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日( )
2009年5月10日()
 
カンムリタケと小さなチャワンタケ
 
 先日福島県いわき市で採取したカンムリタケと小さな白色のチャワンタケを肴にして遊んだ。おもに、若い子実層にみられる鈎状構造(crozier, uncinulum, フック、笏杖ともいう)を確認することにした。クロハナビラタケの鈎状構造をみたのはつい3ヶ月ほど前のことだ(雑記2009.2.5)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)

(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 カンムリタケは、生時には全体に透明感があるが(a)、半乾燥〜乾燥状態になると透明感はなくなる(b)。胞子は白色〜淡橙色のため、水で封入するとコントラストが弱くて目が疲れる(c)。フロキシンで染めると輪郭が明瞭となる(d)。子嚢に蓋はなくアミロイドの頂孔がある(e)。
 カンムリタケと同じ水たまりの落ち葉からでていた白色のチャワンタケはとても小さくて柄がある(g, h)。これは、子嚢に蓋があり非アミロイド(i)。胞子紋は取らなかったので、胞子写真もない。ズキンタケの仲間 Leotiaceae ではなくチャワンタケの仲間 Pezizaceae のようだ。
 いずれにせよ、両者とも子嚢菌だ。したがって、子実層の基部をじっくり観察すれば鈎状構造が見られる。水やKOHだけだと透明でコントラストが弱く、笏杖の部分がよく分からない。フロキシンで染めると明瞭にとらえられた(f; j〜l)。

2009年5月8日(金)
 
終わることのないパソコン
 
 朝目を覚ますと、パソコンの電源が入っていた。昨夜電源ボタンを押し忘れたようだ。

 もう一年ほどになるだろうか。朝「シャットダウン」をクリックしてパソコンを終了させた。夕方外出先から帰宅してみるとパソコンの電源が入っている。省エネモードになって画面は真っ暗だったが、マウスを動かすと画面にログオン画面が現れた。きっと誤って「再起動」のアイコンをクリックしてしまったのだろうと思った。
 数日後に、再び同じ現象が起こった。また間違って「再起動」をクリックしたのだろうと思った。しかし、同様のことが頻繁に起こるようになって、何か変だとようやく気がついた。そこでようやく、意識的に「シャットダウン」をクリックして様子を見ることにした。
 すると必ずではないが、数回に1回ほど再起動してしまうことが分かった。シャットダウンした数秒から10数秒後に、勝手に電源が入りログオン画面で待機状態となる。そのうちに、シャットダウンしたはずなのに、半日ほど後になって勝手に再起動する事態も起こるようになった。

 ネットで検索してみると、世の中には同じ現象に悩む人が多数いることを知った。いろいろな対策が提示されていた ---- パソコンの設定を変える、レジストリをいじる、アンチウイルスソフトの設定を変える、正常時のOSに戻す、電源装置を取り替える、詳細なウイルスチェックを行なう、等々 ----。いずれも解決には結びつかなかった。やっていないのはWindowsの再インストールだけだ。再インストールすれば解決できる可能性はあるが、その時間的ゆとりはない。最近ではあきらめて、シャットダウンの直後に電源ボタンをオフにしている。


2009年5月7日(木)
 
再びコガネヌメリタケ
 
 連休中に福島県で採取したコガネヌメリタケを覗いてみた。やや乾燥気味で、ヒダの間には多数の虫が住み着いていた。柄は中空で、ヒダは上生から直生ないし湾生といったところか。ヒダの縁が濃黄橙色を帯びている(b)。胞子はアミロイド(c)。ヒダの縁を拡大してみると、濃色の表層がありそこから黄色いシスチジアらしきものが出ているのが見える(d)。
 ヒダを一枚切り出してスライドグラスに載せた(e)。カバーグラスをかぶせるときにいい加減においたため、ヒダの先の方にエアが入ってしまった。余計な空気を入れないためにも、やはり、カバーグラスの縁を封入液につけて柄付き針かピンセットなどで静かにかぶせる必要がある。
 紡錘形の黄色いシスチジアが縁と側に多数ある。ヒダ先端は横断面で半円形に膨らみ、そこに縁シスチジアが集中している(f)。昨年観察したコガネヌメリタケでは、ヒダ実質がいずれも逆散開型だったので、そのあたりを重点的に見ることにした(雑記2008.6.12)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
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(e)
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(f)
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(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 粘液質のヒダを、実質部が分かるように切るのは思いの外難しい。粘性の強いヒダ実質がカミソリにまとわりつく。今回は主目的がヒダ実質の確認だったので、あきらめて多くのヒダを切ってみた。結局、複数のきのこから、計20枚ほどのヒダをチェックすることになった。
 20枚ほどのヒダのうち、15〜16枚は並列型だった(g)。しかし、4〜5枚のヒダでは逆散開型であった(h)。結果を振り返ると、一つのきのこの中に、並列型と逆散開型の両者が混じっていた。逆散開型には明瞭なものやら、緩やかに開き平行型との中間型を呈するものもある。当初、ヒダ横断面の写真を何枚も並べてみたが、いずれも似たようなものばかりなので、結局2枚だけをアップすることになった(g, h)。
 おざなりに、縁シスチジア(i)や担子器(j)、カサ表皮(k)なども撮影した。担子器はヌメリガサ属のように長く、カサ表皮の菌糸には多くのクランプがある(l)。

 このきのこ、ヒダやカサが強い粘性をもっているため、ピスに挟んで切るのが難しい。ピスに挟むとそのままゼラチン質の部分がピスの微孔に食い込んでしまい、せっかく切り出しても、スライドグラスに載せてピスを外す段階で形が崩れてしまう。でも今朝は、あえて5〜6枚ほど、ピスを使って切り出した(e, f)。ピス片を外すときに慎重にやれば結構うまくいく。
 粘性の強いきのこのヒダやカサを薄切りにするには、半乾燥ないし乾燥してしまい、それを切り出した方が楽だ。今朝は、大部分を実体鏡の下で切り出した(g)。スライドグラスに薄く水を張り、そこに寝かせたヒダを次々に切って、薄いものだけ残して他を捨ててからカバーグラスをかぶせた。カミソリがすぐに切れなくなる。もっぱら菜っ葉切り(=押し切り)で切片を作った。刺身切り(引き切り)をすると、ゼラチン質がズルズルと引きずられて、うまく切れなかった。


2009年5月6日(水)
 
栃木・福島の旅
 
 昨日夕方福島県から帰宅。この3日間に出会ったきのこは例年の半分以下で、実に少なかった。栃木県から福島県中通りではコガネヌメリタケ(a, b)、エツキクロコップタケ(c)に出会ったが、例年なら必ず見られたオオズキンカブリ、テンガイカブリタケは全く見られなかった。福島県いわき市の山中ではカンムリタケを観察出来た(d〜f)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 キブシのピスは予定どおり採取できたが、例年に比較すると細いものが多かった。仲間内で「狙い撃ち」だと騒ぎながら、水鉄砲ならぬ髄鉄砲を楽しんだ。

 3日は那須の湯元温泉に宿泊したが東北道は全く使わず順調に走れた。那須界隈は激しく渋滞していたが、渋滞を避けるコース取りはうまくいき、ハイキングと硫黄泉をたっぷり楽しむことができた。報道によれば、連休の高速道路は連日どこも激しく渋滞したらしい。
 例年なら三郷料金所付近でしか渋滞しなかった常磐道でも、今年は各所で渋滞したようだ。昨日は常磐道をいわき中央ICから谷田部ICまで順調に走り、谷田部ICから柏ICまでは一般道を走った。一般道では利根川を渡る橋の選択をあやまり、この旅唯一の渋滞に巻きこまれた。しかし、柏ICから三郷料金所を通って外環浦和ICまでは、ふだんより順調に走れた。

 きのことの出会いは少なかったが、楽しい3日間だった。Sさん、Sさんジュニア、Yさん、お世話になりました。一同深く感謝しています。ありがとうございました。


2009年5月3日()
 
懇親会のオークショナー
 
 今日から3日間友人等7名で栃木県〜福島県巡り。高速道路料金が休日上限1,000円となったことで、このところ異常な渋滞が発生している。昨年同様、高速は使わず一般道をひた走って、温泉ときのこ・こけを楽しんでくる予定だ。今年は車2台に分乗だ。

 先日行われた日本菌学会関東支部総会・講演会後の懇親会の席で行われたオークションの写真を掲載しておくことにした。といっても、先の雑記(2009.4.22)に [「Ms. Neda がオークションの司会をするらしい」と聞く。しかも、「Ms. Neda の衣装は、自分でミシンで縫ったらしい」 ] と記したので、オークショナーの姿だけに絞った(a〜c)。
 

(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 はからずも、三年前に玉川大学で行われた同支部の懇親会のオークショナーも同一人物だった(d, e)。前回も名札をつけての登場だったが、知る人ぞ知るという姿かもしれない。同人の屋外での珍しいスナップも一枚だけ追加しておこう(f)。

2009年5月2日()
 
ムジナタケの検鏡から
 
 せっかくムジナタケを持ち帰ったので、このきのこを肴に遊んだ。胞子を顕微鏡で見たときの色は、水道水とKOHとでは異なることが多い(a, b)。胞子でもヒダでもまずは水で封入する必要がある。先端に結晶を持ったシスチジアなどでは、弱いアルカリや酸でも結晶が容易に溶けてしまい、すぐに見えなくなってしまうものが多い(雑記2006.5.23同2007.11.8)。
 ムジナタケは透明で円錐形の縁シスチジアが多数あるから、実体鏡でヒダを覗くと、その部分がキラキラ光ってよくわかる(c)。ヒダの横断面を実体鏡(d)と顕微鏡(e)でみた。透明なシスチジアは水で封入した場合(e)わかりにくいが、フロキシンを加えればとらえやすくなる(f)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 適度な倍率なら水だけでもシスチジアの形状はよくわかるが、多くの場合、透明な組織はフロキシンを加えると明瞭になる。KOHで封入してサイズを計測する場合は注意が必要だ(i)。高濃度のKOHで封入すると、内容物が収縮したり、浸透圧の関係で全体に細くなってしまうことがある(j)。カサの表皮付近を、水(k)と3%KOHで封入してみた。菌糸状の上表皮は両者で差がないが、その直下の表皮構造は違ってみえる。KOHが組織をゆがめたり変形してしまっている。

2009年5月1日(金)
 
昨日唯一のきのこ
 
 昨日川越の保護林から始まって狭山市の自然公園など数ヶ所を回ってみた。ほとんどの場所にカサと柄をもったきのこはなく、硬いきのこもミイラ状態のものばかりだった。最後に狭山市の智光山公園でムジナタケの大群生にであった。径脇に広範囲に発生していた。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 昨年5月にもムジナタケを観察しているが、このときは一本ずつ散生しており、束生したり群生したものはなかった(雑記2008.5.26)。ミクロのすがたは2004年の雑記にもある(同2004.11.15)。後日分かったことだが、当時使っていたディスプレイはやたらに暗かった。昔の写真が白飛びしているのは、あまり考えることなく過剰に明るくしてしまったからのようだ。

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