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多摩湖畔で採集したカニノツメは、胞子の他に担子器も再確認するつもりで幼菌も採取した。一般に腹菌類の担子器は成熟すると溶けて消失してしまうものが多い。だから、担子器を確認するためには、未成熟の若い個体を採取する必要がある。 今にも赤色部を出すばかりの幼菌を切ると、既に内部には腕ができていた(c)。さらに小さな類球形の卵を切ってみた(d)。グレバ(基本体)がかなり成熟している。こうなるともう担子器は見られないことが多い。そこで、さらに小さくてやや堅めの幼菌を切ってみた(e, f)。腕になる赤色部はまだ未完成で、グレバもできはじめたばかりだ。 |
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最初に成熟した個体(a)のグレバから胞子をみた(g)。ついで、やや大きめの卵(d)のグレバをみると、胞子の配置から担子器があるようだが、透明でどうにもよくわからない(h)。今少しはっきりと担子器をみえるようにしたいと、最後に小さな卵(f)のグレバを覗いてみた(i〜k)。 担子器は透明で小柄(steriguma)はなく、8つの胞子が座生する。水やKOHだけで封入したのでは、担子器はとてもわかりにくい。そこで、フロキシンやらサフラニン、コンゴ−レッドなどを使ってみた。いずれも担子器本体を染めることはできなかった。 |
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昨日朝、遅い時刻にのんびりと多摩湖畔の緑地まで車を走らせた。道路が混んでいると予測していたが、とてもよく流れていて、早朝出かける時よりも短い時間で現地に到着してしまった。途中所沢の航空記念公園に寄ると、あちこちでナラタケ類が大発生していた。ただ、ナメクジにかじられたものがやたらに目立った(b)。唾液であちこちが光っていた。 多摩湖畔に到着すると、あまりにも順調に到着してしまったため、駐車場がまだ開いていなかった。係員が来るまでしばらく待ってから車を降りた。ここでもナラタケ類が大発生していた(a, c)。他には、サケツバタケ、サクラタケ、イタチタケ、カニノツメ、等々が出ていた。 |
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ナラタケ類があまりにも多数でているので、久しぶりにきのこ狩りをしてしまった。たくさん採れたので帰ろうと竹林脇を通ると、ヒラタケの大群生にであった(d〜f)。ここでもまたきのこ狩りとなった。昼はナラタケとヒラタケがたっぷり入ったきのこうどんを肴にビールを飲んでいた。 | |||||||
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ことし6月にGoogleデスクトップをインストールした。いったん全体のインデクスができあがってしまうと、検索は嘘のように速い。ちょっとした語彙でも、その用語を含むPC内のファイル群を即座に詳細に表示してくれる。あの内容を書いたファイル何だったかなぁ〜、ファイル名も思い出せない、といったケースでは威力は絶大だ。しかも誰にでもすぐに簡単に導入できる。 むろんよいことばかりではない。四六時中ハードディスクにアクセスしにいくので、PCの電源が入っている限り、カリカリという音がうるさい。さらに、PCがやたらに重くなる。ただでさえアンチウイルスソフトで重くなっているのに・・・。ついに耐え難くなって、つい先ほど削除した。 PCが数ヶ月ぶりに、かつてのように静かになった。アプリケーションなどの反応も嘘のように早くなった。結局は、「PC内部検索という利便性」と「カリカリ音+PCの重さ」とのトレードオフなのだろう。PC内検索は従来どおり、UNIXユーティリティとnamazuだけとなった。リストの超絶技巧練習曲じゃないけれど、正規表現を駆使すると思いがけない検索がすばやくできる。 |
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今日は東京医科歯科大学で行われる日本菌学会・日本防菌防黴学会合同シンポジウムに参加予定。タイトルは『ヒトと菌類の関わり・−自然界と生活圏の菌類−』で、菌学会側からは「菌類の分類・自然史・研究史(出川洋介氏)」、「菌類の多様性科学を支える博物館(細矢剛氏)」、「カルチャーコレクションの動向(安藤勝彦氏)」、「菌類同定のための遺伝子解析:現状と実用技術の紹介(安光得氏・岡田元氏)」などの講演がある。am7:30には出発しなくてはならない。
先日採集したコウボウフデ(雑記2009.10.28)は乾燥機の中に放置されていた。すでにすっかり乾燥していたが、標本袋に収納して格納するまえに、久しぶりにミクロの姿を覗いてみた。コウボウフデを顕微鏡下でみたのは5年ぶりくらいのことだ(同2004.4.20、同2003.9.24)。 |
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子実体先端の筆の部分を、ピンセットでひとつまみ採って、スライドグラスにのせた。水で封入するといわゆるダマダマ状態となってしまうので、KOHで封入した。胞子と弾糸が無数にある(b)。倍率を上げて胞子をみた(c)。よくみると、子嚢の残骸らしきものがあった(c)。 弾糸を明瞭に捉えるために、フロキシンを加えた(e)。倍率を上げて探してみたが、環紋状の弾糸は見つからなかった。かつて環紋状の弾糸をみつけようとさんざん検鏡したことがあったっけ。 |
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先週多摩湖畔で採集したチャヒラタケ属(a)がひとつだけ冷蔵庫に残っていた。半乾燥状態となり縮れてすっかり小さくなっていた。袋の縁にしっかりと胞子紋がついていたので、これから胞子を採取した。胞子表面には微細な疣があるようだが、鮮明には捉えられなかった(b, c)。 半乾燥ということもあって、脆い生の時とちがって、ヒダ切片が楽に切り出せた(d)。ヒダ実質を見た後、カバーグラスの縁からフロキシンを流し込んで、ヒダの縁をみた(f)。次いでヒダを一枚スライドグラスに寝かせて縁をみると、随所に束生する縁シスチジアがある(g, h)。どうやら、先に切り出したヒダ切片は、縁シスチジアがあまりない場所を切り出したようだ。 |
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スライドグラス上のヒダの一部をKOHで封入して組織をバラした。いわゆる押しつぶし法だ。縁シスチジア(i)、担子器(j)、クランプ(k)などが明瞭に捉えられた。カサ表皮の組織には微細な色素粒点をもった菌糸が匍匐している(l)。見たとおりのクリゲノチャヒラタケなのだろう。 | |||||||||||||
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腐朽した杉の端材の切り口やその周辺から、ニガクリタケモドキ?がでていた。久しぶりにこのきのこを顕微鏡で覗いて遊んだ。多数の縁シスチジアが波打って面白い。
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検鏡写真は説明するまでもないので、画像に詳しいキャプションを付けた(a〜l)。おそらくニガクリタケモドキでよいのだろう。 |
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昨日、一年ぶりにキリノミタケをみるチャンスを得た。固いつぼみ(a)が開きはじめる時から、すっかり開花した状態(f)までを観察することができた。一気に冬が来たかのように寒くなり、この日は山を見上げれば雪でうっすらと白くなっていた。
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最終日の11月3日、大阪市立自然史博物館で、第40回特別展「きのこのヒミツ」を観てきた。10月中に大阪に出向くことができず、ようやく最終日の昨日慌てて訪問した。残念ながら最後の特別講演を聞くことはできなかったが、一風変わったレイアウトや本郷先生の原色画が興味深かった。学芸員の生態観察をしたり、期間中何度もやってきたという人たちと話をすることができた。大阪から帰宅したのは今朝のこと。夜中に月と星がとてもきれいだった。 | |||||||
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