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先日採集したキミズゴケノハナを覗いてみた。採集した個体は、いずれもみるからに未成熟で、予測どおり胞子紋はほとんど落ちなかった。ロウ質で非常に脆く、扱いに難儀した。幼菌だからなのか、カサの表面に、細かな毛状の小塊が多数付着する。その部分の菌糸にはクランプがあるが(l)、それ以外の菌糸にはクランプはない。担子器には小柄が4つある。
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宿主のミズゴケは、これもまたオオミズゴケだった。このきのこは、ミズゴケのマット上に小さな花が咲いたかの様に見える。無粋でとってつけたようなコケの和名とは違って、きのこの和名には趣のあるものが多い。「黄水苔の花」という和名には風情がある。 |
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パソコンは相変わらず駄目。Acronis True Image で定期的にバックアップしておいたシステムも復元できなかった。Acronis で復旧できなかったのは初めてのことだった。メインパソコンを購入したのが2004年8月だから、あしかけ5年ほど使い続けたことになる。ハードディスクを取り外してバラしたのち、金属ゴミとして処分するしかないようだ。 やむなく、2007年12月に購入した "できの悪い Vista パソコン" を引っ張り出した。捨てないで保管しておいたことが役立ちそうだ。とりあえず、当面はこのパソコンで環境を整えてメインに使うしかないようだ。気が重いがしかたない。今朝は Vista パソコンからアップした。
先日採集したミズゴケタケを覗いて楽しんだ。採集できたのは小さな個体4つだけで、そのうちカサ径2cmほどの最も大きな個体はすでにグズグズに崩れていた。比較的しっかりしていたのは、カサ径1cmほどのものだった。観察にはおもにこの個体を用いることにした(a)。
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きのこはミズゴケの茎の中ほどから長い柄を伸ばし(b)、ミズゴケの頭部より高い位置に柄の上部とカサをさらす。胞子には微疣がある(d)。カサと一緒にヒダをまとめて切ってみた(e)。どうやら側シスチジアはなさそうだ。ヒダの先端付近をみると縁シスチジアがあり、ヒダ実質は並列型(f)。ヒダを1枚スライドグラスに寝かせて縁をみると透明な縁シスチジアが多数ある(g)。そのまま、フロキシンを加えて押しつぶすと縁シスチジアの形が明瞭に捉えられた(h)。カサ表皮は、菌糸が匍匐気味に走り、所々で小さな束となって立ち上がっている(i)。 宿主のミズゴケは肉眼的特長からはオオミズゴケと思えた。念のために、ポイントだけ検鏡して確認した。茎の表皮細胞に螺旋状の肥厚がある(j)。したがって、ミズゴケ節 Sect. Spagnum に間違いない。ついで、枝葉の横断面をみると、葉緑細胞がほぼ二等辺三角形で腹面側により広く開き、透明細胞との境目は平滑だ(k)。この時点で、候補として残るのはオオミズゴケとニセオオミズゴケだけとなる。ついで、枝葉背面の葉身細胞をみると、穴は1細胞あたり10〜20もない(l)。これらを根拠にオオミズゴケ Sphagnum palustre であると同定した。 |
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メインパソコンが緊急事態となった。朝、Windows UPdate がしつこく画面に現れるのでクリックした。ややあって、アップデート完了の表示がでた。ところがいろいろな問題が多数発生。最大の問題はインターネットにアクセスできなくなったことだ。修復を試みたが全く効果なく、すでに数時間の徒労となっている。あきらめて別の非力な非常用マシンから雑記をアップすることにした。 メインパソコンはディスクをフォーマットしてOSを再インストールするしかなさそうだ。これは大変な作業で時間もかかる。いま、そんな悠長なことをやっている暇はない。幸い今朝撮影した画像は外付けUSBディスクに保存してあった。以下の雑記、非力なマシンからのアップは時間がかかったが、何とかアップした。とりあえず緊急に困るのがメールに対する返信だ。
埼玉県南部の雑木林を歩いた。右を見ても左をみても、どこもかしこもきのこだらけだった。早朝のやや薄暗い林の中で最もよく目立ったのはシロオニタケだった(a, b)。幼菌から老菌まで数十個体があちこちに乱立していた(c〜f)。大きなものは高さ30cmを超えていた。
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何といっても、イグチ類、テングタケ類、ベニタケ類、チチタケ類が目立ち、それぞれ十数種以上、各10〜100個体ほどに出会った。イグチ類の写真はそのうちのごく一部(g〜o)。 カサ径30cmを超える巨大なムレオオイチョウタケが印象的だった(p)。センボンイチメガサもあちこちで大きな群落を作っていた(q, r)。標本として採取したのはごく一部、20種ほどにした。ベニタケ属、フウセンタケ属と小形きのこについては、すべて見なかったことにした。 |
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森林総合研究所関西支所・学振特別研究員の佐藤博俊さんがキクバナイグチの新鮮な生の子実体を必要としています。詳細は「お知らせ」を! 是非ともご協力くださるようお願いします。
先週採集したワカクサタケを処分する前にひととおり覗いてみた(雑記2009.6.28)。コケを採集しようとしゃがんだところ、カサ表面が緑色でヌルヌルの粘液におおわれているきのこを見つけた次第だ。採取から1週間以上経過しているため、ヒダはかなり崩れはじめている。
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持ち帰ったきのこは、すぐに観察できないとき、紙袋やチャック付きポリに容れ、冷蔵庫に保管(放置?)してしまう。しかし、Hygrocybe(アカヤマタケ属)のきのこは、持ち帰ったらすぐに記録したり検鏡しないとまずい。つい、シスチジアはないし、胞子も単純だから乾燥標本をみればよいか、と思ってしまう。久々に切り出してみると、ヌルヌルきのこの難しさを痛感させられた。 | |||||||||||
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早朝の湿原でミズゴケタケ(a, b)とキミズゴケノハナ(d〜f)に出会った。ミズゴケタケは肉眼的にミズゴケタケモドキとの区別が困難だ。胞子を見ないと判定は難しい(c)。さらにミズゴケからは未報告種のケコガサタケ属菌もよく発生する。 目の前にきのこをつけたミズゴケが見えていても、たいていはたやすく近づくことはできない。撮影したり採取するには、手の届く範囲に出ているものを見つけるしかない。そこで、遊歩道脇を重点的にこまめに見たり、やや乾燥気味の高層湿原の端をていねいに見て歩いた。いずれも小さなものばかりで見落としやすい(雑記2005.5.25)。 |
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詳細な地形図(1/25,000)上に名もなき小さな湿原を見つけても、近づくまでが一苦労だ。登山が目的ではないので、最寄りの地点まで林道を走る。おのずと悪路の林道を走り、深い藪をこいだり獣道を歩くことになる。かつての登山経験が役に立つ。GPSは必需品。 林道を走っているとにわかに悪路となり、道を草木が覆い被さるようになる。心細い思いで走っているとやがて終点。おっかなびっくりバックで戻ったり、はらはらしながらUターン。心臓によくない。なんとか、車を駐めて歩き出したまではよいが、いつまでたっても湿地や沼地に到達できない。何度もすごすごと引き返した。昨日は終日この繰り返し、あぁくたびれた。 |
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雨の自然公園、雑木林の斜面に大きなベニタケ属のきのこが群生していた。20mほど離れた駐車場からも明瞭にわかるほどだった。カサの径が25cmを超えていた。濡れているとカサの中央部に軽い粘性があり、カサの縁には条線などはなく、いとも簡単に表皮がはがれる。柄はほのかに赤みがある。毎度のことだが、とりあえず3種の試薬で呈色反応(滴下30分)をみた。
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この仲間の胞子は、どれも似たり寄ったりで、節や種の同定にはあまり役立たないようだ(d)。ヒダには縁シスチジアと側シスチジアがあり(e)、カサ表皮にも円柱形のシスチジアがある(f)。あまりにも大きいので持ち帰ってしまったが、どうやら種の同定にまではたどり着くのは困難そうだ。雨で泥汚れがかなりあったが、虫も少なく比較的きれいな個体だった。いちどは乾燥標本を作ったが、市民農園の肥料となる運命をたどることになった。 今日はこれからコケ観察を目的に、上越方面の湖沼や沢を歩く予定。どこまで行くことになるかは成り行きしだい。ミズゴケに発生するきのこに出会えるとよいのだが・・・・・。 |
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青森県立保健大学大学院の院生 成田崇信さんが、ボタンイボタケを求めている。詳細は「お知らせ」にあるが、是非ともご協力くださるようお願いします。
埼玉県南部から東京武蔵野地区ではテングタケ類が多数出ている。昨日も、村山貯水池周辺の緑地をちょっと歩いただけで、10数種類のテングタケ類に出会った。ガンタケ(a)、アカハテングタケ(b)、コテングタケモドキ(c)、テングタケ(d)、ツルタケ(e)、ヘビキノコモドキ(f)、テングツルタケ(g)、オオツルタケ?(h)をはじめ、フクロツルタケ、カバイロツルタケ、テングタケダマシ、ドクツルタケ(or シロタマゴテングタケ)などが見られた。なぜかタマゴタケには出会わなかった。 |
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既に7月だというのに、スダジイの切り株からカンゾウタケがでていた(i)。この日最もよく出会ったのはマツオウジで、7〜8ヵ所で見た(j, k)。ナラタケモドキ(l)やセンボンイチメガサなども出ている。確認したアセタケ属とホウライタケ属はそれぞれ10種を超えていた。 しかし、テングタケ類に次いで多く発生していたのはベニタケ類とイグチ類だった。特にクロハツ、カワリハツ、アカカバイロタケ、赤色のベニタケ類、白色のベニタケ類、ヤマドリタケモドキ、ムラサキヤマドリタケ、ヤマイグチ、アワタケはとてもよく出ていた。 |
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なぜか、キヌガサタケの季節にはオオホウライタケがよく出る。友人は、竹林にオオホウライタケをみると、キヌガサタケのタマゴを探してみるという。先日、竹林でキヌガサタケの開花経過をみる合間に、竹幹や落ち葉からでるきのこを楽しんだ。 |
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切り倒して積んだ古い竹幹からは7〜8種類のきのこが発生していた。最も繊細でよく目立つのがニカワアナタケ(a, b)だった。周辺のアオキの落ち葉からはよくととのったアオキオチバタケもよく出ていた(c, d)。近場の自然公園では多くの大形菌が発生していたが、ベニタケ属、チチタケ属、テングタケ属、イグチ類、イッポンシメジ属がよく出ていた。コケや落ち葉のなかから顔をだしたガンタケは遠くからもよく目立った(e ,f)。
ニカワアナタケの標本をどこかに置き忘れたようだ。ガンタケは雨のためか非常に水っぽくて持ち帰った頃には紙袋にへばりついていた。カバーグラスにとった胞子紋はビショビショで、ウジ虫と白濁した液ばかりとなり、胞子の撮影はほとんど不可能だった。
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かろうじて、数枚のヒダがまともな状態だったので、ヒダ実質の撮影を試みた(h, i)。フロキシンで染めても、散開型はあまり明瞭には捕らえられなかった。カサ表皮は水道水(j)より3%KOH(k)で封入した方が鮮明に見える。いちおう担子器も撮影した(l)。 | |||||||
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友人から「キヌガサタケが発生したので行らっしゃいませんか」と声をかけられたので、早朝出向いてみた。あいにく開いた状態の個体はなく、タマゴも非常に少ない。何とか数個のタマゴを見つけたが、一つはまだ全く未熟、今にも開きそうな二つも傷ついたり踏みつけられていた。 |
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上半部の1/4ほどをえぐり取られたタマゴを観察することにした。20分ほど待つと頭部を現した(a)。やがてマントを少しずつのばし、さらにそれを広げて完成形となるまでに、およそ3時間ほどかかった(f)。傷ついて千切れた側のマントはきれいに広がることはなかった。踏みつけられてペシャンコになったタマゴも、少しずつ厚みを増し、いじけたような姿ではあったが、マントを広げた。当初弱かった臭いが、マントが広がるにつけ強くなった。 | |||||||
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遊歩道の丸木の縁にヒダハタケ属のきのこがついていた(a)。十分成長したからか、カサに軟毛などはない。ヒダを見るとヒダの間は脈状となってクシャクシャにみえる(b)。汚褐色の胞子紋から胞子をみると、発芽孔や胞子盤はなく(c)、典型的な偽アミロイド(d)。 非常に強靱なので、楽にヒダ切片を切り出すことができる(e)。2枚のヒダをまとめて切り出したが、胞子が邪魔をしてヒダ実質がなんとなくわかりにくい。しかし、よくみれば散開型であることが分かる(g)。多量の胞子を洗い流してから撮影すればきれいに写るだろう。 |
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ヒダにはシスチジアの類はみられない。カサ表皮は菌糸が錯綜状態で匍匐している(g)。カサ表皮の菌糸には大きなクランプがある(h)。担子器の基部には、クランプのあるものとないものがあるが、ていねいにほぐさないと確認は難しい(i, j)。 ヒダハタケ属のきのこは、全体にしっかりしているので、ヒダやらカサ表皮を検鏡するのはとても楽だ。サケバタケについては、雑記2006.8.9に、ニワタケのミクロの姿は珍しく「顕微鏡下の素顔」に載っていた。いずれにせよヒダの散開型はわかりにくい。 |
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