 |
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明後日からの東北行のために荷物の準備をしはじめた。標本の乾燥には、最近は小型段ボールと布団乾燥器を組み合わせて使っている(a)。出かけるときは、この段ボールに水切りネット、ラベル、チャック付きポリ袋、シリカゲル、サインペンを一緒に放り込む(d)。 小さいので餅網を2段にして、きのこはネットに入れて乾燥させる(b)。採集番号を記したテープを一緒に入れる。この方法だと多数のキノコを一度に扱える。何より安心なのは、過ってひっくり返してしまっても、きのこが入り交じることがない。流しの水切りネットは目の粗い水色タイプ(c)と、目の細かい白色タイプがあり、いずれも百円ショップで調達している。 |
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小学館からクロネコ便のビジネスレターが届いていた。どうせまた広告だろうと放置しておいた。今朝になって開封してみると、井口 潔ほか著『いきなりきのこ採り名人』(小学館) がでてきた(e)。100頁弱の書で、楽しくキノコ狩りをして、美味しく味わうことを目的とした本だが、キノコの見分け方の基本はしっかり押さえてある。 これまでの類書にはない興味深い点が2つある。ひとつは、「最近名前がついた 21世紀のきのこ 16種」。ここでは、コノハシメジ、アオミドリタマゴテングタケ、シラガモミウラモドキ、ヤミイロタケなど、他書であまり見ることのできない種がとりあげられている(f)。 いまひとつは、「図鑑選び編」として取り上げられている文献。いわゆるきのこ狩り的なものではなく、本格的な菌類図鑑やそれに準ずる図鑑類ばかり。例えば、保育社『原色日本新菌類図鑑(I, II)、"Fungi of Switzerland (スイスのきのこ)"、"Mushrooms of Northeastern North America (北米東北部のきのこ)"、学研『日本の毒きのこ』などを紹介している。 2頁ほどさいて、主たる著者であるイグチ キヨシなる Homo sapiens の「生態」に触れているが、社会的・実存的にもう少し掘り下げるとさらに興味深いムックになったかもしれない。 余談だが、最終ページの<参考資料>に「本誌掲載の学名は下記による」として、"Dictionary of the Fungi, 10th Edition" が記されているが、編者の一人 J.A. Stalpers が「スタルパーズ」ではなく「スパルターズ」となっているのはご愛敬か。なお価格は、本体1,300円+税。 |
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フサクギタケの傘ににメルツァー液をたらすと、アミロイド反応を示す(a)。柄にたらしても同様だ。ヒダにたらすと、子実層は反応しないが、実質部の菌糸がアミロイド反応を示すので、やはり青紫色にみえるようになる。胞子(b)は偽アミロイド反応を示す(c)。 久しぶりにきのこのヒダを切り出した(d)。縁にも側にも長い棒状のシスチジアがある(d)。子実層托実質は平行気味に乱れている(e)。水をメルツァー液で置き換えると、実質部の菌糸がたちまち青色になった(f)。シスチジアは表面がメルツァー液の色になった(g)。改めてヒダを切り出してKOHで封入すると、全体が赤みを帯びた(h)。シスチジアも同様だ(i)。 |
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カサ表皮をメルツァー液で封入すると、直ちに青変する(j)。ヒダの一部をピンセットでつまみとり、フロキシンで染め、KOHで封入してカバーグラスの上から軽く押し潰した。シスチジアの基部から中程までは厚壁だ(k)。担子器の基部にクランプはない(l)。 | |||||||||||||
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一昨日(8/23)、友人等5人で長野県東部の入笠山周辺を歩いた。終日雨だったが楽しむことができた。きのこの発生はあまり芳しくないが、ショウゲンジ(a, b)、カラマツベニハナイグチ(c, d)、フサクギタケ(e, f)、オオキノボリイグチ、ベニタケ類はよく出ていた。腰痛をだましだまし歩いたりしゃがんだりしたが、借り物の体を動かしているような痛みと違和感に悩まされた。 |
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日曜日(8/24)は、早朝から強い雨のため山にはいるのは止めて、早めに帰宅の途についた。やや回復の兆しを見せていた腰痛は、乗用車の座席がたたったらしく、再びかなり悪化し、何もせずとも激しい痛みと呼吸困難を生じるようになってしまった。週末の東北行きに備えて、ここしばらくはおとなしくジッとしている他なさそうだ。 | |||||||
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昨夜そろそろ就寝時間という時に、クール便できのこが届いた。北海道でとれたラクヨウだという(a〜c)。採取したときは新鮮だったのだろう。北海道から埼玉へは到着が翌々日となる。若くてとりたてであっても、半分は痛んでしまう。残念だが例外ではなかった。早く寝なくてはと思いつつ、慌てて分別して熱を通した。何といっても今年の初物だ。 |
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まだ夜中だが、これから八ヶ岳へ向けて出発、ETC深夜割引を利用して中央道を走る予定だ。首都高の肝心の部分が工事中で通行止めとなっているので、一般道の環状八号線を走って、am4:00前に高井戸インターから中央道に入ることにした。今夜は友人のKさん宅に宿泊するので、明日の雑記はお休み。 権現岳か阿弥陀岳に登りたいと思っていたが、やっと回復の兆しが見えてきた腰痛の身では危険が多すぎる。悔しいがいまはどうにもならない。秋以降にチャンスを待とう。 |
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激しい腰痛はやっと回復の兆しが見えてきたが、2時間ほど立ったり座ったりすると、そのあと1時間は横にならねばならない。このため、夜なかなか寝付けない。結果としてアルコールの消費量がふだんの何倍にも増える。アルコールは感覚を麻痺させ痛みを緩和してくれる。 この2週間、外出したのは、15日川越と18日筑波の2回だけだった。以前から約束していた行事ゆえ、欠席するわけにはいかず、他人に運んでもらった。 ふだんからテレビはあまり見ないので、もっぱらアルコールで麻痺した頭で、音楽(有線放送)を聴きながら読書をし、合間にコケの観察・記載作業などをした。まるで入院生活とあまり変わりなかった。しかし、病院ではアルコール厳禁だし、顕微鏡なんぞは持ち込めない。 外出してキノコを持ちかえれば、その観察に追われコケを観察している暇はない。そのため、コケ標本は6月分からかなりたまっていた。腰痛の副産物として、コケの観察・記載処理がかなり捗ったことがあげられる。「こけ雑記」にも連日観察メモをアップできた。 こんなに長い期間外出せずに暮らしたのは初めての経験だ。月末からの東北旅行に備えてじっと我慢だ。サラリーマン時代だったら、痛み止めを処方しながら通勤していたことだろう。幸にしてこの2週間ほどの間は、近場のどこもきのこの発生がひどく悪かったという。 |
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『日本きのこ図版』通称「青木図版」の完全版(全六巻)の編纂は、青木実資料研究の第一人者である名部みち代さんによって行われた。詳細な目次と索引がつき、途中で名称変更を加えられたものなども、すぐに分かるようになっている。 名部さんは、この2年間考証を重ね、原資料に直接あたって、これまで未発掘になったままになっていた資料をいくつも発掘された。それらの考証結果に基づいて、図版の古いものを差し替えて、不足図版を補足し、繰り返しコピーで読みにくくなったものを原本からのコピーで置き換えるなどして、あらたに各巻索引、全巻の総索引なども作成された。 「青木図版」のコピー版は数千枚、重量にして20Kgにおよぶ。これをコンビニなどでコピーして製本すると、膨大な時間が必要で、経費も少なくとも3〜5万円ほどかかる。そして、「不完全」な図版でもある。全六冊となる「完全版」は、予約制で、頒布価格は7〜8万円ほどになるという。これは商業出版の形をとらず、予約制で希望者にのみ実費頒布の形式をとるようだ。 『日本きのこ図版』完全版は、現在予約募集中だが、10月に鳥取で行われる大山合宿(日本菌学会観察会)の場で、見本展示とともに最終予約申込みを受けることになるようだ。千葉菌メール、幼菌ML、菌懇会通信、大山合宿MLなどで、近々詳細な案内情報が流されることになろう。日本きのこ検索図版をお持ちの方は、是非予約されたい。以下概要。
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